「その節は」の意味とは?
「その節は」とは「そのせつ」と読みます。「あの時」「その時」という意味を持ち、互いに関わった過去のある時点やある出来事を指します。
「その節はどうも」とか「その節はありがとうございました」という言い回しをし、互いに共有した過去を話題にする時に使います。また、大した意味もなく、会話のきっかけとして挨拶がわりに使う時もあります。
「その節は」の類義語
「その節は」の類語としては「その折は」「その際」「以前は」などがあります。どれも会話を切り出す時の言葉として使われますが、言葉の指し示す対象が過去であったり、未来であったり部妙に変化しますので使う時には言葉の意味をよく考えて使うことが大切です。
「その節は」の類語・「その折は」
「その折は」は「その節は」と同じく過去の出来事に対しても使われますが、未来の出来事にも使える言葉です。例えば「その折はありがとうございました」といえば過去のある出来事に対する使い方で「その節は」と全く同じ意味となります。
しかし、「今度お近くまで行きますのでその折はよろしくお願いします」という言い方では未来のことを指したものになります。「その節は」が過去の出来事に限定した言葉であるのに対して類語である「その折は」は過去と未来の出来事に使える言葉となります。
「その節は」の類語・「その際は」
同じく「その節は」の類語である「その際は」は過去の出来事を指す意味は含まれていません。「その節は」が過去の出来事を指す言葉であるのに対して、「その際は」は未来の出来事を指す言葉となります。
「来週の会議で発表しようと思いますのでその際はよろしくお願いします」というようにこれから起こるであろう未来の出来事を指す言葉として使われます。
「その節は」の類語・「以前は」
「以前は」も「その節は」の類語となります。「その節は」はそれほど遠くない過去を表す時に使われますが、「以前は」は遠い過去のことから最近のことまで幅広い過去に対して使われる言葉です。
「私は以前はこちらに住んでいました」という言い方はつい半年前のことでも使えますし、10年前のことでも使えます。「以前は」という類語は「その節は」よりも広範囲の過去に対して使える言葉となります。
「その節は」の使い方・例文
「その節は」は日常会話でもよく使われる言葉です。また、ビジネスシーンでも挨拶言葉として使われることが多々あります。
会話を繋げるためのきっかけの言葉としても重宝な言葉ですので、ぜ使い方を覚えておきたいものです。そこで「その節は」の使い方を例文でご紹介します。
例文①ビジネスシーンでの「その節は」の使い方
ビジネスの場での「その節は」を使った例文をご紹介します。過去に一緒に仕事をした相手や取引先などに挨拶言葉として、またお礼の言葉として「その節は」はよく使われます。
「その節は大変お世話になりました。次回もよろしくお願い致します」「その節はありがとうございました。大変助かりました」と感謝の気持ちを述べる時に使います。「この間はありがとうございました」というよりもかしこまった感じが出てビジネスシーンには欠かせない言葉となります。
例文②目上の人に対しての「その節は」の使い方
「その節は」はビジネスシーンでは大切な挨拶のツールとして頻繁に使われる言葉ですが、目上の人に対しても使える言葉です。目上の人に向けての「その節は」を使う場合はその後に続く言葉に敬語を使うことを忘れてはいけません。
「その節は大変お世話になり誠にありがとうございました」と敬語表現をつければ目上の人に使っても失礼ではありません。しかし、「その節はどうも」だけでは目上の人には失礼となります。
これはビジネスシーンでも言えることですが、安易に「その節はどうも」で終わらせてしまうと相手によっては不快感を覚えることがあります。
目上の人やビジネスシーンでの取引先に使う時には「その節はどうもありがとうございました」や、「その節は大変ありがとうございました」と丁寧な言い回しにした方が無難です。
例文③謝罪として「その節は」を使う
「その節は」という言葉は「その節はどうも」と軽い挨拶や会話のきっかけから過去の事柄についての感謝を表す時に使う言葉でもありますが、実は謝罪を表す言葉でもあるのです。ここでは謝罪を表す時の例文をご紹介します。
「その節はご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした」「その節は失礼いたしました」と使うことができます。「その節は」が過去の事柄を指している言葉なので、感謝を表す時にも謝罪を表す言葉としても使うことができるのです。
例文④よく使う言い回しあれこれ
日常会話でもビジネスでもよく使う「その節は」を使った言い回しのあれこれを例文でご紹介します。感謝を表す場合の「その節は」の使い方としては「その節はどうもありがとうございました」「その節はお世話になりました」「その節は大変お世話になりました」
「その節は助けていただいて本当にありがとうございました」などの使い方ができます。また、「その節は」を使って謝罪を表したい時は「その節は大変ご迷惑をおかけしました」「その節は申し訳ありませんでした」「その節は失礼いたしました」などといった使い方となります。
目上の人に対する場合やビジネスでの取引先に対する時には「その節は」に敬語を繋げて「その節は誠に申し訳ございませんでした」「その節は弊社のAが大変ご迷惑をおかけしまして誠に申し訳ございませんでした」と使った方が良いでしょう。
「その節は」と「その際は」の違い
「その節は」の類語に「その際は」があるとご紹介しましたが、この二つの言葉は似ているようで使い方が違います。
「その節は」というべきところを「その際は」と言ってしまったり、反対に「その際は」と言うべきところを「その節は」と言ってしまうとチグハグな会話となってしまいます。類語の「その際は」についても使い方と「その節は」との違いを明確にしておきましょう。
「その際は」は未来の「その時」という意味
「その節は」と「その際は」とよく似ているようですが、大きな違いは「その際は」は未来のある出来事を指すということです。「その節は」のように「その際はお世話になりました」とは言いません。
「その際は」を使う時には「今度東京に行くことになりました。その際はよろしくお願いします」のように未来の事柄を指す言葉として使います。「その際は」は未来の事柄にのみ使える言葉だと覚えておきましょう。
「その節は」を使う際の注意点
それでは「その節は」を使う時の注意点とはどんなものがあるのでしょうか。「その節は」「その折は」「その際は」と同じような言葉があってその使い方に迷ってしまうこともあるでしょう。そこで「その節は」を使う時に気をつけたいことをまとめてみました。
「その節は」は未来には使えない
「その節は」を使う時の注意点は、未来の出来事に関することには使えません。例えば「その節はよろしくお願いします」という表現は間違いとなります。
この場合は「その際はよろしくお願いします」というべきなのです。「その節は」はあくまでも過去に関する出来事を指す言葉です。しかし、いくら「その節は」が過去を指し示す言葉であると言っても、遠い過去のことを言う時にはふさわしくありません。
何年も前のことを指して「その節はありがとうございました」と言っても、言われた相手は何のことを指して言っているのかわかりません。その場合は「以前はありがとうございました」という表現が適切です。「その節は」が指し示す事柄は過去のことでもつい最近の過去なのです。
「その節は」の英語表記
「その節は」の一般的な英語表現は「at that time」または「on that occasion」となります。「at that time」の英語の意味は「その時の」「その時に」「その際」「あの時は」という意味となります。
また、「on that occasion」の英語の意味は「その折」「その時」「その節」と言う意味となります。「その節はお世話になりました」と言う英語表現にしたい場合は「Thank you for all your help on that occasion」となります。
また、謝罪の意味を込めた「その節は」の「英語表現は「I am sorry on that occasion」となり、日本語の意味は「その節は申し訳ありませんでした」となります。
「その節は」は「あの時」という意味
「その節は」という言葉は「あの時」「その時」という意味を持ち、現在からそう遠くない過去を表します。
話し手と聞き手の間に共通した過去の出来事があったっ場合に感謝の言葉に繋げたり、謝罪の言葉に繋げたりして使われます。また、道で出会った時などの会話のきっかけとしても使われる言葉です。