「厭わない」の意味とは?
「厭わない」という言葉、その意味をご存知ですか?「厭という漢字は知らない」「漫画で見た事がある」「いまいち意味がわからない」など、あまりその意味までは詳しく知らない場合が多い言葉です。
「厭わない」は、確かに上記のように小説や評論などの書籍や漫画などで頻繁に使われていますし、最近では「you tube」「ニコニコ動画」の見出しにも、「厭わない」をよく目にします。
「厭わない」とは、「嫌におもわない」という意味です。こんな意味なので、上記の他、いろいろなシーンに当てはまる言葉であることが理解できます。
意味が理解できれば、文中、作中やタイトルまたはに非常生活で「厭わない」の言葉を目にすれば、より深く内容の真意を読解することができます。
今回はそんな「厭わない」について徹底紹介。「厭わない」の類語、使い方、「構わない」との違い、注意点、由来・歴史、英語表記、漢字表記について順に紹介していき、「厭わない」を丸ごと理解できるよう特集していきます。
「厭わない」の類義語
まずは「厭わない」の類語から見ていきます。「厭わない」という言葉にはどんな類語が存在しているのでしょうか?
「厭わない」はその意味「嫌におもわない」ことから、「ポジティブ」な言葉として重宝される言葉で、ビジネスシーンやプライベートシーンなど、日常生活において幅広く使う事ができる言葉です。
「厭わない」という「ポジティブ」な物事の捉え方が、雰囲気を和ませたり、業務をスムーズにしたりと、関わり合いがある人たちの利益につながり、その人間関係を時には円滑にしているからです。
そんな意味がある「厭わない」の類語を知ることは、「厭わない」の意味づけをより明確にするきっかけとなります。以下から「厭わない」の類語を紹介していきます。
「嫌って避ける」の意味
早速「厭わない」の類語から紹介していきます。1つ目には「忌避しない」が上げられます。類語「忌避しない」は表題の通り「嫌って避ける事」と意味する言葉です。
類語「忌避しない」は「厭わない」とかなり近いニュアンスで使う事ができる言葉です「厭う」という言葉には「嫌う」の他に「避ける」というニュアンスがその意味に含まれているからです。
ただ、「忌避しない」の「忌避」は「書き言葉」としては頻繁に使われる言葉ではありますが、日常の「話し言葉」としてはあまり頻繁に使う程メジャーな言葉ではありません。
「窮屈に思わない」の意味
「厭わない」の類語の2つ目は「煙たがらない」が当てはまります。類語「煙たがらない」は「煙ったがらない」とも表現される言葉で、表題の通り「窮屈に思わない」を意味します。
この類語「煙たがらない」は「煙たい」という言葉で日常でよく使われており、その否定形となります。「毎週のミーティングを煙たがらない」などの表現で実際に使う事ができます。
ただ、「煙たがらない」は「厭わない」の意味が持つ「嫌う」「避ける」というニュアンスまでは持ち合わせていない言葉です。あくまで「窮屈に思う」レベルであるので、「厭わない」とイコールで使うことはできません。
「忌み嫌い軽蔑する」意味
「厭わない」の類語の3つ目は「唾棄しない」が当てはまります。類語「唾棄しない」は「忌み嫌い軽蔑する」の否定後になります。
この類語「唾棄しない」の「唾棄」は「唾(つば)」「棄(すてる)」という「強烈な嫌悪感」を持つ言葉で、先述した「忌避」を上回るニュアンスを持ちます。そのため「厭う」よりも「嫌う」度合いが強いため、「唾棄しない」は「厭わない」とイコールで使う事ができません。
「厭わない」の使い方・例文
それでは「厭わない」は実生活でどのように使うことができるのでしょうか?私たちの日常生活は、周辺の事情が日々変化しています。
そういった取り巻く状況の中で、「厭わない」は、その意味のポジティブさからビジネスシーン、日常生活、習い事などさまざまなシーンで使う事ができる言葉です。
上記のように「厭わない」という言葉は日常生活において汎用性がある語なので、これからも今後も身近に存在する言葉です。特にビジネスシーンで「厭わない」を使用する場合はその実用性を鑑みて「敬語表現」も意識していく必要性があります。
では実際の「厭わない」が使われた例文を下記にケース別でご紹介しますので、その使い方をご参考いただければ幸いです。
例文①
「厭わない」の使い方の1つの例文として、会議などのビジネスシーンが上げられます。ミーティングなどで「厭わない」が使われています。
「営業エリアが広範囲になりましたが、〇〇さんは遠出することも厭わない営業スタイルだから見習うべき存在です」このような営業ミーティングで「厭わない」という用語の使い方が想定できます。
例文②
「厭わない」の使い方の1つの例文として、取引先とのビジネスシーンが上げられます。商談などで「厭わない」が使われています。
「このような難易度の高い仕事は弊社の得意分野です。短納期のデメリットも厭わない姿勢で取組む体制を構築しておりますのでよろしくお願い申し上げます」このような取引際との商談で「厭わない」という用語の使い方が想定できます。
このケースで「厭わない」を使うシーンには敬語が使われています。得意先との会話などで使う場面である以上、敬語は切っても切れない表現です。
上記例文を見てみると、丁寧語「ました」「ます」「お願い」、謙譲語「申す」、敬意表現「弊社」という敬語が使われている事がわかります。
例文③
「厭わない」の使い方の1つの例文として、冒頭の「意味」で紹介した動画やHPでの見出しが上げられます。それそれの見出しなどで「厭わない」が使われています。
「脱がしにかかるのも厭わない三人衆」「社会に出ても苦労を厭わない」このようにWEBの世界で広く「厭わない」という用語の使い方が想定できます。
例文④
「厭わない」の使い方の1つの例文として、プライベートシーンが上げられます。家族などの雑談で「厭わない」が使われています。
「あんたの辛いことにも厭わないポジティブな姿勢はすごいよ。尊敬する。」このように家族との何気ない会話で「厭わない」という用語の使い方が想定できます。
「厭わない」と「構わない」の違い
「厭わない」がいろいろなシーンで使われることが確認できたところで、「厭わない」と「構わない」との違いについて紹介していきます。この「構わない」は言葉のリズムも意味も「厭わない」に似ている言葉で、その誤用に気を付ける必要があります。
ではどんな違いがあるのかを、以下「厭わない」「構わない」それぞれの意味をそれぞれ比較していきながらその違いを説明していきます。
「構わない」は「気にしない」という意味
「構わない」は「差し支えない。気にしない」を意味する語です。対して「厭わない」は「嫌におもわない」を意味しています。
上記を比べてみると「厭わない」は「嫌である」またはその言葉のニュアンスに含まれている「避ける」という意味の言葉であることに対して、「構わない」はその意味に限定していません。
もう少し掘り下げれば「構わない」は「時間がない」「場所がない」「周りがいない」など「嫌である」「避ける」という感情以外の状況にも当てはまります。
「厭わない」を使う際の注意点
「厭わない」を使う上で気をつけなければならない点はどこにあるのでしょうか?先述で「構わない」との違いを説明してきましたが、注意点はこの両者の意味の違いと関係していきます。
上記の点を踏まえて以下に「厭わない」を使う際の注意点をご紹介していきます。実用につながる大切な部分なので、実際に「厭わない」を使う際、参考になれば幸いです。
「嫌悪感以外」では使えない
「違い」で先述しましたが「構わない」では広い状況で使う事ができる言葉に対して、「厭わない」は、使う上で注意すべきポイントとして、表題の通り「嫌悪感以外」のシーンでは使う事ができないことが上げられます。
「厭わない」は「嫌であると思う、避けたい」という感情を否定する表現です。先述した「時間」の要素にたいして「時間を厭わない」と表現することは「誤用」になるのでご注意ください。
「時間」は「嫌になる」要素ではないからです。「厭う」要素は先述した「例文」のように「ネガティブ」な要素です。先述の「例文」以外で上げられる要素は「喧騒」などの音、「臭さ」などの臭い、「寒さ」「暑さ」などの天候も当てはまります。
「厭わない」の由来・歴史
「これを機に」の意味、類義語、他の語との違い、使い方がわかったところで、「これを機に」の由来はどこにあるのでしょうか?
「これを機に」は例文などでご紹介したように、ビジネスシーンを始め、多くのジャンルで使う事ができる汎用性がある語です。そんな使い勝手のよい語なので、日本では古くから使用されてきた可能性があります。
上記を踏まえて「これを機に」の語源と「これを機に」が日本で使われていた使用時期を辿っていき、「これを機に」の由来と歴史を深堀していきます。
由来
まずは「厭わない」の「厭」の漢字の語源を調べていきます。「厭」はタイトルでも紹介したように、訓読みで「(いと)う・(あ)きる・(いや)・(おさ)える」と読む事ができます。
「厂」は象形文字で、「削り取られた崖」という象形から「崖」を意味する偏です。音符「猒(読み方:エン)」は会意文字で、丸い意味を表す「日」に肉の意味を表す「月」、その肉を食べる「犬」いわば「肉を食べ猒(あ)きる様子」を表している旁です。
つまり「厭」は上記の部首の成り立ちから、「あきる」を語源とした言葉で、そこから、「いや」という言葉の意味が生まれました。
上記「厭」は送り仮名で「厭う(いとう)」と読む事ができますが、その「厭う(いとう)」を否定した形で「厭わない」になりました。「厭わ」は四段活用の未然形、「ない」は否定の助動詞です。
このように「厭わない」という言葉を分解することが可能で、上記の理由で現在の「嫌におもわない」という意味として知られるようになりました。
歴史
上記の点を遡る資料として「厭わない」は過去の文献でも確認することができます。「厭わない」の使用時期の由来を辿るその1つ目はロシア文学者・翻訳家・小説家の神西清が新聞「別冊芸術」に1949年(昭和24年)に発表した「死児変相」という作品です。下記の一説を紹介します。
「そんなすがすがしい気分のためには、その人は自分の下着の最後の一枚までぬいで、他人に投げ与へることも厭はないでせう」今から約70年前には「厭わない」が使われているのがわかります。
「厭わない」の使用時期の由来を辿るその2つ目は小説家の柳田国男が地学雑誌に1912年(大正元年)に発表した「地名の研究」という作品です。下記の一説を紹介します。
「要するにかような面倒を厭わなかった教育会の事業が、果して徒労でなかったという証拠はどこにあるのかということである」となります。今から約100年前には「厭わない」が使われているのが理解できます。
「厭わない」の英語表記
「厭わない」は日本語圏のみならず英語圏でも使う事ができる表現なのでしょうか?利便性がある言葉なので、英語表現もあれば覚えておいて損はありません。
この点「厭わない」は日本語だけでなく、英語でも表現する事ができます。英語では日本語のように言葉のリズムが異なるので様々な表現をすることができます。
「厭わない」は日本語だけでなく、英語でも表現する事ができます。英語では日本語のように言葉のリズムが異なるので様々な表現をすることができます。
例えば「without troubling oneself(苦労を厭わない様)」「I don't mind hard work at all.(重労働を少しも厭わない)」 という表現です。これらの表現は英語圏においてビジネスシーンなどの日常会話で広く使用されています。
「厭わない」に因んだあれこれ
「厭わない」は「嫌におもわない」というその意味合いで、「ポジティブ」をイメージする語です。そのためさまざまなシーンで使われています。
例えば「漫画」の中でのセリフ。大人気の漫画「one piece」の中でロビンが発する「咲く場所を厭わない私はあなたを接して逃さない」セリフで「厭わない」を見ることができます。
また、「朱鎔基 死も厭わない指導者(楊中美 作 河野徹 訳)」という書籍のタイトルで「厭わない」という言葉が使われています。
「厭わない」は「嫌におもわない」という意味
「厭わない」の意味、類語、使い方、「構わない」との違い、注意点、由来・歴史、漢字表記、英語表記を順を追って見てきました。
昔も今も「厭わない」姿勢は、日本、海外問わず評価される姿勢であり、今後も心証が良いことは変わることはありません。「厭わない」の使い方をぜひご参考いただき、今以上に充実した人間関係を構築していただければ幸いです。