「上申書」の意味とは?書き方や取り下げる方法もまとめてレクチャー!

「上申書」の意味とは?書き方や取り下げる方法もまとめてレクチャー!

行政機関や会社の上司などに対して、自分の意見を伝える時に提出する書類に「上申書」があります。裁判所や警察などへの申し立てに使われますが、上役への提案や意見表明などのビジネスシーンでも使われます。今回は、上申書の意味や提出先別の作成例などについてご紹介します。

記事の目次

  1. 1.「上申書」とは?
  2. 2.上申書の書き方
  3. 3.上申書の取り下げ方法とは?
  4. 4.上申書の提出例
  5. 5.上申書は自分の意見を相手に伝える為の書類

「上申書」とは?

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「上申書」とは、行政機関や会社の上司などに対して、自分の意見を伝える時に提出する書類の一つです。主に、裁判所や警察などの公的機関に対し、法的な手続きを取らずに単なる報告や申し立てをする際に使用されます。一般企業では、社内の経営層や上司に提案や意見を伝える際に使われます。

今回は「上申書」の意味やその書き方、取り下げ方法やその手続き、提出先による作成例について紹介します。

上層機関や上役に対する報告書

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一般的に使われている上申書には、「上層機関に対して提出する報告書」と「社内の上役などに対して提出する報告書」という二つの顔があります。それぞれ意味合いや用途に大きな違いはなく、どちらも提案や意見を伝える目的で使用されています。

ただし、上申書は法的な書類ではないため、提出したからといって、必ずしもその提案や意見が通るわけではありません。通常、相手に自分の意見や思いを伝える手段の一つとして、上申書が使われています。

「上申」の意味とは?

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「上申」とは、上層機関や上役など、上の者に対して意見を申し述べることを意味します。同僚や部下、友人などに意見を伝える時には使われず、上司や役職が上の人など、自分よりも立場が上の人に対して意見を述べる時に使われる言葉です。

「上申」は、「具申(ぐしん)」や「進言」などと言い換えることができます。そのため、「上申する」ことについて、「上層部に意見具申する」や「上司に進言する」などといった表現で使われることもあります。

上申書の書き方

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上申書には法的な効力がありません。そのため、上申する人の意見や思いを上層機関や上位の人に伝える際には、「その内容が実際に受け入れられるかどうか」を踏まえて上申書を作成することが重要になってきます。

意見や思いを正しく伝えるには、上申書の内容を簡潔にわかりやすく、その理由は具体的に示して作成することが求められます。ただし、提出先に応じた書き方をする必要があります。ここでは、社内の上司、人事部、裁判所、警察に提出する上申書の書き方を紹介します。

社内の上司

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社内の上司に意見を伝える場合、業務改善を進言する場合など、上申書はさまざまな状況で使われています。特に決まった形式がないことが多いため、内容を明確にわかりやすくまとめて、上申書の書き方を工夫すると良いでしょう。

ただし、上申書の提出先に気をつける必要があります。意見を通したいからといって、自分が提出すべき相手ではなく、いきなり上層部に提出すると、混乱を招くことがあるからです。組織図に従って、提出先については誰がふさわしいか見極めておきましょう。

人事部

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会社の人事部に対する申し立ての際に、上申書を用いることがあります。例えば、自分の部下を上役に推薦する場合、採用や社内の人事配置に関して意見を述べる場合などがあります。

社内の活性化のために良い人材を上層部に推薦したり、業務効率化のために人事配置の意見を述べるなど、会社を良くするために提出する上申書は、可能なものであれは上層部にも受け入れられることがあります。

人事に関する上申書のうち、定期的な使用が考えられるものは、対応が遅れないよう承認の順番を明確にしておく必要があります。採用や定期異動などで使用するものがあれば、人事に関する必要事項を記入するだけで使用可能な様式を作成し、決裁ルートを記載しておくと良いでしょう。

裁判所

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裁判所に提出する上申書について、その多くは、被害者や遺族へ謝罪を伝えるもの、損害賠償についての意見、採決や裁定の不服申し立て、裁判の和解勧告など、裁判所への要望がある場合に作成します。基本的には裁判所に提出しますが、民事訴訟の場合、相手方に送ることもあります。

裁判所に提出する上申書にも決まった形式がありませんが、上申する内容を明確にわかりやすく、書き方を工夫することが大切です。裁判の当事者であれば、判決に影響する可能性もあり、なおさら必要です。

警察

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警察署に提出する上申書については、伝えておきたい内容や、自分が望んでいる措置などを、警察に説明する際に作成します。例えば、交通事故や交通違反の状況を説明して免許取り消し処分の弁明をする場合や、犯罪被害者となったが被害届を出さない場合などがあります。

上申書の宛名は、提出先の警察署長になります。いつの、どのような事件、事故なのか、どのような内容を主張したいのか、何を望んでいるのか、これらを明確にわかりやすくまとめた上申書を作成するようにしましょう。

上申書の取り下げ方法とは?

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一度提出した上申書を取り下げたい場合、裁判所や警察などの公的機関に提出し、担当部署で受理された後だと、取り下げできないことがあります。自分の思いを述べるために提出したものでも、その内容が事件や事故の重要な証拠となる場合、簡単に取り下げできない可能性があります。

その場合は、然るべき方法をとって、上申書の取り下げ手続きを進めることになります。提出先やその状況によっては、時間がかかることもあり、新たに上申書に関する書類を提出する必要もあります。

提出先によって方法は異なる

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社内に提出した上申書の取り下げであれば、社内規定などに従って手続きを進めたり、取り下げの意思表明をすれば、取り下げできることが多いでしょう。

しかし、事件の被害者が、その被害状況を記載した上申書を警察に提出して受理された後、その上申書を取り下げようとしても、加害者が犯行を認めて、警察も事件の立証をしている場合、所定の手続きをとらないと取り下げできません。その場合は、警察、検察の承認が必要となります。

上申書取り下げ用の書類手続き

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上申書取り下げ用の書類手続きについては、上申する際に書類を提出しているため、取り下げの場合も書類を提出してその意思表明をすると良いでしょう。社内規定があれば、その規定に従って手続きを進めれば良いですが、規定がなければ、上申取下書を作成してその意思を伝えましょう。

公的機関では、書類の取り扱いに関する規定があるため、提出した上申書を取り下げる場合、いったん受理されているのであれば、その規定に従って、取り下げの手続きを進める必要があります。取り下げ用の様式が定められていることがあるため、提出先に確認しましょう。

さらに、公的機関では、上申書の取り下げを承認するために時間がかかる場合があるので、上申した内容に関する処分や権利が発生する際は、気をるける必要があります。

上申書の提出例

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ここで、警察署に提出する上申書の書き方の一例として、速度超過違反のケースを紹介します。速度超過違反をすると、内容によっては免許取り消し処分を受けることがありますが、主張したいことがあれば、上申書を書いて提出することができます。

表題を「上申書」とし、宛名は「◯◯警察署長殿」とします。続いて、上申内容、その下に上申理由を明確にわかりやすく書いていきます。

上申内容について、「令和◯年◯月◯日、◯◯市内の◯◯道路で起きた速度超過違反の件について申し上げます。制限速度◯kmの道路で速度超過違反をしてしまったことを猛省しております。下記事由から、寛大な処分をお願いしたく上申いたします。」などと書きます。

上申理由としては、「早朝の見通しの良い道路で、他に車両もなく、速度超過に気づかなかった」「子供が倒れて、病院へ連れていくために一刻を争っていた」などと箇条書きにするのも良いでしょう。

貴乃花親方の退職の際の上申書

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2018年9月、貴乃花親方は日本相撲協会を退職する際に、上申書を提出しました。当初、協会には引退届を提出しましたが、協会側が「退職に必要な退職届ではない」として受理しなかったため、この引退届を事実上の退職届として取り扱うよう要請するために提出したのです。

貴乃花親方から上申書の提出があったことから、後日、協会が臨時理事会を開催し、貴乃花親方の退職を審議することになりました。日本相撲協会と貴乃花親方との関係はさておき、結果として、貴乃花親方の退職は認められました。

当時、貴乃花親方は協会を退職する意向を示し、引退届を提出しましたが受理されなかったため、自身の意思を伝える手段として、上申書を使用したのです。これはある意味、人事に関する上申書の用い方の例といって良いでしょう。

上申書は自分の意見を相手に伝える為の書類

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今回、上層機関や上役などへ自分の意思を伝える手段のほか、社内人事に関する推薦、交通違反をした事情の申し立て、退職届の受理申し立てなど、さまざまな意味合いで上申書が用いられることを紹介しました。

通常の手続きだけでは自分の意見や思いが伝わらない場合、黙って見ているだけでは何も伝わりませんし、何も変わりません。直接伝えられない場合、上申書という書類の形にして提出すれば、伝わることもあるのです。

内容を明確にわかりやすく作成して、上申書を提出すれば、いろいろなチャンスを生むことがあるかもしれません。上申書についていろいろと工夫して、チャンスを掴んでください。

ふじいろ
ライター

ふじいろ

生活の知恵から雑学ネタまで、好奇心が旺盛なため、興味を持ったことはとことん調べ上げます。 ライティングにはまり、現在マーケティングライティングについて勉強中です。 ライターとしては駆け出しですが、ユーザーやフォロワー目線で、分かりやすく書くことを心掛けています。 何卒よろしくお願いいたします。

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