巨大なオンデンザメは謎に満ちた深海魚!大きさや生息地などを含めた生態を紹介

巨大なオンデンザメは謎に満ちた深海魚!大きさや生息地などを含めた生態を紹介

暗く深い海の底には、私たちが知らない生物がまだまだ沢山生息しています。そんな生物の一つがオンデンザメです。オンデンザメとはいったいどのような見た目で、どのように生きているのでしょうか?この記事ではそんな疑問にお答えしていきます。

記事の目次

  1. 1.巨大なオンデンザメの謎について徹底調査!
  2. 2.オンデンザメの名前
  3. 3.オンデンザメの特徴
  4. 4.オンデンザメの生態
  5. 5.オンデンザメの大きさはどれくらい?
  6. 6.オンデンザメの寿命
  7. 7.オンデンザメは食べられる魚?
  8. 8.オンデンザメは400年も生きる巨大魚

巨大なオンデンザメの謎について徹底調査!

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未だに多くは知られていない深海魚「オンデンザメ」は、いったいどんな生き物なのでしょうか。深海に生息している生物だということは知られていますが、その実態は謎に包まれています。その巨大で不気味な見た目に、少しとっつきにくいと思う方もいるでしょう。

ですが、そんな見た目に引けを取らず、オンデンザメは興味深い生物です。注目すべきは他の大型のサメにも負けない巨大な体と非常に長い寿命。謎多きオンデンザメは、謎に包まれたその長い生涯を深海で送っているのです。

この記事では、深海魚「オンデンザメ」の生態や寿命など、謎に包まれた実態について調べた結果をご紹介していきます。ちょっと不気味な深海生物「オンデンザメ」にきっと興味が湧くはずです。

オンデンザメの名前

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深海魚「オンデンザメ」は他の生物と同じように「学名」や「英名」がついています。この項目では、オンデンザメの呼び方やその由来を「学名」「外国名」「日本語名」の順番で詳しく解説していきます。謎に包まれた生態の深海魚「オンデンザメ」を、名前の面から紐解いていきましょう。

オンデンザメの学名

深海魚「オンデンザメ」の学名は「Somniosus pacificus」です。「Somniosus」はオンデンザメ属に属する魚を指す言葉であり、一つ上の「オンデンザメ科」は「Somniosidae」となります。

一方、「pacificus」は英単語ではありませんが、近い言葉では「pacific」があります。これは「太平洋」という意味の英単語です。これらの言葉の意味を、多少強引に訳すと「太平洋のオンデンザメ」を表す学名だと考えられるでしょう。

オンデンザメの外国名

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深海魚「オンデンザメ」の外国名(英名)は「Pacific sleeper shark」です。これを直訳すると「太平洋の眠るサメ」という意味になります。

これは、オンデンザメという深海魚が未だ解明されていない生態の謎が多く眠っているということ。さらに、オンデンザメが獲物を狙う際に海底でじっとしている様子に由来しているのではないかと考えられています。

オンデンザメの日本語名

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生物の外国名(英名)と日本語名(和名)が関連深い場合は多くあります。例えば、頭の形が特徴的な「ハンマーヘッドシャーク」の場合、英名は文字どおり「ハンマー頭」という意味。和名では「シュモクザメ」と言いますが、「シュモク」とは鐘を鳴らす仏具である「撞木」の事を言います。

撞木もいわゆるハンマーのような形をしていることから、国は違えど同じようなものに由来して名付けられたということがわかる名前です。では、「オンデンザメ」の場合はどうでしょう。

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深海魚「オンデンザメ」の日本語名は、今までもご紹介しているように「オンデンザメ」です。一方、漢字では「穏田鮫」と書くことがわかっています。この「穏田」は「農民が年貢の徴収を免れるために密かに耕作した水田」のことです。

また、徳島県では「彼岸花」のことを別名「オンデン」と呼ぶこともあるそうです。これらの言葉と「オンデンザメ(穏田鮫)」の直接的な関係性は定かではありません。

ですが、「穏田」が「密かに」耕作されていたこと、「オンデン(彼岸花)」には「有毒性」があるということが命名の一因になっているかもしれません。

オンデンザメの特徴

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「太平洋の眠るサメ」という意味があった深海魚「オンデンザメ」、日本語名(和名)の「穏田鮫」にも謎が多く未知の生物です。このような名前がついている「オンデンザメ」にはいったいどのような特徴があるのでしょうか。

謎多き深海生物「オンデンザメ」の形態に着目して、その特徴をご紹介していきます。他の生物はもちろん、同じサメという生き物の中でもどのような違いがあるのか、そのような点を詳しく見ていきましょう。

オンデンザメの形態

深海に棲むオンデンザメは普通のサメと比べて違いはあるのでしょうか?体型は他のサメと似て流線型のシルエットをしていますが、太くてずっしりとした印象を持ちます。体の色も他のサメと近く、黒色がかった灰色です。

口が大きく、下あごの歯が左右対称のノコギリ状になっているのも特徴です。胸ビレや背びれが体全体の大きさと比較するとやや小さくなっています。皮膚表面は、サメ特有のざらつきがあります。

その他の深海生物の特徴とは?

オンデンザメには上記のような特徴の他に、身体の質感に特徴があります。他のサメにはないような「ぷよぷよ、ぶよぶよ」とした柔らかさがあるのです。これはオンデンザメに限ったことではなく、深海に生息する生物・魚はぷよぷよと柔らかい身体であることが多いです。

では、これはなぜなのか。理油は「水圧に耐えるため」だと言われています。水深が深くなればなるほど、かかる圧力は大きくなり、普通の魚であればその圧に負けてしまうでしょう。深海魚はそういったことを回避するため、浮き袋がない場合があるのです。

浮き袋を無くしたり、浮き袋に空気ではなく比重の軽い油を満たしたりすることで、水圧にも耐えられる身体を作っています。油分を多く含む身体が、ぷよぷよと柔らかな身体である理由です。

オンデンザメの生態

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オンデンザメは水深2000メートルまでに生息している深海生物であり、寒帯の海域に生息する特徴があります。海面近くに現れることは少なく、捕獲される数もかなり少ないため、その生態はまだまだ解明には至っていません。

また、捕獲された場合があっても深海で生息する生物であるため地上の水族館などでは長く生きることができず、北海道の水族館・研究所で3週間ほど飼育されたのが長い記録となっています。

そんな謎の生態を持つ「オンデンザメ」の、現在判明している生態をご紹介していきます。何を食べ、どのように子孫を増やしているのか、知っていきましょう。

オンデンザメの食べ物

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深海に生息しているオンデンザメは、その大きな身体からも想像できるように「肉食性」のサメです。口に入るものであれば貪欲になんでも食べ、魚類・イカ・タコ、甲殻類、海産哺乳類(トド・オットセイ、クジラ・イルカなど)、生物の死骸も食す生態を持っています。

サメという種族であること、その身体の大きさから深海生物の生態系の頂点に立っていると考えられ、人間以外の天敵はいないのではないかと言われているようです。

ですが、一方で同じく深海に住んでいる「ダルマザメ」には攻撃されるときがあり、体表に傷つけられた跡を発見する場合もあります。

オンデンザメの生殖

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「オンデンザメ」の生態の中でも特に謎に包まれているのが「生殖方法」です。未だ妊娠したメスの個体が発見されていないため、どのような方法で繁殖するのか正式には明らかになっていません。

ですが、他のサメに多く見られるような「胎生」で繁殖をするのではないかと考えられています。胎生とは哺乳類に多い母体の体内で子が成長したのちに生まれる繁殖形態のことですが、サメなど魚類や爬虫類に見られるのは「卵胎生」といいます。

「卵胎生」とは、体内に卵が生じるけれど外界に産み落とさず、体内で孵化させてから産む繁殖形態のことです。胎生との違いは「母体とつながりがあるかどうか」で、胎生が胎盤で母体とつながっているのに対し、卵胎生は卵内で栄養などの供給が完結しています。

オンデンザメの大きさはどれくらい?

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ここまで、「オンデンザメ」の学名・英名・和名とその由来、身体の特徴、食べ物や生殖方法などの生態を紹介してきました。オンデンザメは深海に棲み、サメらしい身体つきでありつつも深海生物特有の柔らかさも持ち合わせています。

また、その巨大な身体から想像できるように、非常に大食らいのサメであるということもご紹介してきました。では、その「巨大な身体」とは具体的にいったいどのくらいの大きさなのか?謎が多く、正確な生態は明らかになっていませんが、現在までに確認された情報をお伝えしていきます。

捕獲して確認された大きさは4m

現在までに正確に確認されている記録では、オス440センチメートル、メス430センチメートルが捕獲されたオンデンザメの最大の記録となっています。ですが、これまでに深海において撮影された映像では推定7メートル以上の巨大な個体も確認されています。

そのため、オンデンザメの最大全長は記録以上のものが存在するという可能性もゼロではないということです。オンデンザメの近種「ニシオンデンザメ」については、記録として残っているもので最大全長640センチメートルの巨大個体が確認されています。

このことから、オンデンザメも同様に巨大な個体が存在する可能性が十分にあるのです。これほどの巨大な身体を維持するためには、食べ物の少ない深海で大食らいとなるのも頷くことができます。

成熟体長でも3.7mの大きさ

捕獲された個体や、映像に残っていた個体が特別巨大な個体だったのではないか?という意見を持つ方もいらっしゃるでしょう。ですが、オンデンザメの成熟個体はオス397センチメートル、メス370センチメートルほどと言われています。

これは、オンデンザメのどの個体においても4メートルほどの大きさになるということを意味しています。全長7メートルとなると、後述しますが、非常に長く生きていたり体質的に大きい個体かもしれません。

しかし、オンデンザメは標準的に4メートルほどの大きさになるという、巨大なサメであることは事実なのです。今後の生態研究に期待が高まります。

オンデンザメの寿命

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サメの中でも巨大な身体を持ち、それ故に大食らいという生態を持っている「オンデンザメ」はそれだけでも十分に特徴的な深海魚です。ですが、オンデンザメにはもう一つ特筆すべき点があります。

それは、オンデンザメの「寿命」です。オンデンザメが、何故深海に棲みながらも巨大な身体になっていくのか。それはオンデンザメの「寿命」にも深く関わっていると言っても過言ではありません。

謎に包まれた生態を持つ「オンデンザメ」、明らかになっていることの一つ「寿命」についてここからはご紹介していきます。

400歳±100歳の長寿

オンデンザメ、その寿命は既に存在が知られている脊椎動物の中では最も寿命が長いと言われており、その寿命は「400歳±100歳」という分析がされています。

正確には、近種である「ニシオンデンザメ」において、放射線年代推定法で推定された最も高齢の個体が「392歳±120歳」だったという結果が出ているのです。

これだけ寿命が長いため、その身体が成熟するまでには非常に長い時間がかかるようです。オンデンザメが性成熟するまでには、150年ほどかかると推定されています。

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一方、ほかの種類のサメはどのくらい寿命があるのでしょうか。サメやエイなどの軟骨魚綱は、骨格全体が軟骨で形成されているため他の魚より寿命や年齢を測定することが困難になっています。

そんな中、最近の研究では20〜30年とされていた寿命が30〜60年ほどであることがわかりました。このように、一般的なサメの30〜60年という寿命と比べても、オンデンザメは非常に長い寿命を持っていることがわかります。

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寿命が長いという点で、オンデンザメについて危惧されている点があります。それは「絶滅する心配がある」ということです。オンデンザメは日本で捕獲されることは非常に少ない魚ですが、アイスランドなど北極地域では年に数万頭捕獲されることがあります。

ですが、寿命が非常に長く、性成熟するまでにも150年かかると言われているため、繁殖して個体が増えていくのにもとても長い期間を必要とします。

広く漁獲される魚については漁獲量が定められており、極端に数が減ってしまわないよう、また増えすぎてしまわないように調整されているのですが、オンデンザメなど漁獲量が少ない魚については明確な基準が定められていません。

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そのため、オンデンザメがしっかりと繁殖する前に多くが捕らえられてしまい、数が極端に減っているのではないかと考えられているのです。人間の物差し、価値観で捕らえて研究するのではなく、種を尊重して存続させることを考えるのも人間の役目だと言えるでしょう。

オンデンザメは食べられる魚?

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深海魚といえば、見た目とは裏腹にとても美味しいという魚が多いことでも知られています。有名なものは「アンコウ」「ドンコ」「メヒカリ」「キンキ」「ノドグロ」など。さらには冬のお鍋に欠かせない「マダラ」や、煮付けが美味しい「キンメダイ」なども浅めの深海に棲んでいる魚です。

では、巨大な身体と非常に長い寿命が特徴的な「オンデンザメ」、捕獲される量は非常に少ないですが、その身体から取れる身からはどんな味がするのでしょうか。美味しく食べることができれば、珍味的な立ち位置で人気が出ること間違いなしです。

あまり生態を知られていない謎の深海魚「オンデンザメ」は果たして食べることができるのか?調査の結果をご紹介します。

アンモニア臭が強く美味しいと感じない

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オンデンザメに限ったことではありませんが、サメは体液の浸透圧を調節するために「尿素」を用いており、それを理由として「肉」の部分に大量の「尿素」を含んでいます。この「尿素」がサメの死後、急速に分解されて「アンモニア」となるのです。

「アンモニア」はいわゆる「おしっこの臭い」の元。この「おしっこのような臭い」が強く感じられてしまうため、サメの肉はあまり美味しくないと言われる理由になっています。

オンデンザメはその生態から謎も多く、漁獲量も極めて少ないので、日本において食用として用いられることはほとんどないと言えるでしょう。

ですが、例外もあります。サメの死後発生するアンモニアはアルカリ性のため、酸性の溶液に浸すことで「中和」され、アンモニア臭を緩和することができるという実験が行われており、このように適切な処理を行えばサメ肉でも美味しく食べることができるのです。

また、新鮮なサメの肉であれば尿素の分解が進んでいないため、アンモニア臭は感じられず美味しく食べることができます。生のサメ肉がスーパーに並んでいる場合や、急速冷凍処理されたサメ肉が通販などで販売されていることもあり、食用にならないとは言い切れません。

宮城県気仙沼市には古くからサメ文化が根付いており、フカヒレをはじめとしたサメの加工品を多く生産しています。特に多く水揚げされるのはモウカザメで、地元では学校給食にも採用されています。

その他、食用として取られているサメには「アブラツノザメ」「ホシザメ」「ヨシキリザメ」などがあります。新鮮なサメ肉は臭みが感じられず、高タンパク低カロリー、脂質も少なく栄養価が高いことが特徴です。

主に多く含まれる栄養素としては「鉄分」「DHA」「ビタミンB6・B12」「コラーゲン」があげられ、これらの栄養素と「たんぱく質」は同じグラムの牛・豚・鶏と比較しても多く含まれています。

秋田・青森・宮城などの東北で主に水揚げされるサメですが、一方広島県の備北地域と呼ばれる地域では「ワニ料理」という名前の郷土料理として親しまれています。案外、日本では古くからサメ肉が親しまれていると言えるでしょう。

フカヒレだけを食用に用いるというイメージが多いサメですが、そんなことはなく、実は「捨てるところがない」と言われるほどに、その身体の多くの部分が様々な方法で利用されています。

例えば、頭・カマ・皮からは「コラーゲン」、骨からは関節痛・神経痛に効果のある成分として知られている「コンドロイチン」、肝臓からは後述する「肝油」を抽出することができます。ヒレや肉以外の部分にもこれだけ多くの部位が活用されているのです。

また、サメの肉は「ムニエル」「フライ」「煮付け」など多様な調理法に適しています。淡白な身は加熱をしても柔らかく、ふわふわとした食感が特徴です。新鮮な状態であれば刺身で食べることもでき、その食感は大トロのようだと言われるほどとろけるような味わいだそうです。

肝油の原料が取れる

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肝油とは、サメの他にもタラ・エイなどの肝臓にも含まれている液体、及びそこから抽出した脂肪分のことを言います。この肝油にはビタミンAやビタミンDが非常に豊富に含まれており、サプリメントとして飲まれている成分です。

ビタミンAは「目のビタミン」とも言われ、不足すると夜盲症やドライアイになってしまいます。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する効果があるため、骨を強くしたり骨粗鬆症を予防するのに効果的です。

漁獲量が日本では多くないため市場のシェアの多くを占めているとは言えませんが、オンデンザメの肝臓も、この肝油に利用されていると言えるでしょう。

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また、寒い海域を好むオンデンザメは主に深海で過ごすことが知られていますが、北極近くの地域では海表に現れることも多く、アイスランドなどの地域では年間3万頭ほどが捕獲されています。

捕獲されたオンデンザメは肝油を抽出するのに使われるほか、その肉は伝統的な保存発酵食品「ハカール」を作るのにも用いられています。

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「ハカール」はサメの肉を塩漬けし、発酵・乾燥させた食べ物で、かなり強いアンモニア臭を放つことが特徴です。現地の人にとっては冬の時期に食べるご馳走となっているようですが、それ以外の人にとっては食べ物と感じることも困難な味だと言われています。

オンデンザメは400年も生きる巨大魚

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いかがでしたでしょうか?この記事では「オンデンザメ」について、名前・特徴、生態・大きさ、寿命についてご紹介してきました。また、食用できるのか?という点について詳しく解説してきました。

未だに謎が多く、その全ては解明されていないオンデンザメですが、判明している部分を知るだけでも実に興味をそそられる生き物だということをわかっていただけたのではないでしょうか。

私たち人間と比べると、悠久とも思えるほどの寿命を持ち、その長くを暗く深い海の底で過ごします。同じ地球に暮らす生き物の仲間として、これからオンデンザメのことがさらに解明されていくことに期待しましょう。

満畑ペチカ
ライター

満畑ペチカ

フリーWebライター|調理師 美味しいものとお家で過ごす時間が大好き。趣味は料理とお菓子作り、写真。「興味があることはとりあえずやってみる」がモットーの24歳です。お仕事は誠実に、丁寧に、素直に。わかりやすく、ためになる記事をお届けします。

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