指示を仰ぐの意味とは?
特にビジネスの中で頻繁に聞かれる言葉に「指示を仰ぐ」というものがあります。指示を仰ぐの意味は、自分よりも目上の人物からの命令を聞くことですが、この言葉についての詳しい内容についてどこまでご存知でしょうか?
今回は、指示を仰ぐというキーワードの特集です。指示を仰ぐの敬語としての使い方や例文、類語や対義語、英語表記なども併せてご紹介していきます。
意味は目上からの指示を求める状態
指示を仰ぐの意味は「目上の人からの指示を求める」ような状態を指します。「指示」という言葉には「ものごとについて指し示す」意味があり、「仰ぐ」には「目上の人に援助を求める」意味があります。
そのため指示を仰ぐは敬語の一種として、使う相手が限られていることが特徴です。同僚や部下などを対象には使用せず、あくまでも目上の人物との関係性で使われる言葉です。
指示を仰ぐの対義語・類義語
上司などの目上の人物から指示や指令を待っているような状態である、指示を仰ぐという言葉には、やはりそれに近いような類語がいくつも存在します。
また指示を仰ぐは立場上やポジションによって影響される言葉です。肩書きや立場から配慮して対義語になる言葉も存在します。ここでは指示を仰ぐの類語や対義語をご紹介します。
類語①判断を仰ぐ
「判断を仰ぐ」という言葉は、指示を仰ぐの類語としては最も近い使い方の言葉です。判断とは、決済や決断の意味があり、ビジネスでは自分よりも目上の上長などが取り決める言動です。
判断をしたから指示をするという流れになるわけなので、判断を仰ぐは指示を仰ぐとほぼ同じだと考えられます。
類語②指導を仰ぐ
「指導を仰ぐ」も、指示を仰ぐに近い使い方をする言葉です。ただし少し違いがあります。指示という言葉はものごとを直接指し示すことなのに対して、指導は「ある方向へ導く」という意味があります。
ビジネスの現場では具体的な判断が必要になることが多いので、「指導を仰ぐ」は、もう少し段階を追ったりタイムラグがあると言ってもいいでしょう。精神論に近い感覚での表現です。
類語③意見を仰ぐ
「意見を仰ぐ」という言葉も、指示を仰ぐの類語として近い性質を帯びています。目上の人に意見を求める意味で使用します。
意見という言葉は「その人物の考え方」が主体となるので、客観的な「指示」という言葉のほうが、ビジネスでは最適な使い方です。
対義語①指示する
一見「指示する」が指示を仰ぐの対義語になることに疑問を浮かべるかもしれません。しかし指示するとなると明らかに対義語に分類されます。
指示するとは、ビジネスシーンにて部下や同僚などに対し何かを指し示して命令する意味ですから、例えば、新入社員が目上の上司に対して使う言葉ではないわけです。
対義語②指示を促す
「指示を促す」という言葉も指示を仰ぐからみると対義語の扱いになります。これもちょっと迷いやすいのですが、「促す」という言葉が用いられることで、指示するように急がせる「催促」の意味が含まれてきます。
しかも促すには敬語の意味合いを含まない特徴があることで、自分よりも目上の人物に対して使うと非常識に思われてしまいます。
指示を仰ぐの使い方・例文
指示を仰ぐという表現を使う状況というのは、何かに切羽詰まっている緊急な場合か、もしくは季節のあいさつとしての定型句として、はがきやメールなどで目上の人物に文面を送る際に用いられます。ここでは指示を仰ぐを使った例文、それに近似した例文などをご紹介します。
例文①
指示を仰ぐの最も一般的な使い方の例文は、上司からの正当な判断と具体的な指令を受けて、適切な処置をしたいと望んだときに、「ご指示を仰ぎたく、お願い申し上げます」といった表現をすることです。
口頭で伝えることもあるでしょうし、最近ではメールでの伝令にて、定型句になってる場合が多く、このような例文表現が頻繁に取り交わされています。
例文②
ご指示を仰ぐと直接そのままいう形式ではありませんが、よく「私だけでは判断できかねるので、ご教示いただけると幸いです」といった表現をする場合もあります。
これも伝えたい内容や性質はほぼ一緒だと考えてよいでしょう。目上の人の中でも、さらにもっと上の立場の人物に、何かをお願いして指示をしてもらうような状況の際に多く使われます。
例文③
第3者が客観的に使う場合も想定できます。指示を仰ぐは、必ずしも当事者だけが使う言葉に限っていないという例文です。
例えば、何かのトラブルがあった際に、当事者がかなり混乱している状況なら、「この件については、早急に上司からの指示を仰ぐべきだ」といったような促し方ができます。
例文④
もし新入社員などまだ慣れていない人物が、仕事を通じて顧客と交渉しあう中で不明点が浮上したら、勝手な判断ができないことも考えられます。
そこで一端は顧客の要望を受けてから、改めて回答を出す際、「今回はしっかりと上長からの指示を仰いできました」といった表現をすることがあります。
指示を仰ぐと教えていただくの違い
指示を仰ぐの意味が、自分よりも目上の人物からの意見や命令を受けて動くことであれば、それによく似ている「教えてもらう」の敬語である「教えていただく」を使ってもよいのではないかという疑問も浮かぶはずです。では、教えていただくと指示を仰ぐではどのような違いがあるのでしょうか?
教えていただくは知識を得るという意味
指示を仰ぐという場合は、状況が混乱したり不足しているところで、上司から適切な判断をして改めて仕切り直してもらう時に用いることが多い表現です。また「教えていただく」も、分からないところや見落としている点を聞き出す意味では内容も似ているはずです。
しかし微妙に違いがあります。教えていただくは、もっと初歩的な部分や幅広く知識を得たいという受け手側の積極的な部分が伺える敬語として用いるからです。
指示を仰ぐを使う際の注意点
困ったことや問題点を、自分より目上の人物から判断してもらうのが指示を仰ぐという言葉の意味です。指示を仰ぐをビジネス上で使う際は、扱い方を心得ておく必要性があります。では、指示を仰ぐという言葉を使う際には、どのような注意点に気を使えばよいのでしょうか?
具体性が希薄では使えない
指示を仰ぐ必要性が生じるということは、当人がそれなりに手を尽くしてみたが、それ以上どんなことをしたらよいのか考えが浮かばない、アイデアが尽きているようなときに、経験豊富な上司に聞いてアドバイスしてもらうというのが筋です。
なので、漠然と何も分からないという状態では、上司のほうでも指示ができずに悩んでしまいます。やはり自分で仮説を考えて伝えることが重要です。それまでの経緯も報告し、その上で判断や具体的指示をもらうという流れです。
指示を仰ぐの由来・歴史
指示を仰ぐという言葉は、「指示」と「仰ぐ」の二つの言葉で形成されています。指示を仰ぐという表現は、いつごろからどのような経過で成立した言葉なのでしょうか?ここでは、指示を仰ぐの由来や歴史について触れていきましょう。
由来
指示を仰ぐの「仰ぐ」を見ると、その漢字の成り立ちから敬語に近いものが伺えます。これは、人が顔を上に向けた状態、高い所を見上げる動作のことを表現したとされています。
よく「天を仰ぐ」という使い方があり、天上にいる神仏に訴える際に空を見上げる動きを自然とします。その動作が自然と仰ぐという言葉になっていきました。
歴史
指示という言葉については理解できると思いますが、ポイントとなるのは「仰ぐ」という言葉です。仰ぐとはどんな意味があるのか気になりませんか?「仰ぐ」とは古語表現の「あふぐ」が徐々に変形して成り立った言葉です。
仰ぐの意味は、「仰ぎ見る 、尊敬する 、請い求める」といった内容です。相手に対してリスペクトをしていることを言い表しています。尊敬した上で請う気持ちがある状態です。
指示を仰ぐの英語表記
指示を仰ぐの最適な英語表現は、「ask for instructions」というフレーズです。「ask」には「求める、尋ねる」の意味があり、「instructions」には「命令、指示」の意味があります。
もし「ask her for instruction about the story」なら、「彼女にその話についての指示を仰ぐ」という訳です。また「ask for」は「要求や依頼する」という意味ですが、敬語という概念が薄い英語なので、上司や目上の人物に対しても使うことができます。
指示を仰ぐの漢字
指示を仰ぐの漢字表記は、「仰ぐ」という言葉にキーポイントがあります。先述もしていますが、空に向かって顔を向けている状態の象形文字がこの漢字になりました。
自分よりもはるか上の存在に向かって、何かの教えや援助を求める「請う(こう)」ことを意味しています。自分が求める対象を与えてもらえるよう望み、叶うように祈っていることを表しています。
指示を仰ぐは目上から指示を受けるという意味
指示を仰ぐは、目上の人を対象にして指示を求めつつ敬語的な扱いをします。したがって同僚や部下に対してはこの言葉を活用することはありません。
それにビジネスの現場にて、実際に指示を仰ぐといった状況になる場合というのは、いつどのようなというタイミングと具体性も問われてきます。何となく漠然と上司に聞くのではなく、周囲のことも考慮してタイミングを見計らっておくことも大切です。