「拝見させていただく」の意味とは?
日本語には、回りくどくって、二重敬語と思われるような敬語が2つ入ったフレーズがあります。そのひとつには、拝見させていただくといった使い方をするフレーズがあります。
拝見させていただくといった使い方をするフレーズは、見るの敬語にあたる「拝見」と「させてもらう」の敬語にあたる「させていただく」を合わした使い方をするフレーズです。
このフレーズには、2つの敬語を含まれているので二重敬語ではないでしょうか。そんな、拝見させていただくといった使い方をするフレーズにはどんな意味があるのでしょうか。
「拝見させていただく」とは
また、拝見させていただくといったフレーズはどのような使い方をするのが正しいのでしょうか。さらに、拝見させていただくと同じ意味を持っている類語や拝見させていただくと反対の意味になる対義語にはどんな言葉やフレーズがあるのでしょうか。
拝見させていただくの意味、拝見させていただくの類語、拝見させていただくの対義語についてみていきます。加えて、拝見させていただくの英語の表現についても紹介します。
拝見させていただくの「拝見」とは、自分が「見る」の言葉をへりくだって言う時に使う言葉です。自分をへりくだっての使い方をする言葉つまり敬語になります。
2つの敬語
拝見させていただくの「させていただく」は自分が「させてもらう」ことをへりくだって言う時に使う言葉です。つまりこの言葉も敬語ということになります。
このように、拝見させていただくは、2つの敬語の使い方していることになります。つまり二重敬語を含んだフレーズということです。
「拝見させていただく」の対義語・類義語
二重敬語を含んだ拝見させていただくと同じ意味を持っている類語には、どんなフレーズや言葉があるのでしょうか。二重敬語を含んだ拝見させていただくと同じ意味を持っている類語についてみていきましょう。
二重敬語を含んだ拝見させていただくの類語には、「見る」の敬語の「拝観」があります。また、同じ「見る」の敬語の使い方をする「拝覧」があります。
また、二重敬語を含んだ拝見させていただくの類語には、自分が読む、または自分が読んだことを相手につつしんで読ませていただきますといった使い方をする敬語の「拝読」があります。
また、二重敬語を含んだ拝見させていただくの類語には、国家的に身分が高い人に合う意味の使い方をする「拝謁」(はい えつ)があります。
拝観
二重敬語を含んだ拝見させていただくと同じ意味を持っている類語の「拝観」は、自分が名高い神社や五重塔などの仏閣をつつしんで見る時に「拝観させていただきます」といった使い方をする言葉です。
二重敬語を含んだ拝見させていただくと同じ見ることをつつしんでいる使い方なので拝見させていただくの類語と言えます。
「拝観させていただきます」を英語で表現するとどんな英語の単語の使い方をするのかみていきます。二重敬語を含んだ拝見させていただくと同じ意味を持っている類語「拝観」は、visitやseeの英語の単語の使い方をします。
そして「その仏閣を拝観させていただきます」の例文を英語で表現すとI see the Buddhist templeの例文になります。
拝覧
二重敬語を含んだ拝見させていただくと同じ意味を持っている類語の「拝覧」は、自分が目を通す時や眺める時の敬語とした使い方をする言葉です。拝覧も「拝覧させていただく」といった使い方をします。
つまり、二重敬語が含まれています。「拝覧させていただく」は、「拝見させていただく」よりもつつしんで見るの意味が強い言葉ですが、拝見させていただくと同じ類語と言えます。
「拝覧させていただく」を英語で表現するとどんな英語の単語の使い方をするのかみていきます。二重敬語を含んだ拝見させていただくと同じ意味を持っている類語「拝覧」は、lookやseeの英語の単語の使い方をします。
「その伝表を拝覧させていただきます」の例文を英語で表現すとI look at the biography listの例文になります。
拝読
二重敬語を含んだ拝見させていただくと同じ意味を持っている類語の「拝読」は、自分がメールを読んだり、見たりしたことを相手に敬意を持って伝える時の使い方をする言葉です。
つまり、メールを読みましたまたは、メールを見ましたと相手に敬語で回答していくことを意味しています。拝読の場合は拝見させていただくといったフレーズの使い方はしません。
拝読は、ほとんどの場合がメールの冒頭で拝読と打ち込む使い方をします。拝読は、見ることを相手に敬語で伝える拝見させていただくと同じ意味になり類語と言えます。拝読を英語の表現するとreadやreadingの単語の使い方をします。
拝謁
二重敬語を含んだ拝見させていただくと同じ意味を持っている類語の「拝謁」は、メールを始め、ほとんど使うことが少ない言葉です。
拝謁は、「お目見え」「お目通り」といった意味がある言葉です。拝謁は、国を代表するような位の高い人に会うことを伝える使い方をします。拝見させていただくの見るからが少し意味合いが違います。しかし、姿を見るという解釈をすれば拝見させていただくの類語と言えます。
「天皇陛下に拝謁しました」の例文を英語の表現するとI was honored with an interview with His Majesty the Emperorの例文になります。
こんな類語も
拝見させていただくは、見るの敬語です。しかし、拝見させていただくの「拝見」には、見る、見かけるの意味以外にも会うといった意味も含まれています。また拝見させていただくの「拝見」には、観覧するの意味も含まれています。
そのため、合うことの敬語「お目にかかる」、観覧するの敬語「ご覧になる」、見かけるの敬語の「お見かけする」などが拝見させていただくの類語と解釈することができます。
お目にかかる
拝見させていただくの類語には「お目にかかる」があります。拝見させていただくの類語「お目にかかる」は、自分が会うことをへりくだって伝えている言葉です。つまり、相手に敬意を表す敬語として使われています。
「お目にかかる」はあくまでも、自分が会うことを他の人にへりくだって伝えている言葉です。自分以外に使う人がいます。
しかし、この使い方は間違っています。「お目にかかる」を自分以外に使わないように注意をしましょう。たとえば、こんな使い方が間違いです。
間違い
拝見させていただくの類語の「お目にかかる」を使った「この間はあなたは担当者にお目にかかりましたか」の例文は間違いです。お目にかかるは自分の行動に使う言葉です。
この例文のように他人に使う言葉ではありません。正しくは、「私はあなたにお目にかかることを楽しみに待っています」といったような例文です。
正しくは
たとえば、こんな使い方が間違いです。「この間はあなたは担当者にお目にかかりましたか」の例文です。お目にかかるは自分の行動に使う言葉です。
この例文のように他人に使う言葉ではありません。正しくは、「私はあなたにお目にかかることを楽しみに待っています」といったような例文です。
また、「私はあなたにお目にかかれたことを倖せに思います」の例文です。この例文を英語の表現するとI think of having been able to see you happilyになります。
ご覧になる
拝見させていただくの類語には「ご覧になる」があります。拝見させていただくの類語「ご覧になる」は、見ますかといったことを会社の先輩や上司に聞く時によく使う敬語です。
ご覧になるの言葉をわかりやすい表現すると、見られますか、目にされますか、目を通されますかに言い換えることができます。また「ご覧になる」と「ご覧になられる」では違いがあります。
そのため、使い方に注意が必要になります。「ご覧になるは」普通の敬語ですが、「ご覧になられる」は見るの敬語の「ご覧」と、なるの敬語の「なられる」の二重敬語になります。
英語の表現
ご覧になるを英語の表現するとsee、lookの単語を使います。たとえば、「送った資料はご覧になりましたか」の例文を英語の表現するとDid you see the document which you sentになります。
ちなみに、「送った資料はご覧になられましたか」といった二重敬語の例文にするとWas the document which I sent seenといった例文になります。なりましたかと、なられましたかの違いだけでこのように例文に違いがあります。
お見かけする
拝見させていただくの類語には「お見かけする」があります。拝見させていただくの類語「お見かけする」は、どこかで人を見た時によく使う見かけるの敬語です。お見かけするはメールの会話とした使い方もします。
たとえば、メールの会話で「この間東京のビジネスショーでお見かけしました」といったメールの例文の使い方をします。「この間東京のビジネスショーでお見かけしました」の例文を英語の表現するとI saw you at a business show of Tokyo the other dayといった例文になります。
「拝見させていただく」の対義語は
拝見させていただくの類語についてみてきました。ここでは、拝見させていただくと反対の意味になる対義語についてみていきましょう。拝見させていただくの「拝見」は見ることの敬語です。拝見させていただくの「させていただく」はさせてもらうの敬語です。
見ると反対の意味になる言葉としては、見られるがあります。しかし、拝見させていただくと反対の意味になる対義語とは言えません。つまり、拝見させていただくの対義語はないと言えます。
「拝見させていただく」の使い方・例文
拝見させていただくと同じ意味を持っている類語と拝見させていただくの対義語についてみてきました。ここでは、拝見させていただくの使い方・例文についてみていきましょう。
拝見させていただくの言葉は、使い方次第では変な使い方になります。そのため、拝見させていただくの言葉の正しい使い方をしっかりと理解する必要があります。
例文①
拝見させていただくは、拝見させていただくと言い切る使い方と拝見させていただくけどいいですかといった相手に確認や許可をもらう使い方があります。
たとえば、相手の車や家などの所有物を見せてもらいたい時には、「拝見させていただいてもよろしいでしょうか」の例文のように相手に見たいことを確認した使い方があります。
この「拝見させていただいてもよろしいでしょうか」の例文は、言葉としても使います。また、メールなどの文章としても使います。
例文②
拝見させていただくは、「拝見させていただきます」の例文のような使い方をします。つまり、相手に見ますあるいは、見ると報告や伝えるための使い方をします。
この例文のようなこれから見るを伝える使い方と「拝見させていただきました」の例文のように見た後にお礼を兼ねた使い方があります。「拝見させていただきました」の例文の後には、何かしらの感想や気持ちを伝える言葉やフレーズが続くのが一般的です。
たとえば、「拝見させていただきました」の後に「とても素敵ですね」「高かったでしょう」例文のような言葉やフレーズが続きます。
例文③
拝見させていただくは、「拝見させていただきました」といった例文のようにメールでもよく使われます。たとえば、相手から勧められたサイトなどを見た時にメールで「拝見させていただきました」と使います。
メールで「拝見させていただきました」と伝えた後には、サイトを見た感想や意見をメール上に伝えるのが一般的なメールの例文です。
たとえば、メールで「拝見させていただきました」と伝えた後に「思っていたよりサイトが使いやすいですね」の例文のような言葉やフレーズをメールで伝えます。
例文④
拝見させていただくは、ビジネスシーンでよく使います。会社の取引先とのメールのやり取りで使います。たとえば、「先日いただきました、見積書を拝見させていただきました」といった例文にような使い方をします。
また、会社の先輩や上司とのメールのやり取りでも使います。会社の先輩や上司が部下にメールで指示したこと、指導した内容などが担当者に伝わっているかをメールで確認することがあります。
その確認メールの返信として使います。たとえば、この間メールで指示した件だけど、メールを読んでもらえたかなといった内容のメールの返信として拝見させていただきましたといった使い方をします。
「拝見させていただく」と「拝見させていただきました」の違い
拝見には、拝見させていただく、拝見させていただきました、拝見してよろしいでしょうかといった使い方があります。拝見させていただく、拝見させていただきました、拝見してよろしいでしょうかのフレーズにはどのような意味の違いがあるのでしょうか。
拝見させていただくと拝見させていただきましたは、どちらも2つの敬語がある二重敬語です。拝見させていただくと拝見させていただきましたの違いについてみていきましょう。
「拝見させていただきました」は見たことという意味
2つの敬語がある二重敬語の「拝見させていただく」と「拝見させていただきました」の違いは、現在と過去といった違いがあります。「拝見させていただく」とはこれから見るといった現在進行形になります。
一方で「拝見させていただきました」は見た、あるいは見ましたといった過去の報告になります。つまり、「拝見させていただく」は見ます、見ると言い切っている言葉になります。「拝見させていただきました」は見た、見ましたと相手に伝えている言葉です。
「拝見させていただく」と「拝見させていただきました」は「いただく」と「いただきました」の違いだけですが、意味をよく理解した使い方をしないと変な言葉になりますので使い方を注意しましょう。
「拝見させていただく」を使う際の注意点
拝見させていただくの言葉を使う時には、どんなことを注意すればいいのででしょうか。拝見させていただくの言葉を使う際の注意点についてみていきましょう。拝見させていただくの言葉を使う際の注意点には年下や部下に使わないようにすることがあります。
また、拝見をより丁寧に表現しようとして拝見に「ご」を付けた「ご拝見」といった使い方はしないようにしましょう。「ご拝見」は呼び方が難しく使う人はいないと考えられますが、再度認識しておきましょう。
年下や部下では使えない
拝見させていただくの言葉は、年下や部下には使わない方がいいでしょう。年下や部下に使っても悪いわけではありません。しかし、拝見させていただくは敬語です。
敬語であることから年下や部下には使わないように注意をしましょう。また、拝見させていただくの代わりに拝見いたしますと使う人がいます。「拝見いたします」も拝見させていただくを同じ2つの敬語が入っている二重敬語です。
「拝見させていただく」と「拝見いたします」はよく使う言葉ですが、正しくは「拝見します」になります。拝見だけでも敬語です。文法的に言うなら拝見しますで問題ありません。
「拝見します」の敬語をより「拝見させていただく」と「拝見いたします」の方がより丁寧な言い方になるため使わているのです。
「拝見させていただく」の由来・歴史
拝見させていただくの言葉に由来はあるのでしょうか。また、拝見させていただくの言葉に関する歴史はあるのでしょうか。拝見させていただくの言葉に由来と拝見させていただくの言葉に関する歴史についてみていきましょう。
由来
拝見させていただくの由来・歴史をみていきましょう。拝見させていただくの「拝見」の「拝」には神仏を拝んでいる指の形からできたといった由来・歴史があります。そのため、「拝」にはおがむの読み方があります。
「拝」を使った敬語の言葉には、拝受、拝復といったメールでよく使う言葉があります。また、拝観、拝聴、拝借などがあります。
歴史
また、拝見させていただくの「拝」はメールの末尾の名前の後ろに付けることがあります。自分がつつしんでいることを相手に伝えるために付けていたといった歴史があります。
しかし、今はメールや手紙に拝啓、敬具といった言葉を使うため名前の後ろに付けることは少なくなっています。少なくはなってきていますが、年配者はビジネスメールなどの自分の名前の後ろに排を付ける人もいることを知識として覚えておきましょう。
「拝見させていただく」の英語表記
拝見させていただくの言葉を英語で表現するとどんな英文になるのでしょうか。拝見させていただくの言葉の英語表現についてみていきます。拝見させていただくはread、announcement、saw、see、look at、viewなどの単語の使い方をします。
「見積書をを拝見しました」の例文を英語の表現するとI saw a quotationになります。この例文ではsawの単語を使っています。「そのメールを拝見させていただきました」の例文を英語の表現するとI was allowed to see that emailとなりseeの単語を使っています。
このように拝見させていただくの言葉を英語で表現しょうとすると多くの単語を使うことになります。つまり、拝見に該当する英語の表現がないことになります。
「拝見させていただく」は「見る」という意味
拝見させていただくは見るの意味があります。拝見させていただくは、自分が見ることをへりくだって相手に伝えている見るの敬語です。拝見させていただくを何気なく使っている人がいます。
しかし、拝見させていただくは自分の見る行動の時に使う言葉であることをしっかりと理解した上で使うようにしましょう。また、拝見させていただくは見るものの違いで英語の表現が変わることも覚えておきましょう。
さらに、拝見させていただくといった二重敬語で堅苦しい言葉を使う時は、使う相手によって言い換えた言葉を使うことも必要になることを覚えておきましょう。