不動産鑑定士の難易度や必要な学習時間を調査!
不動産鑑定士という資格があることをご存知でしょうか。様々な資格があるなかで、不動産鑑定士という資格は、あまり聞くことが少ない資格でもあります。そのため、どのような資格なのか知らないという人も珍しくはありません。
そこで、不動産鑑定士という資格を取るためには、どのようなことをすればいいのかということに注目して説明していきます。ここで不動産鑑定士という資格について詳しく知り、不動産鑑定士の資格にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
不動産鑑定士の3つの試験内容
まずは、不動産鑑定士という資格を取るための試験内容について説明します。不動産鑑定士という資格を取るためには、短答式試験、論文式試験、実務修習試験の3つの試験を受けなければいけません。そこで、3つの試験内容を詳しくみていきましょう。
短答式試験
不動産鑑定士という資格を取るための1つ目の試験は、短答式試験です。短答式試験はマークシートで答える試験で、毎年5月中旬ごろに試験が行われています。短答式試験の内容は不動産に関する法律の問題や、鑑定評価の理論に関する問題です。また、合格ラインは70%です。
論文式試験
不動産鑑定士という資格を取るための2つ目の試験は、論文式試験です。不動産鑑定士の資格をとるための論文式試験では、論文問題や演習問題を記述します。
論文式試験は、上記で説明した短答式試験の後の8月上旬に行われています。また、論文式試験の場合は3日かけて行われます。論文式試験の問題に関しては、民法・経済学・会計学についての問題や不動産の鑑定評価に関する理論についての問題が出されます。
演習での試験の際には電卓が必要となるので、必ず持参するようにしましょう。論文式の合格ラインは52%となっていて、短答式試験と論文式試験のどちらかが落ちてしまったとしても合格発表の日から2年間は有効なので、再度試験を受けることもできます。
実務修習試験
短答式試験と論文式試験の2種類の試験に合格することができたら、実務修習試験という試験を受けなければいけません。また、この研修期間は国土交通省が認めています。
この実務修習試験の内容としては、物件調査実地演習及び一般実施演習という試験を行います。難しいように思えますが、物件調査実地演習というのは、実際に指導鑑定士の元で指導を受けながら物件を調査を行い、報告書を日本不動産監視協会連合会に提出します。
上記の試験が終えたら次は一般実地演習へと進みます。一般実地演習の内容としては、実在する13件の物件の鑑定評価報告書を作成して提出します。しかし、直近1年以内に鑑定事務所での実務経験がある人の場合は、一部が免除されることもあります。
不動産鑑定士の難易度
次に、不動産鑑定士という資格を取ることが、どれだけ難しいことなのかということについて説明していきます。不動産鑑定士という資格は難しいように見えてしまいますが、実際の資格を取るために難易度はどのくらいなのでしょうか。
試験別の難易度
不動産鑑定士の資格を取るためには、短答式試験、論文式試験、実務修習試験の3つの試験が必要不可欠となります。では、短答式試験、論文式試験、実務修習試験のそれぞれの試験の難易度はどのくらいなのでしょうか。試験1つずつ詳しく説明します。
短答式試験の合格率
マークシート式で行う短答式試験は、「不動産に関する行政法規」と「不動産の鑑定評価に関する理論」の2つが試験科目となります。短答式試験の合格率は、約30%と言われています。また、短答式試験は、問題の中で7割程正解すれば、合格となります。
論文式試験の合格率
短答式試験を合格したら、次は論文式試験へと進みます。この論文式試験は、3つある不動産鑑定士になるための試験の中でも特に難関と言われている試験です。
不動産鑑定士になるための試験の中で難関とも言われている論文式試験の試験科目は、「民法」、「経済」、「会計」、「不動産の鑑定評価に関する理論(論文問題)」、「不動産の鑑定評価に関する理論(演習問題)」の5科目です。
論文式試験の合格率は約14%と、合格率だけ見てもかなり低いことがわかります。また、約6割ほどの正解を出せば合格することができます。合格も難しい論文式試験を合格することができれば、最後の試験となる実務修習試験へ進むことができます。
実務修習試験の合格率
不動産鑑定士の資格を取るための最後の試験となるのが、実務修習試験です。実務修習試験は、指導鑑定士の元で実際に働きながら行う試験で、鑑定評価報告書を作成しなければいけません。実務修習試験の合格率が高く、ここまで来た人の8割から9割は合格しています。
不動産鑑定士の年齢別の短答式・論文式試験の難易度
資格を取るまでが難しい不動産鑑定士の資格ですが、年齢別の合格率はどのくらいなのでしょうか。そこで、特に試験が難しい短答式試験と論文式試験の2つの試験に注目して、30代から50代までの前半と後半に分けて詳しく説明します。
30歳未満の合格率
まずは、不動産鑑定士の資格を取るために短答式試験と論文式試験を受けた30代未満の人の合格率をみていきましょう。30代未満の短答式試験を受けた人の合格率は、約39.6%と最も高い合格率です。また、論文式試験の合格率は28.7%と、こちらも最も高い合格率です。
30代前半の合格率
次に、30歳から34歳までの不動産鑑定士の資格を取るために短答式試験と論文式試験を受けた人の合格率をみていきましょう。30歳から34歳までの短答式試験を受けた人の合格率は、35.2%です。また、論文式試験に関しては約16.3%と、30歳未満と比べても低くなります。
30代後半の合格率
次に、35歳から39歳までの不動産鑑定士の資格を取るために短答式試験と論文式試験を受けた人の合格率をみていきましょう。35歳から39歳までの短答式試験を受けた人の合格率は、約28.1%です。また、論文式試験を受けた人の合格率は、約16.4%です。
40代前半の合格率
次に、40歳から44歳までの不動産鑑定士の資格を取るために短答式試験と論文式試験を受けた人の合格率をみていきましょう。40歳から44歳までの短答式試験を受けた人の合格率は、35.8%です。また、論文式試験を受けた人の合格率は約13.6%です。
40代後半の合格率
次に、45歳から49歳までの不動産鑑定士の資格を取るために短答式試験と論文式試験を受けた人の合格率をみていきましょう。45歳から39歳までの短答式試験を受けた人の合格率は、約26.7%です。また、論文式試験の合格率は、9.9%です。
50代前半の合格率
次に、50歳から54歳までの不動産鑑定士の資格を取るために短答式試験と論文式試験を受けた人の合格率をみていきましょう。50歳から54歳までの短答式試験を受けた人の合格率は、約30.7%です。また、論文式試験を受けた人の合格率は、約3.6%です。
50代後半の合格率
次に、55歳から59歳までの不動産鑑定士の資格を取るために短答式試験と論文式試験を受けた人の合格率をみていきましょう。55歳から59歳までの短答式試験を受けた人の合格率は、約28.1%です。また、論文式試験の合格率は、約9.3%です。
合格率の推移
では、不動産鑑定士の資格を取るための短答式試験と論文式試験それぞれの合格率の推移はどのくらいなのでしょうか。これから説明する合格率の推移は、令和元年の合格率です。不動産鑑定士の資格を取るための短答式試験と論文式試験の合格率は、年々高くなっています。
短答式試験の合格率の推移
不動産鑑定士の資格を取るための最初の試験の短答式試験の令和元年の合格率は、32.4%です。年齢別の短答式試験の合格率をみると、年代によって大きな差があります。しかし、全体の合格率でみてみると、このような結果になっています。
論文式試験の合格率の推移
不動産鑑定士の資格を取るための短答式試験の次に受ける論文式試験の、令和元年の合格率は14.9%です。論文式試験の合格率は、難関というだけあって年齢が若いほうが高くなっています。これは、若い人の方が専業として根気よく勉強していることが原因と考えられます。
不動産鑑定士に合格するための学習時間
不動産鑑定士の資格を取るための試験は、難易度が高く決して簡単な試験ではありません。では、不動産鑑定士の資格を取るために試験に合格するには、どのくらい勉強すればいいのでしょうか。そこで、不動産鑑定士になるために学習方法を紹介します。
学習時間は2000~3700時間
不動産鑑定士の資格をとるための試験に合格するための学習時間は、2000時間から3700時間は必要とされています。では、短答式試験と論文式試験に合格するための、それぞれの学習時間はどのくらい必要なのでしょうか。
短答式の学習時間
不動産鑑定士になるための最初の試験でもある短答式試験に合格するためには、800時間から1200時間の学習時間は必要と言われています。短答式試験はマークシートで行われる試験のため、内容を記憶する記憶力が重要となる試験でもあります。
論文式の学習時間
不動産鑑定士になるための短答式試験の次に受ける論文式試験に合格するための学習時間は、1200時間から2900時間と短答式試験の学習時間より多いです。これは、論文式試験は文字を書き起こす試験であるため、解答がわからなくても消去法が使えないからです。
1日当たりの学習時間
不動産鑑定士の資格を取るために必要な試験の学習時間は何千時間ともなりますが、1日あたりでみるとどのくらい勉強すればいいのでしょうか。不動産鑑定士の受験期間は、一般的に1年半から2年です。つまり、1日あたりであれば約5時間前後の勉強時間が必要です。
学習時間に開きがある理由
不動産鑑定士の資格をとるための試験に合格するための学習時間は、2000時間から3700時間は必要ということを説明しましたが、なぜここまで学習時間に差があるのでしょうか。そこで、学習時間に大きな差がある理由を説明します。
試験制度が2段階式
学習時間に差がある理由の1つ目は、試験制度が2段階式になっていることです。試験には短答式試験と論文式試験の2種類があり、万が一どちらかを落ちてしまっても合格したほうの権利は3年間あります。つまり、1年で勉強する人もいれば、3年かけて勉強する人もいるからです。
取得資格により論文試験がいくつか免除
学習時間に差がある理由の2つ目は、取得資格により論文試験がいくつか免除されるからです。例えば、司法試験を合格している人の場合は民法の試験が免除されるなどがあります。このほかにも、公認会計士などの試験に合格している人も免除されます。
宅建士試験の受験者にも恩恵が
学習時間に差がある理由の3つ目は、宅建士試験の受験者にも恩恵があるからです。宅建士試験の際に民法を勉強しますが、不動産鑑定士の試験でも同じような内容を勉強します。そのため、前もって知識を持っていると、その分の学習時間は減らすことができます。
今後の不動産鑑定士試験の難易度に変化がある?
ここでは、令和元年の不動産鑑定士の試験の合格率について説明しました。では、この先、不動産鑑定士の試験の難易度に変化はあるのでしょうか。最後に、今後の不動産鑑定士の試験の合格率は変わっていくのかどうかということを説明します。
不動産鑑定評価制度の今後の方向性
不動産鑑定士の資格を取るための試験は、今後変わらず3種類の試験を受けなければいけないと考えられています。しかし、難易度の高い論文式試験に落ちてしまっても成績の良い科目は一定期間の受験の免除ということもあることから、合格率は上がる可能性があります。
不動産鑑定士の難易度は高いが年々合格率は上がっている
不動産鑑定士の資格を取るための試験は、難易度の高い試験です。しかし、年々合格率が上がってきていることも事実です。そのため、不動産鑑定士という資格に興味がある人は、ぜひ不動産鑑定士の資格を取るための試験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。