業務の意味とは?
社会生活において仕事に携わる人々の間では、業務、仕事、作業、職務、執務など様々な言葉が飛び交いますが、どれも共通するように見えて実は意味が異なり、使い分けもされているのです。それぞれどのように使い分けられるているのでしょうか。
ここでは特に業務の意味について考察していきます。業務とは主に家事全般を除いた日常的に継続して行う仕事や作業のことを指します。言い換えると業務とは会社から与えられた遂行するべき目標となる仕事と言えます。
業務の由来
業務という言葉の由来が論じられることはあまりありません。「業」と「務」に分けて、それぞれ漢字の由来は見てみると、業は音読みでギョウと読み、主に生活を支える仕事を意味します。訓読みでワザは技に通じ、行いの意味となります。
務はつとめると読み、自分が引き受ける仕事、一つのことに精を出して働くことという意味になります。この二つの漢字を合わせて「業務」という言葉が成り立ちました。業務が日々継続して行う仕事として、生計を立てる上で目標となるものといわれる由来がここにあります。
業務の特徴
業務の特徴について、一言では言い表せません。何故なら職種や業界、企業、個人事業主等によって業務内容は異なってくるからです。そこで業務の特徴について、個人と組織の場合に分けて、仕事内容から違いや特徴を見ていきます。
日常的な業務:組織単位
業務とは会社や組織から遂行するべき目標として与えられるものです。よって業務とは部署単位で行う仕事や役割であるということができます。企業には営業部や人事部、経理部、業務管理部、生産管理部、製造部、資材調達部など業種によって様々な部署があります。
業務内容は各部署にそれぞれ存在します。それら業務内容が日々継続されることによって事業の成果が上げられ、会社は利益を達成し、従業員へ利益を還元し社会へ貢献を果たせます。
各部署の業務内容は各従業員へ担当業務として割り当てられます。それらを総称して仕事ということも出来ます。よって業務とは仕事をこなすうえで遂行しなければいけないものと言えるのです。
日常的な業務:個人単位
業務とは部署単位で遂行する仕事ですから、その業務内容は部署に所属する各個人に担当業務として割り振られます。業務が部署の受け持つ仕事ではありますが、一般企業では個人が受け持つ仕事にも業務という言葉は使われています。
例えば「担当業務」と言えば個人の担当の業務内容を意味します。担当業務は各部署により様々存在しています。海外への輸出業務担当、通関業務担当、資材調達業務担当、経理支払い業務担当などといった具合です。
担当する仕事を意味する言葉に執務と職務があります。執務とは主に事務作業に従事している場合に使われます。職務とは社員が担当する任務の意味ですが、より責任が伴う役目という意味で使われます。執務、職務ともに業務の一環であると言えます。
職務・執務の意味及び業務との違い
業務と同じく遂行するべき仕事を指す言葉として「執務」「職務」があります。ここでは職務、執務と業務との違いや使い分けについて解説していきます。社会人としてこれら熟語の意味や違いを理解し、使い分けることができるようにしましょう。
職務の意味・業務との違いとは?
職務と言えば「職務質問」を思い浮かべるかもしれません。職務質問は職務執行法第2条に基づいて警察官が定められた務めとして遂行するものです。つまり職務とは組織に属する個々の社員や公務員が担当する仕事と言えます。
職務は所属する企業や組織によって広範囲に及ぶ場合があります。例えば教師の場合は教科や生活指導、委員会や部活動顧問に至ります。会社員の場合は入力業務から管理業務に至るまで詳細に分かれています。
業務との違いは業務が部署単位の仕事を意味するのに対し、職務は各個人の担当する仕事、または職業上、務めとして受け持つ仕事を意味します。よって経歴書などは「職務経歴書」として記載します。
執務の意味・業務との違いとは?
執務とは主に事務系の職種の人が仕事を行っていることを意味します。業務や仕事とよく似た意味と捉えられやすく、混同する人も多いようです。しかし業務と執務の意味はやや異なります。
例えば「今日は20枚の入庫伝票の入力執務を行った」とは言いません。入力業務を行ったと言います。つまり業務とは仕事を意味し、執務とは仕事を行っている状態を意味します。使い分けるというより執務は業務の一種であると考えるべきなのです。
執務が使われるケースは事務仕事の中でもより公的でお堅いニュアンスがある職種の場合が多いです。例えば公務員とか政治家秘書といった職種には執務という言葉が似あいます。執務机というと検事か判事の仕事用の机を連想させます。
業務の使い方
ここでは業務が仕事や規程の名称に使われるケースをご紹介します。業務委託とか業務内容、業務マニュアルなどは会社員ならば日常で良く耳にし、自ら使うことも多いでしょう。それぞれの使い方を例文付きで紹介していきます。
例文①
業務の使い方の例文の1つ目は業務委託です。「この度わが社の経理の伝票入力業務を○○社へ業務委託することになった」というようにある部署の業務を外部へ委託することです。アウトソーシングとも言われていますが意味は同じです。
特色は業務を請け負う側と企業は雇用契約関係ではなく、業務委託契約を結び、仕事の成果物に対して報酬が発生するところです。
例文②
業務の使い方の例文2つ目は業務内容です。「資材輸出グループの業務内容は部品輸出梱包、デリバリー・オーダー入力、通関手配、出荷日程の案内などです」というように各部署の具体的仕事内容を意味します。
例文③
業務の使い方の例文3つめは業務管理です。業務管理とは企業における各部署の業務遂行状況や収支バランスを1元的に管理する役割を意味します。「’20年度上期の各部門収支計画を業務管理部がとりまとめて一覧化した」というように企業の業務取りまとめ役を担っています。
例文④
業務の使い方の例文4つ目は業務規程です。例えば「我が社は裁量労働制導入に伴い、勤務規定が見直され業務規程の更新が行われた」というように企業で言う業務規定とは様々な規則や条文の集合体を意味します。
業務規定とは民間企業が事業を行うにあたり、その事業内容や事業区分など諸々の取り決め事項を記載し、総務大臣に届けるべきものです。
例文⑤
業務の使い方の例文5つ目は業務マニュアルです。マニュアルとは仕事の手順や作業工程を具体的に記載した手順書を意味します。一般的に業務マニュアルといえば、個人の担当業務の手順書の意味として使われています。
例文は「類似業務の手順書を出来るだけ一つにまとめて重複内容を削除し、業務マニュアルの一元化を目指す」というように使われます。仕事の引継ぎ時に使われることが多いため、個人ベースの作業手順書を総称して業務マニュアルと呼ばれています。
業務の注意点
業務の意味について、職務や執務との違いについて述べてきました。業務とは基本的に部署単位の仕事を意味することは理解いただけたことでしょう。但し仕事という広範囲に使われる言葉との違いや使い分けは難しいかもしれません。
業務も仕事同様に個人レベルでも使われるからです。ここでは業務と仕事の使い分けとはどういうものかご説明いたします。
業務と仕事の使い分け
業務と仕事の違いや使い分けを考える時、ポイントは業務が日常的に継続して行われる様々な活動であることに対して、仕事は職業であり何かを成し遂げて成果物を得て生活の糧にする活動であるといえます。
毎日の入力作業や部品仕分け作業、集計作業や経理資料作成等は仕事と言わず業務といいます。仕事とはそれらの作業を一貫して取り扱う経理、入力オペレーター、倉庫作業を仕事と呼びます。
別の言い方をすれば、業務とは目標を持って取り組む仕事なのです。「業務目標」というように正社員になると会社から毎年担当業務の達成目標を申告するよう求められます。仕事はその業務目標を達成するための手段であるとも言えるのです。
業務は仕事の目標という意味
業務とは仕事を達成する為に目標を立てて遂行しなければならない活動であると定義できます。仕事という言葉が広範囲な意味合いを持つのに対して、業務はより具体的に限定された意味合いを持ちます。
業務は会社から与えられるものであり、仕事は自ら作り出していくものであるから、やりざまも自分で工夫して効率化することも出来ます。
業務や仕事、職務、執務といった関連性のある言葉の意味を理解し、社会人になったら適正な状況で使い分けられるようになりましょう。上司や先輩から一目置かれるようになること必至です。