ビンテージの意味とは?
ビンテージというと、最近ではダメージジーンズなど、ファッション業界で使われる用語、というイメージが強いかもしれません。ただ、本来の由来は違い、ビンテージはワインにまつわる専門用語であり、正確にいうと古着を表す言葉ではありません。
もともとの意味のビンテージとは「当たり年に生産されたワイン」のことです。ワインは毎年ブドウを原料にして生産されますが、その中でも特に質が段違いに良く、美味しいとされるワインをピックアップして「ビンテージワイン」と表していました。
ワインは熟成品ほど味が深まり、違いが出るということから、転じて「ビンテージ=熟成したもの」という意味が生まれ、さらにファッション業界ではダメージジーンズなど、年月を経て価値が増したアイテムを指す言葉として定着しました。
ビンテージの語源
ワイン業界から生まれ、時代とともに意味の違いが生まれてきたビンテージ。ビンテージの語源はフランス語で、本来はワインの原料となるブドウが生産されてから収穫されるまでの一連のプロセスを表す意味として使われています。
ビンテージの語源、意味をさらにさかのぼると「よくできたブドウ、熟成されたブドウ」という意味のラテン語がオリジンとなっており、ビンテージがもともとワインの世界から生まれ、意味が派生してきた言葉であることがうかがえます。
こうした意味が転じて、現代ではビンテージは熟成されたアイテム、年月を重ねた物、という意味で解釈されるようになりました。
ビンテージとアンティークの意味の違い
熟成された物、こなれた物、という意味から、しばしばアンティークと意味が混同されがちなビンテージですが、ビンテージとアンティークは意味の異なる言葉ですので、使い方の違いには注意が必要です。それぞれの意味、使い方について具体的な区別とともにおさえておきましょう。
ビンテージの意味
ビンテージは本来、「熟成された物、質の良い物」という意味を持つ言葉で、年月を経た中で価値が認められた物、より上質になったアイテム、という意味があります。たとえば、ジーンズであればほどよく色がなじんだ生地、ワインなら味が深まった物、という意味になります。
アンティークの意味
一方のアンティークはフランス語を語源とする言葉で、「製造されてから100年以上が経過したもの」という意味があります。アンティークはビンテージとは意味が違いワインには使えず、骨董品を表す意味の言葉ですので使い方の区別をしっかりとおさえておきましょう。
大まかな使い方と意味の区別としては、「アンティークは単純に古い物、ビンテージは古くて価値のある物」と覚えておくとわかりやすいでしょう。
ビンテージの類義語・対義語と意味
もともとはフランス語で、さらにはラテン語に語源をもつビンテージ。アンティークと意味を混同し、日常生活で誤用しないためにも、ビンテージの類義語や対義語の意味について例文とともに詳しくおさえておきましょう。使い方についてもおさえておくとボキャブラリーが広がります。
類義語①名品
本来の意味のビンテージは、「数あるアイテムの中でも特に選りすぐりの名品」を表す言葉で、主にすぐれたワインを表す意味の言葉として使われていました。
「ビンテージ=古着」という意味のから、ビンテージは単純に古くなっているアイテムを表す意味として使われているようですが、もともとは順序が反対で、「価値が認められる物だからこそ長い年月愛される」という意味も込められています。
アンティークが古びた骨董品を表す言葉のため、ビンテージも同じ意味であるように誤解されがちですが、このふたつの言葉は意味も使い方も区別されていますので、例文と合わせて正しい意味をチェックしておきましょう。
類義語②希少品
ビンテージには「選び抜かれた希少品」という意味も含まれています。つまり、長い年月を乗り越えて価値が認められているからこそ時代を超えて愛される、という意味で、だからこそビンテージワインは高い価格で取引されているのです。
したがって、単純に年月を重ね、古びているからという意味だけでビンテージ品として認められるわけではなく、年月に揉まれるなかで淘汰され、価値を認められた物だけがビンテージアイテムとして付加価値を認められるのです。
ちなみに、何年物からビンテージとして認められるのか、という点については明確な意味はなく、ほどよく熟成されていればビンテージとして認められる可能性があるようです。
類義語③熟成品
ビンテージはワインやジーンズなど、幅広い業界で使われる意味の広い言葉です。熟成品というとワインだけのイメージですが、実際はジーンズや牛肉、革製品など、さまざまなアイテムに対して使われる言葉であり、見るだけで年月を感じられるもの、という意味もあります。
最近ではお肉の専門店でも、冷凍庫で一定期間保存し、あえて熟成させた「ビンテージ肉」がブームになりつつあり、新鮮な肉とはまた違った意味での味わいがあると話題になっています。
対義語①新品
年月を重ねて熟成された物、という意味のビンテージの対義語としては、新品が挙げられます。古着ではなくやはり新品のほうが気持ちよく着られる、という人も多く、ファッションの価値観は人さまざまのようです。
ただ、最近では新品のジーンズでもダメージ加工を施すことでビンテージアイテムらしく仕上げる、という手法もブームになりつつあり、単純に古いだけがビンテージの条件ではなくなりつつあります。
対義語②量産品
ビンテージが「時代を超えて選び抜かれた物」であるとするならば、工場で生産されるような量産品が対義語、ということになります。量産品は最初からレディメイドにつくられており、誰にとっても幅広い場面で使いやすいように設計されています。
もちろん、ビンテージアイテムももともとは工場で生産されるのですが、ビンテージアイテムは基本的に手作業であり、その意味でも量産品とは根本的に異なっています。
対義語③まっさらな
年月とともに古び、熟成されていく物をビンテージと呼ぶのなら、新品のまっさらな状態がある意味で対義語と言えます。糊のきいたパリッとしたTシャツやスーツなど、まっさらな物にはビンテージにはない魅力があり、「着るものだけは新品を選ぶ」という若い世代も少なくないようです。
ビンテージの使い方
ラテン語に語源をもつビンテージは、時代を超えて意味が派生し、新たな意味をもつ言葉として使われはじめています。ビンテージの意味を間違えて使わないためにも、ここであらためてビンテージの使い方を例文とともに把握し、ボキャブラリーを広げておきましょう。
例文①
「ビンテージ物のダメージジーンズだったのに、たんなる古着と思い込んだ祖母から捨てられてしまった」。ダメージジーンズをお持ちの方が一度は経験する失敗談ではないでしょうか。
最近ではジーンズだけでなく、アウターなどでもダメージ加工が当たり前になっていますが、まだまだ幅広い世代に浸透しているとは言いがたく、例文のような悲劇がしばしば起きているようです。
例文②
「ビンテージがもともと(よくできたワイン)を表す言葉だったということは意外と知られていないようだが、社会人の嗜みとしておさえておくと良いだろう。では、君の新たな門出に、乾杯」。
まさに、高級レストランのディナーでワインを前にして言いたくなる例文です。最近ではビンテージというと古着のことだと思っている方も多いかもしれませんが、例文とともに正しい意味をおさえておくことで、社会人としても一目置かれる存在になります。
例文③
「こちらのお店は、あえて熟成されたビンテージ肉をリーズナブルな価格で美味しく提供する名店として話題です。さっそく店長にお話を聞いてみましょう」。
ひと昔前まではビンテージというと古着のことでしたが、最近では熟成肉のことを「ビンテージ肉」と呼ぶのがひとつのトレンドになっているようです。
名店のビンテージ肉は絶品ですが、ただ単に時間が経った肉は腐敗しているだけですので、安易に家庭でビンテージ肉を作ろうとするのはやめましょう。
例文④
「洋服も人間も、年月を経て、たくさんの人から揉まれることでだんだんにいい味が出てくる。果たして君は、本当の意味で大切にされるビンテージになれるかな」。
ビンテージの例文としては、いささか変化球かもしれません。昨今はどんな場面でも成果主義や即戦力が重んじられ、企業でも「社員をゼロから育てる」という余裕がなくなりつつあります。
ただ、人はどんな環境でも成長できる能力を持っており、あせらずこつこつと経験を積むことでオリジナルの価値を生み出せる、貴重な人材になっていきます。
ビンテージとは「年月を経て選び抜かれた名品」という意味
ビンテージの基本的な意味や使い方、アンティークとの違いについて見てきました。ビンテージはもともとワインの収穫から生産までを表した言葉で、良質なワインを評する言葉としても使われていました。転じて、現代では年月を重ねて味が出た物、という意味で使われています。
類義語や対義語、例文の使い方を把握し、他の表現との違いについても理解したうえで、ビンテージを日常の中で正しく使いましょう。