いたたまれないの意味とは?
「いたたまれない」とは、精神的な圧力を受けてその場にとどまっていられないという意味です。気まずさ、悲しさ、心がかき乱される場面で、今いる場所から他の所に逃げたいというような気持ちの状態をあらわしています。実際に走って逃げるわけではありませんが、そのような感情になるという意味です。
ここでは、「いたたまれない」の意味や使い方、例文から、類語と英語での使い方も解説します。またよくある誤った使い方も紹介します。
ビジネスや日常でも意外によく使われる「いたたまれない」という言葉。例文と共に正しい使い方を理解して、コミュニケーションの参考にしてください。
じっとそこにとどまっていられない
心理的に圧迫を感じる場面で、そこから逃げ出したいという感情が湧き出ることがあります。誰かに出ていけと言われたわけでも、無理やり引っ張られるわけでもないのに、精神的にそこにいられないような気まずい気持ちになってしまう場面で「いたたまれない」という意味の言葉が使用されます。
そのような心理の状態をあらわすのに「今いる所にとどまっていられない」という意味で気持ちを表現する言葉が「いたたまれない」です。本当に走り出して逃げ出してしまうわけではありませんが、気持ちの上でその場にいるのがとてもつらく我慢できないと言うような感情を表します。
いたたまれないを漢字にする
「いたたまれない」の漢字表記は「居た堪れない」です。「じっとそこにとどまっていられない」という意味をあらわした「居ることが堪えられない」という漢字をそのまま使用した表記になります。「いたたまれない」はその場に居ることそのものが堪えられないという意味そのものを漢字にしたものなのです。
いたたまれないの類語
「いたたまれない」の類語にはどのようなものがあるでしょうか?「いたたまれない」の意味は自分が何かの作用で心理的にそこに居続けることがつらい、逃げたいという意味の言葉です。精神的に圧力を受けて辛く、焦ったり、悲しくなったりというような意味の類語はたくさんあります。
「いたたまれない」は特に心理的に悲しい、辛い、恥ずかしいなどのようなネガティブな感情になるときにその場にいたくないという気持ちになることを表現しています。同じような意味の類語でも、その場にいたくないというニュアンスの言葉を選ぶことが大切です。
そんな気持ちの類語にはどのようなものがあるか紹介します。どの言葉も「いたたまれない」と似た意味の類語なので、覚えておくと状況に応じて適切な使い方や言葉を選べます。
①肩身が狭い
「肩身が狭い」の意味は、「世間に対して面目が立たず、居心地が悪い」で、「その場に居ることが堪えられない」という意味の「いたたまれない」と似た類語です。「肩身」とは文字通り肩と身体のことですが、まるでその場にいるのに縮こまるような自分を隠してしまいたくなるようなそのような使い方ができる意味を持つ類語です。
類語として「いたたまれない」の心理的な圧迫から居心地が悪くなるニュアンスよりも、社会的な自分のいる役割やポジション、世間での面目に重きをおいて、引け目を感じるという意味が大きくなります。
体面が狭くなる、居ること自体が窮屈で居心地が悪いという類語です。例としては、「子供のころ家が貧しく服は全て姉の古着で肩身が狭い思いをしたものだ」があります。
②決まりが悪い
「決まりが悪い」の意味は、「きちんと整っていない、面目が立たず恥ずかしい」で、「気まずくその場にとどまっていられない」という意味の「いたたまれない」の類語です。「決まり」とは物事のおさまりや決着ということです。あるべきところ、そうすべきと規定されている行動におさまっていないと言うことを表しています。
あるべき姿が上手くいかず恥ずかしい様子をあらわす類語となります。使い方の例としては「鈴木部長を間違えて田中部長と呼んでしまい、きまりが悪かった」などがあります。
③身の置きどころがない
「身の置きどころがない」の意味は「恥ずかしいあまり、自分の居場所がそこにないような気分になり、その場から逃げだしたい気持ち」で、「恥ずかしくてその場にとどまっていられない」という意味の「いたたまれない」と似た類語です。
自分の身を置くところもないような気持ちは、そこに居ることに堪えられないという「いたたまれない」気持ちと意味が似た類語となります。使い方の例としては、「上司からみんなの前で厳しく叱責され、身の置きどころがない気持ちになった」などがあります。
いたたまれないの言葉の由来
「いたたまれない」という言葉は、もともとどのようにして使われるようになったのでしょうか?「いたたまれない」の語源や歴史はどんなものでしょうか?「いたたまれない」の由来を知ると、意味を正しく理解できるようになります。ここでは、「いたたまれない」の言葉の由来をご紹介します。
江戸時代の「いたたまらない」が語源
「いたたまれない」は、すでに江戸時代後期に使われていた「いたたまらない」が変化した言葉だと言われています。当時人気だった複数の人情本などを見ると「いたたまれない」も「いたたまらない」もほとんど同じ意味で使われています。用法、語法もほとんど違いはありませんでした。
江戸時代から「いたたまられない」という意味で使われていました。当時は特にいることがたまらないと言う直接的な意味合いのいたたまらないの方がよく使われていたようです。
「いたたまらない」が元々の意味
恥ずかしくてその場に居ることが堪えられないという意味の「いたたまれない」。元々、この言葉は「居る」と「堪らない」という表現を合わせたもので、「いたたまらない」という形でした。「堪らない」という言葉は「我慢できない」という意味です。居ることが我慢できないような心境というのがもともとの言葉でした。
「終わる」が「終われない」と変化するように、~できないという言葉は「~れない」という語尾になることが多い表現です。同様に「いたたまらない」も語尾が変わり、「いたたまれない」と変化させて使うことも多くなってきました。現在では、「いたたまらない」より「いたたまれない」を使う方がより一般的になりました。
いたたまれないの使い方
自分が何かの状況のせいで精神的にそこに居続けることがつらいという意味の言葉が「いたたまれない」です。つまり、自分が居るところから違うところに逃げたくなるような気持ちです。「いたたまれない」という意味を考えると、まず、当事者が何かを感じて当事者が他の場所に行きたくなるような気持ちになるというのがポイントです。
マイナスな気持ちを表す意味
「いたたまれない」という言葉にはどのような意味が含まれているでしょうか?「いたたまれない」の意味は、単にそこに居るのが辛いというだけではなく、心理的に圧迫があったり、逃げ出したくなる気持ちになる何かがあって、そこにはいられないという意味が強い言葉です。
何か間違いをしてしまった、問題を起こしてしまった、恥をかいた、大きな悲しみがあったというようなマイナス感情によってもたらされる心の状況を意味します。ここでは、「いたたまれない」の意味による使い方を紹介します。
①居心地悪い気持ちを表す意味
その場にいるのが堪えられない、そこに居るだけで辛いという気持ちを表します。何かネガティブな事が起こって心がざわつく感覚、とてもそこには居られない、何をできるわけでもないのに居ても立っても居られないといった意味を持つ表現です。「いたたまれない」を使う場合には、当事者がそこに居るということが前提条件となります。
②恥ずかしい気持ちを表す意味
恥ずかしくてその場から逃げ出したいという気持ちを表します。非常に恥ずかしいことがあると人と顔を合わせるのも辛くなったり、人の目線が気になったりと言うことがあります。「いたたまれない」ということは、恥ずかしかった場所や言動があった場所にいることが前提となります。
③さみしい気持ちを表す意味
「いたたまれない」という意味にさみしい気持ちが加わることもあります。その場にいることがさみしくて堪えられないという意味です。非常に悲しいさみしい気持ちを表しますが、やはり、単に心の平穏が得られないという以上に、どこかに居てそこから離れたいという感情が加えられた意味になります。
いたたまれないを使った例文
マイナス感情をあらわし、特にそこには居られないという意味をもつ言葉「いたたまれない」。ネガティブな気持ちを表す言葉は特に気を付けて正しく使うようにしましょう。「いたたまれない」という言葉を使った例文をご紹介します。意味を正確に理解して適切な使い方をマスターしましょう。
例文①失敗し職場にいたたまれない
実際の使い方としては、「会議でつい居眠りをしてしまい部長からみんなの前で叱責され気まずく、いたたまれない気持ちになった」というようなものがあります。自分が上司に怒られてしまった会議をしている会議室にいるのが辛くて逃げ出したいという気持ちを表す意味です。
この例文では、居眠りというミスや叱責された腹立たしさから、会議の場所にいるのが辛い、その場から立ち去りたい、という意味で「いたたまれない」が使われています。
怒られた後は感情的になり、そこに居るだけで気まずいような空気になることがあります。そんな時は「いたたまれない」という言葉が意味の上でしっくりきます。
例文②皆の注目を集めいたたまれない
意図せず注目の的になってしまい「いたたまれない」例としては、「会議で出されたコーヒーを机にこぼしてしまい皆さんの注目を浴びて恥ずかしく、いたたまれなくなった」などがあります。気恥ずかしくてその場から消えてしまいたいような気持ちという意味で使用される例文です。
ちょっとしたことで不本意に注目を浴びてしまいみんなの意識が自分に集中してしまった時などに使われます。恥ずかしいという気持ちを「いたたまれない」という言葉につなげています。
例文③一人でいるのがいたたまれない
一人さみしくて「いたたまれない」言葉の使い方の例として、「ペットの猫のみいちゃんがいなくなって寂しくて、家に帰ってもいたたまれない」などがあります。その場にいるのが辛いというのは、「悲しみ」という気持ちとつながって使われる時があります。この場合は可愛がっていた猫がいなくなってしまった時の気持ちです。
そんな時の悲しい気持ちをその場に平常心ではいられないようなとてもさみしい気持ちという意味で「いたたまれない」と表現することがあります。「いたたまれない」という言葉は、悲しみをあらわす言葉でもあるのです。
いたたまれないを英語で表現
英語で「いたたまれない」はどのような使い方をするのでしょうか?「いたたまれない」の意味の英語を紹介します。「いたたまれない」には単に気まずい、恥ずかしいという意味だけではなく、その場にいることが堪えられない、逃げ出したいという意味があります。英語でもそこに居ることが辛いという意味を加味することで正確なニュアンスを伝えます。
I feel like running away.「いたたまれない」の意味に含まれる「逃げ出したい気持ちになる」という意味そのものを表現した英語です。この英語は気持ちの上で逃げ出したくなるという文章で、本当に逃げてしまうわけではなく、そのような感情を表しています。
心理的な圧迫を受けてその場にいたくないような気持になるという「いたたまれない」の意味にぴったりの英語です。
I can’t stand the situation.「この状況に堪えられない」という英語は「いたたまれない」という意味になります。居心地が悪い、状況によってつらい気持ちになったという意味を英語で表しています。その場にいることができないとても辛いと言うような感情がこの英語の文章に込められています。
I can’t sit still.「じっと座っていられない」という表現も英語でよく使用されます。そこに居ることがつらい、じっとしていられないという英語の意味は「いたたまれない」の意味をよく表現しています。その場にいることがむずがゆいようなそこにいてはいけないような辛い気持ちというのが表現された英語の文章です。
「いたたまれない」のもとの意味である居ることが我慢できないという文章を英語に直訳して、“unbearable to remain and stay”などというと、「そこに留まることを我慢する能力がない」「そこに居る資格がない」といったような英語の意味になります。気持ちや感情とは違う意味の英語の表現となりますので、注意して使いましょう。
注意したいいたたまれないの誤用とは?
よく耳にする「いたたまれない」という言葉。ばつが悪い、恥ずかしい、悲しいという気持ちに結びつく表現ですが、使い方を間違えると違う意味にとられてしまうこともあります。
悪気はないのに失礼な意味になることも。ここでは、誤用の例を紹介します。「いたたまれない」という言葉の意味を覚えて、このような使い方はしないようにしましょう。
誤用例①悲しい物語を読んでいたまれない気持ちになった
悲しい気持ちになったということで「いたたまれない」が使われていますが、これは誤用となります。この気持ちになった人が今いるのはテレビの前です。
悲しいお話を聞いてつらい残念な気持ちになったという感情は、そこに居ることが堪えられないという状況ではないので、この例文の場合「いたたまれない」という意味は適さない言葉となります。その人の感情といる場所が意味として関連性があるときによく使われるのが「いたたまれない」という言葉になります。
誤用例②ランチで上司の失敗談を聞きいたたまれなくなった
この例文では「いたたまれない」気持ちになった本人はランチを第三者と食べています。そしてこの場合に心理的に作用したのは上司の失敗談で当事者には直接は関係のない話です。
本人は上司の失敗談を聞いて残念な気持ちになったかもしれませんが、その心理的な作用とここにいることが耐えられないつまりランチから逃げ出したいということは関連性がありません。
このような誤用をすると、人の失敗談をまるで自分の話のように受け取って、自分が「いたたまれない」気持ちになったというように、上司を上から目線で扱うような意味に取られかねません。このような使い方は誤用となりますし、誤解をうけるもとにもなりますので避けたいものです。
誤用例③同僚が客先で怒鳴られていたたまれない事態になった
この例文では事態に対して「いたたまれない」と言う表現を使っています。逃げ出したい気持ちを表す「いたたまれない」ですが、「いたたまれない」事態というのは基本的にありません。「いたたまれない」とはその場にいられないような気持ちになる当事者のことを表現しています。
このような場合この例文の意味では同僚のせいで残念な事態になったもしくは同僚のせいで大変なことになったと言う意味で使っていますが、気をつけなくてはいけないのは、このような間違った使い方をすると、話している人が不備があったかのような受け止め方をされることもあります。
そのような無用な誤解を招かないためにも「いたたまれない」と言う言葉は本来の意味で使えるように覚えておきましょう。
誤用例④いたたまれない貰いものが山積みになっている
この例文では置く場所がないものや迷惑な物等のことを「いたたまれない」貰い物と言うように表現しています。しかし「いたたまれない」とは心理的に圧迫を受けたことが原因で自分の居場所がない気持ちと言う意味で、ものに対しては「いたたまれない」という言葉は使いません。
必要のないものもしくは自分が意図しないのにもらってしまったものというのはそこにいて居心地が悪いと言う意味とは多少違います。そこで「いたたまれない」と言う言葉を使ってしまうとニュアンスの違う意味になってしまいます。
ものを擬人化するということを時々行う人がいますがビジネスの場ではそぐわないことも多いので気をつけましょう。この場合には予期しなかったもらいものとか想像よりも多い貰い物と言うように少し柔らかいニュアンスにしてせっかくもらったものと言う意味も加えながらこのような表現をすると誤解も防げます。
誤用例⑤彼は職場でおしゃべりばかりしていたたまれない人だ
職場で妙なおしゃべりばかりする人と言うのは他の仕事をしている人たちに迷惑をかけてしまったりさらに単にいるだけで他の職場の人の空気を乱してしまうと言うことにもなりかねません。しかしその人がそこにいて迷惑をかけているということを気づいていないことも多いものです。
「いたたまれない」と言うのは当事者がそこの場にいてはいけないと感じると言うことなので、この例文のように本人が気がついていないようなときには意味がそぐわない言葉となります。
この場合はおしゃべりと言う行為はやめてほしいこの場にはそぐわないと言うニュアンスを含む文章になります。ですのでこの人といたたまれないと言う気持ちを関連付ける事はふさわしくありません。
この場では「いたたまれない」と言う言葉よりは職場用の言動をしてほしいという意味で、仕事の場にふさわしい行動をしてほしいといったような表現を使うと良いでしょう。
誤用例⑥接待で酒を飲み過ぎていたたまれない扱いを受けた
この例文では接待という仕事上の席でお酒を飲み過ぎてしまって恥をかいたことを意味しています。お酒を飲みすぎると声が大きくなったり軽口を叩きやすくなったりして接待の場にふさわしくない言動をしてしまうことがあります。そのせいでその場にいる人たちから良くない扱いを受けるということも起こりえます。
しかし、本人は酔いがまわってその場で不適切な言動をしていると言う判断がそこではついていない状況だということが考えられます。つまり本人はその場にいるべきではないということに気がついていないわけです。
周りの人たちがこの間にふさわしくない言動をしていると言う思う事は当事者がいたたまれない気持ちになると言う事とは関係ありません。またその周りの人たちがそのような扱いをすることをいたたまれない扱いと表現することもニュアンスが違ってきます。
誤用に気をつけたい「いたたまれない」
本人が心理的な作用を受けてその場にいることが我慢できないということが「いたたまれない」と言う意味になります。ですので当事者と関係ない人や事柄もしくは自分がその場にいないときの感情をいたたまれないと表現する事は意味が違ってきます。いたたまれないものですとかいたたまれない扱いという言い方はしません。
また、「いたたまれない」と言う言葉はその場にいることが我慢できない耐えられないと言う意味なので物に対して使う事はありません。このような言い方をすると言葉を知らないと言うように思われてしまいますので気をつけましょう。
ネガティブな悲しみや恥ずかしさを表現する言葉なので使い方を間違えると誤解を生むことがあります。誤解を避けるためにも正しい意味を理解し適切に使うよう心がけましょう。
いたたまれないの意味を理解して正しく使おう!
「いたたまれない」の意味は、恥ずかしい決まりが悪い悲しいと言う気持ちがその場にいられない逃げ出してしまいたいと言うことにつながると言う言葉です。その場合、当事者がいたたまれない気持ちになるつまり、その場から逃げ出したくなるまたその場に当事者を心理的に圧迫する理由がある原因があるという意味が含まれています。
誤った用法で使うと、残念で悲しいと言う表現がまるで人を非難したり、本当は違うのに自分の落ち度があったと言うような意味に取られることもあります。使い方と意味を正しく知って、適切な場所で上手に使えるようになりましょう。