もみじの種類・品種は葉や紅葉の時期で見分けられる
「秋の夕日に、照る山もみじ、濃いも薄いも、数ある中に」という歌は日本人なら誰でも聞いたことがあるでしょう。これは唱歌「紅葉(もみじ)」の冒頭の部分です。夕日の中で美しく輝くもみじが頭に浮かぶのではないでしょうか?もみじと聞いてどんな葉を思い浮かべますか?
もみじと言えば、秋に赤く色づく、赤ちゃんの手のひらのような形をした葉っぱを思い浮かべることでしょう。こうした葉っぱを持つ樹木は、イロハモミジやオオモミジと呼ばれています。これらが一般的に「もみじ」と言われる種類の植物です。
しかし、こうした「もみじ」と呼ばれる樹木は、「もみじ科」という部類には属しません。そもそも、もみじ科という植物の分類もありません。それではもみじは、何科の植物なのでしょうか?もみじは、カエデの仲間に分類されます。
その他、ムクロジ科やフウ科という種類になります。「もみじ」という名前は、植物学上の分類ではなく、手のひらのような形をした、切れ込みがいくつもある樹木のことを指しています。それでは「カエデ」とはどんな種類の樹木なのでしょうか?
綺麗に紅葉するもみじですが、「もみじ」と呼ばれる木々にもさまざまな品種があります。もみじはどの品種も、非常に趣のある特徴があります。わかりやすい特徴の品種もあれば、見分け方が難しい品種もあります。もみじの見分け方を知っていきましょう。
そんなもみじの育て方は難しいのでしょうか?もみじの育て方は、それほど難しくはありません。もみじはとても生命力のある種類の樹木です。もみじは盆栽でもよく使用されています。もみじの育て方を知って、秋の紅葉を楽しんでみませんか?
もみじは赤く紅葉することはよく知られています。しかし色づくのは赤ばかりではありません。また、紅葉するのも、秋だけとは限りません。新芽に色づくもみじもあります。こうしたもみじの種類と見分け方を知り、もみじの色や葉の形を楽しんでいきましょう。
代表的なもみじの種類
もみじの品種や育て方を知る前に、もみじの種類について見ていきましょう。もみじにはどのような種類があるのでしょうか?もみじは大きく分けて、3つの種類があると言われています。イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジです。
この3種類のもみじが江戸時代から少しずつ品種改良されていきました。その結果、もみじの品種は増えていきました。もみじの種類を知り、もみじの奥深さを感じ取りましょう。美しいもみじの人気は、日本だけでなく海外にも広がっています。
イロハモミジの特徴
代表的なもみじの種類の1つ目は、イロハモミジです。イロハモミジはどんな特徴があるのでしょうか?学名はAce palmatumで、別名を高雄楓(たかおかえで)、伊呂波楓(いろはかえで)とも言います。
カエデ科カエデ属に属し、カエデ科の代表種とも呼ばれているもみじです。木の高さは15メートルまで大きくなります。花の時期は4月から6月です。
葉が7裂ほどに分かれているという特徴があります。葉の長さが6センチほどと小さいことも特徴と言えるでしょう。
ヤマモミジの特徴
代表的なもみじの種類の2つ目は、ヤマモミジです。ヤマモミジは7裂から9裂ほどに分かれた葉っぱが特徴です。学名はAcer palmatum var. matsumuraeです。カエデ科カエデ属に属します。
葉の形はイロハカエデとよく似ていますが、イロハカエデより大きい特徴があります。 葉の長さは5センチから10センチくらいで、向かい合って生える対生という映え方をします。木の高さは10メートルほどになります。
葉は手のひら状に7から9つに裂け、裂片の縁は重鋸歯といって、大きなぎざぎざに更に細かなぎざぎざが入ります。 裂片の先は長く尖るのも特徴です。 秋には美しく紅葉します。
イロハモミジよりやや大きく変異があり、園芸品種も多いのが特徴です。秋の紅葉には変異があって、紅から黄葉まで個体差が多くあります。成長は早く、耐湿性があります。
オオモミジの特徴
代表的なもみじの種類の3つ目は、オオモミジです。オオモミジは、イロハモミジの変種です。太平洋側でも、標高が高いところに生息しています。学名はAcer amoenum Carr.です。別名、ヒロハモミジとも呼ばれています。
ムクロジ科カエデ属に属しています。園芸品種として人気で、庭木や公園の植栽などに利用されています。裂は7裂ほどで、葉の長さは10センチ程度です。イロハモミジやヤマモミジと比べて、葉の大きさが大きいことが特徴とされています。
特殊なもみじの種類
日本のもみじの種類は、イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジの3種類に分かれることは先述しました。この3種類のもみじは、どういった見分け方をしていけばいいのでしょうか?特にイロハモミジとヤマモミジの種類の見分け方は難しいとされています。
3種類のもみじの品種の見分け方には葉の裂、つまり切れ込みの数による見分け方ができます。さらに葉のギザギザの違いによる品種の見分け方もできます。
紅葉する時期による品種の見分け方もできます。このような品種による違いから、もみじの種類の見分け方を考えていきましょう。
イロハモミジ系の見分け方
特殊なもみじの種類の中でも、イロハモミジの見分け方について見ていきましょう。イロハモミジは伊呂波紅葉とも書きます。日本でもっとも有名なもみじと言われています。イロハモミジは、5つから7つの切れ込みがあります。
縁のギザギザがやや荒く、先が尖っているのという特徴から見分けることができます。イロハモミジの名前の由来は、「いろはにほへと」と数えて7になることから名づけられたと言われています。葉の長さは7センチほどです。
イロハモミジは四国や九州などを含めた、主に太平洋側に生息しているもみじです。イロハモミジはヤマモミジと切れ込みの数や葉の周囲のギザギザがとても似ています。どんなところに生息しているかで見分け方ができるもみじです。
デショウジョウ(出猩々)
デショウジョウはもみじとは思えない面白い名前のイロハモミジ系のもみじです。春に芽吹いた葉っぱが真っ赤な色をしているのが特徴で、そこから猩々(しょうじょう)という名称がつけられました。真っ赤な毛をした架空の動物に関係しているということで名づけられました。
葉は全体に深いギザギザがあります。春は赤く紅葉していますが、夏は美しい緑色に変わり、秋に再び紅葉します。春の紅葉がとても美しいことで知られ、さらに四季を通じて葉の色の変化を楽しむことができるもみじです。
サンゴカク(珊瑚閣)
このサンゴカクも変わった名称をしている、美しいもみじです。冬になると枝が真っ赤になるという特徴があり、その様子が海の珊瑚のようになることから由来しているもみじです。春は黄緑色の新芽が芽吹き、夏は緑色の葉になり、秋には黄色やオレンジ色に紅葉します。
カツラモミジ(桂紅葉)
ほとんどの樹木は、新芽が黄緑色の葉ですが、このもみじは葉の縁に綺麗な赤色が入ります。黄緑色と赤色のコントラストやグラデーションの美しさが大きな特徴です。
ゆっくりと時間をかけて鑑賞したくなるもみじです。葉は夏は緑色になり、秋には真っ赤な紅葉になります。葉はギザギザがあり、切れ込みが深い点も特徴です。
ヤマモミジ(山紅葉)の見分け方
次に特殊なもみじの種類の中で、ヤマモミジの見分け方について見ていきましょう。特にイロハモミジとヤマモミジは似ていて、見分け方は難しいと言えるでしょう。
しかし生息地がイロハモミジとは大きく違っています。ヤマモミジは、日本海側に生息しているもみじです。葉のギザギザにも特徴があります。ヤマモミジは大小さまざまなギザギザが並ぶのが大きな特徴です。
タムケヤマ(手向山)
タムケヤマというもみじは新芽が紅く、枝垂れの品種なので、ベニシダレ(紅枝垂れ)とも呼ばれています。葉の特徴として、一般のもみじより深い切り込みが入っています。
ノコギリのようなギザギザが特徴です。春に葉が紅葉して、枝垂れするので、非常に趣のある品種です。和風庭園におすすめのもみじだと言えるでしょう。
アオシダレモミジ(青枝垂れ紅葉)
このアオシダレモミジも、タムケヤマと同じように枝垂れの品種です。葉は一般的なもみじよりかなり低く、ギザギザも荒く、切れ込みも深いという特徴があります。アオシダレモミジの名前の通り、新芽の時期に美しい緑色をしています。
季節の移り変わりで徐々に色が濃くなり、秋になると黄色やオレンジ色に色づくもみじです。涼し気な風合いから、和風庭園にも人気です。
シギタツサワ(鴫立沢)
このシギタツサワは、あまり公園では見ない品種です。葉は淡い黄色がベースとなり、葉脈の部分だけ黄緑色より濃い緑色になります。
とても涼し気な外観で、味わい深い趣があります。とても人気のある個性的なもみじです。葉は春は淡い黄緑色で、秋にはオレンジ色や赤色に変化するので、四季を通じて楽しむことができます。
オオモミジの見分け方
次に特殊なもみじの種類の中で、オオモミジの見分け方について見ていきましょう。オオモミジの見分け方は、1つに葉の大きさがあります。イロハモミジと比べて、大きくてしっかりした葉をしています。
イロハモミジやヤマモミジと違う点は、鋸歯と呼ばれる葉の縁の切れ込みが細かく均一なところです。このように葉をよく見れば比較的簡単にに見分けることができます。
ノムラモミジ(野村紅葉)
ノムラモミジは春に赤い新芽を見ることができるもみじです。他の樹木が緑色の葉をつけるなかで、赤色の葉をつけるので、庭のアクセントにおすすめと言えます。
夏になると葉が徐々に緑色に変わってくるので、変化を楽しむこともできるもみじです。秋になると真っ赤な紅葉となります。江戸時代から存在する品種です。イロハモミジの園芸品種であるという説もあるもみじです。
ほかのカエデ類の種類
もみじはカエデはどう違うのでしょうか?もみじもカエデも、カエデ科カエデ属という点では同じです。通常は、葉の見た目で使い分けています。
葉の切れ込みが深いカエデのことを「○○モミジ」、葉の切れ込みが浅いカエデを「○○カエデ」と呼んでいます。 例えば「イロハモミジ」「ハウチワカエデ」といった呼び方になります。もみじの他に、有名なカエデ類の見分け方を見ていきましょう。
コハウチワカエデの見分け方
ほかのカエデ類の種類の1つ目は、コハウチワカエデ(小羽団扇楓)です。これに似たカエデにハウチワカエデがありますが、コハウチワカエデは樹木や葉が小さめな点が特徴です。羽団扇という名前の通り、天狗のうちわのような形をしています。
イロハモミジのようなギザギザと切れ込みが入っています。夏にはきれいな緑色になるという特徴があります。コハウチワカエデは秋になると、葉がきれいなグラデーションになります。
葉の中央は黄緑色のままで、外側に向けて黄色、オレンジ色、赤色と徐々に色が変化していきます。さまざまな色合いと濃淡が楽しめるので、夏から秋に鑑賞するのにおすすめのカエデです。
サトウカエデの見分け方
ほかのカエデ類の種類の2つ目は、サトウカエデです。サトウカエデは砂糖楓と書くように、メープルシロップが取れることに由来しています。
カナダの国旗に描かれたカエデが、このカエデです。夏には美しい緑色に、秋には黄色、オレンジ色、赤色に紅葉していきます。1枚の葉の中でさまざまな色のグラデーションを楽しむことができます。
イタヤカエデの見分け方
ほかのカエデ類の種類の3つ目は、イタヤカエデです。イタヤカエデはギザギザがないのが大きな特徴です。いっぽうで切れ込みの深さや数が様々でもあり、非常に種類が豊富なカエデです。
公園などでよく見かけるので、カエデといえばこの種類のカエデを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?葉は夏には緑色で、秋に美しい黄色に色づきます。鮮やかな黄色い葉が、星のように見えて、秋空にとても映えるカエデです。
トウカエデの見分け方
ほかのカエデ類の種類の4つ目は、トウカエデです。トウカエデは唐楓と書く通り、中国原産の樹木で、江戸時代に日本にやって来ました。葉は夏には緑色で、秋にはオレンジ色、黄色、赤色に紅葉します。
その樹木が生息している環境や気候によって、様々な色合いやグラデーションに変化していきます。トウカエデには斑紋のある品種もあります。夏には爽やかで、一味違ったカエデの美しさを味わうことができます。
楓類の見分け方
カエデ類はどのような見分け方をしていけばいいのでしょうか?まず、葉のギザギザや紅葉する時期による見分け方があります。その他に、枝のつき方が葉の色に個性があるもみじやカエデがあります。
春もみじと言われるタムケヤマやアオシダレモミジは、枝垂れのとても風流な枝ぶりの品種です。サンゴカクは冬に枝が赤くなり、一風変わった雰囲気を楽しむことができます。
もみじの育て方
もみじは種類が多く、とても生命力の強い樹木です。美しい見た目は四季を通じて楽しむことができます。そのため、庭木として栽培されることも多いです。また、簡単に育てられる樹木であると言えるでしょう。
あなたの家庭でも、もみじを育ててみませんか?秋の紅葉を楽しむ、もみじの育て方を紹介します。庭にもみじが1本あると、庭を眺めるのが楽しみになるでしょう。
植える場所
もみじの育て方の第一段階として、もみじを植える場所について見ていきましょう。もみじは一般に温かい場所を好みます。しかし、直射日光を浴び過ぎてしまうと、葉が焼けてしまい、最悪の場合は枯れてしまう恐れがあります。
そのため、もみじを植える場所は、日が少し当たる日陰がいいとされています。もみじは成長すると10メートル以上になります。庭にスペースがあるのなら、地植えがおすすめです。しかし、スペースがない場合でも、鉢植えでの育て方も楽しむことができます。
水あげの方法
もみじの育て方の第二段階として、水のやり方があります。もみじはとても乾燥に弱い樹木です。そのため、常に土が潤っている状態の場所に植えましょう。地植えの場合は、雨水から水分を吸収するので、特に問題はありません。
しかし、夏場に土が乾燥してしまう季節は、注意深く様子を見てあげましょう。鉢植えでもみじを植える場合は、1日1回、土が乾く前に水があふれるくらいたっぷりあげましょう。
夏場は様子を見ながら、1日2回、水をあげてもいいでしょう。もみじは水をたっぷり吸収します。水切れが起きないように乾燥に注意をした育て方をしましょう。
肥料の与え方
もみじの育て方では、水やりと同じくらい、肥料のあげ方が重要です。もみじは2月頃に肥料を与える育て方をしましょう。2月にあげることで、4月から5月にかけての花のつきを助けてくれます。
木を大きくしたいと考える場合は、成長期の4月、葉が紅葉する9月に与えるといいでしょう。肥料は有機肥料の油粕や、発酵鶏糞がおすすめです。しかし株に近づけて与えると、根腐れを起こしてしまいます。肥料をあげる時は株から少し離した育て方をしましょう。
剪定時期と方法
もみじの育て方の最後の段階は、剪定時期と方法です。もみじの育て方として、11月から12月にかけての葉が落ちる頃に行うのが適切です。剪定という作業は、植物にとって負担のかかる作業です。時期を間違えた育て方をしてしまうと、葉がつきにくくなってしまいます。
葉や枝が重なっている部分を中心に、手で折っていく剪定の仕方をしましょう。太くて硬い部分はハサミを使いましょう。しかしハサミを使うと、樹液が出やすくなり、そこから菌が入って病気になりやすくなります。やさしく扱うようにしましょう。
もみじの色と種類の見分け方
カエデやもみじと言えば、葉が色づく秋を連想する人も多いことでしょう。しかし、もみじは春の芽出しの頃も美しいので、ぜひ鑑賞して欲しいものです。もみじの中でも特に新芽が美しいもみじを、「春もみじ」と呼びます。
一般に、夏のモミジの葉は緑だと言われています。しかし新芽から赤いもみじもあります。また、新芽が黄色に赤の縁取りのもみじもあります。
さらに、葉に斑紋が入ったもみじもあります。こうしたもみじの葉の色から見る種類について見ていきましょう。あなたの庭に似合う、最高のもみじを見つけてください。
特徴的な赤色の種類
まず、新芽が赤く美しいもみじの種類について見ていきましょう。イロハモミジの種類の中で先述したデショウジョウは、春の新芽が真っ赤で美しいもみじです。夏には緑色に変わります。成長がとても速く、節間が伸びやすい特徴があります。
盆栽によく仕立てられます。千染(ちしお)という名のもみじは、デショウジョウよりわずかに黄色の新芽をつけます。葉が小さく枝が横に張るので、盆栽に向く種類だと言われています。
紅セイガイも盆栽に向く、葉の切れ込みが深いもみじです。その他デショウジョウによく似た清玄という種類もあります。
新緑が美しい春もみじの種類
春もみじは、春に紅葉する品種です。有名な品種はノムラモミジなどです。春は芽吹きの季節なので、庭や公園にもみじがあると、黄緑色の美しい景色が広がります。しかし、春もみじの場合、赤色の新芽をつけます。
庭には新緑が広がる中で、春もみじがあると、赤い新芽が非常によく目立ち、庭や風景のいいアクセントになるでしょう。さらに、赤色と緑色は、お互いを引き立て合う色でもあります。
新緑の中で色鮮やかな景色を生み出す春もみじは、昔からとても人気のある品種です。春もみじの中には、カツラやオレンジドームといった品種には、新芽が黄色に赤い縁取りがあるものもあります。美しい葉をつけるため、盆栽にも人気の春もみじです。
斑入りもみじの種類
葉が美しい春もみじの中には、葉に斑紋が出る美しいもみじもあります。「鶴の舞」や「胡蝶の舞」といった品種のもみじは、赤と黄色の斑紋がきれいに出るもみじとして有名です。別名、斑紅葉(むらもみじ)とも言います。
葉の出始めは緑色ですが、葉が大きくなるにつれて、黄色くなっていきます。夏には緑が強くなります。春の5月頃は特に美しいのが、斑紅葉の特徴と言えるでしょう。
もみじの種類・品種の見分け方は様々な方法がある
身近にある、もみじという樹木には、実は様々な種類があります。秋の紅葉だけでなく、春から紅い葉になる春もみじもあります。庭木や盆栽として、古くから親しまれてきたもみじですが、調べてみると非常に奥深い世界です。もみじについて深く知り、色合いを楽しみましょう。