土地の相続税はいくら?評価額の計算方法や対策の仕方もわかりやすく解説!

土地の相続税はいくら?評価額の計算方法や対策の仕方もわかりやすく解説!

日本では土地を相続すると、相続税がかかります。ここでは相続税の決め方である土地の評価額に対する計算方法の種類をはじめ、相続税の税金対策、特例など基本的知識から実践で使える内容を解説していきます。しっかり勉強し、適切な土地の相続税が判断できるようにしましょう。

記事の目次

  1. 1.土地の相続税の決め方
  2. 2.土地の相続税の計算方法
  3. 3.土地の相続税の控除
  4. 4.土地の相続税の特例
  5. 5.土地の相続税の対策
  6. 6.土地を有効活用して相続税対策
  7. 7.土地の相続税を知って対策を考えよう!

土地の相続税の決め方

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土地を相続した場合、相続税が発生します。相続税とは、親や配偶者など亡くなった人(被相続人)の遺産を受け継ぐ際に、その遺産総額にかかる税金のことです。その遺産の中に土地が含まれていた場合、土地も相続税の対象となります。相続した土地の評価額はいくらなのでしょうか。

土地の相続税の計算方法は大きく分けて2つあり、ここではそれぞれの土地の評価額の計算方法について詳しく解説していきます。

相続評価額を決める

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相続税を計算するためには財産の価値、つまり相続評価額が分からなければなりません。預貯金や土地、建物などの財産を評価した相続評価額を決める必要があります。土地の相続税の評価額の計算方法には路線方式評価と倍率方式評価の2種類があります。どちらの計算方法を適用するかは、相続した土地の所在地によって決まります。

①路線評価方式

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路線評価方式とは、国税庁が定める路線価という数値を使って土地を評価する方法です。路線価地域と呼ばれる場所に土地があれば路線価方式を適用します。路線価は主に市街地の宅地が対象となっており、すべての土地に路線価があるわけではありません。路線価は国税庁が毎年7月の頭にその年のものが発表します。国庁のホームページから確認が出来ます。

②倍率方式

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倍率方式とは、固定資産税に一定の倍率をかけて評価額を算出するのが倍率方式です。倍率方式で土地を評価するには、固定資産税の課税明細書が必要になります。課税明細書は、毎年4月頃に送られてくる固定資産税の納税通知書に同封されています。相続した土地の倍率を調べるには国税庁のホームページから、確認出来ます。

相続税はいくらからかかるのか調査!仕組みや計算方法などまとめて解説! | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
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土地の相続税の計算方法

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土地の相続税は、土地にかかる相続分だけ税金を払えばよいというものではありません。相続税の対象となる土地、預貯金、生命保険などすべての遺産総額を決定した後に、遺産総額に応じて税率がかけられます。ここでは順を追って、土地の相続税の計算方法を説明していきます。

遺産総額の概算を算出

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まずは遺産総額の概算を算出する必要があります。他にも細かい遺産がありますが、大きく分けて3つの遺産の総額を計算します。土地の価格、預貯金、生命保険の3つの遺産が基準になります。これらの遺産を全て合算したらおおよその遺産総額は算出されます。ここでそれぞれの遺産の計算方法を解説していきます。

土地の価格

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土地の価格の概算ですが、毎年4月頃に送られてくる固定資産税評価明細書に記載されている土地価額を1.14倍にした価格が土地の相続税評価額の概算になります。なぜ1.14倍にする必要があるかといいますと、土地の固定資産税評価額というのは時価の70%程度に設定されています。

そして土地の相続税評価額は時価の80%程度に設定されているため、固定資産税評価額の約1.14倍にする事で帳尻が合います。

預貯金

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預貯金の対象となるのは、銀行に預けている預金や家にある現金の総額になります。被相続人の方が複数の口座を持っているという事は珍しくはなく、家族に内緒の銀行口座を持っているという事もあります。被相続人の銀行口座が他にもある事を知らず、相続税を申告し、後日発覚してしまうと延滞税が発生してしまう恐れもあるので注意しましょう。

生命保険

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生命保険は、被保険者(被相続人)が保険料を支払う代わりに、被保険者が亡くなった時に保険金を受け取れるという内容の保険のことです。生命保険は、法律上は原則相続財産に含まれませんが、相続税を算出する場合においてはみなし相続財産として相続財産に含まれることになります。

相続税の計算方法は共通

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相続税の計算と考えると、複雑に考えてしまいガチですが、コツを抑えてしまえばどなたでも計算出来ます。実際の遺産分割をどうするかに関係なく、遺産総額や法定相続人の数・法定相続分を用いて算出する仕組みになっています。

次からは相続税の税金対策の1つである控除について説明していきます。これを知る事で、税金を最小限に抑えましょう。

土地の相続税の控除

相続する遺産が多いとそれに比例して支払う相続税も高くなります。相続税には相続人の状況に応じて適用される控除があります。控除を利用する事で、相続税の軽減する事や額によっては相続税の支払いが不要になります。無条件で相続税の控除から条件付きで控除の対象になるものなど、ここでは相続税の控除についてそれぞれ説明していきます。

①基礎控除

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相続税の基礎控除とは遺産総額に税率をかける等して相続税額を計算する前に遺産総額から差し引ける(控除)金額の事を指します。もし遺産総額が少額だった場合、相続税により遺族の生活が困窮する恐れがあるので、それを防ぐための制度になります。

具体的な基礎控除額ですが、平成27年1月1日以降発生の相続については、3,000万円+600万円×法定相続人の人数が基礎控除額になります。

②贈与税額控除

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贈与税額控除を知る前にこちらのルールを知っておく必要があります。相続により財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けた財産がある場合、その贈与を受けた財産は相続税の計算上、相続財産として扱われます。

ここで贈与を受けた財産に贈与税を申告し納付している場合には、納めた贈与税額を今回の相続税から控除するというの贈与税学控除です。贈与税額控除は、このような場合、贈与と相続の時に二重で税金が発生してしまう事になります。

贈与税額控除は、生前に贈与受けた際に二重で税金が発生する事を防ぎ、相続人の負担が大きなるのを防ぐ制度になります。

③配偶者控除

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配偶者控除は、被相続人の配偶者だけが適用され、大幅に税額が軽減される特例制度です。その内容は、 相続した財産が法定相続分か1億6000万円のいずれか大きい方の金額を差し引いて、残った金額にのみ課税するという制度です。

気をつけなければならない点は、1億6000万円までは税金を払わなくても良いという制度ですが、相続税の申告しなければなりません。配偶者が相続した遺産が分かる書類なども添付する必要があります。

④未成年者控除

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未成年者控除とは、相続人が未成年だった場合に相続税の税金が一定額、軽減される特例制度です。相続人の年齢が低いほど、税金が軽減される制度で10万円×(20-相続時の満年齢)が控除額となります。

未成年者控除によって、控除額が上回った場合は、その上回った控除分を他の相続人に分ける事が出来ます。分ける事が出来る相続人は原則、父母、祖父母、兄弟姉妹などの扶養義務者である事です。

⑤障碍者控除

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障碍者控除とは相続人が障碍者だった場合に適用される相続税の税金が一定額、軽減される特例制度です。お持ちの障碍によって、一般障碍者と特別障碍者の2種類に定められており、特別障碍者の方が障碍の程度が重いため、それに比例して控除額が大きくなります。

一般障碍者は満85歳になるまでの年数1年につき10万円が控除されます。特別障碍者は満85歳になるまでの年数1年につき20万円が控除されます。

障碍者控除も未成年者控除と同じく、控除額が上回った場合は、その上回った控除分を他の相続人に分ける事が出来ます。分ける事が出来る相続人は原則、父母、祖父母、兄弟姉妹などの扶養義務者である事です。扶養義務者は障碍者である必要はありません。

⑥相次相続控除

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相次相続控除は、被相続人が過去10年以内に別の相続や遺贈で財産を取得し相続税を支払っていた場合、過去に被相続人が支払った相続税の一定額を今回の相続税から控除でき、税金が軽減される特例制度です。10年以内に連続して相続が発生した場合、同じ財産に対して二重で相続税が課税されてしまう可能性が高いので、この様な特例制度が設けられています。

控除額の計算方法は、被相続人が前回支払った相続税額×1-(前回から今回までの経過年数×10%)です。この特例制度は、申告して初めて適用される制度です。相続税対策の1つですので、もし相次相続の可能性がある場合は、忘れずに申告しましょう。

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土地の相続税の特例

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宅地を所有している方がなくなった場合、遺族の方はその土地を相続する権利があります。東京などの都市部では、土地の評価額が高く、納める相続税も高くなります。相続税が重くのしかかり現在住んでいる家を手放さなければならない可能性もあります。そうならない様にこれからご紹介する小規模宅地等の特例を利用する事で相続税対策になります。

小規模宅地等の特例

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小規模宅地等の特例とは、被相続人の自宅の土地や、被相続人の事業に使っていた土地を相続する場合に、条件を満たせば、相続税を計算する際の土地の評価額を最大80%引きにしてくれる特例制度です。小規模と付きますので、330平方mまでの土地が対象です。土地の用途によって異なります。

ここでは小規模宅地等の特例に当てはまる多いケースについてご紹介していきます。しっかり相続税対策をしていきましょう。

被相続人が住んでいた宅地

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被相続人が住んでいた宅地が特例の要件を満たすにはいくつか条件があります。宅地を被相続人の配偶者が相続する場合には、無条件で特例の適用が受けられます。被相続人と生前から同居している子が相続する場合は、被相続人が死亡後10ヵ月まで居住を続けられていれば特例の適用が受けられます。死亡後10ヵ月以内に売却してしまうと適用が受けられません。

被相続人が住んでいた宅地に誰も住んでいなかった場合でも適用される条件があります。別居していた相続人が適用を受ける場合は、3年以上、自分の持ち家に住んでいない事が条件になります。マイホームを持っていない人向けの相続税対策です。

被相続人と親族が住んでいた宅地

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被相続人と親族が住んでいた宅地については、今回の相続人が被相続人と生計を共にしていた親族である事で、特定居住用宅地として要件を満たし、330平方mまでは評価額の80%軽減の特例の適用が受けられます。親族は配偶者、3親等内の姻族及び六親等内の血族であればよく、相続人である必要はありません。

土地の相続税の対策

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土地を相続しても現在、お住いの地域から離れていたり、違う国に住んでる事も考えられます。その場合は、相続した土地を売却するという事を選択肢に入れましょう。土地を保有しているだけで固定資産税や土地計画税が毎年課税されます。相続した土地の売却に関する税金の優遇措置もあります。

土地の売却

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土地の相続税対策の1つに売却するという手があります。土地を査定してもらい、査定額よりも高く売却出来る場合は、売却した方がお得です。相続税の取得費加算の特例というものがあり、相続をしてから3年10カ月以内の売却であることが必須条件です。

取得費加算の特例とは、土地などの財産を売却した時に得られる譲渡所得を計算する際に、支払った相続税の一部を取得費に加算でき譲渡所得の金額を軽減させ、支払う税金を下げられます。時間はかかりますが、土地の売却も相続税対策の1つです。

土地を有効活用して相続税対策

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ここまでで各控除や特例制度、土地を売却した場合などの相続税対策について、簡単にまとめてきました。他にも土地を相続した場合の相続税対策があります。土地活用で相続税評価額を下げる方法が3つありますので、ここでは簡単にその3つの相続税対策についてご紹介していきます。

相続した土地に建築物を新築する

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相続した土地と現金を活用し、建築物を新築します。現金を相続した場合、現金は節税出来ないので評価額100%となります。そこで現金を活用し建築物を新築します。一般的に建物の評価額は、建築物に対してかけた金額の50%〜60%になります。建築物を新築する事で約40%〜50%の節税効果になります。

新築した建築物を貸家にする

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上記で新築した建築物を貸家にする事で、さらに評価額を下げる事で出来、相続税対策になります。建築物を人に貸していた場合は、借家権も相続の対象です。借家権割合は一律で30%と定められているため、建物に対して30%減の評価額になります。約40%〜50%の評価が適用され、そこからさらに30%減の評価額になります。

相続した土地を貸家建付地にする

貸家建付地とは、自己所有の土地に賃貸用のアパートやマンションを建て、第三者に貸している場合の土地のことを指します。どのくらいの節税効果が見込めるかと言いますと、相続した土地の借地権割合にもよりますが、仮に平均の70%とし、借家権割合は一律で30%です。借地権割合×借家権割合が評価額減の数字となり、21%の節税になります。

土地の相続税を知って対策を考えよう!

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土地に関する相続税対策に特化して、説明させていただきました。土地は保持してるだけでもコストがかかり、希望通りの値段で売却出来ないなどの悩みの種もいくつかありますが、あらかじめ土地の相続税に対しての知識があれば、対処出来る問題です。

平成27年に相続税法が改正したばかりですが、今後も改正があるかもしれません。その都度、情報をアップデートし、出来る事は事前に対策を打ちましょう。

Su-
ライター

Su-

香港と日本を行き来しているライターです。国内、海外で培った経験を活かして読者の方に色々な情報をお伝え出来ればと思います。

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