和綴じってなに?製本の手順や綴じ方やおすすめの糸の種類までご紹介!

和綴じってなに?製本の手順や綴じ方やおすすめの糸の種類までご紹介!

皆さんは和綴じというものをご存知ですか?和綴じとは製本のやり方のことです。基本のやり方を覚えることで、誰でも簡単に製本することができます。おしゃれなものや可愛いものなど、いろいろな種類の綴じ方をすることもできます。ぜひ覚えてオリジナルの本を作りましょう。

記事の目次

  1. 1.和綴じの四つ目綴じの綴じ方とやり方・手順
  2. 2.和綴じの三つ目綴じの綴じ方とやり方・手順
  3. 3.和綴じにおすすめの糸の種類
  4. 4.和綴じの製本のコツ
  5. 5.手作り和綴じの本をおしゃれにする方法
  6. 6.和綴じはコツさえつかめば自作できる!

和綴じの四つ目綴じの綴じ方とやり方・手順

Photo by yoco**

日本独特の製本の方法である「和綴じ」の中で最も一般的なものが四つ目綴じです。古来日本に存在するもので、用意しなければいけない材料が少なく、「針」と「糸」と「和紙」だけで手作りの本を作ることができます。

今の若者で名前を知っている人は少なくなりましたが、完成品の模様などは見たことのある人も多くいるのではないでしょうか。見た目とは反して作り方はは比較的簡単に作れてしまい、温もりが感じられると、和綴じの中でも最も広く親しまれています。

まずは基礎とも言える四つ目綴じを習得しましょう。様々な種類の和綴じを行う上で基礎ができれば、作れる幅が広がります。

基本の四つ目綴じの特徴

これから行うのは四つ目綴じです。和綴じ製本を手作りで行う際の基本になりますので、出来るようになるまで何度も練習をしましょう。

四つ目綴じの由来は、読んで字の如く4つの穴があることから呼ばれるようになり、様々な大きさの紙をまとめることが出来るので非常に優れた製本方法と言えます。また、本の大きさなどによっては穴の数を変えるやり方もあります。

多くの和綴じが四つ目綴じで行われていますし、このあとに紹介する和綴じでは必ず登場するやり方です。個性豊かな手作りの本を製本する為にもゆっくりといいので理解しながら進めて下さい。

基本の四つ目綴じの手順

手作りで行う和綴じ製本は、まず穴を開けるところから始まります。表と中の紙がずれないようにしっかりと合わせて、上下なども間違わないように確認しましょう。

まずは表紙の上から15mm内側に1つ穴を開け、下からも15mm内側に穴を開けて下さい。2つの穴の間を3等分に分けたところに2つ穴を開けます。穴を開ける時は曲がらないようにまっすぐに開けて下さい。

次は糸を針に通して綴じ付けに移ります。綴じ始めは紙の中心から針を表紙側に通します。次に本の背に糸を回しながら、背にある穴から針を表の穴へと通していきます。

そして出た針を隣の穴から背のほうへと通します。この時に糸によれがないかを確かめながら進めましょう。あとから直そうと思っても、なかなかうまくできないので気を付けて行いましょう。

次は背にある針を表へ通します。この時、糸のねじれに注意しながら行ってください。次に表の穴から挿し、背の方へと戻します。これで2本目の出来上がりとなります。

背から見て隣の穴へと糸を渡して、背から表へと針を戻します。あとはこの作業を繰り返し行い端まで行きます。同じ工程を繰り返し、始まりの位置まで戻ってくれば出来上がりです。いかがでしたか?思いのほか簡単だったのではないでしょうか。

康煕の綴じ方の特徴

2つ目の手作りの和綴じ製本は康煕綴じになります。この和綴じは中国清朝の康煕帝が広めた和綴じの手法だと言われています。四つ目綴じの角きれの部分に糸を縦横に掛けたもので、角がめくれないように丈夫にすることと、本に装飾を施すことを目的としたやり方です。

手作りで製本をする際に、大事な本を長持ちさせるためにも少しの手間が加わるだけで全然違うので、ぜひ康煕綴じにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

康煕の綴じ方の手順

康煕綴じは両方の角に補強と装飾の為に行う手法です。まずは四つ目綴じと同じ要領で4つの穴を開け、角に開けた穴の縦横1.5cm角の中央に上と下に1か所ずつ穴を開けます。

今までと同様のやり方で糸を通していきます。順番に作業を行い端まできたら、上にある針を新しく開けた穴から下へ向かって通します。糸を本の背を回して、また上から下へと糸を通します。次は本の横を回して上から下へと針を通すのですが、この時にゆるかったりしないように気を付けましょう。

これで角の強度を増すことができます。表と裏が同じ軌道で糸が通るようにして下さい。そして、四つ目綴じのやり方で反対の角まで綴じます。角は縦横に糸を回し、始めの位置まで戻ってくれば康煕綴じの出来上がりです。

亀甲の綴じ方の特徴

次の和綴じ製本は亀甲綴じです。名前の由来は、その装飾が亀の甲羅に見えることから呼ばれるようになったと言われています。

特徴は開ける穴同士の間隔が今までと違い、狭くなってしまうで、使用する紙の種類によっては破れてしまう可能性もあります。ですから厚手のものなど、しっかりとした紙を用意するようにしましょう。

今回は開ける穴が三角形になるようにします。配置のバランスは、正三角形でも、二等辺三角形でもどちらでも大丈夫です。自分の好みの形でけっこうですので、丁寧に行ってください。

ただし、強度の面では二等辺三角形にした方が本が丈夫になるので、色々な装飾を加えたいと思うかもしれませんが、初めのうちは二等辺三角形にしたほうが良いでしょう。

亀甲の綴じ方の手順

手順は、まず今までと同じように穴を4か所開けます。そして、背側に等間隔に穴を2つ加えて三角形にします。今までと同様に背の方から針を通して下さい。そしてその針を背に回し、また表へと針を通していきます。

新しく開けたほうの穴の片方に表から針を通します。そしてまた背を回し、同じ穴の表から裏へと針を通していきます。次に下の方から出ている針を中央にある穴から表へと戻します。針が表側の中央の穴から出ていれば成功です。

もう片方の穴も同様のやり方で綴じてください。模様が亀の甲羅のようになっていればOKです。同じ工程を繰り返し、端までくれば完成します。ひと手間加えることで、また違った味のある作品が作れますので、ひとつひとつの作業を丁寧に作ることを心がけましょう。

麻の葉の綴じ方の特徴

次の和綴じのご紹介に移ります。名称は麻の葉綴じと呼ばれており、綴じあがった糸の模様が麻の葉に見えるので呼ばれるようになったと言われています。麻の葉綴じは優雅な装飾の綴じ方なので、ぜひチャレンジしてみて下さい。

麻の葉綴じは、今までに行ってきた和綴じの応用です。手作りで製本を行う人の多くが麻の葉綴じを使っています。その理由としては見た目が美しいのもありますが、大事な本を長持ちさせたいという気持ちの表れではないでしょうか。

麻の葉の綴じ方の手順

それでは麻の葉綴じにチャレンジしましょう。手順はまず今までと同様に穴を4つ開けます。その穴の間に5つの穴を追加します。端の穴と中央の穴との間隔のズレが気になる時は、穴を開ける時に調節して等間隔に穴を開けましょう。

まず康煕綴じに仕上げて行うのが一般的なやり方です。まず今までと同じ要領で綴じていきます。表に出てきた針を隣の穴から下へと通し、下の糸を背を回して上の方へと移動させます。そして先ほどと同じ穴に上から通し、背表紙にある針を隣の穴へ通します。

そして表側へと移動させ、中央の穴へ通します。次に背側へと返し、さらに隣の穴へ戻すことで斜めの糸ができます。それを次の穴へ移動させ完成です。行ったり来たりが多くなるので、分かりづらい時などは写真をみながらキレイにできるように頑張りましょう。

和綴じの三つ目綴じの綴じ方とやり方・手順

次に紹介するのは三つ目綴じと大福帳綴じです。これらの和綴じは作業スペースが小さく、今まで紹介してきた方法ではやりづらいような、小さいサイズの本やメモ帳を製本する時などに使う和綴じのやり方になります。これまでとほぼ同じ要領で穴の数が違うだけなので、簡単にできるはずです。

基本の三つ目綴じの特徴

名前の由来は、その名の通り穴の数が3つなので三つ目綴じと呼ばれています。穴を4つ開けるスペースが確保しづらい場合や小さいメモ帳や手帳などを仕立てる際に向いていると言えるでしょう。三つ目綴じはとても簡単で比較的作業時間も短いので、練習用にも向いていると言えるのではないでしょうか。

基本の三つ目綴じの手順

穴はこれまでと同じように紙の端から15mmほど内側に1つ、反対側の端からも15mmのところに1つ、そして両端の穴の中間に1つ穴を開けます。この後は今までと同じ要領で綴じます。和綴じの優れている点は、大きいものから小さいものまで、どんなサイズの本でも製本ができるところではないでしょうか。

大福帳綴じの特徴

大福帳綴じです。これまで紹介してきた中で1番小さな本やメモ帳などを製本する場合に使われる製法で、穴が2つしかありません。

大福帳とは時代劇などで商人が使っているメモ帳のことで、よく腰からぶら下げている帳簿などを見かけますよね。その製法として使われていたことから大福帳綴じと呼ばれるようになったと言われています。

大福帳綴じび手順

大福帳綴じのやり方は、穴が2つなので非常に簡単です。手順は四つ目綴じの両端のやり方を行うことで作れます。まず、等間隔に2つの穴を開けます。そして、表から裏へと針を通し背を渡して表に戻り、また表から針を通します。これまでと同じ要領で2つの穴に糸を通すだけで仕立てることができます。

和綴じにおすすめの糸の種類

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和綴じで製本する場合、どんな糸を使うかが非常に重要になります。長く使い続ける為にはしっかりとした糸で和綴じを行いましょう。

和綴じに使う糸で市販されているものは絹糸か麻糸が多く販売されています。練習の場合には詩集糸でも代用はききますが、本は日常的に開いたり閉じたりを繰り返すので、しっかりとした撚り(より)の強いものを使用するように心がけましょう。

ボタン付け糸

Photo by senov

和綴じを手作りする際におすすめする糸はボタン付け糸です。和綴じを手作りで行う場合、製本用の絹糸はある程度の値段がします。安価に済ませたい時や、近所で手に入らないなどの場合はボタン付け糸を代用品として使うこともできます。

手縫い糸の中では撚りが強く、強度も高いのでおすすめです。商品もほとんどの手芸店で取り扱っていますので、取り組みやすいのではないでしょうか。

絹糸

和綴じにおすすめの糸の2つ目は絹糸です。絹糸のメリットは保湿性や吸湿性、通気性に優れた素材です。染色性もいいので、美しい色合いを楽しむことができます。肌触りもよく重量も軽いので、和綴じに向いている糸と言えるでしょう。

しかし絹糸は日光に弱いので、耐久性や耐候性に欠けていると言えます。また絹糸はタンパク質が含まれているので、熱に弱く黄ばみやすく虫に食われやすいというデメリットがあります。高価で仕上がりが良い分、管理やお手入れに手間がかかってしまいます。

縄紐

和綴じにおすすめの糸の3つ目は縄紐です。縄紐は強度は申し分なく、非常に頑丈と言えます。また縄紐は様々な種類のものがあり、装飾をする場合によく使われています。手作りで製本する場合にオリジナリティを出すために使う方が多いのが縄紐であると言えるでしょう。

麻糸

和綴じにおすすめの糸の4つ目は麻糸です。麻糸はとても強度に優れている素材です。また濡れると強度が増すという綿と同じ性質を持っています。通気性や吸水性に優れ、光沢があるので高級感もあります。

麻糸は価格も安く手に入りやすいというところも嬉しいところです。しかし麻の種類によってはチクチクするものもありますし、毛羽立ちやすくカビやすいと言った難点もあります。

和綴じの製本のコツ

和綴じは趣がありとても日本人に合っている製本の方法です。本棚にあるだけで心が和むことでしょう。和綴じは途中でやり直したり、前の工程に戻るのが大変な製本の方法です。コツをちゃんと覚えて、やり直しなどをする必要のないキレイな製本ができるように頑張りましょう。

糸をピンと張る

和綴じの製本をする上で、糸をピンと張ることがとても重要です。緩んでしまうと、製本が終わってから本がばらけたりして本の傷みの原因にもなります。あとから糸を締めなおすこともできないので、針を動かすたびに糸がピンと張ったことを確認しながら、1つ1つ丁寧に綴じていきましょう。

目打ちをした後に針を通す

和綴じ製本の2つ目のコツは初めから針を通すのではなく、まずは目打ちをしてから針を通すことです。目打ちを始めに行うことによって、開ける穴のズレを防ぐことができます。目打ちをせずに針で穴を開けようと思っても、厚みがあるのでなかなか穴を開けることができずに穴がズレたり、ケガをする危険性もあります。

題せんを張る位置に気をつける

和綴じ製本の続いてのコツは題せんを貼る位置に気を付けることです。題せんの配置は本の上から3mm、横からも3mmのスペースを開けて貼ります。また、題せんの幅は3cmほどで長さは天地の2/3にすると見た目がよく、タイトルが読みやすい題せんを作ることができます。

手作り和綴じの本をおしゃれにする方法

和綴じは、古くから日本に伝わる製本の手法です。綴じ方の自由度が高いので、オリジナリティ溢れる作品を作りやすいのも魅力ではないでしょうか。昔と違って今は便利な道具や、材料も豊富に揃っています。基本の綴じ方を工夫することで自分だけの本を作ることができます。

これから手作りの和綴じをおしゃれにする方法を紹介します。使用する素材や模様などによっては洋風に仕立てることもできます。いろいろな材料を使って手作りの和綴じ製本にチャレンジしてみましょう。

直線でモチーフを工夫する

和綴じで製本をする際の1つ目のアレンジ方法は、直線を活かしてモチーフなどを工夫する方法です。麻の葉綴じのやり方からも分かって頂けるかと思いますが、穴を開ける場所だったり、糸を通す順番などを工夫することによって、様々なモチーフをアレンジすることができるようになります。

五芒星などの幾何学的なモチーフなどは非常に作りやすくなっています。その他にも様々なアレンジを加えることができます。また、穴の部分にリング状のシールなどを貼ることでアクセントとなるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

自作の栞紐を使う

和綴じで制作する手作りの製本2つ目のアレンジ方法とは、自分で作った栞紐を使うということです。編み込んで組紐やミサンガのように作ってみたり、ビーズなどの装飾を付けたりすることで個性あふれる和綴じを作ることができます。

栞紐がついていると、本がとてもおしゃれに見えます。また、栞は糸だけでなく折り紙でも作れますので、色々と工夫してみて下さい。

表紙を工夫する

和綴じ製本のアレンジ方法の3つ目は、表紙を工夫する方法です。表紙の素材を和紙や厚紙などに変えることでガラッと雰囲気が変わります。また、布表紙にすることで刺繍を入れることもできます。和柄にしてもよいのですが、洋風の刺繍を入れることでまた雰囲気を変えることができます。

【刺繍】ステッチのやり方!初心者でもできる基本の刺し方を紹介!のイメージ
【刺繍】ステッチのやり方!初心者でもできる基本の刺し方を紹介!
刺繍は日常的なものをアートに変えてくれます。基本のステッチも初心者には難しいものではないので、あなたの手仕事に刺繍を取り入れてみましょう。刺繍糸には美しいカラーバリエーションが揃っていますので、ステッチを変えながら刺繍することに夢中になれるでしょう。

和綴じはコツさえつかめば自作できる!

Photo byGadini

和綴じの製本の手順などをご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。きっと見た目と違って、思いのほか簡単だったのではないでしょうか。和綴じは、日本古来の製本の方法ですが、アレンジ次第では洋風にすることもできます。

和綴じの製本は準備するものも少なく、簡単に取り組むことができます。基本となる四つ目綴じさえ覚えてしまえば色々な装飾を加えることもできます。これを機に自分好みの本を手作りしてみてはいかがでしょうか。

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ライター

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現在、調理士として働く4児の親です。日々子供たちから学ぶことが多く、まだまだ未熟であることを痛感させたれています。毎日が戦争のような生活を送っていますが、子供たちの笑顔を見ることで明日への活力を貰っています。これまで、調理以外にも営業や製造、事務など様々な職業を経験してきました。その経験を活かしながら、また日々勉強を続け、皆さんのお役に立てられるように頑張ります。

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