ドルコスト平均法を分かりやすく解説!メリット・デメリットや活用法は?

ドルコスト平均法を分かりやすく解説!メリット・デメリットや活用法は?

この記事では、投資手法の1つである「ドルコスト平均法」について紹介します。投資を始めるにあたって基本的な手法であるため、すでに聞いたことがある人もおられるかもしれませんが、ドルコスト平均法の考え方の紹介と、メリット・デメリットをわかりやすく説明していきます。

記事の目次

  1. 1.ドルコスト平均法とは?
  2. 2.ドルコスト平均法で投資を始めてみよう
  3. 3.ドルコスト平均法のメリットをわかりやすく解説!
  4. 4.ドルコスト平均法のデメリットをわかりやすく解説!
  5. 5.ドルコスト平均法でもリスクヘッジは重要
  6. 6.デメリットをなくす方法をわかりやすく解説!
  7. 7.ドルコスト平均法は中・長期的には安定する投資法だが最低限の知識を持って臨もう

ドルコスト平均法とは?

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この記事では、投資手法の1つである「ドルコスト平均法」について紹介します。投資を始めるにあたって基本的な手法であるため、すでに聞いたことがある人もおられるかもしれませんが、考え方の紹介と、メリット・デメリットをわかりやすく説明します。

加えて、ドルコスト平均法が「有利」だとか「安全」だという意見は気休め程度で受け取るべき理由も説明します。

ドルコスト平均法は低リスクの投資法

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ドルコスト平均法とは、毎日や毎週といった「定期的かつ継続的に一定金額の金融商品を購入する投資手法」です。ポイントは「定期的」と「一定金額」です。金融商品を購入する場合、購入時期によって値段の上下が発生します。安い時に買えれば良いですが、問題は「今が安い時なのか」ということが素人には判断できません。

「定期的」に、例えば毎日のように購入すれば、値段が高い時もあれば安い時もあるため、いつが買い時か、ということに頭を悩ます必要がなくなります。

また、「一定金額」を購入することで、金融商品の金額が高いときは少なく、安いときは多く購入することになります。これによって、購入単価を平準化し、いわゆる高値づかみを回避することが可能になります。

ドルコスト平均法で投資を始めてみよう

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では、ドルコスト平均法で投資を始めるにはどうすれば良いでしょうか。銀行によっては株式や投資信託を購入できるところもありますが、せっかくの機会ですのでぜひ証券会社にて口座を作ることをオススメします。

投資をしていくにつれて、株式だけでなく投資信託やETF、REIT等を買いたいと思うことがあるかもしれません。そういった場合に、証券口座があれば大抵の金融商品を購入することができますので、後悔しないようにするためにも、証券会社で口座を作ることをオススメします。

また、ドルコスト平均法による投資は、NISAでの投資と非常に相性が良いです。「NISAって何?」という方のために、簡単にNISAについてもわかりやすく説明いたします。

NISAって何?今更聞けない制度をわかりやすく解説

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通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。NISAは、「NISA口座」内において、毎年一定金額の範囲で購入した金融商品を売却した利益や配当が非課税になる制度です。

イギリスのISAをモデルにした日本版ISAとして、NISA(Nippon Individual Savings Account)と呼ばれています。

わかりやすく例を挙げると、A社の株を100万円で購入し、150万円で売却すると、50万円の利益が出ます。これを非NISA口座で売買すると、50万円の約20%=10万円を税金として納める必要があります。しかし、NISA口座で売買すると、非課税となるため、10万円を納める必要はありません。

投資法の分類

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次に、投資法の分類について説明します。ここでは「分散投資」と「長期投資」についてわかりやすく説明します。どちらの方法も個人が投資をする上で必ず必要となる知識ですので、ぜひ覚えてください。

投資法自体にはもっと多くの種類がありますので、基本を抑えた後は、自分のスタイルに合った投資法がないか、勉強すると良いと思います。

分散投資

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分散投資とは、投資する資金をいくつかのものに分散することで、リスクを分散する投資法です。ある会社の株のみを購入した場合、その会社が倒産すれば株は紙くずとなりますし、倒産しなくとも何か不祥事や問題があれば、株価は暴落し、株主に大きな損失が発生します。

このような事態を避けるために、投資先を複数に分散して、ある投資先で損失を被っても、他の投資先で利益が出ていれば相殺することができ、大きな損失を避けることが可能となります。

分散投資では、投資先を分散するだけではなく、投資する時間を分散する(ドルコスト平均法と似た考え方)、投資する商品を分散する(株式だけではなく債権や投資信託など)といった考え方もあります。

長期投資

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長期投資とは、長いスパン(1年などではなく、5年10年やそれ以上)での値上がりを期待して、ある金融商品を購入する方法です。

たとえばわかりやすく例を挙げると、「今は小さい会社だけど、将来はかなり大きくなる!」というような会社の株式を見つけたとしましょう。その会社の株を1万円で買って、5年後に3万円まで値上がりすることを期待して買うことを指します。

反対に「この会社の株は今は下がっているけど、そのうち少し値上がりするはずだ」という予想をして、目標金額になったらすぐに売ることを「短期投資」と呼びます。

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ドルコスト平均法では、毎日や毎週といった「定期的」に「一定金額」の金融商品を購入するため、この長期投資との相性が非常に良いです。安い時に多く、高い時に少なく購入して、将来大きく値が上がった時に売ることで、リスクを抑えつつ大きな利益を得ることが期待できるからです。

ドルコスト平均法のメリットをわかりやすく解説!

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ここから、ドルコスト平均法のメリットをわかりやすく説明します。いずれも、個人投資家、特にサラリーマン投資家にとって大きなメリットです。メリットは「単価が下がる」「機械的に投資が出来る・毎日相場を気にしなくとも良い」「長期的に見ると安定しやすい」の3つです。

メリット①単価が下がる

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すでに何度か説明していますが、ドルコスト平均法では、毎日や毎週といった「定期的」に「一定金額」で投資信託などの金融商品を購入するため、安いときには多く、高いときには少なく購入することになります。

毎月、10,000円をある会社の株に投資するとします。1ヶ月目の株価が1,000円の場合、10株購入できます。2ヶ月目の株価が2,000円の場合、5株購入できます。3ヶ月目の株価が5,000円の場合、2株購入できます。この場合の購入単価は30,000円÷17株=約1,764円となります。

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このまま株価が上がっていけばよいですが、仮に4ヶ月目に3,000円まで下がった場合、3ヶ月目に購入した株は2,000円も値下がりしたことになります。しかし、2,000円の値下がりした株は2株だけですので、それまでに買っていた株の利益のほうが大きいです。

このように、購入単価を下げることで、値下がり時の損失を小さく抑えることが可能となる投資法が、ドルコスト平均法です。

メリット②機械的に投資が出来る・毎日相場を気にしなくとも良い

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相場というのは非常に読みづらく、プロの投資家であっても、読み間違えることなど日常茶飯事です。そして、人間の心理として「なるべく安く買いたい!」と考えてしまいます。

ある日の株価が下がっていたとしても、「明日はもう少し安く買えるはず!」などと相場を読んだつもりになっていると、次の日から値上がりを続けることも珍しくありません。

ドルコスト平均法では、一般的に「毎月○日にこれだけ買う」と決めますので、その日の値段が安いとか高いとか、毎日の相場は気にしません。ただただ、事前に決めたルールに従って、機械的に売買するだけです。

一日中、相場を眺めて売買できるのなら良いですが、多くの人はそうではありません。「毎日の相場を気にせず」「機械的に投資する」ということは、思いの外、時間の節約にもなりますし、精神的な負担を下げることにも繋がります。

メリット③長期的に見ると安定しやすい

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ドルコスト平均法は、長期投資と相性が良いと説明しました。金融商品の多くは、一時的に大きく値を下げても、時間をかけて元の価格に戻ってくることが多いです。

一時的に値を下げた時に、ドルコスト平均法によって購入単価を下げることで、元の値段に戻ったときには利益が出ていることになります。つまり、長い目で見ると損失を出す可能性を下げることが可能となります。コツコツ購入して、気づいたら利益が出ている。ドルコスト平均法とはそういった投資法となります。

ドルコスト平均法のデメリットをわかりやすく解説!

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ドルコスト平均法のメリットを説明しましたが、もちろんデメリットもあります。ここでは「手数料が毎回かかってしまう」「短期間では結果が出にくい」「リスク回避の判断には知識が必要」の3つのデメリットについてわかりやすく説明します。いずれも、自らの努力や方法次第では回避可能なデメリットです。

デメリット①手数料が毎回かかってしまう

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ドルコスト平均法では、一度に大量に購入するわけではないため、必然的に購入機会が多くなります。そして、金融商品の多くは購入時手数料と言うものが発生します。毎日や毎週のように手数料を払うと、長い目で見ればかなりのコストとなります。

更にこの手数料というものは、証券会社や銀行にとって重要な収益源です。そして、長期に積立することが前提のドルコスト平均法は、彼らにとって都合が良いのです。そういうカラクリを知っていれば、彼らが勧めるからといって安全であるという意見は、気休めであると分かります。

デメリット②短期間では結果が出にくい

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長期投資を前提としているため、当たり前は当たり前なのですが、やはり欲が出てしまうのが人間です。ドルコスト平均法は短い期間で大きな利益を生み出す投資手法ではないため、5年や10年以上のスパンで考える必要があります。

「半年後までに100万円増やしたい!」といった目的には合致しません。どうしても「毎日のようにコツコツ貯めていつか増えてたらいいなー」程度のゆとりが必要となりますので、当面の生活資金などで投資するには向いていない手法となります。

デメリット③リスク回避の判断には知識が必要

ドルコスト平均法で購入するすべての金融商品で利益が出せるわけではありません。中には今後も値段が下がり続けて中々上がらないことが予想されるものや、そもそも倒産の危機に瀕している会社の株も存在します。

そういったことを把握せず購入してしまうと、いくらドルコスト平均法とはいえ、倒産や値下がり続ける金融商品では利益が出せるわけがありません。そういったものを掴まないようにするためにも、投資に関する知識や情報収集は必要となりますので、ドルコスト平均法だからといって安全!というのは気休めです。

ドルコスト平均法でもリスクヘッジは重要

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長期的に投資する場合には適した手法であるドルコスト平均法ですが、投資であることには違いないため、リスクヘッジを行うことが必要です。

時間分散は当然のこととして、投資先の分散を行うことが重要です。投資には、株だけではなく債権や投資信託、金などの現物取引があります。1つの金融商品に集中投資するのではなく、複数の投資先を持っておくことが重要です。

加えて、投資家の中にはドルコスト平均法は単なる気休めであると表現する人もいます。では、何が気休めなのでしょうか。

ドルコスト平均法なら安全!は気休めと思うべき

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先にも述べたように、購入した金融商品によっては価値が下がり続けることもありえます。こういったものをいくらドルコスト平均法で購入しても、利益を出すことは難しいです。そのため、ドルコスト平均法だからといって安全!とは言えず、リスク回避の方法として気休め程度と考えるべきです。

また、開始してしばらく気になって毎日のようにチェックしていても、順調になってくると「放っておいても大丈夫だろう」と油断してしまいます。しなしながら、何かのきっかけで暴落して価値が上がらなくなっている、ということも有り得ます。

毎日とは言いませんが、ドルコスト平均法であっても必ず定期的にどのような状況になっているか、確認することが必要ですので、そういった意味でも安全というのは気休めとなってしまいます。

相場知識は最低限知っておくべき

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以上のことから、価値が下がり続けることが明白なものや、倒産寸前の会社の株を買わないように、相場知識は最低限持っておくことが重要です。相場知識に自信がない場合は、はじめから特定の会社の株を買うのではなく、インデックスファンドやバランス型の投資信託を購入することで、知識不足というリスクを回避できます。

投資について何も知らない人が、そのまま必ず成功を収めることができる手法でもありませんので、そういった意味でも安全だという意見は気休め程度に受け取るべきです。

時には撤退や他の投資信託への乗り換えも視野にいれるべき

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誤って価値が下がり続けるものを購入してしまった、あるいは予想に反して価値が下がり続けることが明白になってしまったなど、ドルコスト平均法でも利益を出すことが難しいと判断できるような状況になれば、投資から一時的に撤退する、あるいは損失が少ないうちに売却して、投資信託などの金融商品に乗り換えるといった判断も必要です。

ドルコスト平均法によって、手放しに投資ができるわけではないため、安全だという意見は気休めと割り切って、日頃から経済情報の把握や相場状況のチェックはすべきです。

デメリットをなくす方法をわかりやすく解説!

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先にも述べたように、ドルコスト平均法にもデメリットはあります。ただ、デメリットのうち「①手数料が毎回かかってしまう」には回避方法もあります。いずれも、事前に調べた上で投資を始めれば簡単に回避できる方法となりますので、分かりやすくご紹介します。

しかしながら、「②短期間では結果が出にくい」は投資法としてどうしても回避できないものになりますので、必ずドルコスト平均法の特徴を把握した上で、始める必要があります。

そもそも手数料が掛からない商品を選ぶ

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政府が「貯蓄から投資へ」を推奨するようになり、各金融機関もそれに合った金融商品を販売しています。特にNISAでは長期投資が前提となっていることもあって、手数料の問題を解消できるような投資信託が多く出ています。

「ノーロード」と呼ばれる投資信託を選べば、100円程度から投資が始められるだけでなく、購入時手数料も掛からないため、コストを抑えての投資が始められ、ドルコスト平均法との相性も良いです。

最近では、楽天証券が楽天スーパーポイントで投資信託を購入できるサービスを始めました。当然、購入時手数料も掛かりませんし、買い物のついでに貯まったポイントで定期的に投資をするのであれば、ドルコスト平均法はピッタリの手法となります。

できるだけ手数料の少ない金融機関を選ぶ

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投資信託以外の金融商品を買う場合は、手数料が発生するものもあります。そういったものを選ぶ際は、手数料が少ない金融機関を選択しましょう。実は手数料は各金融期間で横並びではなく、かなり特色が出ています。

自分が買いたい金融商品の手数料が少ないところを探して、口座を作ると良いです。様々な証券会社で口座を持つこともできますので、この商品はこの会社、あの商品はあの会社、というように使い分けることも可能です。

ドルコスト平均法は中・長期的には安定する投資法だが最低限の知識を持って臨もう

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ドルコスト平均法について、ご理解いただけましたでしょうか。個人投資家の手法としては向いていますが、投資である以上、リスク回避のためにも最低限の知識が必要となります。

また、完全に安全な投資法ではなく、場合によっては損失が出るケースもあるため、ドルコスト平均法は安全であるという意見は、気休め程度で受け取っておくことが懸命です。

メリットもあればデメリットもありますので、ドルコスト平均法で投資を始めるのであれば、相場の上下に精神的な負担を感じなくて済む方法であることを理解して、「長期目線で見れば比較的安全なんだな」というような「気休めである」という感覚を持つと良いでしょう。

どどど
ライター

どどど

育児休業を機にライター活動をはじめました。皆様にわかりやすい記事を心がけますので、よろしくお願い致します。

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