シャーペンを正しい持ち方で使っていますか?
普段、シャーペンで文字を書く場合、持ち方をそれほど意識しない人も多いでしょう。そのため、意外に正しいシャーペンの持ち方ができていない場合があります。しかし、それでは手や指が疲れてしまうので、正しい持ち方をアドバイスしましょう。
シャーペンの間違った持ち方とは
シャーペンの正しい持ち方を解説する前に、まずは間違った持ち方とはどのようなものか見てみましょう。間違った持ち方が分かれば、それを矯正して、正しい持ち方に変えようという気になりますから、まずはチェックしておきます。
垂直持ち
最初に取り上げるシャーペンの間違った持ち方は、垂直持ちです。シャーペンを垂直に立てて持つ持ち方で、いろいろな弊害があると言われています。まずこの持ち方だと、指にかなり力が入ります。そのため、指が疲れたりペンだこができたりすることになります。
また、指だけでなく、肩にも負担が行き、肩こりにもなりやすくなります。さらに垂直持ちだと、体や首を曲げることにもなりやすく、書いた文字も癖字になることがあります。したがって、垂直持ちのようなシャーペンの持ち方は早く矯正する必要があります。
中指外掛け持ち
今度は変わったシャーペンの持ち方を見てみましょう。中指外掛け持ちという持ち方で、中学生の中にこのような持ち方をする人が時々います。しかし、これも間違ったシャーペンの持ち方に変わりなく、中指で上からシャーペンを押さえるようになり、とても指が疲れます。
中指外掛け持ちは見た目も良くありません。誰が見ても変なシャーペンの持ち方で、矯正した方がいいと言われるケースもあるでしょう。もちろん、字を書く場合も、きれいには書けず、乱字や癖字になりやすくなります。
親指くるみ持ち
親指くるみ持ちとは、親指が人差し指に掛かるようにシャーペンを持つ持ち方です。このため、シャーペンを支えるのは人差し指と中指となり、やや不安定になります。一見すると、正しい持ち方のようにも見えますが、これも間違ったシャーペンの持ち方です。
親指くるみ持ちは、シャーペンの間違った持ち方の中では比較的矯正しやすいと言われています。とはいえ、これが間違った持ち方であると認識していないと、その癖が続いてしまいますから、しっかりと直していこうという気持ちを持つことが大事です。
シャーペンの正しい持ち方
シャーペンの間違った持ち方が分かったところで、今度は正しい持ち方を解説しましょう。正しい持ち方を勉強することで、自分の持ち方が適したものになっているかが確認できます。そのうえで矯正すると、手や指が疲れないようになり、ペンだこもあまりできません。
①親指と人差し指と中指で三角形を作る
シャーペンを正しく持つためには、まず親指と人差し指と中指で三角形を作ります。その三角形の中にシャーペンを入れます。つまり、3本指でシャーペンを支えることになり、非常に安定した持ち方になります。
この3本指の三角形がうまくできないと、不自然なシャーペンの持ち方になり、指が疲れたり、ペンだこができたりしやすくなります。したがって、まずはこの三角形を作るというのが基本です。
②先端から3㎝くらいを親指と人差し指で持つ
ただ三角形を作って、シャーペンを持てばいいというわけではありません。指を置く位置を正しくする必要があります。では、シャーペンのどの辺に指を置けばいいかですが、先端から3cmくらいのところを親指と人差し指で持ちます。中指は下から添えるようにします。
3cmよりも高い位置でシャーペンを持つと、とても文字が書きづらくなります。かといって、それより短い位置に指を合わせると、とてもシャーペンが不安定になります。つまり、先端から3cmに親指と人差し指を当てるという持ち方が理想的なのです。
シャーペンの正しい持ち方ができると、親指と人差し指と中指がうまくコントロールしやすくなり、ペンの操作が思うようにできるようになります。そのため、きれいな文字を書いたり、イラストを描いたりでき、その結果に満足できるでしょう。
また、このような持ち方だと、指ばかりではなく、肩や腕や手首にも余分な力が入らず、疲れないようになります。その結果、長時間シャーペンを使っても、快適な気分でいられます。指にもいいし、その他の部分にもいいし、正しいシャーペンの持ち方はとても意味があります。
もう一つシャーペンの持ち方のポイントがあるので、付け加えておきましょう。それは小指と紙や机との接地状況です。小指全体を下に着けて書いている人も多いですが、手首と小指の第一関節から上の部分だけ接地させると、紙もべとつかず、文字も書きやすくなります。
シャーペンのペン軸の立て方のポイントについてもワンポイントアドバイスがあります。ペン軸を立てすぎたり倒しすぎたりすると、ペン先がコントロールしにくくなり、きれいな文字やイラストを書けません。
では、どのくらいの角度にするのがいいかというと、シャーペンを机に対して大体45°程度に傾けるのが良く、これなら手や指も疲れないし、スムーズにペンが運びます。ペンだこもできにくくなります。
シャーペン以外のペンの正しい持ち方
シャーペンの正しい持ち方のポイントをいくつか紹介しましたが、シャーペン以外のペンの持ち方はどうなっているでしょうか。実は、ボールペンや万年筆の場合、シャーペンの持ち方とは少し違っています。どう違うのか、詳しく見てみましょう。
ボールペン
ボールペンの正しい持ち方のポイントは、60~90°くらいに立てて持つことです。シャーペンの持ち方よりも角度が大きいです。その理由ですが、インクが出てくるペン先のボール部分と紙の接地角度が悪いと、文字が書きづらくなるからです。
もしボールペンをシャーペンのように45°に傾けて使用すると、インクがボールからスムーズに出てこなくなり、文字を書きにくくなります。そのために、60~90°がいいというわけです。
また、ボールペンの持ち方自体は、人差し指の第2関節までペンに巻き付けるようにします。少し持ちにくいという人がいるかもしれませんが、この方が結果的には指が疲れないし、ペンだこもできにくくなります。シャーペンとは人差し指の位置が違うと覚えておけばいいでしょう。
万年筆
万年筆を使い慣れていない人は、やや持ち方が難しいと感じるかもしれません。しかし、それほど深く考える必要はなく、基本的にはシャーペンの持ち方と似ています。では、違う部分がないのかというと、書きたい字幅で持ち方の角度が違ってきます。
万年筆の場合、紙や机に対して55~60℃くらいに傾けて使うと、うまく字が書けます。これよりも角度が小さいと、インクが染みやすくなり、きれいな字が書けません。万年筆はボールペン以上にインクの出し具合に注意が必要ですから、角度に気を配りましょう。
ついでに万年筆を使う時の筆圧についても一言加えておきましょう。万年筆はボールペンほど筆圧を加えなくても、滑らかに文字が書けます。紙の上にペンを滑らせるという感覚で良く、無理な力は必要ありません。万年筆を使うと、指や手は疲れないし、ペンだこもできません。
シャーペンを正しい持ち方で使うメリット
シャーペンを正しい持ち方で使うメリットがどこにあるのか考えてみましょう。ただシャーペンで字が書ければいいので、持ち方は気にしないという人がいるかもしれませんが、正しい持ち方にした方が何かといいことがあります。
綺麗な字が書ける
シャーペンを正しい持ち方で使う第一のメリットは、きれいな文字を書けることです。いくら字を書くのがうまい人でも、正しいシャーペンの持ち方ができていないと、書いた字はどうしても汚くなります。
それが正しい持ち方に矯正することで、見違えるようにきれいな文字を書ける場合があります。ただ、字を書くのが上手でない人の場合は、シャーペンの持ち方を矯正しただけではうまく行かない場合もありますが、それでも練習すればめきめき上達します。
もし間違ったシャーペンの持ち方をしていると、どんなに書く練習をしてもきれいな字は書けません。最初は慣れた持ち方の方がいいように思うでしょうが、正しく矯正した方が結果的にはメリットが大きくなります。
作業効率が向上する
シャーペンを正しい持ち方で使うと、文字を書くスピードが速くなります。そのため、仕事の作業も学習の作業もはかどるようになります。つまり、作業効率という点では、はるかにメリットがあるのです。
また、きれいな文字を書けるようになることから、後で書いたものを確認する時に頭に入りやすくなります。汚い文字で書かれたものでは、それを理解するのにも時間が掛かってしまいますが、きれいな文字でつづられたノートやメモ帳などはとても利用しやすいものです。
それから、手や指が疲れない、ペンだこができにくいという面から、作業もスムーズに進めやすくなります。これは大事なポイントで、ものを書く時は、疲れない持ち方、ペンだこができにくい持ち方にした方が作業効率は断然いいです。
ペンだこ・肩こりがなくなる
ものを書いている時に不快なのがペンだこや肩こりです。ペンだこや肩こりなどの症状が生じると、ペンがスムーズに運ばなくなることがありますが、これらの現象は正しくないシャーペンの持ち方が原因とも言えます。
もしその正しくないシャーペンの持ち方を矯正できると、ペンだこを防げるし、肩や腕も疲れないようになって、肩こり防止にも役立ちます。指や手、腕、肩などが疲れないというのはシャーペンの持ち方の最重要チェックポイントで、そうなるように努力する必要があります。
疲れないシャーペンの持ち方にする矯正方法
間違ったシャーペンの持ち方をしているのなら、正しい持ち方に矯正して、指や手や肩などが疲れないようにしなければいけません。とはいえ、どう矯正したらいいのかその方法が分からないという人もいるでしょうから、分かりやすく解説します。
正しい持ち方で1日1文字書く
慣れたシャーペンの持ち方から正しい持ち方に矯正しても、最初のうちは文字が書きづらいかもしれません。それが嫌になって、元の間違った持ち方に戻ってしまうというのでは意味がありません。
そこで、矯正したての時は、正しい持ち方で1日1字書くことを心がけてみましょう。どんな文字でもいいので、書きやすいものを選んでまずは書いてみるのです。たかが1字とはいえ、大事な一歩です。
慣れたら書く文字数を増やす
毎日正しいシャーペンの持ち方で1字書いていくうちに、だんだん慣れてくるでしょう。そうなったら、今度は書く文字数を増やしてみましょう。結構うまく書けるようになっているはずです。毎日の練習は大きな成果を生みます。
どのくらいの目安で、書く文字数を増やせばいいかですが、1日1字を4~7日続けてからにするのがちょうどいいです。もしそれでも書きづらいというのなら、焦らずもう少し練習してください。次第に多くの文字を疲れないで書けるようになります。
正しい持ち方と以前の持ち方を交互に書く
シャーペンを正しい持ち方にした方がいいとは分かっていても、最初のうちはうまくできません。そこで一つの矯正方法として、正しい持ち方と以前の持ち方で交互に書いてみるのです。まずは正しい持ち方で書き、疲れたら以前の持ち方にします。
これを疲れに応じて繰り返していきます。こうすれば、正しいシャーペンの持ち方にも抵抗がなくなっていき、徐々に移行できるようになります。つまり、いきなり正しい持ち方に矯正するのではなく、移行期間を設けて、手や指を慣らしていくのです。
シャーペンを正しい持ち方にする矯正グッズ
シャーペンの正しい持ち方を覚えたいけれど、時間が掛かるかもしれないと心配している人もいるでしょう。確かにすぐに矯正できるとは限りません。それでも、矯正がしやすくなる便利グッズがあるので、それを紹介します。グッズを使えば、よりスムーズに移行ができます。
クツワ プニュグリップ
クツワ プニュグリップは、鉛筆用の持ち方矯正グッズですが、シャーペンにも応用できます。使い方はペン軸に取り付けるだけで、プニュプニュとした弾力により、指や手の痛みや疲れを防止してくれます。
シャーペンの持ち方を矯正したばかりの人は、まだ指や手が疲れるという場合があります。そのような時にこのクツワ プニュグリップを使えば、指や手が守られます。使っているうちに正しいシャーペンの持ち方の方がしっくり来るようになるでしょう。
スタビロ シャープペン イージーエルゴ
スタビロ シャープペン イージーエルゴは人間工学に基づいて持ちやすいように工夫されたシャーペンです。その特徴はグリップにあり、やや太くなったフォルムが疲労軽減効果をもたらします。これなら正しいシャーペンの持ち方に移行するのも早くなりそうです。
デビカ もちかた補助軸
デビカ もちかた補助軸は正しい鉛筆の持ち方をするための補助グッズです。やはりシャーペンにも使えますが、補助穴と補助具が付いていて、正しい位置に指を置けるようになっています。筆記具もちかたアドバイザー監修の説明書もあり、だれもが持ち方の矯正がしやすいです。
正しい持ち方でシャーペンを使おう!
ここまで、シャーペンの正しい持ち方や疲れない持ち方にする矯正方法などについてお伝えしました。シャーペンを間違った持ち方で使うと弊害が多くなります。したがって、正しい持ち方を学んで、きれいな文字を疲れないで書けるようにしてください。