腕組みをするのは理由がある!
映画やドラマの登場人物が、腕組みして考え込んだり、鬼のように踏ん張って腕組みしているような場面を見かけます。腕組みする姿が、誰にも一律で共通の印象を与えるからでしょう。
腕組みは、日常生活において見られる何でもない癖の立ち姿かもしれませんが、やはり、もともとには理由があるようです。
様々な形の腕組みが隠し持っている心理を把握して人との付き合いを進めることは、公私の場面で、望ましい人間関係を作ることに役立ちます。
腕組みをする人の基本心理
腕組みする人の心理で共通しているのは、意識的にわざとであれ、無意識にであれ、自分の位置を守ろうとする意図につながることです。
自分の防衛本能で、危険を避けようとして心臓の前で腕を組んだり、相手に対して自分の優位を見せつけるために肘を張って腕を組んだりします。
肘を張って腕組みすれば、自分を大きく見せられますし、相手との間にたくましい腕をはさむことによって、相手に対する拒絶感を印象付けられるでしょう。
警戒している
たとえば、初対面の人と同じ場所にいることになったときには、相手と自分の立ち位置がよくわからないでしょう。そのような場合には、相手が自分にとって安全であるか、またはすきを見て危害を与えてくる可能性があるのか、探り合うことになります。
へり下って出て弱い立場を築いてしまうと、後々の付き合いにおいても不利益な印象が定着してしまいます。また、ちょっとのことで狂暴になるような相手であれば、今にも襲ってくるかもしれません。
そこで現れる腕組みは、相手の隠し持つ狂暴性を無意識に感じ取って、腕を組んで体を守ると同時に、平静を保って見せて自分の強さを主張したいという心理が働いているのです。
男性があえて初対面の相手に対して腕を組んで応対したり、女性が体の前で腕を組んだりするのは、相手を警戒する心理の表れです。
不満がある
相手が女性であれ男性であれ、また同性であれ異性であれ、他人との交渉で、自分の主張を相手に伝えようとするときには、隠し通せないようなあふれ出る雰囲気があります。顔を合わせた瞬間に、この人は、今日、なんだかとても不機嫌だなとか、不満そうだなとかが伝わってくることもあります。
話をする相手が、言葉少なに腕組みをしているだけで、分析するまでもなく、その腕組みの特徴から、相手は自分に不満をぶつけているという印象を得ずにはいられません。
また、多くの女性は、男性、たとえば、夫や彼氏などのパートナーである相手に対して、自分の不機嫌が相手に伝わるように腕組みをして見せることがあるのではないでしょうか。これこそ、あえて腕組みをして不満を伝えようとする心理の表れです。
自分を守ろうとしている
自分自身の興が乗って、ぺらぺらとしゃべり続けているときに、ふと気が付くと、相手が腕組みをして自分を見つめていることに気が付くことがあります。
そんなときには、相手は、話し続ける相手の迫力に恐怖を感じ、腕組みをして、知らず知らずに身を守らなくてはという心理が働き、そのような格好をしている可能性があります。
日常生活の中で、相手との間に距離を感じるようなときには、自分が普段から相手に対して恐怖を覚えさせるような話し方をしていないか、怖い人である印象を与える姿勢をしていないか、反省してみる必要があるでしょう。
男性が女性に対して、また女性が男性に対して恐怖感を与える理由は、場面や関係性によって多々ありますが、無意識でとってしまっている腕組みのポーズでも、距離を生んでしまう理由になることは予想されるでしょう。
退屈に思っている
話し続ける相手に対して腕組みをしているときは、恐れられているのかもという可能性と同時に、相手の長い話に対して退屈に思っている可能性もあります。たとえば、ドラマなどで、男性が女性での延々と続くおしゃべりを聞きながら腕を組んでいる場面をよく見ます。
興味のない話や、複雑で理解できない話、また、理不尽を突きつけてくるような話を延々と続けられると早く終わらないかとイライラしてきますが、さえぎってトラブルになるのも面倒です。
もしかしたら、相手が腕組みをしてうつろな反応をしているときには、真面目に聞かないと相手の機嫌を損ねて不利益が起こるという印象から、真剣に聞いている態勢をとりながらも、心の中では退屈極まりないと思っているのかもしれません。
もしくは、相手の話に何ら興味がないのでそろそろ終わったらどうですかと、テレパシーならぬ腕組みの動作で訴えているのかもしれません。男性と女性の間ではとくに気を付けたい腕組みでしょう。
優位に立ちたい
腕組みにはいくつかの形があります。肩幅や胴体の幅より大きくするか小さくするかによって、かもし出せれる雰囲気や印象は変わってきます。
鳥が羽を広げて舞うときは、オスがメスに対して、強さやかっこよさをアピールしているのだそうです。また、フグがふくれるのも、からだを大きくして威嚇しているのだそうです。
からだを大きく見せて自分を強く印象付けるというのは動物の習性です。動物が生き延びて、種を存続させるために繁殖していくために欠かせない方法です。
人間についても同じで、肘を張って腕組みするのは、相手に対して自分の優位を印象付けられるようにアピールしていると言えるでしょう。とくに男性は、虚勢だとばれないように注意したいものです。
思考を整理している
腕組みをする態勢は、身を守る形です。身を守ることで安心できるので、何かを集中して考えたいときには、無意識のうちに身を守る体制をしています。
腕組みをする姿勢をするときには、虚勢を張っている、相手に威圧感を与えたいと思って力んでいるときや恐怖で縮こまっているとき以外は、余計な力が入っていません。それで、その分、他の作業にエネルギーを注げるようになります。
たとえば、真剣に物事を考える時には、脳のエネルギーを多く必要としますが、力んでいないことで、余ったエネルギーを考えごとに使うことができます。
医師が患者の症状を検討するとき、ビジネスマンが重要な商談の窮地であえぐとき、学生が難問をどう解くか考えているときなど、腕組みをして見つめうなっていたら、かなり真剣に取り組んでいるので、邪魔をしない方が良いでしょう。
腕組みの意味は組み方で違う
腕組みをする姿は、多くは、その高さや、肘の位置などを検討するまでもなく、あふれる雰囲気でその人の心情がわかることが多いです。
ここでは、腕組みをする人の、腕組みの高さが高い場合と低い場合、また、左右どちらの腕が上になっているかの違いなど、それぞれどのような心理が働いているのかを整理します。
高さの違い
ひとくくりに腕組みといっても、思い浮かぶ形は場面場面によって形が違うでしょう。たとえば、叱られる場面、相手を慰める必要があるような場面、リラックスしている相手の雰囲気になごむような場面などでみる腕組みには、テレパシーに投げかけられるような雰囲気があります。
肘や腕の高さの違いによって、相手の心情はどのような状態にあるのか知っておけると、相手に対して間違った応対をせず配慮できるでしょう。
また、自分がとる腕組みのポーズがどのような印象を与え、腕組みするの形によってどのような利点、不利益があるのかを知っていると、ビジネスの場でも役に立つと考えられます。
高い位置
高い位置で腕組みをすると、自然と肘を張り、からだの外側に出て、威嚇感が増します。虚勢を張っているようなかたちになります。虚勢だけで意外と弱いということも考えられますが、実際に怒り心頭で無意識にそのような形で腕組みをしていることもあるでしょう。
肘を張って腕組みをしながら仁王立ちになっているお母さん、腕組みをして視線を向けてくる上司など、目の前に高い位置で腕組みをしている人がいる時には、かなり起こっている可能性がありますから、覚悟して応対したほうが良いようです。
低い位置
低い位置で腕組みをすると、へそのあたりに手のひらが来て、左右の手のひらで手首をつかむような形になるでしょう。すると、肘は胴体の幅の内側にきて、身をすぼめて腕組みをする形になり、さながら怖がってふるえているかのような態勢になります。
しょんぼりする人のイラストでは、ベンチに座り背中を丸めて太ももに接するような低い位置で小さく腕を組むポーズになっていることが多いです。
また、肩を落としてからだを丸め、胃をかばうよう低い位置で腕を組んでいるポーズも、弱っている人の典型的な姿勢です。
加えて暗い顔をして口数が少なかったりすると、低い位置での腕組みする人の心情は、周りの人にもわかりやすいものなので、気を配ってあげましょう。
左右の違い
右利きの人、左利きの人の特徴を比較すると、それぞれ得意分野が違うそうです。これは、脳のどの部分を多く利用するかの違いによるものです。
腕組みをするときに、左右どちらの腕を上にして腕組みをしているかのちがいにも、同様に、得意分野の違いが反映されて表れてきます。
左腕が上
左腕を上にして腕組みをしている人は、右脳がつかさどる作業が得意です。右脳は、感覚的な行動、たとえば絵が得意だったり、音楽に才能があったり、人が思いつかないようなアイデアを生んだりなど、抽象的な表現を生むこことが得意です。
左手を上に腕を組む人は、その右脳の発信が左脳より先んじていて、左手から先に行動に移すことになるので、腕組みの形も、左手が外側、上側になります。
左手を上にして腕を組んでいる人と会話しているときには、相手の美しさや、芸術的なセンス、ユニークな才能をほめるような声のかけ方をすると、望ましい付き合い方ができるでしょう。
右腕が上
腕組みをするときに、右腕が上になる人は、右腕から行動に移す特性のある人です。このような人は、右脳より左脳の方が発達していて、左脳がつかさどる作業が得意です。
左脳は、物事を論理的に扱う部分で、与えられた資料を分析して説明することや計算して結果を得ることなどが得意です。婉曲的抽象的な右脳人間に比べて、左脳タイプの人は、直接的、感情に左右されない判断をする傾向にあります。
右手を上に腕を組んでいる状態の人と話をするときには、論理的な思考のもとで話題を選び、会話を進めたほうが良いようです。直感的な予想で話しかけると、相手は不快に思って、一線を引くかもしれません。
右脳左脳には担当分野がある
人間の脳は右脳・左脳それぞれに処理する担当分野が異なります。一般に右脳は直感的処理が得意で、左脳は論理的処理が得意です。
右脳は左手を操作し、左脳は右手を操作します。そのため、左利きの人は右脳が発達していて、直感的作業が得意と言われます。逆に、右利きの人は、左脳が優位になっていて、論理的作業が得意である傾向が大きいです。
腕組みの意味は男女でも違う
一般に、男性女性の感じ方や考え方は、互いに合い入れない違いがあると言われます。それぞれ、一番大事だと感じるものが本能的に違うことから、動作やしぐさ、反応の仕方も違います。
また、女性の脳は、構造上、右脳左脳をつなぐ部分である脳梁が、男性の脳に比べて太いので、女性は、右脳と左脳の情報を交換を多くできて、並行して作業することや、言語を操ることが得意です。女性が家事や料理が上手であったり、おしゃべりな傾向があることはこれによるものです。
男性は、女性に比べて、右脳左脳の前後の連結が得意で、周囲の情報を論理的にとらえすばやく判断し行動に移すような作業、たとえば、運転などが女性よりも得意という傾向にあります。
男性と女性との間で、一番大事だ、これが得意だと思うことの違いは、腕組みをするときにも、強く見せたいのか、たおやかに見せたいのかなど、無意識の意図が違うので、腕組みの形や目的が変わってきます。
男性の心理
男性は、相手に対して優位に立ちたい、強くありたいという本能があります。腕組みをしているときにも、無意識に体を大きく見せたり、物事に動じない様子をアピールして堂々と見せたりする目的を持っています。
商談するときにこのような目的を達成したい場合は、能力にたけて頭脳明晰であるという印象を与えられるような腕組みのポーズを決められると、良い影響が生まれるでしょう。
けれども、場面をよく理解しないで格好だけつけると、失礼な奴だ言う印象ばかりが残るかもしれませんから、気を付けたいものです。
女性の心理
女性は、美しく見せて、相手の注意をひきたい思う傾向があります。昨今では、女性もビジネスの場面で上位に立つ環境になってきたので、上司として論理的に判断して指示を出せる人であるために自然と腕組みをすることもあるでしょう。
また、女性の本能として、胸を大きく見せて魅惑的になるため、胸を押し上げるような腕組みをすることもあるでしょう。逆に、大きい胸を押して小さく見せるために、胸を隠す位置で腕組みをすることもあるようです。
弱い女性の身を守る本能として、腕組みをして体を守ることもあるとも考えられますし、男性より怖がる傾向が強いことから、おびえて腕を組んでいることもあるでしょう。
モナリザの手
モナリザの微笑みのモナリザは、マダムジョコンダをモデルとして描かれたと言われています。斜め45度に構え、右手を上にしておなかの上で腕を緩く組んでいる姿は、モナリザが妊娠していて、おなかをかばっているの言う説があります。
モナリザのように斜め45度でカメラに向かって世の中の諸々を紹介する女性キャスターが有名です。雑誌の表紙やインスタグラムに右手を上にした腕組みをしてリラックスした様子の写真が見られますが、左脳が発達した論理的思考が得意な女性なのでしょうか。
男性脳女性脳の特徴
右手を上に腕組みする人が左脳先行の人で、男性脳が左脳先行の人であるという傾向を結びつけると、男性は全て右手を上にして腕組みし論理的であるべきと言うことになりますが、そうとは限りません。また、女性についても右脳はであるとも限りません。
つまり、性別通りに、女性脳男性脳のどちらかを持っているわけではなく、男性脳を持った女性や女性脳を多く働かせる男性、またその中間的な脳を持つ人も存在するということですが、これは一見ではわかりにくいでしょう。
けれども、腕組みについては、右手から行動に移しやすい左脳派と左手から先行しやすい右脳派という傾向を知っていると相手の考え方をとらえやすいので役立てましょう。
腕組みで相手の心理を見抜くコツ
腕組みをすることは、意識的にすることもできますが、深層心理を反映して、無意識な動作であることも多いです。
人との付き合いにおいて、相手の態勢や言動から、相手の心理を把握することができたら、お互いの誤解も、またそこから生まれるビジネスのトラブルも、防ぎやすくなるでしょう。
腕の組み方・組む位置をチェック
先にご紹介したように、腕を組む態勢は、高さの違いや肘の位置によって心情違ってきます。腕を組んでいる人の様子から、その人の置かれた状況や心情を知ることができたら、相手に対するこちらの出方も、言葉のかけ方も工夫することができるので、よく観察してみると良いでしょう。
背中の丸まり具合をチェック
背中を丸めている人は、からだが小さく見えます。謙虚な人と言う印象を受けることもありますが、弱々しい印象を得ることもあるでしょう。
このような印象を人に与えたくないならば、意識して胸を張り、頼れるイメージを与えられるように習慣づけましょう。
相手が腕組みをして背中を丸めていたら、その人は、虚勢を張る勢いも失ってしまうほど落胆していたり、弱っているのかもしれません。
弱っている人には静かに寄り添う
背中を丸めて低い位置で腕を組んでいる人は、弱っているのかもしれません。人が失敗して苦しんでいたり、病気に悩んでいると、がんばれと激励したくなりがちですが、頑張りきった人にさらに頑張れというのは酷で、静かに寄り添って共感するほうが望ましいでしょう。
適切な配慮をして、そっとそばにいてあげるなど、やわらかく力になる必要があるのかもしれませんから、相手の気持ちに沿いましょう。腕組みの形から察して、相手を追い込まない寄り添い方ができれば、煩わしがられなくて済むかもしれません。
手の状態をチェック
握りこぶしは、怒りの象徴です。人に殴りかかろうとする人は、殴らないまでも握りこぶしを作って手を振り上げます。相手を支配できるようにあるべきと言う心理が、より強く相手を怖がらせるための握りこぶしを作らせるのでしょう。
腕組みをしている人が、強く握りこぶしを作って震えを抑えている様子であれば、かなり強い怒りがあふれ出ていますから、逆なでしないように対処しましょう。
腕組みが周りに与える印象
腕組みをして立つのは、何の意図もなく癖だどいう人がいます。確かに、腕組みをしながら、子どもの頃の朝礼の「休め」のように足を開いて立つと、リラックスできて楽だと言えないでもありません。
けれども、腕組みされて対話をする立場を思い返してみると、腕組みする相手を威嚇的に感じたり、高飛車で失礼だから避けたいと思ったり、いずれにしても、自分が弱い立場にあることを感じさせられる場合が多いです。
威圧感
話す相手が、肘を張って腕組みをしていると、こちらは自然と身を正してしまいます。少なくとも、相手の怒りをそれ以上沸騰させないように用心するでしょう。
腕組みは、相手に対して相当な威圧感を与えます。それが必要な相手ならば、意図的にそのような腕組みをすることも時には良いかもしれませんが、できれば、冷静に、説明したり、話し合ったりできると、気持ちよい人間関係を作れるのではないでしょうか。
頑固者
「頑固おやじのラーメン店」などの看板には、腕組みしてにらみを利かせている店主の姿が描かれていることが多いです。腕組みは、口数が少なく頑固なイメージや、自分の主張を曲げない一徹者のイメージを強く押し出します。
無意識にそのような雰囲気の腕組みをしてしまっていると自覚したり、指摘されたりする場合は、本当の頑固者にならないように、自分の姿勢を意識して直した方がよさそうです。
信頼のなさ
相手が話を聞く様子を意識すると、この人は好意的に話を聞いてくれていると感じることもありますが、腕組みをしながら「どうせあてにならないでしょう」と無関心で、まったく信頼してない雰囲気を痛感することもあります。
腕組みをする様子を表情や姿勢とともに判断すると、相手の自分に対する感情や評価を知ることができるでしょう。
腕組みから真意を探ってみよう!
腕組みは、自己防衛本能、威嚇本能のあらわれです。自己防衛本能の表れとしての腕組みは、危険を感じ身を守るために体をかばうためにする腕組みです。威嚇本能としての腕組みは、周りに対して自分を強く見せるための腕組みで、時には、異性に対するアピールとなる腕組みをあります。
半ば意図的に表れる腕組みもありますが、無意識に恐怖を抑えるための腕組みもあれば、魅力強調のための腕組みもあります。
誰かと話をする時、無意識に腕組みをすると、場合によっては、誤解されてスムーズな人間関係を壊したりすることがありますから、深層心理と腕組みの姿勢の関係を理解して、さまざまな腕組みの特徴を知っておきましょう。
腕組みの特徴を知ることは、相手の腕組みの心理を分析したり、自分の腕組みの癖を反省したりして、気持ちの良い人間関係を作ることに役立つでしょう。