国民年金保険料・免除とは
国民年金を払うのが離婚や出産等の理由での収入の減少や失業などにより払えなくなった場合に国民年金保険料を申請免除の手続きができる制度があります。この制度は「国民年金保険料免除・納付猶予制度」と言い条件が揃えばだれでも申請できます。ここでは、この国民年金保険料免除にともなうの申請方法や条件についてご紹介します。
申請した期間分の年金を受給資格期間に算入
国民年金保険の免除・猶予等の申請が受理され、国民年金の免除で払われなかった、猶予で国民年金の支払いが遅れてしまっていた、そういった場合であっても国民年金の受給資格を得ることができる期間内に受給資格失うことが無く、その後国民年金の支払いが完了した時点で年金を受給することができます。
国民年金保険料・免除のデメリット
上記で説明したように国民年金保険料は、離婚や出産、失業など個々の理由で収入が減少し支払えなくなった場合に免除や猶予などを行うと便利ですが、この制度には実はメリットやデメリットが存在します。ここでは、この制度を利用した場合にあらかじめ知っておいたほうが良いデメリットについてご紹介します。
デメリット①将来もらえる老齢基礎年金額が減る
国民年金保険料は全額免除であった場合のデメリットは年金免除であった期間の年金が2分の1で計算されることです。これが2009年(平成21)年3月までであった場合は、期間内の国民年金保険料受給額は3分の1で計算されるので、普通にその年に保険料を納めた人より格段に支給額が減額されて支給されてしまいます。
デメリット②10年過ぎた場合に追納できない
国民年金保険料は免除になった場合は、減った分の2分の1を国が負担してくれるのですが、減額されてしまいます。その為、後々のことを考え追納する場合は、追納という制度が設けられています。国民年金保険料免除の際の追納の期限は10年間となっており、この期限を過ぎると納付できない仕組みとなっています。
デメリット③追納の場合3年より前は加算額が必要
国民年金保険料は10年間の期限の間に追納した場合には、3年間より前の国民年金保険料の分には加算額が追加されます。その場合の追加額は月額100円~200円となりますので、1年間で考えると1200円~2400円と合計すると少し大きな額になります。その為、追納したい場合は早めに追納するのがおすすめです。
デメリット④障害の程度2級の場合に低額の年金を受給
障害基礎年金受給でのデメリットは上記のように受給免除の申請を行った場合、障害の程度が2級以下であった場合は年金受給額が減額され低額となってしまい、将来的に困ることになるので免除申請はおすすめできないのです。しかし、障害年金2級以上であった場合は認定された日を含む月の前月の保険料から免除となります。
デメリット⑤免除手続きが大変
国民年金保険料の免除申請は、世帯主・配偶者の所得にも影響するし、配偶者や世帯主が全額免除基準を超えて収入があった場合、免除申請をしたい本人が条件と合っていたとしても夫婦ともに免除にならないなど申請手続きの条件などとても難しいことがデメリットと言われています。
しかし、申請をする際に免除の申請を行うものが単身者であった場合や、失業などで世帯主の収入が減り配偶者が専業主婦であった場合などは夫婦ともに免除となるので申請するのがおすすめです。
国民年金保険料・免除メリット
ここまで国民年金保険料の免除・減額申請について申請後にある国民年金保険料の支給額の減額などデメリットな点についてご紹介してきました。ここでは、免除申請を考えている方の参考となるよう国民年金保険料の免除や減額の申請を行った際のメリットとなる点についてご紹介していきます。
メリット①免除期間も受給資格年数に含まれる
国民年金保険料が受給される条件は25年の国民年金保険料を支払った人となりますが、国民年金保険料の免除や減額の申請を行った期間も25年と換算されます。また、免除申請を行っている間は国民年金保険料の督促状などは届かないため、収入の減少など本当に払えない状況にある場合は申請を行うのがベストです。
メリット②免除期間分は国が半分負担
国民年金保険料を免除申請した場合、その期間分がすべて支払われない訳ではなく、自分が支払っていない期間分全額であれば4分の3、半額であれば4分の1減額されているうち国が半額を税金から支払っているため少しでも国民年金保険料が上乗せされ受給できます。
また、国民年金の免除申請をした期間分は国民年金保険料を満額支払っている人の2分の1を将来的に年金に加算され受け取ることができ、免除期間内の年金がすべてなくなるわけではないのです。
メリット③免除期間中も障害年金・遺族年金の受給対象
障害年金や遺族年金を受給する条件としては年金を支払う期間の3分の2以上を過去に納付していること、直年1年間の滞納が無いことが求められますが、この免除・減額の申請を行っていた場合、免除申請期間中も支払っているとみなされるのがメリットです。
また、このように免除申請して支払われなかった期間に不慮の事故などに遭ってしまった場合、通常であれば支払われなかった期間がある場合は障害年金や遺族年金は支払われないのですが、免除申請によって条件を満たしていた場合は年金を受給することができます。
メリット④保険料を後からでも支払える
先の「②免除期間分は国が半分負担」でご紹介しましたが、免除や減額の制度を使うと将来受給するはずの年金受給額が減額されてしまいます。しかし、減額支給されて支払われるのを防ぐ制度もあり、国民年金保険料の追納によって全額免除期間の国民年金保険料を支払うことができます。
期間は10年もあるので、余裕をもって追納することができます。しかし、追納する場合気を付けたいのは3年以上前のものは先の章の「デメリット③追納の場合3年より前は加算額が必要」で紹介したように追加される加算額もあるので注意が追納を考えている方は必要です。
メリット⑤国民健康保険・住民税も安くできる
国民年金保険料は実は他の税金と連動しています。その為、国民年金保険料が下がれば住民税などの税金も下がります。逆に言うと他の税金が上がれば国民年金保険料も下がります。免除申請を行った際にも同じように適用されます。
これは通常の国民年金保険料の減額でも使える考え方なので、収入が増えた場合は税金も上がる為、以前に国民年金保険料の免除や減額申請を行ったことがある際にはこのタイミングで国民年金保険料の追納などをして次年度の税金額を減らすのがベストです。
国民年金保険料・免除の条件
ここでは、国民年金保険料の免除や減額を申請すると受けることができます。そうした基本的な4種類の申請制度について申請の条件など詳しくご紹介します。離婚や失業など様々な理由で国民年金保険料が払えなくなった場合は検討し、自分の状況に応じて申請することを検討できるよう制度の条件についてご紹介します。
①全額免除
国民年金保険料の全額免除の際の計算式は前年度の所得、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が扶養親族等の人数に自分を足した数に35万円をかけて、22万円を足した額より少なかった場合全額支給されます。つまり単身(独身)であった場合は、57万円よりも前年の所得が低かった場合は全額控除となります。
②4分の3免除
国民年金保険料の4分の3免除の際の条件は前年度の所得、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が78万円に扶養親族等の所得控除額と社会保険料の控除額等(年末調整・確定申告で申告された金額)を足した物が低かった場合に国民年金保険料の4分の3免除の制度が適用されます。
③半額免除
国民年金保険料の半額免除の際の条件は前年度の所得、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が118万円に扶養親族等の所得控除額と社会保険料の控除額等(年末調整・確定申告で申告された金額)を足した物が低かった場合に国民年金保険料の半額免除の制度が適用されます。
④4分の1免除
国民年金保険料の4分の1免除の際の条件は前年度の所得、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が158万円に扶養親族等の所得控除額と社会保険料の控除額等(年末調整・確定申告で申告された金額)を足した物が低かった場合に国民年金保険料の4分の1免除の制度が適用されます。
国民年金保険料・基本免除条件以外の制度
上記の国民年金保険料の4種類の免除制度に伴う条件の他に納付猶予制度もあり、国民年金保険料の免除制度の申請をした場合であっても、猶予制度に該当として申請が下りない場合があります。ここではそうした免除制度と切っても切り離せない主な猶予制度についてご紹介します。
①学生納付特例制度
国民年金保険料は20歳以上60歳未満の者が強制加入と定めているため学生であっても国民年金保険料を納付する義務があります。しかし、大学の学費やそれに伴う諸経費に国民年金保険料を払うとなると大変な金額になります。そこで、20歳以上の学生を対象とした「学生納付特例」という制度が設けられています。
この制度は、大学生~専門学校生までほとんどの学生に適用され、国民年金保険料の免除を受けることができます。しかし、学生本人の所得によって判断されるため、本人がアルバイトなどで125万円以上所得があった場合は免除の条件を満たさず利用できない制度です。
②若年者納付猶予制度
非正規雇用で生計を立てているフリーターやニートの方が国民年金保険を支払うのは経済的に困難です。そこで作られたのがこの制度、20歳~50歳未満の第1号被保険者で国民年金保険料を支払う義務があり、以下のいずれかの条件を見たいしている場合免除となります。
前年の所得が扶養家族の有無や数に応じて法令で定めた額以下の場合、該当する被保険者や世帯の他の世帯員が生活保護を支給されている場合、地方税法に定める障害者や寡婦で前年の所得が125万円の場合、保険料を納付することが著しく困難である場合(天災その他厚生労働省令で定める事由(失業・事業所の倒産等)があった場合がその条件となっています。
③災害被害者の特例免除
この制度は、災害によって被害を受けた人の国民年金保険料が免除になる制度です。この制度は前年の所得も含め本人の所得は考慮せず、世帯主と配偶者の所得で判断され受給条件に合っており、災害にあい家財やその他の財産に2分の1の損害があった場合、保険料の免除が受けられます。
④出産前後期間の免除
2019年4月1日から法改正され、第1号被保険者が出産した場合に出産月から4か月間の国民年金保険料が免除されることになりました。また、2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠した場合は出産月から数えて6か月間は国民年金保険料が免除されます。この場合の出産とは妊娠85日以上の出産で、死産や流産、早産も含まれます。
こちらの出産前後期間の免除制度の届け出をすることができるのは出産予定日の6か月前から提出可能なので、出産直近になって提出できないことがないように早めに届け出を出すのがおすすめです。
⑤配偶者からDVを受けた場合の免除
国民年金保険の免除の申請で近年注目されているのが、この配偶者から一方的にDVを受けた場合の国民年金保険料の控除の制度、近年の社会変化でこうしたDVを受けた方の負担を減らし金銭的な理由から新しい生活へ移行できなかった方のための後押しになるように作られた制度です。
⑥納付猶予制度
納付猶予制度という制度もあり、前年度の所得、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が扶養親族等の人数に自分を足した数に35万円をかけて、22万円を足した額より低かった場合に国民年金保険料の納付猶予制度の条件を満たし、国民年金保険料の納付猶予制度を受けることができます。
国民年金保険料・免除申請方法
ここまで国民年金保険料の基本的な4種類の免除・減額の条件や学生納付特例制度、若年者納付猶予制度、失業者・災害被害者の特例免除などの免除制度等についてご紹介してきました。ここでは、基本的な免除に伴う必要な書類の入手方法や記入方法、その他の申請に必要な書類、免除申請後の審査についてご紹介します。
①申請書の入手
基本的な免除に伴う申請書類の入手方法は3つあります。まず、一番手軽なのが日本年金機構のページからダウンロードする方法、2つ目に簡単なのが日本年金機構に電話し、書類を輸送してもらう方法、そして3つ目は最も確実なのが市区町村の役所・国民年金担当窓口、近くの日本年金機構(年金事務所)などの窓口で受け取る方法です。
②申請書の記入
免除の申請の書類は氏名や年齢を記入し捺印します。この時スタンプ印鑑はNG、浸透式のインクではない朱肉を使う印鑑を押します。また基本年金番号や申請内容など、該当項目に〇をつけます。詳しい記入方法が日本年金機構のホームページにわかりやすく載っているので記入する際の参考にするのがおすすめです。
③必要書類の準備
また、この申請書の他にすべての申請に必要な書類は、年金手帳の氏名が記載されたページのコピーと基本年金番号通知書のコピーです。この他にそれぞれの免除の申請理由によって異なりますが、失業の場合は雇用保険受給資格証や離職票のコピーが必要となります。
さらに、所得の減少に伴う申請の場合は前年度の所得を証明する書類のコピー、専業業主婦が離婚した場合は戸籍のコピーや住民票のコピーなどが離婚した証明が必要となります。
④申請書・書類の提出
免除申請の書類を提出するのは2つの方法があり、簡単な方法は輸送で日本年金機構へ送る方法です。確実で早い方法は、住民票の住所となっている近くの市町村の役所や国民年金担当窓口、近くの日本年金機構への提出、この際記入欄などを確認してもらうのがおすすめ、書類の差し戻しなどが無くはやめに免除申請が受けられます。
⑤審査結果待ち
こちらの制度申請後に審査機関があり、日本年金機構から市町村への本人確認や配偶者や世帯主の所得状況など主に所得についての調査が入ります。その結果に応じて、全額免除や半額免除といった「国民年金保険料・免除の条件」でご紹介した4種に振り分けられます。
審査の状況によっては、条件に該当しないものとして免除なしの判定が出ることもあります。審査期間は申請後約2〜3か月を要し、この審査結果は郵便ハガキで通知されます。
国民年金年金保険料・免除申請継続手続き
ここまで、国民年金保険料の免除申請の条件や書類などについてご紹介してきました。ここからは、免除申請の継続方法についてご紹介します。現状、以前申請を出した時と変わらず収入が低いままであった場合は、翌年以降の国民年金保険料の支払いは困難です。その場合制度の継続手続きをする必要があります。
免除申請継続の手続き
国民年金保険料は申請した後に翌年後も全額免除や納付猶予を希望するか確認の書類が郵便で手元に届けられます。その場合、必要な項目にチェックし、簡単な理由を記入する欄があるので継続の理由を明記し返送すると、継続希望と翌年以降も免除が受けられます。また、この継続申請をした際にも依然と同様に所得情報の審査が行われます。
免除継続可能年数
国民年金保険料の免除可能な年数は具体的には定められていないのですが、国民年金保険料を納める期間は有効であるようです。しかし、先にもご紹介したように免除や減額を行った場合は、国民年金保険料の将来受けと取れる額が相対的に減ってしまう為、老後の生活に支障をきたす場合もあります。
申請後に世帯収入が変化【婚姻・離婚】
国民保険料の免除や猶予の制度を利用した場合、国民保険料の免除継続の場合も申請時と同じように審査されます。その場合、配偶者の所得状況なども審査退所となり世帯収入を詳しく調べるため、離婚や配偶者の死亡などの所得の減少や婚姻による世帯所得の増加などが審査対象となります。
その為、婚姻や離婚など所得状況が変化した場合は事実発生日から14日以内に配偶者状況変更届の届け出の提出が必要となります。また、あくまで免除制度は世帯の所得に応じた免除である為、この制度における配偶者は内縁関係にあった場合も含まれます。
国民年金保険料・免除【失業・退職】
失業や退職し、ハローワークから失業保険が支給されている間も国民年金保険料の支払いは発生します。この場合、誰もが今までの収入より減っているため生活が困難、その場合にも国民年金保険料の免除の申請ができるためここでは失業や退職によって収入が減った場合の国民年金保険料の免除や減額申請についてご紹介します。
失業・退職の特例免除が使える
ここでご紹介する国民年金免除制度は、失業や退職によって収入が減額された人の国民年金保険料が免除になる制度です。この制度は前年の所得も含め本人の所得は考慮せず、世帯主と配偶者の所得で判断され受給条件に合っており、失業や退職などを第1号被保険者がした際に保険料の免除が受けられます。
免除申請が通らない場合は猶予制度
免除の申請が世帯主や両親の所得などで審査に通らなかった場合は、30歳未満〜50歳未満まで猶予制度の申請ができます。猶予期間中は国民年金保険料の督促状が来ることはなく、その他にも病気や怪我をした場合は障害年金がもらえ、不慮の事故などで死亡した場合は遺族年金もでるので何もしないより猶予申請をするのがおすすめです。
免除申請しない場合の付加年金
国民年金保険料は厚生年金から比べると、免除や減額などで減らなかった場合であっても全体的に将来貰える年金額が低くなります。免除申請しない場合で、将来の年金額の増加を考える場合は月々400円だけ国民年金を増やす追加年金がおすすめです。65歳まで加入でき、40代から240ケ月払ったとしても65歳〜67歳までで元が取れます。
また、元が取れたその後も継続して支給されます。しかし、免除や減額制度を利用した場合はこの追加年金制度は使えず、追納もできないので継続して国民年金保険料を支払う方で将来年金を増やしたいに方に限られます。
国民年金保険料の免除はデメリット部分が大事なポイント
ここまで国民年金保険料の免除や減額制度の書類の申請方法や条件についてご紹介してきました。国民年金保険料の免除や減額制度は、失業や退職、離婚などその人の世帯の所得状況に応じて使うことができる国の制度です。しかし、安易に免除や減額の制度をし続けると将来の年金が大きく減額してしまいます。
そういった事にならないよう余裕のあるときは、追納など免除や減額の期間などを埋めて年金額を増やすのがこの制度を利用するポイントです。困ったときは申請し、将来的年金を多めに受け取れるように賢く制度を利用してみてください。