共依存の親子関係について知っておこう!
最近よく耳にする共依存という言葉をご存じですか。共依存とは、自分と相手となる特定の人とが、過剰な依存関係にあり、その関係に囚われているのが原因です。お互いが支えているのではなく、寄りかかっているという点に問題があります。
共依存の親子とは?
共依存の親子とは、お互いがお互いに依存している関係にあるのが特徴です。共依存の関係にあると、お互いがお互いに寄りかかっている状態なので、どちらかがいなくなると一人で立つことができなくなると考えていることが問題です。
最近は、姉妹や兄弟のような親子関係が注目されることも多いです。親子の仲が良いことはいいのですが、親子関係において共存関係が強くなることは、子供の自立を拒む原因となりえるので、注意が必要です。
お互いがお互いを欠かせない存在と思っている関係
親子関係における共依存とは、親子がお互いを欠かせない存在と思っている関係です。生まれたばかりの赤ちゃんは、自分ひとりでは生きていけません。子供は、両親の庇護のもとで育っていきますが、やがて手を離れて、自分で身の回りのことができるようになります。
しかし共依存に陥る親子は、その関係を自立を迎える年齢を経ても続けてしまうのが原因です。身体的には自立していても、精神的な親離れを克服しておらず、見た目は大人でも、心の中では親がいないと何もできない子供のままです。
共依存の親子の特徴
では、共依存の関係にある親子の特徴はどのようなものなのでしょうか。ここでは、親子の共依存の関係性で特に特徴的なポイントを3つに絞ってご紹介しています。もしかしたら自分たち親子も共依存関係になっているのでは、と心配な方はぜひチェックしてください。
実家から出ようとしない
まず、共依存の親子関係にある人は、自立する年頃になっても実家から出ようとしないのが特徴です。親子がお互いを必要としている関係なので、自分がそばにいなければ、という思いが強く、自分一人での生活を考えようとしません。
事情がある場合を除けば、子供が自分で経済活動ができるようになった後も、実家にいるということは、親子においてあまりいい状態とは言えません。親は、子供に対して「自分がいないとこの子は何もできない」と世話を焼いてしまいますし、子供も当たり前のこととして受け入れます。
本来なら自立して自分で生計を立てて、生活ができる環境であるのにも関わらず、家にいて今まで通りの親子関係を続けることは、子供の自立を阻害する原因にもなりかねません。
親がいつまでも経済的援助をする
また、親がいつまでも経済的な援助を子供にすることも、共依存の親子の特徴です。親子が別の家で暮らしているにもかかわらず、子供に経済援助を続けているのも原因のひとつです。子供が働いているにも関わらず、お小遣いを上げている親は要注意です。
家庭が裕福で、資金援助が可能ということもありますが、多くの場合、母親が息子や娘に過干渉な状態にあることが原因です。
子供においては、経済的な支援を受けることで、知らず知らずのうちに親のコントロール下に置かれているのが大きな特徴といえます。共依存という親子関係が、子供の自立心を妨げます。
依存している自覚がない
共依存の親子は、基本的にお互いに依存している自覚のない人が多いのも特徴です。親子がお互いに自覚していないので、その関係は徐々にエスカレートしていきます。
共依存は、親子の関係性に問題があるため、エスカレートしていくと悪い影響が出てくることもあります。依存関係が強すぎることで、相手を自分のコントロール下におきたいという状況に陥り、更に状況が悪化します。
親が子供をコントロール下におくと、子供は「自分が悪い子だから、相手が悲しむんだ」「自分は一人では何もできない」などという自己否定や劣等感を生みだしてしまう原因にもなります。
また親子が共依存の関係にあると、思うようにいかない時に「私が我慢すればいい」という一方的な自己犠牲の思考に陥ります。このような家庭環境は、親子関係だけではなく、子供が他人と正常な人間関係を築けない原因にもなります。
共依存の親子の原因は親の過干渉
共依存の親子関係は、親の過干渉が大きな原因でもあります。ここでは、具体的に親の過干渉というものがどのようなものであるのかをご説明していきます。わからないでやってしまっていることも多いので、自分の子供への接し方を今一度振り返ってみてください。
自分の存在意義を子育てに感じている
子供への過干渉が、共依存の親子関係を作ります。特に自分の存在意義を子育てに感じている方は、共依存の親子関係に陥る可能性が高いです。子育ては、特に親子の関係を密にするものなので、誰もが気を付けないと、共依存の親子関係に陥りやすいとも言えます。
また、自分が親から思うような愛情を受け取らずに成人した場合、子育てに力を注ぎすぎてしまう傾向にあります。特に子育てすることで自分の存在をより高め、周囲から認められる存在だと強く認識している方は注意が必要です。
このようなタイプの方は、子育てを自分の承認欲求に置き換えています。承認欲求は誰にでもあるものですが、親子の共依存関係に陥るタイプの方は、この欲求が強いタイプです。
甘やかしと愛情の区別がわからない
また子育てにおいて、甘やかしと愛情の区別が分からない親も、共依存に陥りやすいです。甘やかしとは、子供の気持ちをわからないまま、その場しのぎに与えるものであり、愛情は、子供の気持ちを理解して与えるものです。
甘やかしの例として、飲食の場でないところで子供が泣きわめくからと食べ物を与えてしまうというような、子供の感情に振り回されて親が動いてしまうことが上げられます。このように育てられた人の特徴として、自分の思い通りにいかない時に怒りや悲しみの感情しか表すことができません。
自分の気持ちを相手が満たしてくれるかどうか、が重要となり、正常な人間関係を築けなくなる危険性もあります。子供の心の成長も止めてしまうので、自分ひとりの力で社会生活を送れなくなり、ニートや不登校になってしまう原因にもなります。
甘やかしと愛情、言い方を変えると甘えることと甘えさせることは違います。甘えてばかりいる子供は、心の弱い人間に育ちます。甘やかされた子供は、何が良くて何が悪いのか善悪が分からないまま、大人になります。
家庭内で、自分の欲求を全て満たせるのなら、家から出ていこうとしないのは当たり前です。また、親が自分の要求を全て受け入れてくれるのであれば、家にいたい、親のそばにいたいと思うのは当然です。
親は子供に嫌われたくない、いつまでもそばにいてほしいからと、子供の言う通りにばかりしていては、子供の言うがまま、為すがままになるでしょう。お互いが悪い意味でのwinwin関係に陥り、お互いがお互いに依存してしまいます。
共依存の親子の克服方法
親子の共依存では、一般的に子供に関わる時間が長いとされている母親が陥りやすいと言われています。しかし、父親がまったく共依存にならないかと言えばそうではありません。ここでは、親子が共依存関係に陥らないための克服方法をご紹介します。
共依存に陥っていることを自覚する
親子の共依存関係で一番の特徴は、自分自身の自覚がないことです。つまり、自覚さえすれば親子の共依存関係は克服できるとも言えます。しかし、自分が共依存だと認めたくないという意識も働いて、なかなか克服できないという方も多いです。
そこで自分が親子の共依存の特徴に当てはまるかどうか、一度チェックしてみてください。自分で振り返り、チェックすることは大切です。気が付かなかったことが見えてくることもあります。
まずは自分自身で事実を受け止め、克服する必要があれば行動することが大切です。自分は大丈夫という方も、大切なこれからの親子関係のために、ぜひチェックしてください。
自分のことを客観視
自分が親子関係で共依存に陥っているかどうかは、自分のことを客観視できるかどうかが重要になってきます。共依存に陥っている状態は、自分自身の問題に目をそらし、外の世界とつながろうとしている状態とも言えます。
しかし、自分の問題を棚上げして、他者と上手くいくはずがありません。自分の不安や問題は自分で解決するしかありません。
自分のことを客観視するということは、自分の問題を棚上げせず、向き合うことから始まります。その上で、自分自身をコントロールすることで、共依存を克服することができます。
今までの当たり前から抜け出す
知らないうちに共依存に陥っていると、それが現実で当たり前になってきます。自分の行動を問題視する人はおかしいと感じ、自分の殻に閉じこもり、ますます克服するのに難しい状況に陥ります。
自分が共依存かそうでないかをチェックし、少しでも不安な点があるならば、今までの当たり前から抜け出す努力をしましょう。今までの生活を振り返り、これでいいのかと自問自答を繰り返しながら、当たり前だった環境を抜け出すことが大切です。
頭では理解できても、行動に移すのはなかなか難しいものです。しかし今までトラブルが多いと感じている方は特に、これからのトラブルを防ぐためにも、今までの自分なら当たり前であった行動を避けて、自分をコントロールできる客観視を身に付けましょう。
介護でも共依存状態になることも?
親の介護の場面で、それまでは表面化していなかった共依存の関係性が深く悪い方向に向かってしまう親子もいます。介護における親子関係において、3つのポイントがありますのでご紹介します。実際に介護を頑張りすぎているという方や、そうなりそうな方も、ぜひチェックしてください。
親の介護を離れることへの罪悪感
介護における親子の共依存をチェックするにあたり、親の介護を離れることへの罪悪感を感じてしまう人は危険です。
介護における親子の共依存とは、親が自分を頼ってくれることにやりがいを感じ、感謝されることで頑張りすぎてしまう子供と、子供に頼ることで他の存在を必要としない親の共依存状態です。
介護をしているという状況は、介護される親からの感謝はもちろんですが、他者からの評価も高いということが一般的です。他者から「自分の親の介護をしていて偉い」と評価されると、ますます頑張ってしまう、という方はすでに共依存に陥っている可能性があります。
他人に任せられない
一生懸命親の介護をしている人にとって、介護は自分自身の評価を高めてくれるものでもあります。介護される側や、外部から評価をされて、ますます頑張ろうと思うので、他人になんて任せられません。親子の介護における共依存は、ますます孤立を深めます。
介護が自分の生きがいに
親子の共依存状態において行われる介護は、子供にとって自らの生きがいになるでしょう。しかし親子だからと言って、意思疎通がうまくいくか、何でも言えるかというとそうではありません。介護をする側とされる側で、パワーバランスに変化が起きてきます。
お互いが思うように上手くいっている時はいいですが、介護は子育てとは違い、成長や自立はありません。介護される親の身体は徐々に衰え、増々手がかかるようになります。その中で、親子が孤立を深めた共依存関係にあるのは危険です。
共依存の親子になっていないかチェック!
共依存の親子の特徴についてご紹介してきました。共依存の関係は、お互いを必要としている関係なので、必ずしも悪いことではありませんが、行き過ぎた密な親子関係は、あまり良いものではありません。自分が共依存の親子関係に陥っていないか、しっかりとチェックして克服していきましょう。
親・子供の感情をコントロールしようとしていないか
親子がお互いに相手の感情をコントロールしようとしていないかどうかは、親子が共依存の関係にあるかどうかを知るために大変重要です。親が子供の感情をコントロールすることは、ある程度必要ですが、そこには子供の将来を見越した計画性と、子供の気持ちを思いやる必要があります。
自分の子育てが、子供を思うようにコントロールするものではないかどうか、今一度チェックしてみてください。子供の気持ちを聞かずに、様々なトラブルから守ってあげたい一心で、全てを肩代わりしてしまう親もいます。自分がモンスターペアレント化していないか、チェックが必要です。
親・子供の感情や意見に影響されていないか
あなたは親や子供の感情や意見に影響されていませんか。親子関係が共存状態になっている場合、どちらかのパワーバランスが一方的であればあるほど、影響力が強く、自分の意見ではなく相手の感情や意見に左右されていることが多いです。
何をするにも、お伺いを立てなくては決められなかったり、自分の意見が言えなかったりすることも、共依存の特徴のひとつです。子供が小さければ親の影響下にあるのも仕方ありませんが、成長に伴い自分の考えが作られてくる子供に対して、一方的に親が自分の感情を押し付けてはいけません。
共依存の親子を克服して自立していこう!
共依存の親子関係について、ご説明してきました。まず、自分が共依存にあるのかどうかをチェックしましょう。もし共依存のようだと感じたら、その原因を突き止め、事実を受け入れ、克服しようとする努力が必要です。
親子の共依存関係は、誰もが陥りやすいです。共依存の関係を克服し、子供の将来のためにも、自立した関係を築きましょう。