バリュー投資とは
バリュー投資とは、投資手法の一つで、割安に放置されている企業の株を買い、その価値が将来適正な価格まで戻るのを待つという投資スタイルのことです。株式投資には色々な種類の投資スタイルがありますが、そのうちの一つに「ファンダメンタル分析」というものがあります。バリュー投資は、そのファンダメンタル分析に重きを置いた投資手法の一つです。
バリュー投資は数ある銘柄の中から、「一度買ったらそのまま放置するだけ」の、とてもシンプルな投資方法です。バリュー投資というのは、企業のもつ適正な株価から大きく乖離してしまっている、市場で低く見られている割安株を吟味し、探し当てるようなスタンスの投資方法となります。
企業のファンダメンタル分析とは、企業の財務諸表やその業界の市場などを包括的に分析する手法の事です。その目標は業績予想であり、個人投資家にとっては長期保有を前提に配当などの利回りを重視する立場をとります。
このページでは、割安株投資、所謂バリュー投資についてご説明するとともに、参考となる指標や、実際のバリュー投資の方法をご説明していきます。
割安株に投資をしていくこと
割安な株(割安株)に投資をしていこうというのがバリュー株投資の基本スタイルです。では、人々がその企業の株価が割安であると感じるとは、どの様な状況なのかをご紹介しましょう。
例えば、ある株式会社の算定された本来の価値が500円だと仮定します。しかし現在の株価が何らかの理由で350円と割安な価格で放置されている場合に、その350円の価格で仕入れを行い、500円の本来価値に戻るまで辛抱強く待ちます。そうすることで利益を得ようとするのが、バリュー投資のおおまかなスタイルです。
となると当然、株式が割安かどうかをはかるための判断材料が必要となりますが、ここでは最も代表的な2つの指標をご紹介します。
ここからは、バリュー投資を成功させる上で不可欠な割安株を見つける指標を2つご紹介します。それは、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)です。先ずはPER(株価収益率)から見ていきましょう。
PER(株価収益率)とは、一株あたり利益を株価で割ったものです。この指標によって、利益あたり株価が何倍まで買われているかを表す指標です。
次に、PBR(株価純資産倍率)とは、一株あたり純資産を株価で割ったものです。こちらは資産に対して、どれくらい株式が買われているかを示す指標です。
教科書的に割安な株式としてみなされるのはPERは15倍以下、PBRは1.5倍以下となりますが、株価の値下がりがダイレクトに反映されるため、これらのみでは100%信用出来るわけではありません。
つまり、悪い業績を織り込んだ動きをした銘柄がPERが値下がりした時、それを見て割安だと判断して買ってしまうと、思わぬ怪我をする可能性があるということです。そのような銘柄は結局業績悪化に伴い利益も落ち込むことで、最終的には割安でない本来のPERへと戻ることになります。
バリュー投資・グロース投資の違い
ここで、バリュー投資とよく比べられるもう一つの投資手法である、グロース投資について、ご紹介します。
バリュー投資に対してグロース投資とは、未来に比べて今の方が割安な株を発見し投資する手法です。つまりは将来どのくらい株価があがるかを予想して、現在割安である株を買うことになります。株式投資を金儲けの博打と考えるならば、バリュー投資よりもグロース投資の方が面白いし、値上がりしてる間は短期で大きく儲けられるメリットがあります。
グロース投資を行う時の判断材料としては、「Aという銘柄は未来の業績に比べて割安」「Bという銘柄は未来の業績に比べて割高」というアナリストレポートなどをみて投資判断をします。
しかし、当然ながら未来のことは誰にもわからないに関わらず、それを信じて投資することになるので、必然的にリスクが高くなります。
大切なことは、どんな銘柄でも突然問題がでて上場廃止の可能性がでて株価が大暴落するなどの可能性は兼ね備えているのが株式市場であることを、決して忘れてはいけません。
以上が、バリュー投資とグロース投資の違いとなります。徹底した分析が不得意で、のるかそるかのスリリングな投資を楽しみたい方はグロース投資の方が向いていると言えます。
グロース投資・未来に比べて今が割安
安いときに買って、高いときに売ることが株式投資を行う上での基本です。では、投資家にとっての割安な時をどうやって判断するかが、大切になります。
この『安いとき』を判断する投資方法にはグロース投資とバリュー投資とがあります。割安銘柄を選ぶ際、グロース投資が未来に比べて今の方が割安と判断するのに対して、バリュー投資は過去に比べて割安だから買うと判断します。つまり、グロース投資とは現在に対して将来を予測する投資で、バリュー投資とは過去を辿り、銘柄を探し当てる投資なのです。
投資家にとって、株式投資を長期的な資産運用の手段と位置づけるか、株式投資をスリリングなレジャーのようなものとして楽しむか、という二つの選択ができます。これは、それぞれの好きな投資スタイルに合う方を選択すれば、楽しくかつ長く投資で利益を生み続けることが出来ます。
バリュー投資・メリット
様々な投資方法がある中、バリュー投資の特徴は、一度買ったらそのまま放置するだけという、とてもシンプルな投資方法です。このことから、忙しいサラリーマン投資家など、いつも株価を気にしている暇がない人には特におすすめされています。
バリュー投資では、企業の適正価値に対して、市場に割安見られている株を選んで長期的に利益を生み出す手法です。日本の株式市場、経済動向にある程度知識を持ち、長い目で回収したい人向けの投資方法です。ここからはバリュー投資をする上で押さえておくポイント、バリュー投資のメリットとデメリットについて紹介していきます。
①高値掴みを防止
バリュー投資を推奨している投資家のなかで、もっとも著名である一人にウォーレン・バフェット氏の存在は外せません。
彼は、株価が暴落したときや景気が悪くなった時、多くの人は株を買う気になれないにもかかわらず、その時をチャンスとみなしました。バフェットはなぜそう考えたのでしょうか。
何度も言いますが、バリュー投資は企業の価値に対して割安な企業に投資する事です。その前提を考えると、株価の急落や急激な景気後退は、ある意味ではチャンスと捉えられるのです。
この様に、バリュー投資の1つ目のメリットとしては、会社の価値に投資をして利益を狙うので、高値づかみを防ぐことができ損失が限定されることにあります。いずれ市場原理が働けば、適正価格まで上がるという安心感があるわけです。
②一度買ったら放置
バリュー投資の2つ目のメリットは、売買タイミングを気にせず一度買いさえすれば、後は放置してもいいことです。バリュー投資での資金回収は長期的であるため、短期間で売買をする必要がありません。株価が上がるのをただひたすら待つだけで良いというのは、兼業投資家にとってはとても大きなメリットと言えます。
バリュー投資・デメリット
ここまで、投資手法としていかにバリュー投資が有用でメリットが大きいかをご説明しましたが、一つの投資手法に頼り銘柄を選ぶと思わぬ損害を被るのが株式投資です。
数多くある割安株は、割安であればどれを買っても利益が出るかというと、そうではありません。割安株だと判断した銘柄の中から、総合して判断すべきです。
この割安株選びは、様々な角度から複合的に判断出来ないと危険であるという事はお忘れなきようにして下さい。ここからは、上記をふまえてバリュー投資がはらんでいるデメリットを代表的なものとして、二つご紹介します。
①成果まで時間が掛かる
バリュー投資のデメリットとして、先ず成果まで時間が掛かる事が挙げられます。それもどのくらいの時間を必要とするかも不明瞭です。割安株だと思って投資した企業が直後に不測の事態が起こり、適正価格に戻るまで途方もない時間を費やすというデメリットが存在しています。
この投資したお金がいつ回収できるかわからない、という事はデメリットとしては大きなものです。割安株を購入したこと自体を忘れるくらいのスタンスで投資していけるよう、経済的にゆとりを持ちながら実践する事が、このデメリットを無くす秘訣と言えます。
②割安か判断が難しい
バリュー投資の2つ目のデメリットは、割安かどうかの判断が難しい事です。バリュー投資によって、成功をつかめない人はこのデメリットを軽く見てしまっている恐れがあります。割安株だと判断するには、PER、PBRをしっかりと意識して、デメリットをメリットと考えられるくらい、徹底してリサーチを行う必要があります。
バリュー投資・銘柄の選び方
では、バリュー投資で投資を行う際、どの様にして割安銘柄を選定し、どのタイミングで買えば良いのでしょうか。ここからは、数多くある日本の株式会社の中から、どの様にしてスクリーニングすれば良いのかを、代表的なものを例に挙げ、ご紹介していきます。
前提として、購入したあとは、株価が本来の適正価格になるまで、長期的に株価を追っていくのがバリュー投資で成功する方法といえます。
①業績が成長している
株価は四半期決算や、本気決算のような業績の発表に対して敏感に反応するので、安定的に成長してい銘柄が正解となります。ではそのときに、業績の推移はどの様にして調べるのでしょうか。
最も正確な方法は、その企業のホームページからIR情報にアクセスし、決算短信や有価証券報告書を調べ上げることです。企業が公開している情報がすべて載っていますから、10年以上前のものだとしても、会社が存続している限り、緻密に調査することが出来ます。
②利益率が高い
国内企業の利益率は相対的に低く、営業利益率は8%あれば高い方だと言われています。その日本企業の中で相対的に利益率が高い企業というのは、独自の商品やサービスで高い付加価値を提供できていると考えられますので、今後も業績が堅調に推移するだろうと考えられます。
これを確認するには、前述の四季報で、営業利益÷売上高を計算します。営業利益率が安定的に10%以上あるならば、業界でも競争力の強いビジネスをしているという判断が出来ます。
③株主還元に積極的
一般的に日本企業の多くが、配当や自社株買いなどの株主還元に消極的だといわれます。稼いだ利益をM&Aや新規事業に再投資する事が事業を拡大のシナリオですが、社内にため込むだけで有効活用できていないこ企業が多いです。長期投資するならば、配当や自社株買いといった還元策に積極的な企業に投資したほうが良いです。
④割安
4つ目のポイントとして、割安であるということです。過去の財務諸表や指標などのデータから分析を行い、正確に割安に見られている優良銘柄を探し当てることです。PER、PBRやROEなどの指標から銘柄を絞り込み、上記3つのポイントにも当てはまる銘柄を見つけることが出来れば、ゴールはすぐそこです。
バリュー投資・注意点
バリュー投資において、上記の4点でスクリーニングを行えば、引っかかる割安銘柄はかなり絞られます。ただし、あくまでも長期的な視点での運用が必要ですので、回収できるタイミングは5年後かも知れないですし、ひょっとすると10年以上経過しないと結果が伴わない可能性もあります。
それだけでなく、株価の動向は関係する外国との関係の変化や、政府の経済政策の決定などで、トレンドが変わる可能性も十分にあります。その変化が所有している割安株にとって、デメリットにもなりえるのです。
日本株でバリュー投資が向かない事も
株式市場というステージは同じに見えますが、アメリカの市場と日本の市場は、違った傾向が見られます。経済を回すリソースの量が違うので、当たり前の話なのですが、両者を関連させて安易に投資をするのはリスクを伴います。
前述のウォーレンバフェットも、バリュー投資の父と言われているベンジャミングレアムも、成功をつかんだ土俵は日本の経済市場ではありません。考え方などの理論のほとんどは通用しますが、全く同じ手法が通用するかと考えると、その限りでは無いのです。
長期投資のすすめ
以上の様な理由から、バリュー投資におすすめなのが長期投資です。長期投資は他の投資スタイルに比べてあまり手間がかからないというメリットがあり、さらにしっかりと銘柄を選んで運用すれば平均的なリターンはプラスであることが歴史的に裏付けられています。
長期投資は忙しいサラリーマンにもぴったりの副業です。将来のお金について漠然とした不安を抱えているなら、長期投資がおすすめです。
バリュー投資は長期的にみて利益を出していく投資法
バリュー投資には、デメリットとして、株価が下がった時に慌てず手放すのを我慢する精神的な我慢強さや、株が本当に割安かどうか見極める力が必要です。バリュー投資は割安の株を見極められれば利益が出ますし、長期的な投資であるため、兼業投資家と相性がいいというメリットがあります。
バリュー投資は株を勉強してきた人、兼業投資家の人には一度試してほしい投資方法ではありますが、この投資手法をマスター出来ると、文字通り鬼に金棒となりますので、興味ある方は一度チャンジしてみることをおすすめします。