「金字塔」の意味・使い方を解説!例文・語源・類語や英語表現もまとめてチェック

「金字塔」の意味・使い方を解説!例文・語源・類語や英語表現もまとめてチェック

「金字塔」、皆さんは、この漢字の形から何を思い浮かべるでしょうか。「金字塔」は漢字「金」の形に似た「塔」を意味します。世界史の中でもたいへん重要な建造物「ピラミッド」です。「ピラミッド」に由来する「金字塔」の意味や使い方、英語での言い方をご紹介しましょう。

記事の目次

  1. 1.金字塔の意味・語源
  2. 2.金字塔の使い方・例文
  3. 3.金字塔の類語
  4. 4.金字塔の英語表現
  5. 5.金字塔の意味を理解して日常生活でも使ってみよう

金字塔の意味・語源

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一流選手がさらに大記録を出した時や、人類を救うような大発明が生みだされた時に「金字塔を打ち立てた」と言われます。

シチュエーションから、たいへんな努力の末、歴史的に見ても前代未聞の大記録や大発明にたどり着いた時に使われる表現だと想像できます。なぜこのような文字が当てられたのか、語源に遡ってご紹介しましょう。

金字塔の意味

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「ピラミッド」を語源とする「金字塔」は、簡単には越えられないような素晴らしい記録や、並大抵な努力や才能では生み出されないような発明や解明のことを意味します。

スポーツ選手であれば、その選手の選手人生の中でも記念碑になるようなけじめの時に使われます。学者であれば、その発明によって人類の歴史に大きな影響を与えるような、また人類を救うような偉業をなしたときに使われます。

意味①エジプトの「ピラミッド」

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「ピラミッド」の日本における呼称として生まれた「金字塔」の「金」の上部は「会」や「今」の部首「ひとやね」と同じ形をしています。その形を含め「金」の字の形が四角錐の横から見た形に似ていることと素晴らしい労作という意味で「ピラミッド」に「金の字の塔」と「金字塔」を当てられました。

意味②「歴史的な優れた作品や記録」や「不滅の業績」

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そもそも「ピラミッド」は四大文明と数えられるほど歴史上の重要事項で、大昔に大きな建造物「墓」が作られたことは歴史上の大事業とされています。「ピラミッド」の巨大さと、それを作った昔のエジプトの人々の苦労を察する意味から「金字塔」は「偉業」に対しても使われるようになりました。

金字塔の語源

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「金字塔」の漢字は平面にしっかりと安定して建った形をしています。また「金」の字は左右対称の字形で、不安定さを感じさせません。この「金字塔」という呼び方と漢字の決め方は、何に対して当てたものでしょうか。

「金字塔」の語源は、ピラミッドです。「金字塔」という言い方は、中国の文献にも登場しています。ピラミッドの形が、漢字「金」に似ていることから「金の字に似た塔」として「金字塔」がピラミッドを意味する漢字として使われるようになったようです。

語源は「ピラミッド」の形

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実は、日本の文献において「金字塔」という言葉が出てきたのは、幕末から明治維新の頃の福沢諭吉や岩倉具視の遣欧使節団の頃です。ヨーロッパに出かけた使節団のメンバーは、その旅行過程でエジプトに立ち寄り「ピラミッド」を見ました。知識を超越して古代に想像を馳せたことでしょう。

はじめは「錐形塔」と記し「ピラミデ」とカタカナで現地の読み方を付されています。また、形からあてた金字塔の表記についても「ピラミーデ」とカタカナが付されていました。ピラミッドを語源として「金字塔」は、他にも「大石塔」「四角の尖塔」と呼ばれています。

そのころの地誌の記述に「石塚ノ極メテ大ナル者ガアリ、ピラミッド」ト名ク」とありますから、非常に大きな石造りの塚に感嘆したことが伺えます。ピラミッド建築の労作とその形に、価値ある金属である「金」を連想させられ「金字塔」と呼んだのは素晴らしい選択と言えるのではないでしょうか。

金字塔の使い方・例文

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オリンピックの開催時期が近づくと過去の各地のオリンピックの回想番組において「金字塔」という言葉が数多く見られます。また、ノーベル賞の発表があると、受賞者の業績が「金字塔」として讃えられます。「金字塔」を使う場面をご紹介しましょう。

金字塔の使い方

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「金字塔」という表現は「ピラミッド」に対してだけではなく、人の作品や記録、功績を意味します。文学史の中で、時代を変えるような作品が発表された時には「金字塔となる作品」と表現されます。「金字塔」の言葉の使い方を見てみましょう。

使い方①動詞と一緒に使うのがポイント

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「金字塔」は、先ほどの「金字塔となる」「金字塔と言える」のように「金字塔」を目的語とする動詞と合わせる使い方をされます。また「金字塔」を主語とする動詞とともに使われ、素晴らしさを意味します。「この金字塔は必ず後世に残るものだ」という表現は、その例文です。

使い方②「金字塔を打ち立てる」

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「あの選手は金字塔を打ち立てた人です」という文は、金字塔を使う表現のもっともよく見られる例文です。

たとえば、スポーツ界で前人未到の記録をたたき出した人です。野球界のイチローさん、フィギュアスケートの浅田真央さん、柔道の谷亮子さん、野村忠宏さんなど、日本のスポーツ界は世界に誇れる記録や、連続制覇の記録を残した選手がたくさんおられます。

今までも、またこれからも、その記録が伸びるたびに、また打ち破られるたびに金字塔を打ち立てたと呼ばれるでしょう。オリンピックシーズンが近づくと、新たな金字塔の誕生が期待されます。

金字塔の例文集

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「金字塔」の使い方は、直接「ピラミッド」を意味する使い方と、「ピラミッド」が連想させる労作から「偉業」や「功績」を意味する言葉としての使い方の、大きく二種類があります。それぞれの例文を見てみましょう。

例文①

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「今尚建築未完成のサグラダ・ファミリアは、建築の世界においてはその建築過程そのものが金字塔と言えるだろう」と言われます。

この文は、その建築家ガウディの没後100年にあたる記念の年、2026年に完成予定のサグラダ・ファミリアに対して、建築の期間の長さと、建築の過程に対する人々の執念や、崇拝の存在を「金字塔」という言葉を使って「偉大な」労作と讃えています。

例文②

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「バスケットボール漫画は売れないと言われてきたが、今や、スラムダンクは知らない人がいないほどの作品で、バスケット漫画の金字塔と言えるでしょう」という一文は「スラムダンク」が、それまでの状況を打破した点で、漫画史に残る記念碑的な作品であるということを意味しています。

例文③

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「2012年の今年の漢字に金が選ばれたのは、ロンドンオリンピックで多くの日本人選手が活躍したことや、ノーベル生理学賞・ノーベル医学賞を日本人が受賞し金字塔が打ち立てられたことに由来するでしょう」

この文は、2012年が、頑張る日本人の存在で、世界に誇れる年となったことを意味しています。多大な努力をされた結果に与えられた賞は、それぞれの偉業を讃えるものでしょう。

金字塔の類語

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ピラミッド由来の「金字塔」の類語は、建造物そのものの形から考えられるものと、建築過程から完成までの労作の大きさから考えられるものと大きくふたつの分類で見つけられるでしょう。

ピラミッドの形は「四角錐」で、横から見ると「三角形」ですが、それらの形を「金字塔」と呼ぶわけではありません。四角錐も三角形も、形状に対する名称であるだけで、褒められるべき労作や素晴らしさを意味する言葉ではないからです。

そうすると、金字塔の類語は、その労作のすばらしさや記念するべき記録や作品に対する呼び方から見つけることになります。たとえば、素晴らしい「業績」「偉業」や「功績」などが「金字塔」の類語と言えるでしょう。

また、目標までの達成度を見る通過点という意味の「試金石」や目標に向かう途中の目標とする「中間目標点」「節目」なども、そびえたつ目標として「金字塔」の類語と言えるでしょう。

類語①偉業

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「偉業」は、素晴らしい仕事、偉大な事業に対して呼ぶ言い方で、構造物としての作品を指して使う言葉ではありません。社会を良くするような計画を立てて実行したり、教育で人材を育てたりするような人の業績に対する言い方です。

類語②功績

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「功績」は、手柄を意味する言い方です。素晴らしいことをしたことには変わりはなくても「偉業」と違って、利益が生む働きに対してこの「功績」という言葉は使われます。

「金字塔」は、スポーツの記録など、金銭的な利益なしにでも使われる言葉です。「偉業」と「功績」では「偉業」で作り上げられた作品という捉え方が「金字塔」に近いと言えるでしょう。

類語③試金石

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「試金石」とは、元は、金などの金属の価値を鑑定するために用いられる石のことです。こすり合わせた傷跡を一覧と比較することから、物の価値や人の能力を計る基準を指しても「試金石」と言います。良いものを目指す時の比較対象の目標となることから「金字塔」の類語と言えるでしょう。

金字塔の英語表現

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「ピラミッド」に対して当てた漢字の言葉「金字塔」は、ヨーロッパからも東アジアの日本からも遠い未知の地域アフリカのエジプトの建造物を見て驚いた人々が呼んだ言葉です。

日本では「金字塔」と表現しましたが、英語圏の人々は何と表現し、何を連想したでしょうか。「金字塔」の英語での言い方をご紹介しましょう。

英語表現①「pyramid」

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「金字塔」の英語での言い方は、やはり「ピラミッドそのもの」及び「ピラミッドを作り上げたような偉業」「ピラミッドのような貴重な建造物」という意味から「pyramid」と言います。

古代は、言うまでもなく電動の重機や発達した科学技術のない時代です。あの、砂漠の真ん中に巨大な石積みの建造物を建てる方法は、その後の学者にとっても想像が届かないような不可思議でした。

おそらく、その建造過程には、事故で命を落とすようなことも少なくなかったと想像でき、苦労を重ねてできた偉大な建造物であることが連想され、偉大な技術、偉大な作品、記念となる作品であることを意味して「金字塔」という言葉に「pyramid」という言葉が使われたのでしょう。

英語表現②「a monumental achievement」

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「金字塔」は、また、pyramidのような一時代を達成したことの象徴、記念碑的な成果という意味合いで「a monumental achievement」と表現されます。偉大な業績を讃えた記念碑という表現でしょう。

英語表現③「a monument of ○○」

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「金字塔」は「a monument of ○○」とも使われます。科学技術の金字塔は「a monument of ○○」の○○にscience and technologyを入れて、英語では「a monument of science and technology」と表現します。

かつて東京タワーの建造時、300メートル以上の高さの塔を建てることは不可能なのではないかと思われた時代で、東京タワーの完成は科学技術の金字塔であると言われました。現在のスカイツリーの建造とは違った技術的な価値があったのかもしれません。

英語表現④「milestone」

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金字塔は「milestone」とも言われます。マイルストーンは、もともと道路に1マイルごとに置かれる標石のことです。日本では、一里、つまり約4キロメートルごとにおかれた一里塚でしょう。

マイルストーンは、ビジネスの世界では、中間目標、大きな節目、経過点を意味します。英語の世界でも、目標として確固として据えられた指標としてあるものとしての金字塔に対して「milestone」が使われます。

金字塔の意味を理解して日常生活でも使ってみよう

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「金字塔」は、「金」の字の形がピラミッドの四角錐の形と重なります。それで、かつて、ピラミッドに対してどのような言葉を当てるかが検討された頃、金字塔という言葉が使われるようになりました。

また、ピラミッドの大きさや、建造時の苦労の成果から連想して、ピラミッド、偉大、すなわちピラミッドの漢字表現の「金字塔」を偉大な記録や作品や偉業を意味して使うようになりました。

日常生活において身近に頻繁に使われることは少ない言葉ですが、スポーツの記録や、建築、科学の分野での発見、発明などについて驚きや目を見張る気持ちを話題にする時には、「金字塔」という言葉を使ってみましょう。

藤田清美
ライター

藤田清美

古墳の町で小中学生に関わること40年。若いライターのみなさんに交ってシニアライターとして苦闘しています。ゆったりとした雰囲気の中で、ちょっと得する文章を書ければいいなあ。よろしくお願いします。

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