民泊新法の内容や問題点は?民宿経営するならチェックすべき5つのポイントを解説

民泊新法の内容や問題点は?民宿経営するならチェックすべき5つのポイントを解説

民泊新法の施行から1年が経ちました。民泊ビジネスを行うにも、新制度がどういう内容で、何を届出すべきか、物件はマンションも対象なのか、自治体の規制内容など疑問や問題点が多いのではないでしょうか。今回は、民泊新法の内容・問題点をポイントを絞って解説します。

記事の目次

  1. 1.民泊新法とは
  2. 2.民泊新法施行の流れ
  3. 3.民泊新法の内容
  4. 4.民泊新法で問題点の改善へ
  5. 5.民宿経営をするなら民泊新法の把握は必須
  6. 6.民泊新法のポイント①民泊できる施設は住宅
  7. 7.民泊新法のポイント②「誰」が民泊を営むか
  8. 8.民泊新法のポイント③民宿経営の届出義務
  9. 9.民泊新法のポイント④マッチングサイト運営も登録義務がある
  10. 10.民泊新法のポイント⑤営業日数
  11. 11.民泊新法だけでなく条例の順守も必要
  12. 12.民泊新法の課題・問題点
  13. 13.民泊経営は民泊新法や自治体の条例を事前にチェックするべき

民泊新法とは

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観光立国を掲げ、国や地方が国内外からの観光客誘致に努める中、近年、宿泊先として安価に利用できる民泊サービスが急速に普及してきたところです。

一方、民泊サービスには、公衆衛生や地域住民等のトラブル、違法民泊などの問題点もあります。これら諸課題を解決しつつ、多様化する宿泊ニーズ等に応えるべく、「住宅宿泊事業法」いわゆる民泊新法が平成29年6月に公布され、1年の周知期間を経て平成30年6月に施行されたところです。

民泊新法の基礎知識

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民泊事業では民泊の宿泊客のほか、3つのプレイヤーが想定されています。法律では、これら3つのプレイヤーに係る制度を創設し、それぞれに対して役割や義務を定めることで、民泊事業が適切に運用されるよう規制しています。3つのプレイヤーは、法律上、それぞれ「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」と定義されています。

住宅宿泊事業者(民泊ホスト)

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住宅宿泊事業者とは、民泊用の宿泊施設(別荘などの住宅)を提供する者のことであり、いわゆる民泊マッチングサイトに物件を掲載する「民泊ホスト」がこれに該当します。

民泊用の宿泊施設を提供するには、事前に都道府県知事に届出を行う必要があります。届出を行うと、届け出た住宅について一定の責任を負うことになります。なお、旅館業法の規制との関係もあり、実際に客に宿泊施設を提供できる日数に上限が設けられています。

住宅宿泊管理業者(民泊代行会社)

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住宅宿泊管理業者とは、民泊ホストから委託を受けて、報酬を得て住宅宿泊管理業を行う者のことであり、民泊代行会社(管理会社)がこれに当たります。住宅宿泊管理業の詳細は後述しますが、家主(民泊ホスト)が不在で十分な管理ができないため、業者が代わりに管理業務を行います。住宅宿泊管理業を行うには、国土交通大臣の登録が必要です。

住宅宿泊仲介業者(民泊仲介サイト運営会社)

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住宅宿泊仲介業者とは、宿泊者又は住宅宿泊事業者のために、宿泊サービス提供に係る契約締結の代理、媒介等を行う者のことであり、いわゆる民泊仲介サイトの運営会社のことを指します。このような民泊のマッチングサービスを行うには、観光庁長官の登録が必要になります。

民泊新法施行の流れ

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民泊新法の施行前でも民泊に関する法規制は、存在していました。具体的には、旅館業法による許可を得るか、特区制度を活用し民泊特区による認定を受ければ、民泊運営は可能でした。しかし、これらのハードルは決して低くなく、これらの正当な手続きを得ない違法民泊も多く存在していました。

訪日外国人の増加、宿泊施設不足、そして違法民泊への対応の問題点をクリアするには、きちんとした法規制を整えた法律が必要であり、その制定への動きが活発化してきました。

民泊新法が施行されたいきさつ

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上記のとおり、民泊新法が施行された背景には、規制改革による成長戦略、地域活性化、空き家の増加、観光立国の推進、2020東京オリンピック・パラリンピックの開催がキーワードとして挙げられます。旅館業法の規制を緩めて民泊サービスを普及推進することが、経済発展や地域活性化に寄与し、宿泊施設不足の解決にも資すると考えられたのです。

一方で、違法民泊が犯罪の温床になりかねないだけに、民泊における必要な規制についても慎重に検討されました。国の機関や業界団体での検討を経て、住宅宿泊事業法は平成29年6月に成立、公布され、1年の周知期間を経て平成30年6月に施行されました。

民泊新法の内容

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民泊新法の内容は、①住宅宿泊事業者の届出、②住宅宿泊管理業者の登録、及び③住宅宿泊仲介業者の登録制度を設けることにより、これらの事業を営む者の業務の適正な運営を確保しつつ、観光旅客の宿泊に対する需要に対応するものです。規制しながら民泊サービスを広めていくという一見相反することを行おうとしているのが民泊新法の特徴です。

民泊新法にかかる法令・条文

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民泊新法には多くの関係法令がありますので、事業を行おうとする人は一通り内容を確認してべきでしょう。住宅宿泊事業法のほか、住宅宿泊事業法施行令、住宅宿泊事業法施行規則が定められています。施行令(政令)は内閣が定めるものですが、住宅宿泊事業法は国土交通省と厚生労働省の共管となっているため、規則(省令)はそれぞれの省が定めています。

民泊新法のガイドライン

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このほか、告示とガイドライン(要領)も定められています。ガイドラインの内容は担当部局が定めるものであり法令ではありませんが、手続きに関する細かいことが定められているので、事業を行う者は法律や政令を見るよりもガイドラインを確認した方が役に立つといえます。

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なお、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)は60ページを超える分量になっています。このように民泊新法にかかる法令・条文、ガイドラインは、内容が盛沢山です。各種法令とガイドラインは、政府の公式サイトであるminpaku(民泊制度ポータルサイト)に掲載されています。

ガイドラインには何が書いてあるか

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ガイドラインの内容について少し紹介しましょう。ガイドラインには、用語の定義や届出などの手続き、事業の実施に関すること、監督に関すること、様式に関することなどが定められています。事業を行う上で疑問点や問題点が発生した場合には、ガイドラインに当たってみることをおすすめします。

ガイドラインには目次がついています。法律の順に内容が整理されていますので、ガイドラインを見るときはまずは目次を見て、目当てのものを探すようにしましょう。

民泊新法で問題点の改善へ

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民泊新法の目的は、国内外からの観光旅客の宿泊滞在を促進し、国民生活の安定向上・国民経済の発展に寄与することです。

この点、旅館業法との兼ね合いが問題点となります。旅館業法の規制は厳しい側面があり、住宅保有者が容易に人に貸し出すことができず、これが日本の宿泊施設不足を招いているという指摘があります。宿泊施設不足の改善は、民泊の普及促進に掛かっているといってもよいでしょう。

民泊の定義を明確化

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法律では「民泊」という用語は使用されていません。従来から民泊という言葉は使用されていましたが、規制の対象が分からないのは問題点ですから、法律ではあらためて民泊の定義を設けています。法律の名前にあるように「住宅宿泊事業」が「民泊」と同義です。

住宅宿泊事業法における定義では、民泊(住宅宿泊事業)とは「旅館業法第3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として省令で定めるところにより算定した日数が1年間で180日を超えないもの」とされています。

旅館業法との差別化

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ところで、民泊と境界線上にある旅館業についてみると、旅館業とは「施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」であると旅館業法で定義されています。これと上記の民泊の定義を比べると、3つの違いがあることが見えてきます。

1つ目は、民泊は旅館業を営む者以外の者が主体であるということです。2つ目は、宿泊させる対象の違いです。旅館業は施設(ホテル、旅館等)に人を宿泊させるのに対し、民泊は「住宅」に人を宿泊させるものとなっています。3つ目は、民泊には人を宿泊させる日数の制限があるということです。

ここで、民泊新法の適用対象でなくても、旅館業法の適用対象となることに注意が必要です。例えば、民泊新法の住宅に当たらない施設に宿泊させたり、宿泊日数を超えて宿泊させると、旅館業法が適用され、許可を得ない限り同法違反となることに注意が必要です。

民宿経営をするなら民泊新法の把握は必須

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住宅宿泊事業法の法律をみると、章立てで全79条の条文で構成されているのがわかります。これ自体それほど条文が多いわけではありません。章については「第1章 総則」「第2章 住宅宿泊事業」「第3章 住宅宿泊管理業」「第4章 住宅宿泊仲介業」「第5章 雑則」「第6章 罰則」となっています。

保健所設置市は都道府県に変わって民泊の行政事務が処理できることを定める「雑則」の内容は、それほど問題点でなく、民宿経営者にとって重要なのは、事業について定める第2章~第4章と、罰則について定める第6章です。

違法民泊と罰則・罰則の内容

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法律が定める義務が履行されない違法民泊に対しては、罰則が適用されることがあります。例えば、登録を受けずに住宅宿泊管理業を営えば、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金であり、住宅宿泊事業の届出において虚偽の届け出をした場合は、6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。

違法民泊の罰則を受けないためにも、以下に紹介する民泊新法のポイントを理解した上で、必要な手続きを怠らないようしましょう。

民泊新法のポイント①民泊できる施設は住宅

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ポイントの1つ目は、民泊できるのは「住宅」であるという点です。旅館業は、ホテルや旅館等の宿泊専用の施設であることとの違いです。

では、住宅とは何でしょうか。これについては、法律で定義されています。住宅とは、次の2つの要件に該当する家屋をいいます。①台所、浴室、便所、洗面設備等生活の本拠として使用するための設備が設けられていること(設備要件)と、②居住の用に供されている(居住要件)の2点です。

設備要件と居住要件

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まず、設備要件についてです。生活の本拠として使用するための設備については、省令で定める要件を満たしている必要があります。一般的に求められる機能を有していれば足りるとされています。

設備は、必ずしも1棟の建物内に設けられている必要はありません。具体の設備の考え方についてはガイドラインに記載されています。

次に居住要件です。居住の用に供されているとは、現に人の生活の本拠として使用されている家屋のほか、入居者の募集が行われている家屋や随時所有者や賃借人の居住の用に供されている家屋(別荘など)が対象です。居住の用に供されている家屋の具体例もガイドラインに掲載されているので確認してみるとよいでしょう。

マンションは大丈夫?宿泊施設に出来る住宅とは?

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上記の設備要件と居住要件を満たすものが民泊の対象である住宅に該当します。例えば、季節に応じて利用している別荘、休日のみ生活しているセカンドハウス、現在は居住していないが将来的に居住を予定している空き家などが該当します。ではマンションはどうでしょうか。

マンションは1棟の建物の専有部分を複数の人で共有する形をとりますが、上記の要件を満たす限り、マンションの空き室も民泊の対象です。必ずしも住宅が独立した一棟である必要はなく、マンションの一室も住宅として扱われることになります。

マンションの管理規約を確認しよう!

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ただし、マンションなどの共同住宅の場合には一つ問題点があります。それはマンション管理規約などで「民泊禁止」が明記されている場合があることです。他の居住者からすると、見ず知らずの観光客にマンションに出入りされると安心して生活できないというわけです。

したがって、マンション管理規約で禁止されている物件を民泊として貸し出すと、管理規約違反に問われるおそれがありますので、マンション管理規約を事前に確認しておきましょう。

なお、国交省が定める「マンション標準管理規約」では、民泊禁止の場合も民泊可能の場合も、いずれもマンション管理規約に明記するよう指導されています。これに従ったマンション管理規約であれば、民泊できるかどうか確認することができます。

民泊新法のポイント②「誰」が民泊を営むか

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ポイントの2つ目は、民泊を営む主体です。民泊を営む主体は、許可を受けて旅館業を営む者とは異なります。上記の住宅の定義にあるとおり、民泊を提供する主体は、空き家や別荘、マンションなどを所有する個人です。ここでは、民泊を営む主体と、その責任(義務)などについて解説します。

民泊の事業者

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民泊の主体(主役)は、まずは民泊ホスト(住宅宿泊事業者)です。住宅を提供する者がいないことにははじまりません。ただし、宿泊客に提供する以上は、提供した住宅を適切に管理する人がいないと、宿泊者の安全確保や犯罪防止、公衆衛生の観点から問題があります。

民泊ホスト自らが管理するのであればともかく、そうでない場合には、ホストに代わって管理する人が必要になってきます。それが管理者(代行会社)です。

事業者の定義

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事業者は、法律上の届出をして、住宅宿泊事業を営む者のことをいいます。住宅宿泊事業は、宿泊料(有償)を受けて住宅に人を宿泊させる事業なので、無償(タダ)で泊まらせてあげている場合は含まれません。

また、旅館業の許可を受けていないことが要件になりますが、旅館業を営んでいる者であっても、旅館業法に基づく許可を受けていない住宅に人を宿泊させようとする者は、民泊を営むことが可能です。なお、住宅宿泊事業には営業日数の制限がありますが、この点はポイント⑤で詳述します。

事業者の責任

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住宅宿泊事業を営む旨の届出を行った事業者は、届出住宅に関して、「宿泊者の衛生・安全の確保」「外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保」「宿泊者名簿の備付け等」「周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明」「苦情等への対応」「標識の掲示」「都道府県知事への定期報告」を行う必要があります。

例えば、衛生の確保として、各居室の床面積に応じた宿泊者数の制限、定期的な清掃などを、また安全の確保として、非常用照明器具の設置や避難経路の表示などの義務を負うことになります。

結構やらなければいけないことが多くて大変だと思われるかもしれませんが、別荘やマンションなどの提供物件についてどういう措置を講じないといけないのかという大事な部分なので、法令やガイドラインを読んでしっかりと確認しておきましょう。

民泊の管理者

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届出住宅の居室の数が6以上のとき、又は届出住宅に人を宿泊させる間不在となるときには、民泊ホストは、住宅の管理業務を代行会社に委託しなければならないとされています。家主が不在の場合は管理に支障がありますし、マンションのように居室数が多い場合は専門の会社に委託した方が適切な管理が行うことができるからです。

この代行会社になるためには、登録を受ける必要があります。登録を受けると事業者に代わって、事業者が本来やらなければいけない上記管理業務を行う必要が出てきます。

管理者の定義

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代行会社(住宅宿泊管理業者)は、国土交通大臣の登録を受けて、住宅宿泊管理業を営む者のことをいいます。登録の申請は、民泊制度運営システムを利用して行うことが原則です。登録には一定の要件があり、欠格要件に該当する場合は登録が拒否されます。

登録の有効期間は5年です。登録の更新を受ける場合には、更新の手数料19,700円を支払う必要がありますが、新規の登録の場合には登録手数料は不要です。

管理者の責任

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管理者の義務は、基本的には、事業者の義務と同じです。事業者が行うことができない(不適切な)ため、管理者が代わりに行うわけですから、当然といえば当然です。上記の義務のほか、管理者特有の義務も存在します。

管理者特有の義務としては、信義誠実の義務のほか、名義貸しの禁止、誇大広告等の禁止などがあります。また。住宅宿泊管理業務の全部(一部は可能)を他の者に再委託することはできません。管理者の責任についてもガイドラインなどで確認しておきましょう。

民泊新法のポイント③民宿経営の届出義務

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以上のとおり、事業者・管理者が業務を行うには、事前に届出又は登録を行う必要があります。手続きが面倒と考える人もいるでしょうが、届出や登録を行わず民宿経営を行った場合には、罰則の対象となるので注意が必要です。ここでは、届出・登録の内容、必要な添付書類、提出先などについて紹介します。

民泊事業者の届出義務と提出先

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民泊事業者は、住宅の所在地を管轄する都道府県知事(保健所設置市の市長)に届出を行う必要があります。届出は、民泊制度運営システムを利用して行います。届出には事業を開始する前に行う新規届出のほか、届出事項に変更があった場合の変更届、事業を廃止した場合の廃業届があります。

なお、新規の届出事項は、商号、名称又は氏名及び住所、法人である場合は役員に関する事項、住宅の所在地や住宅の規模など住宅に関する事項、住宅宿泊管理業務を委託する場合には、管理業者に関する事項などです。

民泊管理者の届出義務と提出先

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管理代行会社(住宅宿泊管理業者)は、国土交通大臣に登録の申請を行う必要があります。申請は、民泊制度運営システムを利用して行います。登録には事業を開始する前に行う新規登録の申請のほか、登録事項に変更があった場合の変更届、事業を廃止した場合の廃業届があります。

なお、登録事項は、商号、名称又は氏名及び住所、法人である場合は役員に関する事項、営業所又は事務所に関する事項、既に有している免許又は登録に関する事項などです

民泊新法のポイント④マッチングサイト運営も登録義務がある

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民泊新法のポイントの4つめです。民泊新法は、民泊を仲介する業者、すなわちAirbnb(エアービーアンドビー)のようなマッチングサイト運営業者にも一定のルールを設けています。民泊仲介業者にも登録義務を課し、一定の行為等を禁止、制限することで、民泊の仲介が円滑に行われるようにしています。

民泊プラットフォーム運営事業者の登録義務

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民泊プラットフォームを運営する住宅宿泊仲介業者は、観光庁長官に登録の申請を行う必要があります。登録には事業を開始する前に行う新規登録の申請のほか、変更届や廃業届を行う必要があるのは、民泊管理者の場合と同様です。

登録事項についても、概ね民泊管理者の場合と同様で、商号、名称又は氏名及び住所、法人である場合は役員に関する事項、営業所又は事務所に関する事項などが登録事項となっています。

民泊プラットフォーム運営事業者の責任

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登録を行った民泊プラットフォーム運営事業者は、信義誠実の義務のほか、名義貸しの禁止、住宅宿泊仲介業約款の設定、料金の公示、不当な勧誘等の禁止、違法行為のあっせん等の禁止、標識の掲示などの義務を負います。これらの義務を履行しなかったときには、罰則を受けることがあるので注意する必要があります。

民泊新法のポイント⑤営業日数

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民泊新法のポイントの5つめです。ポイントの①で紹介したとおり、住宅宿泊事業には営業日数の制限があります。この日数を超えて宿泊させた部分については、住宅宿泊事業には該当しません。当該部分は旅館業法の規制の適用があり、許可を得ない限り同法違反となり得ることに注意しましょう。

この営業日数は重要なポイントであり、民泊普及における問題点でもあると指摘されています。1年の半分近くは住宅を提供できない仕組みであり、民泊ビジネスで収益を得ようと考えている者にとって大問題です。

民泊は年間180日以内

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民泊の営業日数は、年間180日以内です。1年は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間で算定します。この日数の算定は、届出住宅ごとに算定するものであり、事業者ごとに算定するものではありません。

また、1日は正午から翌日の正午までを1日と算定します。営業日数は、実際に宿泊させた日数が問題となり、宿泊者を募集した日数ではありません。

民泊新法だけでなく条例の順守も必要

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住宅宿泊事業法では、各地方自治体が条例を制定して、地域の実情に応じ、住宅宿泊事業を行える地域や時期、行為を制限することができるようにされています。民泊を推進することで、観光客が押し寄せてきて、良好な住環境や地域の景観等が損なわれたりすることへの対応策です。

したがって、民泊経営する場合には、法律だけでなく自治体の条例をについても順守する必要があります。

民泊経営をする地域の条例は事前確認するべき

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平成31年4月1日時点で全154自治体(都道府県・保健所設置市)のうち、区域・期間制限を含む条例を制定している自治体が54あり、区域・期間制限はせず、行為規制のみの条例を制定している自治体が4あります。都道府県レベルでは北海道、岩手県、長野県、京都府、兵庫県などが区域・期間制限を含む条例を制定しています。

民泊経営を行うことができない区域や期間に民泊経営を行った場合は、罰則の適用を受けるおそれもあるので、民泊経営を行う場合は、自治体の条例の有無や内容、自治体のガイドライン(要領)などについて確認しておきましょう。

京都を例に自治体の独自ルールを知ろう

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ここでは、京都を例に自治体の独自ルールを解説します。なぜ京都かというと、日本の民泊の規制の中で最も厳しいのが京都だからです。これには事情があり、京都(特に京都市)は観光客数が増加し市民のインフラが悲鳴を上げている現状があります。観光地と住宅地が近接していることから、市民の交通利用等にも影響がでています。

そのため、京都市の民泊規制条例は全国でも厳しい内容の条例となっています。京都は、京都府及び京都市とも条例を設定していますので、独自ルールを紹介します。

京都市の条例規制

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京都市の条例規制の特徴は、次の2点です。1つは、住居専用地域は原則として営業できるのは冬の60日間のみという内容です。家主が物件内に住んでいる場合や文化的価値がある物件の場合の例外はありますが、マンションやアパートの1室を貸し出すのは冬の60日間のみとなります。

2つめは、住宅の管理者に10分以内の駆けつけ義務を課すという内容です。何か問題があったら直ぐ駆けつけなさいということです。ホテルや旅館には係の者が常駐していて深夜も緊急対応できるよう措置されているますが、それと同様の安全管理を民泊に課すものです。

このように京都市の条例は、全国のモデルになるくらい厳しい内容の条例であり、京都で民泊ビジネスを行うにはそれなりの覚悟が必要です。

京都府の条例規制

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一方、京都府にも民泊条例が制定されています。京都府の条例は京都市には適用されませんが、それ以外の市や町には適用があります。市町村と区域(住居専用地域、学校等の周辺区域、保育所等の周辺区域)ごとに、事業の制限期間を設けています。

京都府内の市や区域によっては民泊が大きく制限され、厳しい内容となっているところがありますので、京都府内で民泊ビジネスを行う人は注意が必要です。

民泊新法の課題・問題点

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民泊新法が施行されて1年がたちますが、様々な課題や問題点が浮かびつつあります。本来、宿泊不足の問題点への解説策として進められた民泊新法も、昨年11月時点で民泊施設の延べ宿泊人数が全体の1%未満にとどまるなど、思ったほど普及していない実態があるようです。何が問題点なのか、ここでは、民泊新法の現状や問題点について解説します。

問題点:規制が厳しい

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一番の問題点は、規制が厳しい点が挙げられます。営業日数や自治体の規制条例の存在などが、施設数や稼働率が伸び悩む要因であると考えられます。また、法令の規制だけでなく、マンション規約で提供不可になっているなど民間の「自主規制」もあります。良好な住環境の確保と観光客の受け皿としての宿泊施設提供の両立は難しい課題のようです。

規制逃れが巧妙に

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規制が強いと規制を巧妙に逃れる「闇民泊」が横行するおそれがあります。例えば、無届けの住宅について、行政からの調査については「友人宅に泊まりに来た」のように答えるよう客と事業者とで口裏を合わせたり、虚偽の届出番号を仲介サイトに掲載して許可事業者を装う業者が出てきたりなど、規制を逃れようとする違法民泊が多く存在しています。

もちろん、これらは取締りの対象ですが、規制が強いことがこれらの規制逃れの行動につながっている可能性があり、今後民泊がさらに普及するためにはさらなる規制緩和が進むかどうかに係っていると言えます。

民泊経営は民泊新法や自治体の条例を事前にチェックするべき

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今回は民泊新法について紹介しました。法律やガイドラインを確認するとともに、地域の自治体の条例をチェックするなど民泊経営を行うには多くのことを知っておかなければなりません。民泊は今後需要拡大が見込めるビジネスですので、ガイドライン等の内容を確認し、問題点を無くし、法令違反にならないようきちんと運営していけるようにしましょう。

たけかずや
ライター

たけかずや

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