群馬弁の特徴
上州弁とも呼ばれる群馬弁ですが、群馬県民にはイントネーションの違いは認識があるようですが、方言の認識はない人も多いようです。群馬弁はアクセントが特徴的で、語尾やイントネーションがかわいいく、告白されたい方言ランキングの一覧でも上位にランクインするなど人気があります。そんな群馬弁の特徴を詳しく見ていきましょう。
①アクセントが特徴的
基本的に標準語に近いと言われている群馬弁ですが、イントネーションやアクセントが特徴的です。語尾を強める傾向にあるので、怒っているように聞こえ、会話の相手に勘違いされてしまうことがあるようです。これは、話すスピードが標準より早く聞き取りにくことも影響しているようです。他県の人と会話する時は、ゆっくり話すことを心がけましょう。
2文字のアクセント
群馬弁のアクセントについて、詳しく見ていきましょう。2文字の言葉は、群馬弁では2文字目にアクセントがきます。例えば、「鯵」の場合、標準語は1文字目の「あ」にアクセントがきますが、群馬弁では2文字目の「じ」にアクセントがきます。
群馬弁はアクセントが標準語と逆になります。これは、群馬弁がかわいいと感じる特徴のひとつでしょう。
3文字のアクセント
3文字の言葉は2文字の言葉と同じく、群馬弁のアクセントは標準語と逆になるのが特徴です。例えば、「掃除(そうじ)」の場合、標準語は2~3文字目へとアクセントが強くなりますが、群馬弁では1文字目の「そ」にアクセントがきます。「蜜柑(みかん)」の場合は標準語は「み」にアクセントがきますが、群馬弁では2~3文字目「かん」へと強くなります。
4文字以上のアクセント
4文字以上のアクセントでは、地名を例に取り上げてご紹介します。「前橋(まえばし)」の場合、標準語は「え」にアクセントがきたり、「ま」にアクセントがくることもあります。群馬弁では「まえばし」とアクセントがなく平坦に発音します。
「軽井沢(かるいざわ)」の場合、標準語は「るい」にが高くなり「ざわ」が低いアクセントになります。群馬弁では、「かるいさ」が高くなり、「わ」が低いアクセントになります。「ざわ」ではなく「さわ」とガ行鼻濁音がないのも、群馬弁の特徴になります。
「伊勢崎(いせさき)」の場合、標準語は「せ」にアクセントがきますが、群馬弁では「さき」にアクセントがきます。「いせさき」ではなく「いっさき」と読むのも、群馬弁の特徴になります。
②同じ県内でも地方で方言が違う
群馬県は関東の地域でも北西部に位置していますが、茨木県や栃木県の東関東の方言ではなく、神奈川県や埼玉県・千葉県と同じ西関東の方言に分類され、ガ行鼻濁音はありません。
群馬県は大きく分けて、「県央(中毛)地域」「東毛地域」「西毛地域」「北毛地域」の4つに分類されます。同じ群馬県内でも地域により方言が違ってきます。隣接する地域による伝わり方により、それぞれ地域ごとの方言にも違いが出たようです。
群馬弁でよく使われる語尾
群馬弁はイントネーションやアクセントが特徴的とお伝えしましたが、語尾を少し伸ばして話す独特なイントネーションです。特に母音が変換されることが多いのが特徴で、群馬弁では「~だんべ」のイメージが強いようです。ここからは、群馬弁でよく使われる語尾「~だいね」「~だんべ」「~さ」についてご紹介していきます。
①だいね
群馬弁でよく使われる語尾「だいね」は、標準語では「だよね」の意味で使われる語尾です。群馬弁は語尾を少し伸ばすのが特徴なので、相槌をうつ時などは「そうだいねぇ」と使われます。「そうだいねぇ」は、標準語で「そうだよねぇ」という意味になります。群馬弁を知らなくても、会話から何となく意味を理解することができます。
②だんべ
群馬弁でよく使われる語尾「だんべ」は、標準語で「だろう」の意味で使われる語尾です。少し語尾を伸ばして「そうだんべぇ!」と使うと「そうだろ!」の意味になります。「そうだんべぇ?」と使うと「そうじゃない?」の意味になり、断定や疑問の表現になります。喧嘩の時には語尾を強めて「~だべ!」と言われるので、怖い印象を受けてしまいます。
群馬県内でも、地域により「~だっぺ」(北毛・沼田地域)、「~だがん」(東毛・桐生地域)、「~だがね」、「~だがんね」、「~だにぃ」(東毛・太田地域)など、方言が違ってきます。
③さ
群馬弁でよく使われる語尾「さ」は、語尾に付け加えて使われます。標準語では「~した」と言うところを、群馬弁では「~したさ」と言うように使われます。
例えば、「買ったんさ」「話したんさ」「触ったんさ」「泣いたんさ」「起きたんさ」のように使います。語尾に「さ」をつけると言うより、語尾が「~なんさ」となる、と言ったほうが分かりやすいでしょうか。
群馬県民は、あまり群馬弁を使わない若い世代でも、この「さ」を日常的に多く使います。一度「さ」が気になりだすと、話の内容が頭に入ってこなくなる可能性もあるほど、日常会話に溶け込んでいます。
群馬弁のかわいい方言一覧
次に、標準語しか使わない人には意味が分からない、群馬弁のかわいい方言を一覧にしました。ピックアップした群馬弁のかわいい方言は全部で7個「あーね」「おっぺす」「かんます」「さくい」「もす」「わっきゃない」「かたす」になります。ここからは、群馬弁のかわいい方言一覧7個の、意味や使い方をご紹介していきます。
①あーね
群馬弁のかわいい方言一覧①「あーね」は、標準語で「そうなんだ」「なるほど」「たしかに」の意味で使われています。「あーそうなんだね」「あーなるほどね」「あーたしかにね」など相手の意見に賛同する時に相づちとして使われることが多いですが、相手の話を聞き流す時に使われる場合もあるようです。
「あーね」は、2011年・2012年と連続で「女子中高生ケータイ流行語大賞」で6位に選ばれており、若者言葉として略語のイメージが強いかもしれません。「あーね」を使いすぎると、話をちゃんと聞いていない?と不快に思われることもあるようです。
「あーね」の方言は、博多弁が由来・発祥の地と言われています。かわいい方言がSNSで人気に火が付き、群馬県・栃木県・埼玉県・大分県・長崎県と「あーね」は略語としても広がりを見せています。
②おっぺす
群馬弁のかわいい方言一覧②「おっぺす」は、標準語で「押す」の意味で使われています。「自転車をおっぺす」は標準語で「自転車を押す」、「スイッチをおっぺす」は標準語で「スイッチを押す」という意味になります。
日常会話で、開園を待つ列に並んでいる時「危ないからおっぺすなよ!」と言われたら、「危ないからおすなよ!」と理解しましょう。道端で困っている人から「車をおっぺして」と頼まれたら、車が故障したのでしょう、車を押すのを手伝ってあげましょう。
③かんます
群馬弁のかわいい方言一覧③「かんます」は、標準語で「かき混ぜる」「かき回す」の意味で使われています。「納豆をよくかんます」は標準語で「納豆をよくかき混ぜる」、「お風呂の湯をかんます」は標準語で「お風呂の湯をかき回す」という意味になります。日常会話で「これかんましといて」と言われたら、「これかき混ぜといて」と理解しましょう。
「かんます」は、群馬県だけでなく新潟県や栃木県など北日本の地域で広く使われている方言です。
④さくい
群馬弁のかわいい方言一覧④「さくい」は、標準語で「気さくな」の意味で使われています。「さくい子」は標準語で「気さくな子」という意味になります。話しかけやすい、打ち解けやすいという意味でも使われます。「さくい」は褒め言葉なので、日常会話で「さくい人」と言われたら、「気さくな人」と褒められたと理解しましょう。
⑤もす
群馬弁のかわいい方言一覧⑤「もす」は、標準語で「燃やす」の意味で使われています。「ゴミをもす」は標準語で「ゴミを燃やす」、「薪をもす」は標準語で「薪を燃やす」という意味になります。「もす」は標準語から「や」を取ったかたちです。日常会話で「これもして」と言われたら、「これ燃やして」と理解しましょう。
群馬県民は早口で話すのが特徴です。「もす」は2文字と短いため、聞き取りづらい方言といえるでしょう。
⑥わっきゃない
群馬弁のかわいい方言一覧⑥「わっきゃない」は、標準語で「簡単な」「わけない」「なんてことない」の意味で使われています。「この問題はわっきゃない」は標準語で「この問題は簡単だ」という意味になります。日常会話で「そんなん、俺にはわっきゃないよ」と言われたら、「そんなの、俺にはどうってことないよ」と理解しましょう。
⑦かたす
群馬弁のかわいい方言一覧⑦「かたす」は、標準語で「片づける」の意味で使われています。「本棚にかたす」は標準語で「本棚に片づける」、「ゴミをかたす」は標準語で「ゴミを片付ける」という意味になります。日常会話で「ほうきを掃除道具入れにかたしといて」と言われたら、「ほうきを掃除道具入れに片付けておいて」と理解しましょう。
群馬弁の日常の方言【動詞】
ここまで、群馬弁でよく使われる語尾と群馬弁のかわいい方言をご紹介しましたが、「聞いたことがある」「群馬県民でないけど、知らないうちに自分でも使っていた!」「私もかわいい方言使ってみたい!」という方言はあったでしょうか。ここからは、群馬弁日常の方言【動詞】を5個ピックアップし、意味や使い方をご紹介していきます。
①あるって
群馬弁日常の方言一覧【動詞】①「あるって」は、標準語で「歩いて」の意味で使われています。東北南部から関東一体で使われている方言のようです。「ちょっとあるってくる」は標準語で「ちょっと歩いてくる」、「学校まであるって10分かかる」は標準語で「学校まで歩いて10分かかる」という意味になります。
②いごく
群馬弁日常の方言一覧【動詞】②「いごく」は、標準語で「動く」の意味で使われています。「いいあんべえだから、体をいっぺえいごかすベえ」は標準語で「良い天気だから、体をいっぱい動かしましょう」という意味になります。群馬県のほか、兵庫県でも使われている方言です。また、福島県いわき市では、情報誌「igoku(いごく)」を発刊しています。
③える
群馬弁日常の方言い【動詞】③「える」は、標準語で「炒る」の意味で使われています。群馬県を大きく分けて、「県央(中毛)地域」「東毛地域」「西毛地域」「北毛地域」の4つに分類された地域のひとつ「北毛地域」は、更に「利根」と「吾妻」に分けられます。「える」は、草津町や嬬恋村が含まれる、吾妻郡西部地域で主に使われている方言になります。
④えんで
群馬弁日常の方言一覧【動詞】④「えんで」は、標準語で「歩いて」の意味で使われています。「あるって」と同じく「えんで」も同じ意味ですが、「えんで」は群馬県北毛吾妻西部地区で主に使われているほか、新潟県田上町でも使われている方言です。「ちょっとえんでくる」は標準語で「ちょっと歩いてくる」という意味になります。
母親が子供に向かって「はよえんでこいて」と言っていたら、「早く歩いてきなさい」とせかしている様子と理解できます。新潟県では「えんでいく」という雑誌が発行されています。
⑤おっかく
群馬弁日常の方言い【動詞】⑤「おっかく」は、標準語で「折る」「割る」「欠く」の意味で使われています。「カップががおっかける」は標準語で「カップが欠ける」、「箸をおっかく」は標準語で「箸を割る」という意味になります。「おっかく」は茨木弁でも使われている方言になります。
日常会話で、買ったばっかりの「食器をおっかいた」の標準語は「食器を割ってしまった」と理解しましょう。
群馬弁の日常の方言【形容詞】
群馬弁でよく使われる語尾や群馬弁のかわいい方言、群馬弁日常の方言【動詞】についてもご紹介しました。標準語で会話する人でも何となく意味が理解できる方言、はじめて聞く方言、面白いと感じる方言などあったでしょうか?ここからは、群馬弁の日常の方言【形容詞】を5個ピックアップし、意味や使い方をご紹介していきます。
①おやげない・おやげねえ
群馬弁の日常の方言一覧【形容詞】①「おやげない・おやげねえ」は、標準語で「かわいそう」の意味で使われています。「おやげない・おやげねえ」は群馬県の一部の地域のみ使われている方言ですが、長野県でも「飼ってた犬がしんでおやげねえなあ」などと使われている方言です。標準語で「飼ってた犬がしんでかわいそうだなあ」という意味になります。
「おやげない」を漢字で書くと「親気無」となり、「親らしい気持ちがない」という意味から、「かわいそう」「気の毒」という方言が生まれたようです。
②おおいい
群馬弁の日常の方言一覧【形容詞】②「おおいい」は、標準語で「多い」の意味で使われています。日常会話の中で「ランチセットのごはん、おおいいね」と言われたら、群馬弁を知らなくても何となく「ランチセットのごはん、多いね」と理解できます。メールなどで「おおいい」と送られてくると、群馬弁を知らない人は入力ミス?と思ってしまいます。
「おおいい」は群馬県以外でも東京都や神奈川県、大阪府、広島や沖縄などで日常的に使われており、方言との認識がなく使っている人も多いようです。
③かっこぶ・かっこむ
群馬弁の日常の方言一覧【形容詞】③「かっこぶ・かっこむ」は、標準語で「急いで(ご飯を)口に入れる」の意味で使われています。群馬弁の「かっこぶ・かっこむ」は、標準語の「掻き込む(かきこむ)」と似ているため、群馬弁を知らない人でも比較的理解できる方言でしょう。お茶漬けが入ったどんぶりを口につけ、箸で口の中に流し込むイメージです。
④虫にくわれる
群馬弁の日常の方言一覧【形容詞】④「虫にくわれる」は、標準語で「虫に刺される」の意味で使われています。日常会話で「さっき、蚊に刺くわれた」と言われたら、群馬弁を知らない人でも「さっき、蚊に刺された」と理解できるでしょう。実際にむしゃむしゃと食べられたわけではありませんが、血を吸われた・血を食われたと思えば納得できます。
「くわれる」は群馬県以外でも広く使われている方言で、群馬県が含まれる東日本だけでなく、西日本でも「くわれる」を使う地域が多くあります。
⑤しょうしい
群馬弁の日常の方言一覧【形容詞】⑤「しょうしい」は、標準語で「みっともない」「はずかしい」の意味で使われています。群馬県の北毛吾妻西部地域で主に使われているほか、東北地方や信越地方でも「恥ずかしい」という意味で使われています。「わたし、とってもしょうしい」は標準語で「わたし、とってもはずかしい」という意味になります。
「しょうしい」は漢語が方言になった一例で、時代劇で「笑止千万(しょうしせんばん)」や「笑止の至り」など使われている「笑止」が語源になります。
群馬弁のかわいいフレーズ
男性が思わずキュンとなってしまう、告白に使えるかわいい方言は群馬弁にもあります。群馬弁のかわいい告白フレーズは、ランキングでも上位に入るほど人気です。群馬県の特徴である語尾に「さ」を付け伸ばす言い回しは、女性が使うと甘えてる感じになりかわいく聞こえます。ここからは、告白に使える群馬弁のかわいいフレーズ3個をご紹介していきます。
①あんたのこと好きなんさ
群馬弁のかわいいフレーズ一覧①「あんたのこと好きなんさ」は、標準語で「あなたのことがすき」の意味で使われています。
「あんた」のアクセントは、「た」が一番高くなります。「あ」が低く「ん」が中くらい「た」が一番高いイントネーションです。「すきなんさ」に見られるように、「語尾に『さ』がつく」のは群馬弁の特徴です。
「あんた」は標準語では強いイメージを持ちますが、群馬弁のイントネーションで「あんたのことすきなんさ~」と語尾を少し伸ばせば、かわいい印象になります。
②なからすきなんさ
群馬弁のかわいいフレーズ一覧②「なからすきなんさ」は、標準語で「すごく好き」の意味で使われています。「なから」は標準語で「すごく」という意味になります。群馬弁の「すきなんさ」は標準語で「好き」という意味で、ここでも「語尾に『さ』がつく」群馬弁の特徴が見られます。
告白によく使われるストレートな群馬弁のかわいいフレーズは、告白だけでなく日ごろから気持ちを伝えるかわいいフレーズとしてもおすすめです。群馬弁で「なからすきなんさ~」と語尾を少し伸ばせば、かわいい印象になります。
③付き合ってくれん?
群馬弁のかわいいフレーズ一覧③「付き合ってくれん?」は、標準語で「付き合ってくれない?」「付き合ってください」の意味で使われています。語尾が「ん」でおわる疑問文も、群馬弁の特徴になります。標準語で「付き合ってくれない?」は高圧的な印象になりますが、群馬弁の「付き合ってくれん?」ならかわいい印象になります。
群馬弁を使う映画やドラマ・漫画
群馬弁を使った有名な映画と言えば、「クライマーズハイ」でしょう。クライマーズハイは、実際に起きた日本航空123便墜落事故を題材とした小説をもとにドラマ化・映画化されました。
群馬弁を使った有名なドラマと言えば、「陸王」でしょう。埼玉県行田市にある足袋製造業者「こはぜ屋」が舞台となる池井戸潤氏による小説をもとに、2017年10月期にドラマ化されています。
インターネット界では、群馬県は「グンマー」と言われ騒がれているようです。2013年にウェブコミック配信サイトで井田ヒロト氏の「お前はまだグンマを知らない」の連載がスタートし、世間に衝撃を走らせました。この群馬をテーマにした漫画は、ドラマ化や映画化もされ、2018年4月にはアニメもスタートされています。
群馬弁は他県の人も知らずに使っていることもある!
標準語に近いと言われている群馬弁の方言をテーマごとに分け代表的な方言をご紹介しました。よく使われる語尾や日常会話・かわいい方言など、聞いても理解できなかったり意味が分からない言葉多かったのではないでしょうか。また、群馬県民ではないが使っていた言葉などありましたか?
日本全国には面白い方言やかわいい方言などたくさんあります。興味を持った方は、いろいろ調べてみてはいかがでしょうか。