九州弁とは
地方から進学や就職で上京すると、これまで使っていた方言を封印してしまう人も多いのではないでしょうか?しかし関西地区から上京した人で、そのまま関西弁を使っている人もいます。
関西のお笑い芸人の多くは、全国の番組でも関西弁を使っている人が多いようです。今一度、方言に焦点を当てて、その魅力を見ていきましょう。今回、扱う方言は、九州地方で使われている、九州弁です。
7つの県をまとめて九州弁という
九州には、福岡県、大分県、佐賀県、熊本県、長崎県、宮崎県、鹿児島県の7県があります。九州弁はどんな方言なのかといえば、九州地方の人々が使っている方言を、ひとくくりにした言葉のことです。
九州弁の中でも、福岡で使われている方言と、鹿児島で使われている方言は訛りが少し変わってきます。九州弁を一覧にして見てみると、女性が使うとかわいい言い方や、男性が決め台詞に使うとにかっこいい言い方に感じる人も少なくないでしょう。
かわいい九州弁、かっこいい九州弁の一覧を提示する前に、地域ごとの九州弁の違いについて見ていきましょう。
九州弁の地域ごとの訛り
先述した通り、九州には7つの県があります。九州地方で話されている方言を、ひとくくりにして九州弁と称していますが、それぞれの地域の訛りは全然違うと言われています。
同じ九州に住んでいる人同士でも、方言が違って、言葉が通じないケースもあると言われています。九州弁の語尾や細かい訛りというのはわかりにくいと感じられるかもしれません。そこで九州の地域によって違う九州弁の特徴を一覧にしてみました。
①イメージが強い博多弁
九州弁と聞いて、まず頭に思い浮かぶのが「博多弁」という人も多いのではないでしょうか?博多弁は九州弁の一覧の中でも、全国の人が耳にする機会の多い方言でしょう。有名なところで言えば「何してるの?」は「なんばしよっと?」になります。
「そうなんだけど」は「そうばってん」となります。これらはドラマや九州出身の有名人によって、メジャーな言い方になったと言えるでしょう。
意外かもしれませんが、今の博多の人は博多弁をあまり使用しないと言われます。博多弁として紹介される方言に古いものが多いからのようです。
「両替して」が「こまめて」だったり、「髪を結びなさい」が「髪をきびれ」だったりして、同じ地域の人同士でもわからない場合があります。博多弁の特徴は、語尾に「ばい」が付くことです。
「そうだな」が「そうばい」、「知らない」が「知らんばい」になります。九州出身のお笑いコンビ、博多華丸大吉が使っていることもあり、九州弁の中では語尾の「ばい」は有名な方言と言えるでしょう。男っぽくてかっこいい言い回しに聞こえることが多いようです。
➁博多弁・福岡弁でもない北九州弁
福岡県の北九州市では「北九州弁」が使われています。語尾が「ち」になったり「ちゃ」になったりするのが特徴です。「そうなんだよ」が「そうっちゃ」になります。女性が使うとかわいい感じになる語尾の方言です。
しかし語尾の「ち」や「ちゃ」は、その場の状況で意味がいろいろになってしまいます。これが九州弁の一覧の中でも北九州弁が難しいと言われる理由です。
北九州弁は、九州弁の中でも訛りや使い分けが難しい言葉と言えるでしょう。北九州弁の人を相手にする時、意味を聞かないとわからないといったこともあるようです。
③独特な言葉を使う佐賀弁
九州弁の一覧の中で「佐賀弁」は言葉遣いが独特と言われます。「〇〇したら」が「〇〇ぎんた」になったり、「そうなんだよね」が「そうじゃんね」になったりします。佐賀弁を知らないと、言葉の意味がわからなくなる場合が少なくありません。
佐賀県以外の人が佐賀弁を話す時は、使い分けが難しい方言だと言われているようです。佐賀弁の特徴は語尾に「じゃん」がよくつくことです。関東でも語尾に「じゃん」を使いますが、佐賀弁とは訛りと意味が変わってきます。
さらに、九州弁で「じゃん」を使う地方があまりないので、「じゃん」を使う佐賀弁は九州弁の中でも珍しい方言のようです。
④一番難しい鹿児島弁
九州弁の一覧の中でも、鹿児島弁は最も難しい方言と言われています。同じ九州に住み、九州弁を使っている人も、理解できないことが多々あると評判です。訛り自体も、他の九州弁より強い傾向があります。
鹿児島弁の中で有名な言い方として、「〇〇だけど」の意味の「〇〇じゃっど」があります。「じゃっど」は「だね」という意味の語尾でもあります。鹿児島弁では「そうだね」は「そうじゃっど」になります。
独特な方言のため、鹿児島以外の九州人には通じないと言われます。訛りや言葉の意味がわからなければ伝わりません。そのせいか話ずらいと感じる人もいるかもしれません。
九州弁の語尾の特徴
九州弁に限らず、方言は語尾に特徴がある場合が多いです。たとえば関西弁では「〇〇やねん」だったり、横浜弁では「〇〇じゃん」だったり、さまざまな方言があります。
語尾に「〇〇だっちゃ」や「〇〇ちゃ」をつけて喋る「うる星やつら」の女主人公ラムちゃんがかわいいと感じる人は多いでしょう。
ラムちゃんは仙台の方言だと言われています。かわいいから真似をする女性も多くいたようです。ラムちゃんの喋り方は男性にも人気がありました。
この「〇〇だっちゃ」に肉薄するほど、女性が使うとかわいいと言われているのが九州弁と言われています。また、東男と言われるように、男性が使うと俄然かっこいい方言になります。かわいくもかっこいい語尾を一覧にしてみました。
①~けん
九州弁は語尾に「〇〇けん」とつく場合が多いです。また「〇〇やっけん」と「けん」に「やっ」がつく場合もあり、いろいろな形に変化するのが九州弁の特徴の1つです。女性が使うとかわいい、男性が使うとかっこいい言葉です。
使い方として「あんたの好きなラーメンあったけん、買っておいたよ」といったものがあります。比較的わかりやすい九州弁なのではないでしょうか?
➁~ばい
九州弁っぽく聞こえるように言葉を発する時、よくこの「〇〇ばい」が使われます。これはテレビで人気の博多花丸大吉がよく使っているのでお茶の間に浸透していったようです。
「〇〇ばい」は女性なら「〇〇よ」、男性なら「〇〇だぞ」という意味に使うことが多い語尾です。例えば「知っとったばい」という言葉があります。
これは「知っていたよ」という意味です。初めて聞くとなんといっているかわからない人が多いかもしれません。しかし九州ではよく聞く特徴ある言葉です。「聞いとったばい」や「行かんばばい」などさまざまな使い方ができます。
③~たい
九州弁に特徴的な語尾一覧の最後は、「〇〇たい」です。「〇〇ばい」と同じぐらい頻繁に使われているようです。標準語ではこの語尾に相当する言葉がありませんが、九州ではよく使われます。どのように使うかわかりにくい語尾です。
「〇〇たい」自体には意味がありません。その結果、九州に住む人以外にはわかりにくい九州弁の1つです。「そうたい」は「早退」に聞こえがちですが「そうだよ」という意味になります。
「さっきも言ったたい」は「さっきも言ったでしょ」という意味になります。女性が使うと特に柔らかな印象になる、かわいい方言です。
九州弁を話す有名人
九州出身の有名人はとても多いです。博多花丸大吉は福岡出身です。その他に福岡出身の女性有名人は松田聖子、椎名林檎などがあげられます。
元柔道選手の谷亮子も福岡出身です。福岡出身の有名人の一覧を見てみると、歌手が多い特徴が見えます。政治家では麻生太郎がいます。お笑いで今活躍しているバカリズムも福岡出身です。
佐賀県出身の有名人は、お国自慢のCDを出したことでも有名な、お笑い芸人のはなわがいます。女優の松雪泰子も佐賀県です。長崎県出身の有名人は女優の原田知世がいます。歳を重ねてもかわいい女性なのが特徴的です。
男性では体操の内村航平が長崎県出身です。熊本県出身はウッチャンナンチャンの内村光良がいます。くりぃむしちゅーの有田哲平と上田晋也も熊本県出身です。かっこいい東男が多くいる印象を持つ人もいるのではないでしょうか?
女性では森高千里やスザンヌといった、かわいいイメージの歌手やタレントが熊本出身です。演歌歌手の水前寺清子や石川さゆりも熊本出身です。大分県出身の芸能人ではユースケ・サンタマリアがいます。女性では女優の深津絵里、財前直見もいます。
globeのKEIKOも大分県出身です。宮崎県出身の有名人は男性では堺雅人、永瀬正敏、温水洋一がいます。女性では斉藤慶子、浅香唯、元貴乃花親方夫人の河野恵子がいます。やはり女性はかわいいイメージの人、男性はかっこいい印象の人が多いようです。
鹿児島県出身の有名人は女性では、稲森いずみ、国生さゆり、はしのえみといったかわいいイメージの人が多い傾向にあります。男性では哀川翔、長渕剛といった、男が男に惚れるかっこいい男性が多いようです。
九州出身の有名人で、普段から九州弁を使っている人は、お笑い系の博多花丸大吉ぐらいです。内村光良も、コントでは時々、九州弁になります。
かっこいいイメージで売っている俳優が、バラエティに出て九州弁を使うと、「やはりかっこいい人は何をやってもかっこいいんだ」と納得してしまう人も多いのではないでしょうか?
逆に、美人のイメージで売っている女優が九州弁を話すと、そのギャップにかわいいと感じる人も多いことでしょう。黒木瞳などがいい例なのではないでしょうか?
九州弁の言葉一覧【定番】
九州弁の中には、全国の人がよく知っているフレーズや語尾があります。テレビやアニメなどで使われたものは、その俳優や声優の顔や声と共に、頭に残っていることでしょう。
たとえば九州出身の武田鉄矢が、ドラマで九州弁を話すと、強く印象に残ります。この言葉を聞くと「ああ、九州弁だな」と理解できる言葉の一覧を見ていきましょう。
①どげん
「どげん」という言葉は、「どんな」「どう」「どのように」という意味です。大河ドラマ「西郷どん!」に登場する鹿児島弁の1つです。「おはん、どげんしたとじゃ」は「お前、どうしたんだ」の意味になります。
類義語の九州弁に「どげな」「どげんこつ」「こげん」「そげん」などがあります。福岡の博多弁、筑豊弁、宮崎弁、大分の日田弁、熊本の天草弁にも同じ表現があります。
➁しとる
「〇〇しとる」という言葉も、九州弁ではよく聞く定番のフレーズです。「〇〇しとる」の意味は「〇〇している」になります。たとえば「昔あの店でバイトしとった」とすると、過去形になります。現在形は「昔あの店でバイトしとるよ」や「昔あの店でバイトしよるよ」といった言い方をします。大分県では「〇〇しちょる」という言い方もあります。
③こしょう
九州の、特に豊後、筑後、肥前、肥後では「唐辛子」のことを「こしょう」と呼びます。なぜ「こしょう」になったかというと、16世紀にポルトガル人の宣教師が種子島経由で唐辛子を豊後国に持ち込んだことがきっかけです。
献上された時の権力者大友宗麟が、初めての唐辛子に「朝鮮半島から持ち込まれた」と聞いて「南蛮渡来の胡椒」といって「南蛮こしょう」「高麗こしょう」と呼んだことが起源と言われています。
④ばっちー
「ばっちー」や「ばっちぃ」は普段の会話ではあまり聞かれないかもしれません。しかし地方に行くと、九州に限らず聞くことがあります。九州弁で「ばっちー」「ばっちい」は「きたない」という意味です。「嫌な感じがするもの」や「キモイ」「うざったい」といったニュアンスもあります。もともとは幼い子供が使うことの多かった言葉です。
⑤かたす
「かたす」は標準語ではあまり聞かない言葉かもしれません。なんとなくわかる人もいるのではないでしょうか?「かたす」は九州弁で「片づける」の意味になります。物が散らかっていて、片づけて欲しい時「そこ、かたして」と言います。
九州弁だけでなく、他県の人でもわかりやすい方言です。覚えやすく使いやすい特徴があるので、真似して使ってみるのもおすすめです。
⑥えらい
標準語で「えらい」は「偉い」になり、何かを成し遂げてすごい時に使います。標準語の場合、「頑張ってえらいね」は、「頑張ってすごいね」という意味になります。これが九州弁で「えらい」になると「しんどい」「だるい」という意味になります。
「頑張ってえらい」は九州弁だと「頑張って疲れた」という意味になります。身体がしんどくて疲れた時、疲れがたまっている時に使われることが多いようです。
⑦しゃーしぃ
「しゃーしい」は若い人があまり使わなくなった九州弁ではあります。一般に「うるさい」という意味になります。「しゃーしい」より強く主張したい時は「せからしか」を使うケースが多いようです。
騒がしい人に対して「しゃーしい」だと「うるさいなぁ、もう」程度ですが「せからしか」だと「うるえせいよ、この〇〇が!」といったニュアンスになります。
「しゃーしい」の場合、相手が人でない場合も使われます。「雑務整理がしゃーしい」といった、出来事に対して使う特徴もあります。
九州弁のセリフ一覧【かわいい】
九州弁には、標準語にはないかわいさがあります。男性は女性が九州弁を話すのを聞いて、かわいいと感じ、きゅんとしてしまう時があるようです、九州弁には標準語にはない柔らかさと、独特の雰囲気があります。
九州弁を武器にする女性も少なくないと言われています。九州弁に憧れて真似をする女性もいるようです。次に女性が使ってかわいいと思われやすい九州弁を一覧にします。
①そうたいね
九州弁で「そうたいね」は「そうだね」の意味です。何気ない一言ではありますが、普通に喋っていて、女性がふと「そうたいね」と独り言のように呟くのを聞くと、男性はどう感じるでしょうか?突然出た方言に「あれ?」となり、「今方言が出た、なにそれ、かわいい、たまらない」となる男性が多いと言われています。
➁なんで会えんと?
恋人同士だからといって、四六時中いっしょにいられるわけではありません。どうしようもない予定にがんじがらめになっている時、彼女から「なんで会えんと?」と言われると、ぐっときてしまう男性は多いことでしょう。意味は「なんで会えないの?」なのですが、語尾がゆるやかなので、詰問に聞こえません。男心がくすぐられる言葉と言われています。
③会いたか
恋人同士は、暇があればいつだって会っていたいのではないでしょうか?会いたいけれど、会えなくて、電話で女性が「会いたか」と言ったら、男性はぐっときてしまうのではないでしょうか?「会いたか」は「会いたい」という意味です。会いたい気持ちがストレートに伝わり、素朴さとかわいらしさも加わる、かわいい九州弁です。
④あんたばいないと寂しか
この九州弁の意味は「あなたがいないと寂しい」です。少しすねたような言い方で「寂しか」と言われたら、男性は抱きしめたくなると、よく言われます。「寂しか~」と伸ばした言い方もまた、男性へのアピールポイントは高いようです。この方言には、ふんわりと優しい響きがあり、魅力的な言葉です。
⑤私があんた支えるたい
男性は女性を守っているつもりでも、心の中では母のように包まれて平和な中にいたいと思う傾向にあるようです。「私があんた支えるたい」の意味は「私があなたを支える」になります。優しさの中に、芯の強さを感じられる九州弁です。
仕事がうまくいかなかった時、誰かに怒られた時、嫌なことがあって落ち込んでいる時、こう言われたら、男性はうれしくなる傾向があるようです。精神的に頼りたくなってしまうでしょう。
⑥あんたのことが好きやけん
「あんたのことが好きやけん」の意味は「あなたのことが好きなの」という、直球ストレートの言葉です。普段はツンデレで、強気でいる彼女が、ふと小さな声で「あんたのことが好きやけん」と言って、顔を赤らめたりしたら、男性は抱きしめたくなってしまうでしょう。男性は女性の意外性にドキッとするもののようです。
九州弁の女性への告白セリフ【かっこいい】
男性が女性に、かっこいいところを見せたい時、九州弁を使ってみるのは、おすすめの方法です。昔から東男と言われるように、九州の男は男気があって、強気のイメージです。
九州弁を使うと、力強さの中に、ほっこりした安心感があり、女性はきゅんとしてしまうようです。標準語に九州弁をうまく混ぜながら、女性に告白してみるのもいいのではないでしょうか?
①たいぎゃ好きたい
「たいぎゃ好きたい」と「たいぎゃー好きばい」はどちらも「とても好きです」の意味になります。「たいぎゃ」は言葉を強調して、強めに言う時に使いましょう。いつもは「だご好きたい」のほうが、方言としてはよく言われています。「好きばい」にすると、熊本の西にある天草地方で使われている言葉になります。
➁おはんがわっぜえすっじゃ
この九州弁は意味がわかりにくいかもしれません。九州弁の中でも難解と言われる鹿児島弁で「あなたのことがすごく好きです」という意味です。幕末の志士に鹿児島出身者は多く、その時期の日本の運命を左右しました。
あなたも幕末の志士を気取って、意中の女性に告白してみませんか?「あなた」や「君」」を「おはん」と呼ぶことは、最近の若者では少なくなっていると言われています。しかし頼りがいのある九州男児らしい、かっこいい告白の仕方ではないでしょうか?
③お前のことバリすきったい
九州弁の告白を、福岡弁でやってみませんか?「お前のことバリすきったい」は標準語で「君のことがとっても好きです」という意味です。また「ちかっぱ」という九州弁もおすすめです。
福岡県筑前地方で使われている九州弁で、意味は「とても」で「バリ」と同じ意味です。男性が女性を「君」ではなく「お前」と言いたい時、今でもよく使っている方言の告白です。
九州弁の特徴を覚えておこう!
方言は標準語と比べて、ちょっとカッコ悪いという偏見をまだ持っていますか?方言の中でも九州弁は、女子のかわいらしさ、男子のかっこいい部分を強調してくれる方言です。
なかなか口に出して言えない告白などを九州弁で行うと、熱い気持ちが伝わったり、ほっこりした気分になったりして、成功することも多くなるのではないでしょうか?九州弁の特徴を覚えて、いざという時にぜひ、使ってみてください。