iDeCoとは
iDeCoという言葉では現代社会においてあまり効く言葉ではありません。しかしiDeCoはこれからの、特に公務員が注目すべきシステムなのです。景気が悪いと言われている現在において、自分たちの年金が将来あるかどうかさえも分からないと言われています。
そのうえは日本は世界有数の長寿国です。年々寿命が延びていく中で年金といった老後の資金はかなり重要になってきます。なぜかといえば、老後を働くことができないことはもちろん、月にかかるお金もそれなりにかかってしまうからです。
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦の場合、月に必要なお金は約27万円程です。60歳以上の単身だったとしても16万円ほどは必要になってしまいます。
iDeCoはそのような老後のお金を最大限に貯めていくためのおすすめの節税対策方法なのです。それでは、まずiDeCoとは何なのかについて説明していきます。
iDeCoは自分のための自分で行う年金
iDeCoとは自分の年金を作っていく個人型確定拠出年金のことを言います。ここでは、個人が自分で一定の掛け金を運用していき、老後の年金を貯めていくということを行います。
原則60歳以降に受け取ることとなっていますが、どんな金融商品を運用するか、どのようにして年金を受け取るかについては自分自身で決めることができます。保険会社などに頼むよりも自分の望み通りのプランを立てていくことができるのでおすすめです。
iDeCoは公務員でも加入できる
iDeCoは、今回の主人公である公務員でも加入ができるようになりました。以前までは公務員はiDeCoを利用することができなかったのです。公務員は国によって定められた仕事なのでストライキができないなど、どこか融通性に欠けるイメージを受けがちですが、なぜiDeCoが公務員に適用されるようになったのでしょうか。
2017年1月から確定拠出年金法の改正により実施
大きな理由の1つとして、退職金のカットが原因だとされています。公務員は景気が悪いことを理由に政府は多くの人員削減だけでなく、退職金を大幅にカットされています。実際、退職金に関しては2012年以降から15%以上も下がっています。
政府が公務員にiDeCoの利用を承諾した理由は、退職金をカットして政府のお金として運用する代わりに、自分自身で老後の年金を計画、節税に備えるようにということが確定拠出年金法の改正と裏で関わっているからと言われています。
だからこそ、公務員は自分の老後の資金を集めるには自分でiDeCoを利用するのがおすすめだということです。そのため、公務員が一番行うべきおすすめのシステムなのです。
公務員にとってiDeCoのメリットは?
それでは公務員がiDeCoを利用することのメリットは何でしょうか。普通に企業で働いているサラリーマンと公務員とでは税金制度が異なっており、公務員が自身で年金制度に詳しくなっていないと自分が老後の年金に対してどのような対策を投じたらいいのかが見えてきません。ここでは、iDeCoを使うことによる、公務員のメリットに関して説明していきます。
iDeCoメリット①掛け金が全額所得控除になる
公務員が運用に回した掛け金は全額所得控除されます。公務員が月に運用できる1万2千円を毎月拠出した場合、住民税と合わせて税金が20%とすると年額14万4千円になります。
この額は全部所得控除となり、その後から税金は戻ってくるため、年間2万8800円の節税効果が生まれます。小さな額と思うかもしれませんが、退職まで毎月行うだけで大きな額に変わります。35歳から60歳の25年とすれば総額72万円節税できます。
税率も所得に応じて変わってきますが、老後に集まる金額を考えると掛け金が全額所得控除になるのは大きなメリットなため、公務員に対しては大変おすすめなのです。
iDeCoメリット②運用益が非課税で再投資される
通常の場合、金融商品の運用益には20.315%の源泉分離課税が課されることになっています。しかし、iDeCoにおいてはそれが非課税での再投資となっています。
日本では様々なものに税金がついているため税金制度を知らないと気付かない間に利益から減らされていたということもあります。
ほとんどの方は税金を恐れて自分のやりたいようにできない場合が多いですが、iDeCoの場合、公務員は非課税です。投資をするたびに課税される信託の投資とは違い、何回投資してもお金がもってかれることはないのでかなり安心です。
iDeCoメリット③受け取る時も控除がある
iDeCoでは老齢給付金を一時金として受け取るという場合は退職所得控除という形でお金をもらえます。また、年金で受け取る時にはそれが公的年金等控除となります。
要するに、公務員は受け取るときにも控除が効きます。総じて、iDeCoでは公務員は節税という点で多くのメリットが設けられており、これらが、公務員がiDeCoを加入することをおすすめする理由です。
公務員にとってiDeCoのデメリットは?
iDeCoではデメリットというのも公務員にはあります。もちろん、公務員の他にも他の職場で働いている方たちもいるので、公務員だけに優遇措置をとらせるわけにはいきません。ここでは公務員が効力の行き過ぎを抑えるためにかけられたiDecoにおける制限について見ていきましょう。
iDecoデメリット① 掛け金の上限が低い
前述しました通り、iDecoでは公務員には上限の厳しい制限がかけられています。公務員の掛け金の上限は月額では1万2千円、年額では14万4千円となっています。
それに対して自営業者やフリーランスの場合、上限は月額で6万8千円、年額では81万6千円となっています。上限額のみを見れば、公務員の上限額が5分の1以下となっていることがわかります。
しかし、公務員は厚生年金という手厚い手当をもらうことができる一方、自営御者やフリーランスは厚生年金をもらうことができないので、このように上限額を変えています。
これを考慮すると確かに上限額が変わるのは一理ありますが、上限額のみで言えば公務員は他の職場の方と比べて不利な立場にあると言えます。
また、公務員は前回までは毎月積み立て方式とされていたのですが、平成30年1月を機に、自分の設定する月にボーナスなどで一気に運用するということが可能になりました。しかしいずれにせよ掛け金上限は変わることはありません。
iDecoデメリット②所得控除の上限が低い
もう1つの公務員が受けるiDecoにおけるデメリットは、掛け金上限が低いだけに所得控除の上限も制限がかけられているということです。
公務員の場合、掛け金は全額所得控除のため、年額14万4千円が所得控除の上限です。確かに他の職業の方々と比べて所得控除の上限が低かったとしても、節税であることに変わりはないのでデメリットと言えるかは微妙なところです。
iDeCoに加入した公務員の節税例
iDeCoは税金に対する知識を少なからず必要とするため、税金に対して全くわからない方にはiDeCoが公務員に対してどれくらい得なのか想像しづらいです。ここでは実際に公務員がiDeCoを利用した場合どうなるのか、例にとって解説していきます。年収によっても税率は変わるので参考程度にするといいです。
平均年収500万の男性公務員の例
ここではiDeCoに加入した平均年収500万円の男性公務員を例にとって解説していきます。尚、公務員の掛け金上限は1万2千円ですが、iDeCoの場合60歳までお金を受け取ることができません。
そのため、60歳になるまで使わないであろう金額を運用するようにしましょう。ここでは、下限である5千円を毎月運用した場合を①、上限である1万2千円を毎月運用した場合の両方を②とします。
運用利率を仮で5%とすると、①は年間節税額が1万2千円、②の場合だと約2万9千円となります。これを40年間続けていくと、①の節税額が48万円、②のが110万以上となります。もちろんですが毎月の掛け金の数字の大きさで50万円以上の差が出ます。
そして40年間の運用益の非課税額は①が約100万円、②が250万円になります。やはりiDeCoは全額が全額所得控除になるので納める税金の額が少なくなりお得です。
運用益も非課税で再投資でき、証券会社の投資に比べてもおすすめです。受け取り時にも控除がある事から3段階でメリットが詰まっています。
公務員のiDeCo確定申告や年末調整のやり方・手続き
公務員がiDeCoをに入会したところで、運用した掛け金をして控除された税金が自動的に戻ってくるわけではありません。iDeCoでは自分で確定申告や年末調整といった状況の報告と手続きをしっかり行わなければいけません。
だからといった多くの方は確定申告や年末調整の手続きについてあまり詳しくありません。年末調整等を行わないと後に戻ってくるはずの税金も無駄にしてしまう可能性もあります。ここでは自分の受け取れる税金を確実にもらうための確定申告や年末調整の手続きについて説明していきます。
iDeCoの掛け金が給与天引きされている公務員の場合
まず、iDeCoには2パターンの公務員がいます。iDeCoの掛け金が給与天引きされている公務員と天引きされていない公務員です。公務員はどちらかであるかによって年末調整の手続きをどうするかが変わってきます。
そのため公務員であれば自分がどちらのタイプであるか把握している必要があります。まずは天引きされている場合を見ていきましょう。
天引きされている場合は手続きの必要はない
会社員に関しても同じことが言えますが、iDeCoに加入しており、給与天引きされている公務員に関しては年末調整の手続きをする必要自体ありません。そのため、年末調整は何なのかを知らない場合、知っておいても得ですが知らなくてもここでは影響はありません。
また、年末調整の手続きが面倒だという方は自分が給与天引きがされているかどうかをまず確認しておきましょう。
iDeCoの掛け金が給与天引きされていない公務員の場合
逆に公務員がiDeCoの掛け金が給与天引きされていない場合、これは公務員が自分で年末調整の手続きを行う必要があります。そのため、まずは年末調整について説明していきます。
年末調整は言葉だけだと難しい印象がありますが、簡単に言えば税金や所得の金額の差を年末に正しく計算し、清算することです。
そのため、例えば、iDeCoで毎月1万円ずつ積み立てていったとします。この場合、iDeCoでは税金の全額が控除されます。まし、自分の税金と所得を確認した時に控除額が税金から引かれていなかったときに清算してもらうために、年末調整をします。
元から給与天引きされている公務員はすでにiDeCoで積み立てた控除額が税金額から引かれているので年末調整の手続きをする必要がないということになります。
小規模企業共済等掛金払込証明書で手続きをする
iDeCoに加入している場合、自分のところに11月ごろ、小規模企業共済等掛金払込証明書というものが着ます。これはiDeCoに加入している方が12月分も含めた年間の合計掛け金額を証明するものです。そのためこの資料は大事に保管しておく必要があります。
そこからまず、勤務先にて、「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」というものを受け取ります。受け取ったところでその用紙の「個人型及び企業型年金加入者掛金」の欄に掛け金総額を記入します。
そしてその申告書と先ほどの小規模企業共済等掛け金払込証明書をつけて提出、手続きをします。これが一連の流れです。難しいことは何もないのでしっかり把握して年末調整を行いましょう。
iDeCoの加入におすすめな人とおすすめでない人
ここまで公務員がiDeCoに加入するメリットについて説明してきました。しかし公務員以外でiDeCoを加入するとどうなのか分かっていない方も多いです。さらに、iDeCoには加入がおすすめな人もいれば逆におすすめできない人もいます。ここではどのような人がiDeCoの利用におすすめか、そうでないかを見ていきましょう。
iDeCoの加入におすすめな人
まずはiDeCoを使うべき人たちについて説明していきます。会社員を除けば主に会社員や自営業者、フリーランスが向いていると言われています。確かに節税が可能といっても自分が毎月一定の収入がなければいけません。以下ではそれぞれのメリットについて紹介していきます。
会社員
会社員にとって、節税をしながらやりくりするという方法がほとんどありません。1つの手としては住宅ローン減税と言い、自分の住宅ローンの金額によって自分の払う税負担を少なくし、節税していくという方法があります。
しかし住宅ローン減税というのも最近では縮小傾向にあり、他に何かしっかりとした節税方法をとりたいものです。iDeCoでは目の前にある住民税と所得税を減らしてくれるので会社員にとってもかなお得です。
特に、税金というのは所得が多ければ多いほど負担が大きくなるので特に年収が多い人は自分の税金対策はしっかり行わなければいけません。
基本的に、会社が企業型の確定拠出年金を採用していない限り会社員は誰でもiDeCoを利用できます。iDeCoで大きく節税をして老後の資金形成を確立させておきたいものです。
自営業者やフリーランス
国民年金保険料を納め続けている自営業者やフリーランスの人たちも以前からiDeCoには加入ができていました。しかし、2017年を機に月の積立金額上限が格段に上がりました。他の職業と比べても月6万8千円というのはかなり優遇措置が取られています。
iDeCoを利用している方はまだまだ少ないので、所得が多い方は特に自分の節税に努めましょう。というのも、自営業者やフリーランスが国民年金以外に何も加入していない場合、老後の資金形成はかなり厳しいのです。
ほとんどの方がiDeCoに加入していないだけと税負担が大きいという危機感を感じていないのがおそろしい所です。自営業者などの場合、老後もらえる年金は国民年金で年間80万円ほどです。
会社員は厚生年金を合わせて200万円ほどもらえることがありますが、これでは全然暮らせることができません。また、最近では国民年金でさえもらえるか危ぶまれている状況です。そのような事態に確実に備えておかなければいけません。
幸い、自営業者やフリーランスをやっている方は月6万8千円も積み立てができるので、経済的余裕があるうちに税金対策に積極的に取り組む必要があります。
iDeCoの加入におすすめでない人
iDeCoでは非常に多くの方を加入の対象としていますが、その中でもiDeCoの利用に全く向いていない、または利用していてもメリットがないというスタイルの方々がいます。ここでは、専業主婦と、家系が安定していない方を取り上げ、なぜiDeCoでメリットを生み出すことができないのかについて詳しく説明していきます。
専業主婦
2017年1月から、専業主婦もiDeCoの加入が認められるようになりました。ネットでは専業主婦もiDeCoを利用すべきという声もありますが、正直それは正しくありません。
理由は、いわゆる130万円の壁、大企業では106万円の壁を超えない範囲で年収を稼いでいると、国民年金保険料を納めずに済みます。さらに、年収が150万円にの範囲であれば、所得税や住民税がかかりません。
鮮魚主婦のように働いていない方であれば元から請求される税金が限りなく少ないのです。iDeCoを利用する方の多くは所得税や住民税の節税なので、専業主婦にとってはあまり効果はありません。
もし仮に、夫の収入を自分のiDeCoで積み立てしたとしても夫の税金額が変わることはないのでいずれにせよ、専業主婦は加入をおすすめしません。
家計が安定していない人
確かにiDeCoは60歳以降の自分の資産を貯めこむのに最高のシステムではありますが、自分が現在不安定な収入にある場合はおすすめすることはできません。現在で苦しんでいる状況なら老後も同じです。老後のことを考えて現在の負担を大きくするのは本末転倒です。
また、借金をかかえている人であればなおさらiDeCoは適していません。銀行系カードローンなど、多くの借入金には利子がついています。完済をしない限りはいつまでも利子が残ってしまうのでまずは借金をなくすことから始めるようにしましょう。
iDeCoは20%以上の税制優遇があるといだけに、とても素晴らしいシステムでありますが、60歳になるまでそのお金は戻ってきません。確実に自分の今の生活が大丈夫か見直してみましょう。
20代の人
20代は就職仕立てで自分の生計をまだ確実に整えることができる人は少ないです月の手取りが20万円以下である場合は、自分のスキルアップなど、自分の収入が上がる工夫をすることを優先させましょう。iDeCoはいつでも加入することが可能です。
収入が少ないうちから無理して積み立てをしなくとも、自分の収入が上がってきた時点でiDeCoを利用すれば問題ありません。老後の心配をするのもいいですが、現在の自分を客観的に見て判断しましょう。
年収が下がる可能性のある人
自分の収入が今後下がることが予測される場合、そのような方はすぐにiDeCoに加入することはあまり賢明な判断とは言えません。中断するくらいなら加入を考え直し他方がいいです。
収入が下がる可能性のある人は、例えば、産休休暇に入る方や治療中で病院内での生活を来る方、もしくは近々会社の転勤を考えている方などです。特に共働きの過程の場合、どちらかがリタイアまたは仕事を中断してしまうと経済的にかなりダウンしてしまいます。
前述したように、iDeCoはいつでも加入が可能です。現在と未来の生活は照らし合わせて、無理のない節税と老後の積み立てについて考えていきましょう。
iDeCoは公務員におすすめ!今すぐ手続きを始めよう
iDeCoは公務員にとって大きな利益を含んでいます。厚生年金という手厚い年金が保障されており、退職金のカットという逆境はありながらもiDeCoといったシステムがあります。
確かに上限は低いかもしれませんが積み立てていくと上記の例で説明したようにかなりのお金を保存ができます。
公務員にとってはかなりおすすめなのがこのiDeCoなので年末調整の手続きなどをしっかり行ってしっかりとした税金対策と老後の資金積み立てを行っていきましょう。