生命保険料控除の種類
まず、生命保険料というのは、支払った生命保険料に応じ、一定の金額を契約者(保険料負担者)のその年の所得から差し引かれる制度です。
税率を掛ける前の所得が低くなることにより所得税や住民税の負担が軽減されます。生命保険料を月々に支払いをしておくことで、生命保険料控除が適用になります。結果として所得税や住民税も結果として安く抑えることができます。
その際、1月〜12月までに支払ったものが、9,000円以上であれば、差し引く対象となります。また、生命保険料控除の種類は、全部で3つに分類されます。まず1つ目は、一般生命保険料で主に死亡時におりる保険のことです。
自分自身のライフスタイルや家族の状況などに合わせて、生命保険を組み合わせることも可能です。生命保険料控除も出来ますので、節税対策にもなります。
一般生命保険料
3つの保険のそれぞれの基本的な特徴を見ていきながら、自分自身のライフスタイルにあったものを選んでいきましょう。生命保険に関しては、将来にも関わってくる重要なものなので、しっかり見極めて選んでいくことをお勧めします。
先ほどもお伝えしましたが、生命保険料控除が適用され、節税対策にもなりますので、上手くしくみを組み合わせていきましょう。まずは3つの保険のうち、一般生命保険料を確認していきましょう。
一般生命保険料は、生存と死亡に関して保険金や給付金が発生する保険料について受けられる控除です。死亡保険や学資保険などの保険料がこちらに該当します。
個人年金保険料
個人年金保険とは、国民年金や厚生年金とは別に、自身で老後に備えるための保険です。個人年金保険料控除は、個人年金保険料税制適格特約を付けた個人年金保険契約の支払保険料より受けられる控除です。適格特約がついていない場合は、一般生命保険料区分となります。
介護医療保険料
最後の3つ目が、介護保険料と言い、個人年金のみの保険です。これらの保険に入ることで、生命保険料控除をうけることが出来ます。
介護医療保険料は、入院や通院について発生する保険料について受けられる控除です。医療保険、がん保険、介護保険などの保険料があります。介護保険料も、生命保険料控除が出来るんです。
生命保険料控除の対象者
では、ここからは生命保険料控除の対象者は、誰になるのかというのを確認しておきましょう。何かあったときの為に生命保険に加入していきますが、年末調整の際にも上手く支払い運用していけば、生命保険料控除が適用され、大きな節税になります。ですので、まずは対象が誰になるのかを抑えていきましょう。
生命保険料を支払った人
生命保険控除の対象者は、生命保険料を支払った人です。一般的に保険契約を締結し、生命保険を支払った人のことを言います。ですが、このとき注意していただきたいことがあります。
例えば、契約者は妻だけど実際に保険料を支払っているのは夫だった場合などです。この場合、契約者は妻ですが、実際に保険料を支払っている夫が控除対象者となります。このケースの場合に、契約者が妻になっているからと、控除対象者も契約者の妻だと勘違いされる方も多いので気をつけてください。
生命保険料控除を利用する場合は、このように誰が対象になるかも事前に確認しておくと、あとでトラブルになることも防げます。もし概要など分からない場合は、加入した生命保険会社などに確認するようにしておきましょう。
生命保険控除の運用を運用を受けるための要件
生命保険料控除の運用を受け取るための要件も何点かありますので、ここでご紹介していきます。まずは年金受取人の名義は契約写本人または配偶者のどちらかであること、なお且、年金受取人は被保険者と同一人であることが必要です。また保険料払込期間は、10年以上であることも条件となっています。(一時払いで加入した年金保険は対象外)
そして、年金の種類に関しては、確定年金・有期年金の場合は、年金の受取開始日に被保険者の年齢が60歳以上で、年金の受取期間が10年以上であることが条件です。
生命保険料に申込みをする際に、必ず説明があるかと思いますが、ケースバイケースで変わってきますので、加入する際に生命保険控除についての要件は確認し、あとで困らないようにしておきましょう。
生命保険料控除の上限額の計算方法
ここからは、生命保険料控除の上限額の計算方法を確認していきます。月々の支払いをどのくらいするかによって、年末調整の際に、どのくらい生命保険料控除されるのかを計算して、シュミレーションしてみましょう。またその際に、差し引かれる金額の上限額なども決まっていますので、参考にしてみてください。
新制度と旧制度を見分ける方法
まず、生命保険料控除の計算方法をみていく際に気をつけていただきたいのが、新制度と旧制度があるという事です。では、新制度と旧制度を見分ける方法をみていきましょう。2011年12月31日以前に締結した保険契約は旧契約、2012年1月1日以降に締結した保険契約は、新保険というように切り分けることが出来ます。
生命保険料控除の上限額の違い
また保険料控除の上限額の違いもあります。旧制度の場合は、全体の所得控除限定額の所得税が10万円、住民税が7万円となっています。また一般生命保険料限定額と個人年金保険料限定額は、所得税が5万円、そして住民税が3.5万円となっています。
保険料も様々な組み合わせによって、生命保険料控除を行うことができます。それぞれの上限を抑え、節税しながら、今後の人生に備えていきましょう。計算方法などは、「給与所得者の保険料控除申請書」の用紙に記載されていますので、それを見ながら計算してみてください。
新制度の上限額と計算式
新制度の上限額と計算式もこちらから確認していきましょう。先ほどもお伝えしましたが、新制度は、2012年1月1日以降に締結した保険契約のことを言います。「一般生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」それぞれに適用され、あわせて7万円が限度となります。
12,000円以下の支払保険料等の金額が対象になります。12,000円超え〜32,000円以下は、支払保険料×1/2+6,000円の計算式。
32,000円超え〜56,000円以下が、支払保険料×1/4+14,000円の計算式となります。56,000円超えは、一律28,000円まで保険料から差し引くことが可能です。
また新制度では、一般生命保険料・介護保険料・個人年金保険料の住民税の所得控除限度額はそれぞれ2.8万円ですが、合計した場合は7万円が限度額となります。
旧制度の上限額と計算式
同じように、旧制度の上限額と計算式もみてきましょう。2011年12月31日以前に締結した保険契約のことを言います。「一般生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」それぞれに適用され、あわせて7万円が限度となります。
12,000円以下の支払保険料等の金額が対象になります。12,000円越え〜32,000円以下は、支払保険料×1/2+6,000円の計算式。32,000円超え〜56,000円以下は、支払保険料+1/2+14,000円の計算式。56,000円超えが、一律28,000円となっています。
新旧制度を同時に加入した場合の上限額と計算式
平成22年度の税制改正により、生命保険料の控除が改定され、新制度に以降していきました。平成24年分以後、一般の生命保険控除については、平成24年1月1日以降に、締結した生命保険契約などに係るものと、同日前に締結した生命保険契約等の旧契約に係るものに分けられます。
そして、新旧両方加入している契約者に関しては、一般生命保険料控除の適用を受ける場合、それぞれの合計金額が対象となります。旧制度と新制度が合わさった際の、上限額は4万円が限度額となっていますので、注意してください。
生命保険料控除の計算で上限額などを調べたい場合は、パソコンなどでも計算できるHPなどがありますので、そちらを参考にしてみてください。
生命保険料控除の節税効果
生命保険料控除は、所得税や住民税における所得控除の1つです。1年間の中で支払った生命保険料等を、計算し、一定額が所得から控除される制度となっています。月々に、補償がしっかりとついた保険に入っていれば、何かトラブルがあったときに安心ですし、年末調整の際の保険料控除も出来ますので、節税効果にもなり、一石二鳥です。
どのぐらい節税されるかに関しては、上記の計算式に当てはめて計算を行ってみてください。将来の補償をしっかり保険で補いながらも、上限額まで保険料控除出来たら、1年でかなり変わってきますので、自身のライフスタイルに合わせて、選択してみましょう。
生命保険料控除の計算例
ではここからは生命保険料控除のお申し込み手順をみていきましょう。例えば、所得税と住民税がそれぞれ10%だった場合のケースで考えてみましょう。契約者が、旧制度で一般生命保険料に入っており、¥100,000を支払っていたとします。
この場合は、所得税が50,000×10%= 5,000円で、住民税が35,000円×10%=3,500円という計算になります。所得税5,000円と住民税3,500円を合わせると、トータルで8,500円の節税効果が出るということになります。
生命保険料控除の申し込み手順
生命保険料控除の手続きは、年末の確定申告の際に申請を行います。自営業の方は、確定申告を自身で行い持っていくような手続きとなり、会社などに勤めている方は、会社の経理がまとめて年末調整を行いますので、指示に従うようにしてください。
生命保険料控除は、保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を確定申告書とあわせて税務署に提出し、適用することが出来ます。時期になると郵送されてきますので、資料がきたら、速やかに手続を行っていきましょう。確定申告書の書類は、税務署もしくは国税庁サイトからダウンロードすることが出来ます。
また確定申告の対象の方ですが、収入金額が2,000万円を超える人や、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円を超える人が対象となっています。事前に自身の収入金額も確認し、当てはまるかどうかの確認も合わせて行いましょう。
給与所得者の手続き
給与所得者というのは、会社などに勤めているサラリーマンやOLのことです。給与所得者の場合は、年末調整によって生命保険料控除を受けることが可能です。務めている会社から「給与所得者の保険料控除等申告書」が配られますので、その用紙に書いている計算式に当てはめながら、生命保険料控除の手続きを行っていきます。
個人事業主の手続き
個人事業主などの自営業でされている方に関しては、確定申告によって生命保険料控除を行います。確定申告を行う際には、必ず第一表に生命保険料控除額、第二表に各種生命保険料控除の額の記載が必要になります。この生命保険料控除金額の額に関しては、加入している生命保険の会社からそれぞれハガキが送られてきます。
そのハガキは、生命保険料証明書と呼ばれるものです。そこに1年間でどれだけ保険料を自身で支払ったかが記載されています。生命保険料控除金額などもそちらで確認することができますので、ハガキが届いたらまとめて保管するようにしておきましょう。
生命保険料控除の新旧制度で上限額と計算式が異なる
生命保険料控除の進旧制度で上限額と計算式が異なります。上記にも記載しましたが、2011年12月31日以前に締結した保険契約は旧契約で、2012年1月1日以降に締結した保険契約は、新契約となります。
また上限額や計算式も新旧制度で異なります。計算式に関しては上記の、旧制度の上限額と計算式と新制度の上限額と計算式にそれぞれ計算式を載せているので、参考にしてみてください。
新制度の対象となるのは、新しい生命保険に加入した場合だけでなく、旧制度の時に加入した保険については、契約の更新・転換、特約の中途付加したときも、契約全体の保険料が新制度の対象になります。
保険の見直しをする際に、新制度・旧制度のどちらかが適用されるかには注意が必要です。保険の見直しや更新を行った際に、契約変更とみなされ、生命保険のプランが新制度に適用される場合があります。控除額が不利になってしまう可能性もあり、節税するはずが、支払金額が逆に増えてしまう場合も考えられます。
生命保険料控除を上手く活用しましょう
生命保険料控除 上限額や生命保険料控除 計算方法をまとめをご紹介していきました。いかがだったでしょうか?生命保険料控除に関しては、月々に保険料を支払い、契約しておくことで、年末調整をする際の節税対策にも繋がります。
生命保険料を支払うことで、より安心した生活も送れますし、節税もできれば、年間で支払う金額もかなり変わってきます。このような仕組みを上手く活用し、今後の保険や節税対策に活かしてみてください。