投資信託とは?
投資信託は投資家から集めたお金を元手に、お金の運用のプロフェッショナルに運用を委託する金融商品です。主に証券会社、銀行、郵便局などで買うことができます。
投資する対象は主に株式、債券などがありますが、商品(トウモロコシなどの食料や原油など)や為替を対象とした投資信託もあります。投資する金額は100円からでき、最近ではクレジットカードのポイントでできるものもあります。
資金をまとめて投資する
投資信託の取引単位は口数で表されます。証券会社によって最小取引口数は異なります。この口数に自分が投資したい金額を掛けます。このようにして投資家から資金を集めて、金融機関が特定の投資対象に投資をします。資金は信託期間が続いている間、いつでも口数を増やすことも減らすこともできます。
投資家から集めた資金を運用
このように投資信託は多数の人または法人から拠出された金額をテーマに沿って運用します。信託期間が無期限のものと有期限のものがあり、有期限のものは期限が到来したら投資家に資金が償還されます。償還された金額は投資信託設定時の金額より上回っている場合も、下回っている場合もあります。
投資信託の税金のタイミングはいつ?
投資信託は1月1日から12月31日までで得られた分配金と、投資信託の解約、償還に伴って得られた利益に対して原則確定申告のタイミングで税金を確定させます。ただし金融機関で税金を自動計算してくれる口座を選択すると、金融機関のほうで利益が出た時点で税金を控除します。
但し、1年の間で利益が出ている中で、解約や償還で損が出た場合は金融機関で都度税金の還付を行ってくれます。
投資信託の税金①分配金支払いタイミング
分配金は公社債投資信託の場合は利子所得に該当し、株式投資信託は配当所得に該当します。分配金をもらうタイミングで金融機関から税金が控除される源泉徴収方式をとっているので、原則確定申告は不要です。つまり分配金はまるまるもらえるのではなく、税金を控除した金額が手取りの収益として自分の手元に残ります。
利益に対して発生する
分配金は公社債投資信託、株式投資信託ともに20.315%の税率で税金が差し引かれます。例えば分配金が10,000円だった場合、税金は2,031円になり(端数は切り捨て)手取りの分配金は7,969円になります。
しかし、株式やその配当金、投資信託の譲渡損失との損益通算が可能です。例えば分配金の利益より、投資信託の損失のほうが少ない場合、源泉徴収された税金が還付されます。
投資信託の税金②売却益が出たタイミング
投資信託は原則営業日であればいつでも解約できますが、取得時の基準価格と解約時の基準価格の差がプラスの場合、譲渡所得が適用されます。金融機関で特定口座、源泉徴収ありを選択した場合でかつ、これまでの利益がプラスの場合、解約したタイミングで税金が控除された金額が差額として手元の利益として自分の口座に振り込まれます。
この場合は、公社債投資信託や株式投資信託の区別はなく一律譲渡所得として税金が計算されます。
条件によって課税対象に?
上記で述べたとおり、課税対象となるのは解約時に1月1日からの損益通算がプラスで、かつ解約時の基準価格が購入時の基準価格より上回っている場合に課税対象になります。
上記条件を満たして利益が出たとき、例えば購入時の基準価格が1口10,000円で購入し、売却時の基準価格が1口20,000円の場合、利益である10,000円に税金が20.315%、つまり税金は2,031円になり(端数は切り捨て)その金額が控除され、手取りで口座には17,969円振り込まれます。
また複数の金融機関の口座を持っていて、それぞれで1月1日からの損益通算がプラスとマイナスが混在している場合は、確定申告によって税金を確定させるので、異なる金融機関においてある取引があった時点で一括して損益通算をするということはありません。
投資信託の税金タイミング③満期を迎えるタイミング
投資信託には無期限と有期限のものがあることは述べましたが、有期限のもので最後まで売却しないと投資家に償還されてその投資信託の利益が確定されます。また投資信託の目論見書にある条件を満たすと既定の期間より繰り上げて償還される場合もあります。この時の利益は繰り上げ償還された時期となります。
売却益の場合と同様
既定の償還、繰り上げ償還にかかわらず1月1日からの損益通算がプラスで、償還時の基準価格が購入時の基準価格より上回っている場合、売却益と同様にその利益に対して税金が控除されます。投資家はその控除された利益が口座に振り込まれます。複数の金融機関の口座を持っている場合の税金の計算も売却益のときと同様です。
こちらも公社債投資信託や株式投資信託で特に分けられることはなく、譲渡所得として税金は計算されます。
償還時の基準価格が購入価格よりマイナスだった場合は、そのまま損失が確定しますので課税対象にはなりません。
投資信託の税金の計算をしてみよう!
投資信託の税金の計算は、基本的に全部金融機関が取引の都度行ってくれます。そのためその報告書を見れば今までどれくらい税金が控除されたのか見ることができます。ただ報告書は結果だけを書いているので、自分で確認するには税率や税制を知っていなくてはなりません。計算自体は利益に対して掛け算をするだけなので簡単です。
課税対象の計算方法とは?
分配金、投資信託の解約、償還をした結果1年のトータルでいくら利益が出たかによって課税対象は決まります。それが複数の金融機関で投資信託を運用していた場合は、複数の金融機関分トータルで収支がプラスかマイナスかを計算します。1年の運用成績の結果は年明けに金融機関から電子データまたは紙で送られてきます。
課税対象がわかれば税金の計算は簡単!
金融機関の投資信託から出る利益はすべて一律20.315%の税金がかかります。分配金なら分配金全部に対して、解約や償還は購入時との差額が1年を通算してプラスの場合にその利益に対してのみ税金が控除されます。
金融商品に対しての税金は一律決まっているので、異なる金融機関だからといって税金が変わることはありません。
毎日変動する為凡その計算として便利
原則は年明けに金融機関が税金を確定した書類や電子データを送ってくれますが、取引の都度証券会社のほうで税金を計算してくれます。その計算結果は各金融機関のサイトにログインした中に電子データとして保管されている場合もあれば、取引の都度数日後に封筒やはがきで自宅に送ってくれるところなど様々です。
このあたりの計算結果の確認は金融機関によって異なり、また自分でインターネット上で設定も可能です。この設定は個人の好みに合わせることが可能です。
投資信託は確定申告が必要?
投資信託の解約または償還などにかかる譲渡所得の分離課税には、自分で年間の譲渡損益を計算する一般口座での確定申告と、金融機関が年間の譲渡所得を計算してくれる特定口座での確定申告があります。
更に特定口座は投資信託の解約または償還などで得た利益の都度、税金が控除される源泉徴収口座と金融機関から送られてくる特定口座年間取引報告書で簡便に申告ができる簡易申告口座に分かれます。
3つの口座の特定口座(源泉徴収有り)だけ必要無い
特定口座の源泉徴収を選択した場合、すべての金融機関での投資信託の利益が出ている場合で、かつ過去3年間に損失がない場合は解約や償還に伴う現金化、分配金は税金が控除された金額で利益を受け取るので確定申告は不要です。損失がある場合は確定申告をしないと税金の還付が受けられなくなるので、この場合は確定申告が必要です。
その他2つの口座では必要!
一般口座での確定申告と特定口座の簡易申告口座は確定申告が必要です。以下、申告方法を説明します。
一般口座の取引の場合、自分で総平均法に準ずる方法で取得価格を計算しなくてはなりません。時間をおいて同じ投資信託を買った場合、基準価格の平均値を自分で計算して1年間の運用成績を算出します。
そのため、確定申告のタイミングに合わせてスケジュールを組み計算を終わらせないといけません。
簡易申告の場合、1年の投資信託の運用成績が確定申告の少し前のタイミングで証券会社から送られてきます。証券会社を複数持っている場合はそれらの損益を合算して確定申告のタイミングで控除される税額を計算します。また分配金で分離課税を選択した場合はそれらを含めて合算し、控除される税額を計算します。
投資信託の税金控除を知っておこう!
上記までの説明のとおり、投資信託は損をしない場合を除き原則利益に対して課税されます。しかし、以下の2つはそれを活用することで利益に対して税金が控除される制度となっています。これは投資信託とは別口で使用できるため、投資信託を活用しつつ以下の制度を併用することも可能となっています。
控除する方法は2つ
それでは利益に対して税金が控除される制度とは何かというと、自分年金用のiDeCoとおよそ5年程度の運用を目的としたNISAという制度が該当します。それぞれの制度は趣旨が異なるため、iDeCoとNISAの併用は可能です。iDeCoの税金の控除とNISAの税金の控除は、1人で両方適用することができるのです。
①iDeCoで資産運用
iDeCoはindividual-type Defined Contribution pension planの略語で個人型確定拠出年金のことを言います。具体的には毎月掛金を拠出して自分で資産を運用します。投資信託と異なるのは元本保証の金融商品が入っていることです。
加入資格は国民年金の被保険者であれば加入できます。掛金は国民年金の被保険者区分で上限が決まっており、下限は5,000円からとなっています。掛金には税金がかからず、全額控除されます。投資信託と異なり運用益も全額控除となります。
iDeCoは自分で運用する年金のため、受給できるのは一部の例外を除き60歳からとなります。受け取るときには一時金か年金か自分で選ぶことができます。年金として受け取る場合は公的年金控除、一時金の場合は退職所得控除の対象となり一部税金が控除されます。
②NISAで資産運用
NISAとは「NIPPON INDIVIDUAL SAVINGS ACCOUNT(少額投資非課税制度)」のことで、イギリス発祥のものを日本に取り入れたものとなります。
NISAは3種類あり、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3つがあります。一般NISAとつみたてNISAは同時に使うことはできません。また、一般NISA、つみたてNISAは20歳以上、ジュニアNISAは20歳未満の方が利用できます。
一般NISAとは
一般NISAは口座を開設した年の1月1日現在で日本に住んでいる20歳以上の方で、金融機関に口座を持っている人なら誰でも使うことができます。但し複数の金融機関の口座で使用することは出来ません。
NISAが対象となる金融商品は投資信託で言うと、株式投資信託、ETF(海外含む)、REIT(海外含む)となります。つまり公社債投資信託は対象外となります。
一般NISAのメリット・デメリット
一般NISAのメリットは、証券会社で開設したNISA口座で購入したETFやJ-REITなどの譲渡益や分配金が非課税になる点が挙げられます。通常の口座の場合、これらは課税対象となり税金を控除された金額が手取りの利益となります。NISAは年間120万円の範囲内であれば譲渡益や分配金は非課税になります。
非課税の期間は5年間で保有している金融商品を翌年に持ち越すことも可能となります。持ち越しの金額に上限はなく時価が120万円を超えていても、そのすべてを翌年の非課税枠に移行することが可能です。
ただし年間で投資をしてトータルで損をして年を越して、NISAの期間が過ぎて翌年に値上がりして売却した場合、最初に投資した金額ではなく、NISAの最後の非課税日の時価から評価されるので、注意が必要です。
一般NISAの非課税枠の考え方
上記で述べたとおり1年間で120万円までが税金が控除されない非課税ですが、その年のうちに払い出し、売却を行うと非課税の対象枠はその初期に投資した分だけ減ります。例えば10万円のETFを20万円でその年のうちに売却すると、非課税枠は残り110万円になります。
また非課税枠の繰り越しですが、未使用分は翌年に持ち越すことは出来ません。例えば1年間に50万円しか投資をしなかった場合でも、残りの70万円については翌年に繰り越す、つまり翌年の非課税枠が190万円になることはなく、あくまでも120万円になるということです。
ジュニアNISAとは
ジュニアNISAとはNISAの未成年版と言えるものです。ここでは一般NISAとの違いを述べていきます。運用は本人から聞き取って二親等内の親族が行います。また一般NISAは非課税枠が1年につき120万円まででしたが、ジュニアNISAは80万円が上限となります。
またジュニアNISAは3月31日時点で18歳である年の1月1日(高校3年生の1月1日)以降でなければ、ジュニアNISAの口座から払い出すことはできません。もし払い出しをした場合は、原則それまで運用してきた運用益が課税の対象となりジュニアNISAの口座は廃止されます。
ジュニアNISAは20歳に到達したとき、自動的に一般NISAに口座が開設され以降の内容については一般NISAと同様になります。
つみたてNISAとは
つみたてNISAとは文字通り積み立てを前提としたNISAで、一般NISAと異なり購入頻度が決まっています。また一般NISAと異なり非課税枠が年間40万円と低く設定されています。購入できる金融商品もいくつかの要件をすべて満たすものに限られています。つまり金融商品は限定されたものから選択しなくてはなりません。
つみたてNISAは一般NISA、ジュニアNISAで可能だった当年に購入した金融商品を翌年の非課税投資枠に移行することはできません。つみたてNISAは分配金を再投資した場合は新規買い付けと見なされ、非課税枠の40万円を超えて課税対象になる場合があるので注意が必要です。
投資信託の税金の支払うタイミング等を把握しておこう!
確定申告のタイミング(申告期間)は、課税対象期間の翌年2月16日から3月15日までの1カ月間となります。この期間にパソコン、スマートフォンでの申告、または自分が住んでいる住所の所轄の税務署で確定申告を行います。
もし、3月15日までに確定申告をしない場合はどうなるのかというと、ペナルティとして延滞税や無申告加算税などの追加課税が課せられます。追加課税は税率が高いので、必ず3月15日までに確定申告を終了させるようにしましょう。