配偶者控除の年末調整での書き方まとめ!計算の仕方や注意点も紹介!

配偶者控除の年末調整での書き方まとめ!計算の仕方や注意点も紹介!

年末調整が複雑で苦手という人向けに、配偶者控除を適用するために必要な書き方や注意点をまとめました。給与収入から配偶者控除適用の判断基準となる給与所得を求める計算方法や還付を受けられる場合についてなど年末調整の仕組みを分かりやすくまとめました。

記事の目次

  1. 1.配偶者控除を年末調整で申告
  2. 2.配偶者控除と配偶者特別控除の違いは?
  3. 3.2018年の年末調整・配偶者控除の改正・注意点
  4. 4.配偶者控除等申告書の書き方
  5. 5.年末調整の還付金を受け取るタイミング
  6. 6.年末調整の期限を過ぎてしまった場合の対処法
  7. 7.年末調整をやり直したい場合
  8. 8.2020年の税制改革で『個人の所得』に及ぼす影響とは
  9. 9.配偶者控除の注意点に気をつけて年末調整で申告しよう

配偶者控除を年末調整で申告

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配偶者控除とは妻または夫の税金負担を軽くしてくれるシステムのことです。これは日本独自のシステムで、欧米にはありません。配偶者の年収によって税金の控除が受けられるかどうか判断されます。通常は毎年基礎控除の申請用紙に必要項目を記載して申告します。ここでは年末調整や配偶諸控除の基本的な事柄についてまとめていきます。

年末調整における配偶者控除の役割

年末調整の基礎的な事柄を理解するためには、所得税の計算方法について理解しなければなりません。ここでは会社員のケースを前提に説明していきます。会社は従業員への給与や賞与支払いの際、所得税などを源泉徴収します。しかし毎月徴収した金額は、本来徴収すべき年間を通しての所得税額と異なります。

給与で源泉徴収される所得税額は、所得見込みに基づいて算出されているので実際の年間所得によって算出された所得税額とは異なります。年末調整とは本来調整するべき所得税の合計と源泉徴収された税額合計を比較検討し、過不足金額を調整する仕組みが年末調整です。

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配偶者控除とは一定の条件を満たした配偶者の場合、年間所得に応じた税額の控除が認められる制度のことです。年末調整の申告書には配偶者の年間所得額を記載する欄があります。38万円までの所得の場合は「配偶者控除」が適用され、38万円以上123万円以下の場合は「配偶者特別控除」が適用されます。

配偶者控除と配偶者特別控除の違いは?

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配偶者控除とは主に既婚のサラリーマンが年末調整で受けられる税額の控除のことです。配偶者が仕事をしている場合、年間の合計所得の金額によって控除が受けられるかどうか判断されるのですが、この金額の上限が大幅に見直されたのが2018年度における配偶者控除です。ここではまず配偶者控除の内容と配偶者特別控除との違いを見ていきます。

配偶者控除

配偶者控除とはその年の12月31日の時点で、以下の要件を満たす人すべてに適用される税額控除の仕組みです。1.内縁関係ではない。2.納税者と生計を一にしている。3.年間の合計所得額が38万円以下である。4.青色申告者の事業専従者として給与所得を受けていない事もしくは白色申告者の事業専従者でない事。サラリーマンの妻なら3に当てはまります。

配偶者特別控除

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配偶者特別控除とは配偶者の年間所得が38万円を超える場合でも、段階的に控除が受けられる仕組みのことです。満たさなければならない要件は配偶者控除の場合の1,2,4に加えて「他の人の扶養親族となっていないこと」「年間の合計所得額が38万円超123万円以下であること」

つまり2018年度の税制改正により配偶者控除の対象となる所得合計の上限が76万円から123万円に見直されたのです。76万円と123万円は給与収入に換算すると、それぞれ141万円から201万円となります。

「103万円の壁」が150万円に!?

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2018年まで給与所得者の配偶者は年間収入を103万円以下に抑えることで、38万円の配偶者控除が受けられました。しかし2017年度の税制改革により納税者本人の年収が1,120万円以下、配偶者の年収が150万円以下ならば配偶者特別控除として以前と同じく38万円の控除額が適用されます。これが103万円の壁が150万円の壁になったと言われる所以です。

2018年の年末調整・配偶者控除の改正・注意点

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2018年度以降、配偶者特別控除の上限額が引き上げられたことにより、年末調整における配偶者控除等申告書の書き方にも変更点が生じています。配偶者控除の改正点の注意点はどこなのかなどを詳しく紹介していきますので、配偶者控除の対象者は年末調整の書き方を良く理解して申告書を作成するようにしてください。

改正点①控除38万円を適用できる妻の収入が150万円に拡大

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「103万円の壁」のところでも触れましたが、サラリーマンにとって最も影響が大きい点は配偶者控除38万円の適用上限額が150万円に引き上げられたことです。主婦のパート収入も103万円以下に抑える必要が無くなりました。女性の社会進出の一助として改正された税制と言えるでしょう。

改正点②夫の年収も配偶者控除の判定に必要

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改正点のもう一つの特徴は納税者である夫の年収も配偶者控除額の判定に必要となった点です。夫の年収と妻の年収の合計額によって配偶者控除の金額が変化していきます。ただし夫の年収が1,220万円を超えると配偶者控除も配偶者特別控除も受けられなくなります。今後は夫の収入によって妻の働き方が変わってくる場合も出てくるでしょう。

改正点③合計所得の変更

夫と妻の年収合計で配偶者特別控除額の適用範囲を見ていきます。改正された配偶者特別控除の適用は収入によって分けられます。納税者である夫の収入が1,120万円以下の場合、配偶者の収入が150万円までは「配偶者特別控除」として控除額38万円が適用されます。

夫の収入が1,120万円以上1,170万円以下の場合、配偶者の収入が201万以下を上限に配偶者控除額は段階的に26万円から2万円までとなります。夫の収入が1,170万円以上1,220万円以下の場合は妻の年収が103万円以上150万円以下で配偶者控除額が13万円となり、150万円以上201万円以下では12万円から1万円の範囲で配偶者控除額が決まります。

改正点④配偶者控除等申告書が追加

毎年、年末になるとサラリーマンは会社に提出する年末調整申告書の書き方に悩んだり、確認を迫られるのではないでしょうか。2017年に行われた税制改正により2018年度の「給与所得者の配偶者控除等申告書」に新たな記入欄が加えられたことが新たな注意点が生じました。配偶者控除額の算定方法が変更されたことに伴う様式の変更が主な点です。

配偶者控除等申告書の書き方

2018年の年末調整より配偶者控除の制度は変更されました。それに伴い年末調整の手続きにおいても、配偶者控除を受ける場合は『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』にも記載が必要となりました。ただし以下の二つの条件に全て当てはまる配偶者に限ります。

『サラリーマン夫の年収が1120万円(所得ならば900万円)以下の場合』と『妻のパート年収が150万円(所得ならば85万円)以下の場合』となります。複雑に思われる年末調整の用紙ですが、正しく配偶者控除を受ける為にはしっかりと内容を理解し、書き方の注意点に気を配ることが必要です。

納税者の所得の書き方

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所得の書き方ですが、控除を受ける本人の当該年度における所得合計を記入します。注意点は申告書を記入する時点では年間の所得合計が決定されていない点です。従って見積額を記入することになります。

収入金額の欄に給与所得の見込みを記入します。必要経費等の控除額を規定の表から当てはめて所得金額合計を算出します。例えば年間給与所得700万円の場合は次のような計算式で所得合計を算出します。『700万円×90%-120万円=510万円』となります。

配偶者の所得の書き方

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次に配偶者の所得を記入します。専業主婦の場合ならば0円です。パート収入を年間97万円得ている主婦の場合、まず給与所得の項目に970,000円と記入します。夫の場合と同様に必要経費等の『給与所得控除』がありますので、申告書に載っている表を参考に所得金額を計算します。

次のような計算式から所得合計金額を出します。『97万円-65万円=32万円』以上の通り32万円が所得金額となりますので、所得金額合計欄に記入します。注意点は配偶者控除を正しく受ける為に正確に記入することです。

納税者の区分A~Cと配偶者の区分①~④で控除額が決まる

夫と妻の所得金額合計を記載出来たら、配偶者控除額の判定基準となる『区分』を確認します。納税者である夫は区分1の欄から給与所得700万円として当てはめると判定は『900万円以下』のAとなります。

妻の場合は年齢70歳未満と仮定し、上記のパート収入97万円から計算した所得額32万円を区分Ⅱの判定に当てはめると②となります。以上の結果を配偶者控除等申告書の『控除額の計算』の表に当てはめていくと、区分ⅠのAと区分Ⅱの②が合わさるところから配偶者控除額は38万円だと確認できます。

配偶者欄の書き方

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まず配偶者の個人番号を記載しなければなりません。ただし会社によっては配偶者のマイナンバーを提出させて、帳簿などで一元管理されている場合もありますので、予め会社に確認しておいた方が良いでしょう。

夫の単身赴任等で妻と別居している場合は、配偶者の住所欄に妻の現住所を記載します。妻が70歳以上の場合、非居住者(国内に1年以上居所を有しない個人)、『生計を一にする事実』とは当年度中に配偶者へ送金した場合、その金額を記入します。

年末調整の還付金を受け取るタイミング

年末調整とは1年間源泉徴収によって支払った所得税額の過不足分を算出するための手続きです。サラリーマンの場合は生命保険の支払額や、扶養の対象となる配偶者や家族、家族や本人の障害、住宅ローンなどが配偶者控除などの控除対象となります。それら控除対象となる金額を収入から引いて再計算した金額が還付金です。

還付金は生命保険の満期終了や途中解約、住宅ローンの完済、扶養家族人数の減によって金額が増減します。従って追加徴収を受けるケースもあります。年末調整後の還付金はいつ受け取れるのでしょうか。

企業によって異なる

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還付金を受け取る方法は企業によって異なります。手渡しで渡すという企業は少数です。ほとんどの場合は給与明細で調整されます。つまり源泉徴収される所得税の欄で還付金と税額の相殺という形が取られるのです。従って還付金が多ければ給与所得はプラスになります。逆に還付金がマイナスの場合は所得税は通常より多く引かれることになります。

早ければ12月中・遅ければ翌年1月下旬

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年末調整の還付金が受け取れる時期は企業によって異なります。法律上は年内最後の給与支払い日で年末調整を行う事とされています。年末調整によって計算された所得税額が、源泉徴収で預かっている所得税の合計より多ければ差額を還付金として企業は従業員へ戻します。逆に少なければ追加徴収をします。

したがって企業の多くは早ければ年内最後の給与支払い日に還付金を支払うのです。ただし一部の中小企業や零細企業は翌年の1月の給与支払い日までに年末調整の手続きを行って還付金を支払う場合もあります。

年末調整の期限を過ぎてしまった場合の対処法

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年末調整とは基本的に企業に勤めているサラリーマンが行うものです。従って従業員は年末調整に関わる給与所得者の配偶者控除等申告書を毎年会社に提出しなければなりません。通常は部署単位で申告書を取りまとめて人事部へ提出します。

よって従業員が年末調整の期限を過ごしてしまう事はめったにありません。それでも万一会社が指定した年末調整の提出期限が過ぎてしまった場合、どのような対処方法があるのでしょうか。念のためのリカバリー方法をご紹介します。

翌年1月に年末調整の計算を実施

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12月の給与支払い日で年末調整を行っている企業の場合、翌年の1月に年末調整の再計算を行ってくれる場合があります。まず人事の給与担当者に1月に対応してもらえるか確認してみましょう。

会社は従業員の配偶者控除申告書を基に計算された還付金額を、1月31日までに所轄税務署や各市町村の自治体へ支払い報告書として提出します。従って1月の給与上の年末調整再計算は間に合うのです。

翌年の2月から3月に確定申告で申請

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年末調整は個人事業主でいえば確定申告に当たるものです。確定申告は3月15日までに行わなければなりません。サラリーマンがもし年末調整未処理で1月31日を過ぎてしまった場合は、個人単位で確定申告を行うことが出来ます。その場合、2月中に手続き方法や提出書類をまとめて3月15日までに申告を済ませるようにします。

年末調整をやり直したい場合

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年末調整をやり直すケースとはどのような内容でしょうか。サラリーマンの場合、本来控除対象となる生命保険料や住宅ローンの支払い、扶養対象家族の人数増減などを正しく申告しなかった場合は確定申告として年末調整をやり直す必要があります。

配偶者控除も共働きの場合、配偶者の所得が1月でなければ確定しないケースであったり、申告金額の書き方が間違っていた場合も3月15日までならば修正申告が出来ますので忘れずに対応しましょう。

個人単位で確定申告

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個人単位で確定申告を行うケースを考えるとき、配偶者控除等申告書を提出する年末調整と確定申告の違いを比較すると分かりやすくなります。年末調整は源泉徴収された所得税から取り過ぎた税額分を従業員へ還付する仕組みです。

確定申告とは主に個人事業主が給与所億や事業所得、不動産所得など10種類の1年間の全所得額を計算し、3月15日までに申告・納税を行う仕組みです。年末調整は企業がまとめて申告処理をしてくれますが、確定申告は個人がすべての手続きを行わなければならないところが注意点です。

2020年の税制改革で『個人の所得』に及ぼす影響とは

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2018年度の税制改革により、2020年以降の基礎控除が一律38万円から、合計所得金額が2400万円以下の場合、48万円に引き上げられます。一方、給与所得控除は一律10万円に引き下げられます。従って年間給与所得が850万円以下の場合、実質プラスマイナスゼロで税負担は変わりません。しかし年間所得850万円超の人にとっては税負担が増えます。

扶養控除と配偶者控除の違いを徹底調査!特徴や条件・金額を分かりやすく紹介 | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
年末調整で適応される控除のうちで、「扶養控除」と「配偶者控除」の違いがよくわからず混同してしまっている方も多いのではないでしょうか。子どもの年齢によって扶養控除の条件が変わったり、配偶者控除の最近の変更点などをわかりやすく紹介していきます。

配偶者控除の注意点に気をつけて年末調整で申告しよう

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平成30年分から年末調整の申告書が『保険料控除申告書』と『配偶者控除等申告書』の2種類に分けられたため、申告書の書き方に若干の変更が生じたことが注意点です。平成29年までは『控除申告書』にまとめて記載すれば配偶者控除も受けられました。

今まで『103万円の壁』と言われていた配偶者控除の適用範囲が、収入150万円まで拡大されたことも共働き夫婦にとっては大きな注意点です。配偶者控除と配偶者特別控除の違いや年末調整と確定申告の違いをよく理解し正しい書き方で納税申告を行いましょう。

風街ロマン
ライター

風街ロマン

「新しい生活様式の中におけるCROWD WORKERの広がり」を目指してwebライターを続けている、黒人音楽とサスペンス小説が大好きなおじさんです。健康・日常雑学・筋トレ・芸能関連を中心に、読者の知りたい情報を如何にわかりやすく届けるかをテーマに日々精進しています。

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