火災保険の年末調整
火災保険は、火災や落雷、風水害など自然災害の影響で建物と家財に損害が出た場合に補償される保険です。以前は年末調整で支払った火災保険料も控除対象でしたが、税制改正により現在は控除対象外になっております。ここでは火災保険と地震保険の関係や年末調整の際、控除手続きがどの程度関わって来るのかを説明させていただきます。
火災保険は基本的に年末調整で控除対象外
火災保険料と損害保険料の一部は平成19年1月の税制改正により、年末調整の控除対象外になりました。なぜ火災保険料が控除対象外になったのかと言うと、国が地震災害に対する対策を行ってほしいという考えから地震保険の加入を促すために変更されたと言われております。
平成23年に起きた東日本大震災という災害から地震保険は注目されており、今後の地震に対するリスク回避として非常に重要な保険です。年末調整の控除対象になってから加入者が増加したことは間違い無いでしょう。
火災保険と地震保険の関係
火災保険と地震保険の関係について、まず地震保険は単体で加入することができません。ご自身の契約している火災保険に付帯して契約する保険です。前項でもお話しましたが、火災保険は、火災や落雷、風水害など自然災害の影響で建物と家財に損害が出た場合に補償される保険です。それに対して地震保険は地震、津波、噴火などの災害に対しての補償です。
補償内容は違いますが、地震保険は単体で加入することができないため火災保険とセットになります。不要であれば地震保険を外せばいいだけです。関係性は火災保険に付帯して契約できるものということです。
①地震保険料に該当部分は年末調整で控除対象
平成19年1月の税制改正により火災保険料が控除対象外になりました。その代わり地震保険料が控除できるようになりました。それは国民の地震保険加入を促すことが目的で税制改正により地震保険が年末調整で控除できるようになりました。
地震保険は火災保険とセットで加入することが一般的で地震保険単独で契約することはできません。火災保険とセットで契約した地震保険料のみ年末調整で控除対象になります。
②地震保険・家財保険も年末調整で控除対象
火災保険に付帯する地震保険料は、保険の対象である居住用の住宅と家財に関する部分について年末調整の控除対象になっております。所得税と住民税で控除される金額が異なります。
所得税の場合、1年間に支払った保険料の金額が5万円以下の場合は全額が、5万円を超える場合は一律5万円が年末調整が控除されます。住民税は1年間に支払った保険料が5000円以下の場合は全額、5万円以下の場合は支払い総額の1/2、5万円を超える場合は25000円が控除されるため支払額を計算してみましょう。
地震保険を一括で支払いした場合
火災保険料を数年分一括で支払った場合であっても、火災保険に付帯している地震保険料分をまとめて控除申請することは基本的にできません。1年間に支払った火災保険料に付帯した地震保険料分に対してのみ年末調整で控除が可能です。
火災保険料は1年単位で払うより数年分一括で支払った方が保険料が安くなります。マイホームの火災保険は長期間で契約することが一般的なので控除申請は1年間に支払った火災保険料に付帯した地震保険料分しか控除できないことを計算に入れておきましょう。
保険料を年数割り計算して確定申告
前項でもお話した通り、火災保険に付帯する地震保険料を数年分一括で支払っている場合はまとめて控除申請することができません。1年分の地震保険料を控除する場合の計算方法は、単純に支払った地震保険料の契約期間を年数割りして控除金額を計算します。
繰り返しになりますが、火災保険料は数年分一括で払っているケースが多いので控除できるのは支払った地震保険料の契約期間を年数割り分と覚えておきましょう。
申請書の書き方
年末調整時には会社員の場合、「給与所得者の保険料控除および配偶者特別控除の申告書」を勤務先に提出します。申請書の地震保険料控除欄に1保険会社の種類、2保険会社名、3契約期間、4契約者名、5保険対処の建物居住者と家財使用者、6申請者との続柄、7地震保険料の区分、8支払った年間保険料の金額を記入します。
申請書には「地震保険量控除証明書」の提出が必要です。毎年保険会社から送付されるので大切に保険しておきましょう。
火災保険の自宅以外の控除は?
火災保険の自宅以外の控除はどうなっているのでしょうか?ご自身の所有する建物にかけた火災保険は地震保険が付帯している場合、その保険料のみ年末調整で控除できるとお話しました。ではご自身の所有する建物を賃貸している場合は控除できるのでしょうか。また、借りている入居者が加入している保険も控除可能なのか解説させていただきます。
事業の場合の火災保険は経費
地震保険控除の対象となるのは、住宅の家財に対する保険だけです。自宅以外のオフィスや賃貸用のマンション、アパートにかけた場合、地震保険は控除できません。その代わり、事業所得等の経費として計上することができます。
住居兼事務所の場合は事業用の部分のみ経費として控除できます。控除できる金額は支払った保険料へ住宅と事業所の面積の比率を掛けて計算します。
賃貸経営の人は控除対象外
賃貸経営者がかけた地震保険料は控除対象になりません。地震保険料控除になるのは、契約者本人または契約者と生計を同一にしている配偶者や親族が所有するもの、尚且つ日常住んでいる住宅にある家財という条件があります。賃貸物件については建物の所有者と借主が異なるため控除の対象にはなりません。
賃貸住まいの人は内容次第
通常、賃貸に住まいの人は入居前に不動産業者で契約を行います。その不動産業者が代理店契約を結んでいる火災保険に加入することがほとんどです。賃貸契約の場合、家財に対する補償、借りているオーナーに対しての借家人賠償が付帯された火災保険に加入します。契約時加入する火災保険のパンフレットと後日証券が届くので大切に保管しましょう。
賃貸の場合、地震保険を付帯するケースは少ないですが、加入した火災保険に地震保険が付帯している場合その分の保険料のみ年末調整で控除申請することができます。保険証書や控除証明書を確認するか、契約した不動産会社に確認して見ましょう。
火災保険と家財保険の違い
火災保険は、火災や台風など自然災害の影響で建物と家財に損害が出た場合に補償される保険です。火災保険には建物のみを補償する保険、家財のみを補償する保険、建物と家財両方を補償する保険などがあります。
その家財のみを補償する保険のことを「家財保険」と呼んでいます。つまり大きなカテゴリーでいうと火災保険があって、その契約プランの中に家財を補償する保険が付帯している場合、家財保険と呼ばれます。
賃貸住まいの火災保険は少額短期保険
賃貸を借りる際に加入する火災保険は建物の補償ではなくご自身の家財保険に対する保険と大家さんに対する賠償保険となっております。
そのため、保険金額が少額で契約期間も通常2年契約になるため少額短期保険に加入することが一般的になっております。ちなみに少額短期保険は地震保険を付帯することが基本できませんので地震保険に加入したい方は損害保険を検討すると良いでしょう。
解約返戻金
解約返戻金とは、契約している火災保険を途中で解約した場合、支払った保険金額が戻ってくるお金のことです。金額は契約した保険会社の計算で決定します。解約返戻金がない保険の種類や内容があるので契約する前に解約返戻金の有無を確認してみると良いでしょう。
よくある話ですが、火災保険の契約期間途中にお住いの賃貸物件を退去する際、加入している火災保険の解約手続きを行わないと解約返戻金は戻って来ません。そのまま契約期間が終了するまで補償は続きますが、すでに退去しているので無駄な保険になってしまいます。必ず解約の手続きをして解約返戻金を戻してもらいましょう。
火災保険は地震保険部分のみ年末調整で控除可能
まとめになりますが、火災保険は当初年末調整で控除することができましたが、税制改正によって控除対象外になってしまいました。一方地震保険料は控除を受けることができます。それは国が地震災害に対する対策を行ってほしいという考えから地震保険の加入を促すために変更されたと言われております。
地震保険は単体で契約することができません。ご自身の建物にかける火災保険に付帯する形で契約することができます。話をまとめると火災保険料は控除することができませんが、地震保険料部分のみ年末調整で控除可能です。