年末調整の書き方を完全解説!生命保険や扶養など控除の申請方法や必要書類も!

年末調整の書き方を完全解説!生命保険や扶養など控除の申請方法や必要書類も!

年末調整は所得税の減税・還付を受けるために必要な手続きです。会社に提出する申告書の書き方や必要書類を知らないとメリットが受けられないこともあります。控除の申告書の書き方をマスターして年末調整で還付を受けられるようにしましょう。

記事の目次

  1. 1.年末調整とは
  2. 2.年末調整の項目
  3. 3.年末調整の必要書類
  4. 4.年末調整の扶養控除等申告書
  5. 5.年末調整の給与所得者の配偶者特別控除申告書
  6. 6.年末調整の給与所得者の保険料控除申告書
  7. 7.年末調整の給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
  8. 8.年末調整の注意点
  9. 9.年末調整の提出期限に間に合わなかった場合
  10. 10.年末調整は該当箇所を忘れず記入することが大切

年末調整とは

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年末調整は、所得税の徴収を年末に調整することをいいます。所得税は毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して掛かる税金ですが、実際には毎月徴収されています。毎月の所得税の徴収は概算で、少し多めに徴収されているので、年末にきちんとした額に清算すると手続きと覚えておけばよいでしょう。

源泉徴収をすること

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毎月税金が徴収されることを源泉徴収といいます。源泉徴収しているのは会社員であれば給与を支払う会社です。もし源泉徴収の仕組みがなければ、毎年個人で税務署に確定申告をしなければならないことになりますが、すべての会社員が税務署に殺到するとしたら、混乱を招くでしょう。

国としても毎年の終わりに一度にどーんと税金が納付されるよりは、前払い的に毎月適度に納められる方が、借金せずに歳出しやすいといえます。したがって、所得税を毎月源泉徴収で納めているわけです。

その裏返しとして、過大となっている税金について年末に清算(還付)するという手続きがあり、それが年末調整であるというわけです。

年末調整の対象者

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年末調整の対象となるのは、会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人です。ただし、1年間の給与の総額が2千万円を超える人は対象外です。これに該当する人は確定申告をする義務があるからです。

年の中途で退職した人で、年の給与収入が103万円以下であったり、心身の故障により退職したなど一定の要件を満たす人も退職の時点で年末調整されるので、その場合は確定申告は必要ありません。

年末調整の項目

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このように、所得税の年末調整は、1年間の所得税の清算する手続きですが、ここではもう少し具体的に清算の仕組みについて見ていきましょう。年末調整では、源泉徴収の段階では考慮されていない項目が考慮されることになります。

源泉徴収の税額は、その月の社会保険料等控除後の給与の額に対して、扶養親族等の数に応じて金額が決まります。つまり考慮されているのは「社会保険料」と「扶養親族(配偶者含む)」だけということになります。

しかし、実際には所得税の経費である「所得控除」を確認してもらえばわかるとおり、所得税ではいろいろな控除が認められています。

所得控除

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所得控除は、全部で14種類あります。「雑損控除」「医療費控除」「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「寄附金控除」「障害者控除」「寡婦(寡夫)控除」「勤労学生控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」「基礎控除」です。

つまり、源泉徴収の段階ではこれらの所得控除をほとんど考慮されていないことになります。扶養親族についても、実際には配偶者や扶養親族の年収に応じて控除額が変わりますから、年の最初の段階で控除額が確定しません。

このように、年末に清算しなければならない項目がたくさんあることがおわかりいただけるでしょう。

扶養と保険料

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所得控除の項目はたくさんありますが、多くの人に該当する項目は限られています。すなわち、配偶者控除・扶養控除の「扶養関係」と、生命保険料控除・地震保険料控除の「保険料関係」の2つです。扶養しているか保険を払っている場合(社会保険以外)には何かしらの控除が受けられる可能性が高いです。

医療費控除は年末調整されない

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医療費も多くの人になじみ深い控除項目ですが、医療費控除は1年に支払った医療費が十万円以上という要件がある上に、年末調整では控除が認められない(確定申告が必要である)ため注意が必要です。毎年あるわけではないでしょうが、急な医療費の出費を強いられたような場合には、少々手間でも確定申告を行い税金の還付を受けた方がよいでしょう。

年末調整の必要書類

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年末調整で控除を受けられる項目がわかったところで、次は必要書類について紹介します。必要書類には、申告書と添付書類の2種類があります。各控除項目によって、必要書類(申告書)の様式が決まっていたりするので、確認しておきましょう。

これら年末調整は概ね毎年項目は決まっています。扶養は1年で終わるものでなく、毎年継続されますし、生命保険などもたいてい何年も継続して行うのが普通です。つまり一度手続きを行えばあとは毎年同じことの繰り返しです。

制度の変更に伴い必要書類の雛型が多少変わることはあるでしょうが、制度変更はそれほど頻繁にあるわけではありませんので、一度覚えればあとは楽に行えるようになるでしょう。

給与所得者の扶養控除等申告書

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必要書類の1つ目は、「給与所得者の扶養控除等申告書」です。給与所得者が、その給与について扶養控除などの諸控除を受けるために行う手続です。扶養だけでなく、障害者控除や寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除を受ける場合にも必要となる書類です。

この書類は、厳密には年末調整の必要書類ではなく、年の最初の給与の支払いを受ける日の前日までに提出が必要な書類です。上述したとおり、源泉徴収の税額は扶養親族等の数で税額が決まるからです。

通常、年末調整の時点で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出させて、それをそのまま翌年の源泉徴収税額にも用いているのが実務であると言われています。

給与所得者の配偶者特別控除申告書

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必要書類の2つ目は、「給与所得者の配偶者控除申告書」です。この申告書は、年末調整において配偶者控除又は配偶者特別控除を受けようとする場合に使用します。上述のとおり、配偶者の年収に応じて配偶者控除・配偶者特別控除の額は変わります。

つまり「給与所得者の配偶者控除申告書」は、その年の配偶者の年収を計算し、控除額を算出するための必要書類です。

給与所得者の保険料控除申告

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必要書類の3つ目は、「給与所得者の保険料控除申告書」です。この申告書は、上記の所得控除のうち、「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」を申告する場合に使用します。

社会保険料や小規模企業共済等掛金については、給与から天引きされる分については当然に控除の対象であり、この申告書を用いてあらためて申告する必要はありません。

給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書

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「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税と言われています)の適用を受ける場合の必要書類です。上述した所得控除の中に「住宅借入金等特別控除」がないように、「住宅借入金等特別控除」は所得控除とは異なります。

控除には、「所得控除」とは別に「税額控除」があり、「住宅借入金等特別控除」は「税額控除」に該当します。

所得控除と税額控除

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所得控除とは、所得から差し引くことができる額のことです。「必要経費」と考えておけばよいでしょう。それに対し税額控除は、税額から差し引くことができる額のことです。税額は所得に税率を掛けて算出されますが、そこから一定の額を差し引くことができるというわけです。

税額控除は一定の政策目的実現のため特別に認められる項目であり、一般に制度化されている所得控除とは根本的に異なります。

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年末調整の扶養控除等申告書

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ここからはそれぞれの必要書類の書き方について具体的に紹介します。まずはじめは、年末調整の「扶養控除等申告書」の書き方です。上述のとおり、この必要書類は扶養控除のほか、配偶者控除や障害者控除等の対象となる人が使用する書類です。これらの控除は人に関するものなので、一般に「人的控除」と呼ばれます。

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年末調整の「扶養控除等申告書」は非常に汎用性が高い必要書類なので、書き方をぜひマスターしておきましょう。「扶養控除等申告書」は大きく3つの枠からなっています。1つ目は「氏名・住所の記載欄」、2つ目は「控除の対象となる人に関する欄」、3つ目は「住民税に関する事項」の欄です。

氏名・住所を記載する欄の書き方

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「氏名・住所を記載する欄」には、「所轄税務署長等」「給与の支払者の名称(氏名)・所在地(住所)」「給与の支払者の法人(個人)番号」「あなたの氏名(フリガナ)・個人番号・住所(居所)・生年月日」「世帯主の氏名」「あなたとの続柄」「配偶者の有無」「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」を記載します。

これらのうち「所轄税務署長等」と「給与の支払者の法人(個人)番号」は一般的に把握できない情報なので、この欄は空欄にしておいても特段問題ありません。会社の給与担当者の方で補完します。

「氏名(フリガナ)」の横に押印を押しますが、印鑑は認印で構いません。また、「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」は、給与を2か所以上からもらっている場合に記載します。

控除対象配偶者の書き方

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次に2つ目の枠の部分です。この枠は、控除の対象となる「人に関する情報」を記載する枠です。扶養親族だけでなく、配偶者や障害者、勤労学生などの情報も記載することができますが、自分に関係する部分にだけ記載すれば問題ありません。

まずは控除対象配偶者がいる場合に記載しましょう。「A源泉控除対象配偶者」と記載されている部分の欄です。配偶者の「氏名(フリガナ)」「個人番号」「生年月日」「所得の見積額」「非居住者である親族」「住所又は居所」「異動年月日及び事由」について記載します。

「非居住者である親族」欄には、配偶者が国内に住んでいない場合に○をつけます。「異動年月日及び事由」は異同(結婚、離婚、死亡など)がある場合のみ記載します。

控除対象配偶者とは

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控除対象配偶者とは、本人の年収が一定以下(給与年収の場合は1,120万円以下)の場合において、その配偶者の所得の見積額が85万円以下(給与所得だけの場合は、給与の収入金額が150万円以下)の要件を満たす配偶者です。この配偶者は本人と生計が同一である必要があります。

控除対象扶養親族の書き方

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次は「B控除対象扶養親族」の欄の書き方です。扶養親族の「氏名(フリガナ)」「個人番号」「あなたとの続柄」「生年月日」「老人扶養親族」「特定扶養親族」「所得の見積額」「非居住者である親族」「生計を一にする事実」「住所又は居所」「異動年月日及び事由」を記載します。

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「老人扶養親族」「特定扶養親族」に該当する場合には、これらの欄のチェックボックスにチェックを入れます。「非居住者である親族」欄には、扶養親族が国内に住んでいない場合に○をつけます。この欄に○をつけると「生計を一にする事実」欄にも記載が必要になってきます。

「生計を一にする事実」欄には、その年中に扶養親族に送金等をした金額の合計額を記載する必要があります。「異動年月日及び事由」欄には異同がある場合のみ記載します。

扶養親族とは

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扶養親族は、本人と生計を一にする親族のうち年収が低いもの、具体的には「年の所得の見積額が38万円以下(給与所得だけの場合は給与年収103万円以下)の人」を指します。このうち、税金の世界では年齢が大きいもの、すなわち16歳以上だけが控除対象であり「控除対象扶養親族」といって区別されています。

16歳未満の者が何故控除されないかというと、子ども手当(現在は児童手当に統合)が創設された際、年少者については「控除」ではなく「手当」で措置すべきとされたため、扶養控除が廃止された経緯があります。

老人扶養親族・特定扶養親族とは

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控除対象扶養親族は、扶養される人の種別に応じて控除額が変わる仕組みになっています。まず、控除対象扶養親族のうち、年齢70歳以上の者を「老人扶養親族」、年齢19歳以上23歳未満の者(大学生に相当)を「特定扶養親族」と呼んで区別しています。

また、「老人扶養親族」については同居の有無で控除額が変わる仕組みになっています。すなわち、「老人扶養親族」のうち、本人・配偶者の直系尊属で同居を常としている場合を「同居老親等」として区別し、控除額は「同居老親等以外」よりも高くなっています。

障害者・寡婦・寡夫又は勤労学生の書き方

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次に「C障害者・寡婦・寡夫又は勤労学生」欄の書き方です。「障害者」「寡婦」「特別の寡婦」「寡夫」「勤労学生」の該当する部分のチェックボックスにチェックを入れ、「左記の内容」欄、及び「異動年月日及び事由」欄に記載します。

障害者控除も障害者の態様に応じて控除額が決まる仕組みになっているので「障害者」のチェックボックスには表が設けられています。詳細はしませんが、「一般」か「特別」かで障害者控除の額は異なります。また、「配偶者」か「扶養親族」かに該当することが多いので、それらについても併せて記載します。

「左記の内容」欄

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「C障害者・寡婦・寡夫又は勤労学生」で1つの共通した箱が設けられている欄です。配偶者・扶養親族でいうところの「老人扶養親族」「特定扶養親族」「所得の見積額」「非居住者である親族」「生計を一にする事実」に相当する欄です。

この欄に記載する内容は、障害者、寡婦(寡夫)、勤労学生でそれぞれ異なります。ここも詳述は避けますが、障害者の場合は、障害の状態や手帳の交付年月日など障害に関する情報を記載し、その後、所得に関する情報について記載します。それぞれ様式の記載要領等を確認しておきましょう。

他の所得者が控除を受ける扶養親族等の書き方

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次に「D他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の欄の書き方についてです。「氏名」「あなたとの続柄」「生年月日」「住所又は居所」「控除を受ける他の所得者の氏名・あなたとの続柄・住所又は居所」「異動年月日及び事由」について記載します。

例えば、夫婦共働きで大学生を扶養しているという家庭の場合、「他の所得者が控除を受ける扶養親族」欄にその大学生の名前を記載することが想定されます。また、扶養親族等が複数いる場合に、控除のメリットを最大限に活かすため、片方は夫から、片方は妻から控除を受けるというケースもありえます。

このような場合には、「D他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の欄を記載する必要があります。

住民税に関する事項の書き方

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最後に「住民税に関する事項」欄の書き方です。ここには「16歳未満の扶養親族」に関する情報を記載します。上述のとおり、所得税では控除対象扶養親族は16歳以上ですが、住民税では「非課税の限度額」を算出するための情報として、16歳未満の扶養親族の情報が必要になります。

16歳未満の扶養親族に関する情報として「氏名(フリガナ)」「個人番号」「あなたとの続柄」「生年月日」「住所又は居所」「控除対象外国外扶養親族」「所得の見積額」「異動年月日及び事由」を記載します。

年末調整の給与所得者の配偶者特別控除申告書

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次は、年末調整の「給与所得者の配偶者控除等申告書」の書き方について紹介します。この申告書は、配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする場合に提出する必要書類です。この様式には5つの枠がありますが、重要なのは2つ目から5つ目の枠です。この4つの枠で控除額がいくらであるかを計算します。

配偶者控除又は配偶者特別控除の内容については別の記事で紹介されていますので詳細はそちらを確認してください。基本的には配偶者の年収に応じて、配偶者控除なのか配偶者特別控除なのかが決まります。

氏名・住所を記載する欄の書き方

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1つ目の枠は、氏名・住所を記載する欄です。「所轄税務署長」「給与の支払者の名称(氏名)・法人番号・所在地(住所)」「あなたの氏名(フリガナ)・住所又は居所」を記載します。所轄税務署長、給与の支払者の法人番号を無理に記載する必要がないのは、扶養控除等申告書の場合と同様です。ここは基本的には問題なく記載できることでしょう。

給与所得者の配偶者特別控除申告書の書き方

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次に2つ目の枠から5つ目の枠までの書き方です。「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」「配偶者の情報及び配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」「あなたと配偶者の合計所得金額の見積額の計算表」「控除額の計算」を記載します。

配偶者控除と配偶者控除の仕組みがわからないと書き方が難しいかもしれませんが、所得の計算ができれば控除額は自動的に算出できるよう工夫されています。

給与所得の場合は給与収入から自動的に所得金額が算出されますが、他の所得の場合は、「収入金額」と「必要経費等」の額を出して所得金額を計算する必要があります。所得の種類に応じて、所得金額を計算することができるようにする必要があります。

扶養控除と配偶者控除の違いを徹底調査!特徴や条件・金額を分かりやすく紹介 | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
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年末調整の給与所得者の保険料控除申告書

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次に、年末調整の「給与所得者の保険料控除申告書」の書き方を紹介しましょう。この申告書は各種の保険料等の控除を受ける場合の必要書類ですが、自分が控除を受けようとする部分にのみ記載します。様式には枠が5つ設けられています。

一番上の枠は「氏名・住所欄」で、残りの4つの枠は「生命保険料控除」「地震保険料控除」「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」を記載する欄になっています。

氏名・住所欄の書き方

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「氏名・住所」欄には、「所轄税務署長」「給与の支払者の名称(氏名)・法人番号・所在地(住所)」「あなたの氏名(フリガナ)・住所又は居所」をそれぞれ記載します。書き方については、「扶養控除等申告書」や「配偶者控除等申告書」の場合と同じです。次に、それぞれの控除欄について記載します。

生命保険料控除の書き方

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生命保険料控除の欄は、様式の左側に大きな欄が設けられています。これはひと口に生命保険料といってもさまざまな種類の保険料が控除の対象となるからです。

具体的には、生命保険料には「一般の生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3種類があり、保険契約の種類にしたがって、それぞれの欄に保険料の額を記載する必要があります。

「一般の生命保険料」は死亡保険や学資保険の保険料であり、「介護医療保険料」は介護や医療、病気に対する保険料、「個人年金保険料」は個人年金のための保険料です。毎年、保険会社から生命保険料等の支払証明書が自宅に送られてくるのでそれをもとに記載するようにしましょう。

一般の生命保険料の書き方

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「保険会社等の名称」「保険等の種類」「保険期間」「保険等の契約者の氏名」「保険金等の受取人氏名・あなたとの続柄」「新旧の区分」「本年中に支払った保険料等の金額」「給与の支払者の確認印」をそれぞれ記載します。

基本は保険会社から送られてくる生命保険料の支払いの証明書を見ながら記載します。例えば、「○○生命保険会社」「定期」「10年」「甲野太郎」「甲野花子・妻」「新」「5万円」のようになります。

「新旧の区分」は、平成23年12月31日以前の契約が「旧」、平成24年1月1日以降の契約が「新」です。「旧」と「新」では控除の上限額が異なります。「本年中に支払った保険料等の金額」は、分配金等があればその額を除いた正味の金額を記載します。

介護医療保険料の書き方

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「介護医療保険料」の欄も「一般の生命保険料」の場合と同様に「保険会社等の名称」「保険等の種類」「保険期間」「保険等の契約者の氏名」「保険金等の受取人氏名・あなたとの続柄」「本年中に支払った保険料等の金額」「給与の支払者の確認印」を記載します。

「一般の生命保険料」との違いは、「介護医療保険料」には「新旧の区分」がないことです。「介護医療保険料」は、平成23年12月31日以前においては認められていなかったからです。

個人年金保険料の書き方

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「個人年金保険料」の欄には、「保険会社等の名称」「保険等の種類」「保険期間」「保険等の契約者の氏名」「保険金等の受取人氏名・あなたとの続柄・支払開始日」「新旧の区分」「本年中に支払った保険料等の金額」「給与の支払者の確認印」を記載します。基本は「一般の生命保険料」の場合と同じです。

「新」と「旧」で控除額の上限額に違いがある点も「一般の生命保険料」の場合と同様です。

各生命保険料の金額の合計記入欄の書き方

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さて3つの保険料をそれぞれ計算し、それらをすべて足した合計額が生命保険料控除の額となります。この生命保険料控除の額は最高12万円です。この控除額は実際に払った額ではなく、払った額に応じて一定の調整がなされた上で算出される仕組みです。

例えば、「旧」の「一般の生命保険料」「個人年金保険料」を合わせて10万円支払っている人は、控除額が10万円ではなく「10万円×1/4+2万5千円」という計算式で決まります。つまり控除額は5万円に縮減されます。控除額の計算式は様式の中に表が記載されているので確認しておきましょう。

地震保険料控除の書き方

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「地震保険料控除」の欄には、「保険会社等の名称」「保険等の種類(目的)」「保険期間」「保険等の契約者の氏名・保険等の対象となった家屋等に居住又は家財を利用している者等の氏名・あなたとの続柄」「地震保険料又は旧長期損害保険料の区分」「本年中に支払った保険料等の金額」「給与の支払者の確認印」を記載します。

地震保険料の対象となる保険契約には要件があり、居住者や家財利用者は本人か本人と生計が同じ親族である必要があります。つまり、アパートの家主がアパートに地震保険料を掛けてもこの控除の対象になりません。

なお、平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等に基づくものもこの控除の対象であるため、「地震保険料又は旧長期損害保険料の区分」を記載する必要があります。

社会保険料控除の書き方

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「社会保険料控除」の欄には、「社会保険の種類」「保険料支払先の名称」「保険料を負担することになっている人の氏名・あなたとの続柄」「本年中に支払った保険料の金額」を記載します。

通常は給与天引きが多くこの欄に記載することはないと思われますが、天引きでない場合には「国民年金」「日本年金機構」「甲野次郎・長男」「15万円」のように記載します。なお、「農業者年金の保険料や雇用保険の労働保険料など」以外の社会保険料については証明書類の添付が不要なので、この点も注意しておきましょう。

小規模企業共済等掛金控除の書き方

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「小規模企業共済等掛金控除」欄には、「種類」と「本年中に支払った掛金の金額」を記載します。「種類」には様式の中に印字されているので、該当するものの掛け金の欄に金額だけを記載すればよいことになっています。

「小規模企業共済等掛金控除」の「種類」は、4種類しかありません。例えば「確定拠出年金法に規定する年金加入者掛金」を払っている場合は、上から3つ目の種類の該当欄に金額を記載することになります。

年末調整の給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書

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最後に、年末調整の「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」について紹介しましょう。いわゆる「住宅ローン減税」と言われるものですが、この制度は借入期間の10年分について所得税の減税が受けられるものです。したがって、この必要書類は最大10回作成することになります。

基本的には借入額が毎年変わる(減っていく)だけであり、作成する内容は大きく変わりありません。一度書き方をマスターしてしまえば、基本的には手間ではありません。

用意する書類は2種類

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この申告書を作成するには金融機関が発行する「住宅ローンの年末残高証明書」が必要であり、年末調整の添付書類となっています。この添付書類と「住宅借入金等特別控除申告書」の2種類の様式を必要書類として用意します。

「住宅借入金等特別控除申告書」には、「氏名・住所を記載する部分」と「住宅借入金等特別控除額の計算を行う部分」があります。前者は他の申告書とほぼ共通なので説明は省略します。問題は「住宅借入金等特別控除額の計算を行う部分」です。

申告書に記載する

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この部分は、借入金の残額に関する情報を記載します。ただし、住居兼事務所のような建物の場合は、住宅ローン減税の対象となるのは住居部分だけなので、床面積で按分する作業が必要になります。それがなければ、基本的には「住宅ローンの年末残高証明書」の残高をそのまま申告書に記載すればOKです。

具体的には「住宅のみ」「土地等のみ」「住宅及び土地等」のいずれに応じ、「借入金等の年末残高」「家屋又は土地等の取得対価の額」「居住部分の割合」「居住部分の借入金等の年末残高」「年間所得の見積額」「住宅借入金等特別控除の額」を記載します。

住宅借入金等特別控除の額

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「住宅借入金等特別控除の額」は、「居住部分の借入金等の年末残高」の1%の額です。たったの1%という感想を持たれるかもしれませんが、借入残高は1千万円単位にも及ぶことがあり、その1%でも10万~20万円規模になります。

年間支払う所得税の合計額が10万円~20万円だとしても、この住宅ローン減税のおかげで所得税が全額還付される可能性もあり、それほどこの減税制度の効果は強力です。

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年末調整の注意点

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年末調整は所得税を清算する手続きですが、適用がありそうな控除については自分で申告書を作成し会社に提出する必要があります。言わば、すべて自己責任で行う必要があります。制度を知らなかったとしてもそれも自己責任ですので、しっかりと自分で確認して節税効果が受けられるよう努めましょう。

保険料控除申告書と配偶者控除等申告書は別

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従来「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」として1つの様式だったものが平成30年分の所得税から、保険料控除申告書と配偶者控除等申告書が別々に分かれました。この2つの控除は、配偶者を持つ所得者が受ける代表格ですが、両方適用を受けようと思ったら両方の申告書を必要書類として作成しなければなりません。

平成30年から配偶者控除等申告書の提出は義務化

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配偶者控除等申告書は、配偶者控除と配偶者特別控除の適用を受ける場合の必要書類です。配偶者特別控除には従来「給与所得者の配偶者特別控除申告書」がありましたが、「給与所得者の配偶者控除等申告書」に改められました。これにより年末調整において、このいずれかの控除を受けたいと思ったら、配偶者控除等申告書の提出が必要です。

従業員と配偶者の給与所得は本人が算出する

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会社の従業員が配偶者控除等申告書を作成する際、従業員本人の給与所得とその配偶者の給与所得を従業員本人が算出する必要があります。「配偶者の給与なんて知らん」なんていう従業員がいるかもしれませんが、配偶者の給与所得がわからないと控除の適用を受けられるかどうか、いくらの控除が受けられるか計算できませんので、注意しましょう。

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年末調整の提出期限に間に合わなかった場合

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年末調整の提出期限に間に合わなかった場合、どうすればよいのでしょうか。年末調整がされていないということは所得税が確定していないことから所得税の確定申告を行う方法が考えられます。しかし、「税務署に出向くのはちょっと」という人もいるでしょう。実は期限を過ぎても会社の方で調整してくれる可能性が残っています。

翌年の1月31日までなら提出可能

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会社は、従業員の給与の支払報告書を翌年1月31日までに税務署や市町村に提出する義務があります。つまり、1月給与分で年末調整を行うことも理屈上は考えられます。1月31日に提出されてももはや手遅れでしょうが、1月中の提出なら会社の方で年末調整してくれる余地がありますので、会社の給与担当者に相談してみましょう。

年末調整は該当箇所を忘れず記入することが大切

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今回は年末調整における申告書の書き方や控除の必要書類等について紹介しました。該当する控除については忘れずに記入することが大切です。一度書き方をマスターすれば、2回目以降はそれほど手間ではありません。最初が肝心ですので面倒がらずに頑張って年末調整の必要書類を作成してみましょう。

たけかずや
ライター

たけかずや

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