扶養家族になれる年金受給者とは
年金受給者が扶養家族に加入するためには、条件があります。年齢によるものや収入によるものなどさまざまなですが、その加入条件を詳しく知っていますか。いざ扶養家族に入りたい、と思っても条件がわからずなかなか入ることができなくて損をしてしまうというようなこともあるのではないでしょうか。今回は扶養家族加入の条件を詳しくご紹介します。
生計を同一にしている年金受給者
条件の一つ目は、生計を同一にしている年金受給者です。この生計を同一にしているというところが重要になってきます。
例えば、同居していたとしても、二世帯住宅などで生計も別々であるなら、加入条件を満たしておらず、扶養家族に入ることはできません。別居の場合では、扶養する側が仕送りなどをして生活の支払いをしている場合には加入できます。
ここで気を付けなくてはならないのが、ほかに兄弟がいる場合です。例えば仕送り金額を少しずつ負担している場合などでは、親は仕送りで生活しているかもしれませんが、扶養する側の収入で生活費を賄っているとは言えないので家計を一にしているとは認められず、扶養の要件には当てはまりません。また、ほかの兄弟の扶養に入っていないことも条件です。
収入の金額上限を超えていない年金受給者
扶養家族に加入するためには、収入の上限が決められています。年金収入にももちろん上限額があり、上限額を超過するのであれば、扶養家族に加入することはできません。この年金の上限額が問題で、実は年齢によって少し数字が変わってきます。年齢による上限額を把握していないと扶養に加入するときに困ることになるため、きちんと学んでおきましょう。
扶養家族になる条件【所得税】
扶養家族に加入するといっても、実はいくつか種類があります。そのうちの一つが、所得税です。年金受給者だけど、所得税を支払っているから扶養家族には入れない、と思っている人はいませんか。実は、所得税を支払っていれば全員入れない、というわけではありません。課される所得税が一定以下であれば扶養家族に加入することができます。
課所得税が一定以下なら年金受給者も扶養家族
非課税の人だけが扶養家族になるわけではありません。条件はいろいろありますが、年金を受給していて所得税が課税されていたとしても、一定以下であれば問題なく扶養家族として加入することができます。金額には年齢により上限が定められているため、年齢と上限を確認してから手続きに入るといいでしょう。
65歳未満の条件
年齢が65歳未満であれば、課税所得は38万円以下となります。少ないと思うかもしれませんが、基礎控除ですからそこまで少ないわけではありません。国民年金といった公的年金であれば、年金収入には公的年金控除という非課税枠があるためです。65歳未満の非課税枠は70万円ですから、年金収入は108万円までであれば問題ありません。
65歳以上の条件
65歳以上になると、公的年金の控除枠が増えます。基礎控除の額は変わらないですが、非課税枠が120万円まで増えることになります。
つまり、65歳以上の場合は年金収入が158万円以下であれば問題なく扶養家族に加入できます。しかし、ここで忘れてはならないことがあります。あくまでこれは公的年金を計算した上限であるため、年金以外の収入や、個人年金が増える場合などには、計算が当てはま絵らないので注意が必要です。
扶養家族になる条件【社会保険】
社会保険の場合の扶養家族になる条件は、所得税の時とはまた少し違ってきます。それぞれの条件を確認したうえで、どの制度を利用するともっともよいのかを検討しましょう。社会保険の場合も年金収入によって扶養家族に加入できますが、そのほか、どの程度までが家族とされるのか、年齢に関する要件、家計を誰が支払っているのかなどの条件があります。
年金収入に応じて年金受給者も扶養家族に入れる
収入に応じて年金受給者も扶養家族に入れるというのは、所得税の時と変わりありません。扶養に入るというのは、設定してある収入の上限を超えないことが第一にあげられる条件になります。まずこの点をクリアしなくては、ほかの条件がどんなにそろっていようとも扶養に入ることはできません。さらに同居、別居により金額も違ってくるので注意しましょう。
75歳未満が加入できる
収入はもちろんですが、社会保険にはもう一つ、重要な条件があります。それが75歳未満しか加入ができないということです。理由は、75歳以上になると、必ず後期高齢者医療制度へ加入することになるからです。したがって、75歳以上になると他の条件を満たしていたとしても、健康保険の扶養制度には加入することができなくなります。
配偶者・里子・3親等以内の親族が加入できる
いくら同居しているから、と言っても赤の他人が扶養家族として加入できるわけではありません。基本的に家族と認められるのは、配偶者と里子、3親等以内の親族だけになります。逆に言えば、里子や用紙であってもきちんと手続きさえしていれば、家族として扶養することも可能になります。また、姻族も入れるため、妻の父母なども加入できます。
収入の条件
収入の条件は、同居しているのかそれとも別居しているのかによっても違ってきます。また、60歳以上であるのか、障害者であるのかということも条件に入ってきます。60歳以上であるか障害者であれば、年収は180万円未満に設定されています。また、収入の条件が満たされているとしても扶養者より収入が多ければ扶養条件は満たされません。
同居している場合
両親を扶養に入れたい場合には、まず両親の年金収入が130万円未満である必要があります。さらにその収入が、扶養者の年収の半分未満であるという条件を満たさなくてはなりません。また、税法上の収入とは違い、その日からの見込み収入になるために、年金などの収入が具体的には10万未満程度であることが必要です。
同居していない場合
別居の場合でも、収入の上限は年間所得130万円未満である必要があります。また、別居の場合は、家計が一であるということを証明する必要があるため、基本的には扶養者が仕送りをして家計を支えているということが条件になってきます。そのため扶養者の仕送りが年金収入を超える必要があるので、扶養に加入するハードルは高いといえるでしょう。
扶養家族になる手続き
扶養家族になる手続きは、そこまで難しくはありません。しかし所得税に関する税金上の手続きと、社会保険上での手続きの方法は少し違ってきます。そのため、まずはどちらの手続きをするのかをきちんと確認しましょう。
税金上の扶養家族に関する手続きと、社会保険上の扶養家族に関する手続きは、どちらもが確定申告の時にするわけではありません。確定申告で手続きをする必要があるのは税金上の扶養家族に関する手続きになります。手続きまでの期間なども違うため、早めに確認をして手続きをしておきましょう。
税金上(確定申告・年末調整)での手続き
税金上の扶養家族に関することはいわゆる所得税に関係してきます。所得税の手続きはいつするのかと言えば、会社員であれば年末調整時に、そうでなければ確定申告で手続きをします。
つまり、所得税に関する扶養の手続きのため、税金上の扶養家族の手続きは、年末調整の時か、確定申告の時になります。年末調整の場合には基地と書類を会社側から渡されるため、事前に記入する場所などを確認しておくとすぐにできます。確定申告も同じように書類があります。そのほか、戸籍謄本や住民票、通帳などを必要に応じて用意しましょう。
社会保険上での手続き
社会保険の場合には、確定申告時の書類記入ではありません。保険への加入手続きがあるため、扶養が決まったらすぐに会社側に伝えるようにしましょう。
「被扶養者(異動)届け」という書類を、健康保険の事務局へ出す必要があるのですが、個人的に出すわけではありません。必要書類を準備して、会社に渡しましょう。後の手続きはすべて会社側でしてくれます。
所得税の時と同じように、必要書類を準備します。基本的には戸籍謄本や住民票、親の収入がわかるものや通帳や仕送り金額のわかるものなどになりますが、健康保険の事務所によって必要書類が違ってくることもあるため、一度事務所に問い合わせてから準備をすると二度手間になることはありません。
扶養家族に年金受給者が入るメリット
年金受給者をわざわざ扶養家族に入れるメリットはあるのか、と思ったことはありませんか。実は年金受給者が不要に入るのは、扶養夜にとっても年金受給者にとっても、メリットのあることになります。扶養する側のメリットとつぃては、税金が安くなるというメリットがあります。年金受給者には、社会保険料の支払いが免除されるメリットがあります。
扶養する側が扶養控除を受けられる
扶養する側がわざわざ年金受給者を扶養家族に入れるメリットとしては、扶養控除が受けられるからです。つまり、税金が一部控除されます。具体的には所得税や住民税の扶養控除の受け取りが可能となします。年金受給者を扶養に入れるだけで税金が安くなるのであれば、十分メリットであるといえるでしょう。もちろん親だけでなく配偶者でも可能です。
被扶養者の社会保険料の支払いが免除される
年金受給者が扶養家族に入るということであられるメリットは、保険料の支払いが免除されるという点です。
会社にいる間は社会保険に加入し、支払いは半分を会社が持っていたうえに、給与から天引きとなっていました。
会社を退職して年金を受給することになると、今までの社会保険を任意で継続するか、国民保険に加入するのか選ばなくてはなりません。社会保険を任意で継続すると、半分は支払いをしていてくれた会社を退職してしまうため、全額支払いをしなくてはなりません。そのため、子の扶養に入り、社会保険の支払いを免除してもらうという選択があります。
扶養家族に年金受給者が入るデメリット
しかしもちろんメリットばかりがあるわけではありません。子や配偶者の扶養に入ることで、デメリットもあります。メリットもデメリットも支払いに関すことであるため、どのようなデメリットがあるのかをきちんと把握したうえで、メリットとデメリットを比べ、できるだけ金銭の負担がなく、支払いが少なくて済む方を選ぶといいでしょう。
高額療養費制度の自己負担限度額が上がる
実は、年金受給者が親でも配偶者でも条件としては変わりません。扶養家族に加入するデメリットとしては、高額療養費制度の自己負担額が増えるという点です。ただし、特に病気もなく健康そのものであるならば、高額療養制度での自己負担額が増えることよりも、税金や保険料控除の方がメリットが大きいため、まずは計算をしてみるといいでしょう。
介護保険料が上がる
実は扶養に入って国民保険料を払うことが免除されたとしても、介護保険料までもが免除されるわけではありません。例えば退職した親を扶養家族として加入させたとして、親の介護保険料は年金から引かれることになります。とはいえ、その分を扶養者が負担することも可能ではあるため、どのような支払方法が損をしないで済むのかを計算しましょう。
扶養家族の登録情報を変更する手続き
扶養家族の登録変更手続きはどのように行えばよいのでしょうか。手続きのは特に難しいことはありませんが、手続きをする期間が決まっているため、なるべくスピーディーに手続きを済ませましょう。
扶養家族の登録変更手続きは、会社員であれば、事業所に「被扶養者(異動)届」を出す必要があります。これは扶養の型式が所得税に関するものでも、社会保険に関するものでも変わりなく提出しなくてはなりません。
ただし、提出時期には差があります。所得税に関する扶養であるなら、扶養を開始した次の給料日前日までに手続きをする必要があります。また、社会保険に関する扶養であるなら、扶養を開始してから5日以内に手続きをしましょう。あまり時間的に余裕がないため、扶養を開始する前に、会社側にいつまでに提出するべきか確認しておくといいでしょう。
被保険者住所変更届を出す
扶養を開始する相手が配偶者であれ親であれ、会社側には「被保険者(異動)届」を出す必要があるわけですが、その時に合わせて扶養しているという事実を証明する書類を提出する必要があります。
同居の場合であれば、住所などが書いてある戸籍や住民票、別居の場合であればそれに加えて扶養していることを証明する書類です。具体的には年金の額が証明できるものや、仕送りをしているという書留の控えなどです。どの書類が必要かは事前に会社に確認しておくといいでしょう。書類を提出すれば、あとは会社が被保険者住所変更届を出してくれます。
マイナンバーと基礎年金番号が紐づけされていれば不要
提出しなくてはならない書類は案外多いものですが、実はマイナンバーと基礎年金番号が紐づけされている場合には、そういった書類の提出手続きは不要となります。被保険者住所変更届が必要なのはマイナンバーに紐づけされていない場合です。手続きを簡単にしたい、という場合にはマイナンバーを活用するのも一つの手段です。
年金の種類や給与収入がある場合の収入上限
日本の年金にはさまざまな種類がありますが、多きく分けると3種類になります。一つ目は公的年金で、支払いは給与から天引きになります。老齢基礎年金や厚生年金、企業年金などがこれに当たります。
二つ目は個人年金です。生命保険会社などと個人で契約し、支払いも自分で行う年金です。公的年金と違って、受け取る期間や金額などが自分で選べます。
三つめは非課税年金です。これは少し特殊な年金であり、障がい者年金や遺族年金、老齢福祉年金などがこれに当たります。これら3種類の年金は、どの年金を受けているかによってもまた、扶養家族としての収入上限が多少変わってきます。扶養家族に入れる前にまず、親がどの年金をどのくらいもらっているか確認しておきましょう。
年金に加えて給与をもらう場合
公的年金だけであれば計算もさほど難しくはないのですが、公的年金に加えて給与ももらっている場合には、少々計算する必要があります。
年金受給者を扶養家族に入れるためには、年間収入が38万円以下である必要があり、これは給与をもらっていても変わることはありません。年金をもらいながらパートなどで働く場合にはきちんと計算し、年末調整や確定申告時に定められた上限の金額を超過しないように気を付けましょう。
65歳未満の場合の給与と年金の計算
65歳未満であるなら、年金収入から控除金額の70万円を引いた金額と、給与収入から65万円を引いた金額の合計が38万円以下である必要があります。つまり、パートやアルバイトで働く場合には、年間の収入が65万以下であることが望ましいといえます。働きすぎてこの金額を超えると扶養控除の対象から外れてしまうので注意しましょう。
65歳以上の場合の給与と年金の計算
65歳以上であれば、年金収入から120万円を引いた金額と、給与収入から65万円を引いた金額の合計が38万円以下である必要があります。公的年金の控除額はあがりますが、給与収入の控除額は変わらないため、働き方は65歳未満で会った時と同じであることが望んかしいでしょう。上限収入を超えてしまうと扶養から外れてしまいます。
公的年金以外に個人年金をもらっている場合
働いてないから給与はないけど、公的年金のほかに個人年金ももらっているという場合にはどうなるのでしょうか。実は公的年金の控除額は変わりません。個人年金を計算する場合には生命保険契約等の支払い調書が必要になります。
公的年金は変わらないので、そのまま計算し、個人年金の場合には年齢に関係なく、書類に記されている金額を差し引いたものが収入として対象になるため、生命保険契約等の支払い調書にある「差し引き金額」をみます。扶養家族に入れるには、この差し引き金額と公的年金から控除金額を引いた合計が38万円以下である必要があります。
障害年金の場合には
障害年金しかもらっていない場合には税法上、つまり所得に関する扶養には必ず入ることができます。なぜなら、障害年金は非課税だからです。ちなみに、障害年金受給者が扶養に入ることによるデメリットは特にないため、親が障害年金受給者である場合は扶養に入れる方がメリットが大きいです。
控除される金額
扶養家族に入れるときに年金受給者の収入上限などを見てきましたが、それでは、あまり実感がわかない、所得税などから控除される金額はいったいいくらなのでしょうか。基本的には勝手に計算されて、手元にいくら控除されました、と来るわけではないから、わかりにくいものです。ここでは確定申告後、控除される金額を見てみましょう。
控除は親の年齢によっても違う
同居ならともかく、別居の親や配偶者の親まで扶養に入れて、どこまでメリットがあるのか、と気になることもあるでしょう。一定の条件さえ満たすことができれば、同居でも別居でも親を扶養家族にし、確定申告した後の所得税や住民性の控除金額は親の年齢にもよって変わってきます。年金受給者となった親をどの年齢で扶養家族にするかを検討しましょう。
70歳未満
親を扶養に入れ、確定申告した後の住民税の控除金額は、親が70歳未満であるなら33万円になります。もちろんそれだけ支払いをしていることが前提ではありますが、それでもかなりの金額を節税できることは確かです。ちなみに所得税の控除金額は親が70歳未満の場合には38万円になります。これだけ節税できるなら親を扶養家族に入れるメリットは十分です。
70歳以上
親が70歳以上の場合には、同居と別居で控除金額が大きく変わってきます。しかし別居の場合には仕送りなどの負担がかなり大きいため、よく考えてから決めるといいでしょう。
70歳以上で同居の場合の住民税控除の金額は、45万円です。別居の場合は38万円と、控除金額だけでみれば同居の方が高く、メリットも大きいように見えます。
70歳以上の親を扶養に入れる際、所得税の控除金額を見てみましょう。親が同居であれば、控除金額は58万円になります。親が別居であるなら控除金額は48万円になります。控除される金額は若干違ってきますが、同居、別居どちらもかなりの金額が控除されることは確かです。自分にとってよりメリットのある方法をとりましょう。
75歳未満でも介護が必要な場合もある
75歳になると後期高齢者医療制度に加入するために、扶養家族には加入しません。しかしその前に介護が必要になってしまった場合であれば、扶養家族に加入するとデメリットが大きくなることもあります。また、親に持病などがって通院や入院を繰り返している場合などにも医療費が高額になるため、扶養に加入しない方がいいこともあります。
配偶者が年金受給者となった場合に扶養に入れるには
年金受給者となった時、扶養に入れるのが親とは限りません。親ではなく配偶者が先に年金受給者となり、扶養に入れる場合もあるからです。配偶者を扶養家族に入れる場合の手続きや、確定申告はどうすればいいのでしょうか。
配偶者が年金受給者となった場合には、配偶者控除や配偶者特別控除が適用される場合があります。しかしこれらの制度を利用し、確定申告の際に最大限に控除を受ける場合には、年金による収入の上限などをきちんと把握しておく必要があるでしょう。ここでは収入の上限や年金の種類などを見ていきましょう。
配偶者は扶養控除とは別に配偶者控除がある
配偶者控除を受けるためには、いくつか満たすべき条件があります。まずは収入です。配偶者の合計所得金額が123万円を超えてはいけません。また、配偶者と言っても内縁関係は認められません。さらに扶養する側と配偶者が生計を一にしていること、扶養する側の収入が1千万円を超えないこと、子などの扶養控除の対象にはなっていないことなどです。
収入上限は年齢による
実は収入の上限は年齢によって大きく変わってきます。また、親を扶養する場合と違って配偶者控除などの関係もあり、収入上限はこの扶養に入る時と若干違ってきます。
確定申告の時に控除額が最大になるように計算するなら、公的年金のみであれば配偶者が64歳以下は163万円以下、65歳から69歳以下であれば205万円以下、70歳以上であれば158万円以下である必要があります。
配偶者に公的年金以外の収入、例えば内職やパート、アルバイトをしている場合には、確定申告時の計算が少々複雑になってきます。もしも公的年金以外の収入がある場合には、確定申告時に範囲内に収入が収まっている必要があるため、パソコンのソフトなどを使って収入合計がいくらまでならばいいのかを事前に調べておくといいでしょう。
家計を一にしている
これは扶養者控除と同じです。親を扶養に入れるときも配偶者を扶養に入れるときもどちらも家計を一にしている必要があります。もちろん親だけでなく配偶者であっても同居、別居どちらでも家計を一にしていると証明できれば問題はありません。
家計を一にしているというのは、親であっても配偶者であっても、家計の支払いを扶養者がしているということを証明できれば問題はありません。同居の場合であればそこまで書類を求められるとこはありません。確定申告の際に収入の証明ができれば十分でしょう。別居であれば仕送りの控えや各支払いを扶養者がしていることがわかる通帳の写しが必要です。
手渡しは認められない
別居の場合、支払いを全部子供がやっている、と言ってももし仕送りが手渡しであった場合には証明ができません。別居で扶養家族となるには、生計を扶養する側が負担している、つまり生活上のさまざまな支払いは仕送りで賄っていると証明できなければならないため、郵送であったり、通帳振り込みであったりと、証拠が残るようにしましょう。
扶養者の収入が1千万円以下であること
親を扶養に入れるときとは違って、同じ年金受給者であっても扶養者の収入が多すぎれば、配偶者を扶養に入れることはできません。確定申告の際に、扶養しているとして配偶者を申請するためには、扶養者の収入合計が1千万円を超えてはならないのです。高額所得の場合には妻が年金受給者であっても配偶者控除を受けることはできないので注意しましょう。
扶養に入っていると手続きできない
年金受給者になった時に先に子の扶養家族などに入っている場合には、残念ながら配偶者控除や配偶者特別控除を受けることはできません。もしも配偶者を自分の扶養に入れたい場合には、いったん今入っている扶養家族の解消をします。配偶者の扶養になるのか、子の扶養のままでいるのか、どちらがより得なのか計算してから決めるといいでしょう。
扶養家族の配偶者は少し違う
婚姻関係がなくては配偶者控除は受けられません。しかし扶養家族にはなれるのです。扶養家族というのは親や子、配偶者、3親等以内の親族、里子などが対象となります。そして、配偶者というのは必ずしも婚姻関係がなくてはならないというわけではありません。
基本的には扶養する側が、扶養される側の生活費などの支払いをしていること、つまり、扶養する側の収入によって家計が維持されていれば扶養家族として申請ができます。そのため、ややこしくはなりますが、扶養控除と配偶者控除のメリットやデメリットをきちんと把握して、確定申告時にどちらの方がメリットがあるのかを検討するといいでしょう。
扶養家族には収入の無い年金受給者がなることができる
基本的には年金受給者を扶養に入れるためには、年金受給者にほかに収入がない場合になります。また年金の種類によっても条件などが若干違ってくるため、よく確認してから扶養家族に入れるかどうかを検討するといいでしょう。せっかくある制度ですからしっかり活用して、確定申告時に少しでも控除が受けられるようにしましょう。