ロスジェネ世代の特徴や意味とは?ゆとり・さとり・バブル世代とどう違う?

ロスジェネ世代の特徴や意味とは?ゆとり・さとり・バブル世代とどう違う?

「ロスジェネ世代」は小説の題材にもなりました。今回はこの「ロスジェネ世代」を取り上げます。「ロスジェネ世代」の特徴を踏まえた上で、「バブル世代」や「ゆとり世代」・「さとり世代」との違いを詳しく解説しますので参考にしてください。

記事の目次

  1. 1.ロスジェネ世代の意味とは
  2. 2.ロスジェネ世代・特徴
  3. 3.ロスジェネ世代・現在年齢37歳~49歳
  4. 4.ロスジェネ世代・バブル世代の違い
  5. 5.ロスジェネ世代・ゆとり世代の違い
  6. 6.ロスジェネ世代・さとり世代の違い
  7. 7.ロスジェネ世代の今
  8. 8.ロスジェネ世代は失われた10年として辛い世代

ロスジェネ世代の意味とは

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「ロスジェネ世代」も年齢的に中年を迎えています。今回はこの「ロスジェネ世代」に着目して、その意味や特徴などを見ていきます。「ロスジェネ世代」とはどのような世代のことをさすのでしょうか。似たような世代を示す言葉に「バブル世代」「ゆとり世代」「さとり世代」があります。これらとの違いは年齢以外に何があるのでしょうか。

失われた世代

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「ロスジェネ世代」の「ロスジェネ」とは「ロスト・ジェネレーション」のことです。「ロスト」が「失われた」を意味し、「ジェネレーション」が「世代」を意味しますので、「ロスジェネ」だけで「失われた世代」になります。

「ロスジェネ世代」とすると「世代」が重なりますので、言葉としては適当でないかもしれません。では、「ロスジェネ世代」の「ロスト」とはどのような意味なのでしょうか。何が失われたのでしょうか。

「ロスジェネ世代」の人々はそれまでの経済成長神話が失われた経済社会環境の中で厳しい就職戦線を戦い、生き残ってきた世代なのです。「ロスジェネ世代」には、そのような環境の中に置かれた故(ゆえ)の幾つかの特徴があります。

ロスジェネ世代・特徴

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「ロスジェネ世代」はバブル経済崩壊後の非常に厳しい経済環境の中で、競争に勝ち抜き正規職員の座を獲得してきました。一世代前の浮ついたバブル世代とは全く異なる景色を見てきた世代なのです。その特徴は自ずと自らが生きてきた環境を反映するものとなり、全体的に堅実で慎重な生き方が一般的です。

①仕事への姿勢

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「ロスジェネ世代」は現実世界の厳しさを身をもって知っています。浮ついた姿勢で仕事に臨むことはありません。仕事には熱意をもって取り組み、上からの指示には忠実に従います。やっとの思いで獲得することができた安定した職場なのです。失うことの怖さや意味がわかっているのです。

一方で、ビジネスの新境地を切り開くような思い切った冒険はできません。どうしても堅実指向になりがちです。ベンチャービジネスなどには不向きといわざるをえません。前向きな提案などを期待する上司にとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。

②貯金が活発で結婚に消極的

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結婚は見方によっては大きなリスクです。それまでとは全く違う人生が始まるのです。何が起こるかわからないリスクがあります。「ロスジェネ世代」はできるだけリスクを避けようとしますので、どちらかといえば結婚に積極的ではありません。近年結婚に後ろ向きな若者が増えているといわれていますが、これは「ロスジェネ世代」以降の現象です。

一方で「ロスジェネ世代」は貯蓄に熱心です。将来への不安に備えようとするのです。バブル世代のような浪費は論外です。支出をできるだけ抑えて貯蓄に回そうとする傾向がありますす。

③就職活動は慎重

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「ロスジェネ世代」の人々は自分が希望する職種や会社に就職することの大変さに直面してきました。少し自分の希望や適性に目をつぶってでも、確実な就職先を探さざるをえませんでした。ダメ元で面接に臨むなんてことはできないのです。慎重かつ確実な就職活動を目指してきたのです。

これは会社側から見れば優秀な人材を獲得するチャンスでした。「ロスジェネ世代」は自分の実力よりワンランク落とした確実な就職先を探そうとする傾向がありましたから、会社には自ずと通常よりは優秀な人材が集まりました。

ロスジェネ世代・現在年齢37歳~49歳

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「ロスジェネ世代」は1970年から1982年頃に生まれた世代です。現在の年齢は30歳代から50歳前後です。会社などの組織の中では既に年齢的にも中核的な存在になっています。ここで彼(彼女)らがどのような経緯で社会に出てきて、どのような価値観で過ごしてきたのか少し振り返ってみましょう。

ロスジェネ世代・就職氷河期

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「ロスジェネ世代」が就職活動を行っていたのは、我が国の長い経済停滞が始まった時期と重なりました。バブル経済が崩壊し、企業がバタバタと倒産していました。潰れない(潰せない)といわれた大手金融機関さえも倒産する時代だったのです。

企業の新規社員採用は自ずと低調にならざるをえませんでした。いわゆる「就職氷河期」です。バブル経済崩壊後の経済後退期を「失われた20年」と呼びますが、その中でも最初の10年が特に厳しい経済環境でした。「ロスジェネ世代」はこの最も厳しい「失われた10年」に就職活動をせさざるえなかった世代です。

特徴・バブル崩壊後社会に出た

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1980年代日本はバブル経済真っ只中にありました。不動産価格は上昇を続け、金融機関もこぞって不動産取引に資金を供給し続けました。日銀の低金利政策がこれを後押ししました。街は空前のバブル景気に浮かれていたのです。

そのような状態が永続きするはずがありません。やがて実体経済とバブル景気の乖離が許容範囲を超えるようになって、日銀は金利引き上げに舵を切り資金供給のバブルを閉め始めました。これを機に景況は真っ逆さまに悪化します。まさに天国から地獄でした。

「ロスジェネ世代」はこのバブル経済崩壊を実体験したのです。彼(彼女)らが人格を形成する年齢的に多感な時期にこの劇的な社会変動を経験したのですから、その価値観に影響がないわけがありません。

価値観・浪費をせずに貯金

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バブル経済崩壊を目にした「ロスジェネ世代」の価値観は堅実指向になりました。バブル期の「消費は善」という価値観が一変しました。世の中何があるかわからないのだから、それに備えて貯蓄をしておくべきだという考え方です。「ロスジェネ世代」は個人のスキルを磨くという意識が高いという特徴があります。お金だけでなく個人のスキルも蓄えたのです。

ロスジェネ世代・バブル世代の違い

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「ロスジェネ世代」を語る上で、「バブル世代」との関係は避けて通れません。ある意味「ロスジェネ世代」は「バブル世代」を反面教師にしているともいえます。「バブル世代」の特徴や意味はどのようなものだったのでしょうか。また、そもそも「バブル経済」の意味とは如何なるものだったのでしょうか。少し振り返ってみましょう。

バブル世代・1965年~1969年

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「バブル世代」はバブル経済の中で、就職活動が超売り手市場だった1988年から1992年に新規入社した世代です。1965年から1969年に生まれた世代で、現在の年齢は50歳代です。生まれた時期は高度経済成長後半にあたり、公害問題が社会問題化した時期でもありました。

彼(彼女)らが中・高校時代にはツッパリ文化が花盛りで、松田聖子などのアイドル文化全盛期でもありました。管理教育に対する反発が表面化し校内暴力が増加していました。

大学時代はバブル文化の発信源として華やかなファッションブームを生み出しました。「女子大生ブーム」の中で、都会の女性は消費対象としてもてはやされました。

特徴・就職市場は大幅に好転

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「バブル世代」が大学を卒業して就職する年齢の時は、バブル景気で我が国の景気は絶好調だったため、就職市場は学生にとって完全な売り手市場でした。有名大学の学生は企業から接待攻勢を受けていたことなどが話題になりました。

当時は個人至上主義が重視された時期でもありました。このため、採用する企業側も個人のライフスタイルを重視する様々な制度を設けるようになり、年俸制やフレックスタイム制のような形態も見られるようになりました。

価値観・高い物ほど良い物

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「バブル世代」はさほど苦労しないで就職し、無理をしないでも自然にお金が稼げた世代です。経済的に余裕がありましたから、「価値あるものにはお金を惜しまない。」「価格が高いものほど価値がある。」という価値観を持っていました。

一般的に、「バブル世代」はバブル経済崩壊後に就職した「ロスジェネ世代」が持っている、自分で何とかしようとする強い自主性がありません。流れの中で何となく伸び伸びと生きてきましたので、依存体質が強いとされています。

このためか、組織内では「ロスジェネ世代」以降の若い年齢世代と価値観がぶつかり、人間関係のトラブルになることがあります。また彼(彼女)らはバブル経済をエネルギッシュに生きた世代であるため、ある特定の部分では自己主張が強い面があり、モンスターペアレントとして学校側とトラブルになるケースもあります。

ロスジェネ世代・ゆとり世代の違い

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「ロスジェネ世代」の前の世代が「バブル世代」ならば、「ロスジェネ世代」の次に現れるのが「ゆとり世代」です。その名前からして、ゆったりとした印象です。厳しい経済環境故に、堅実でリスクを避けようとする「ロスジェネ世代」に対して、「ゆとり世代」はどのような特徴や意味があるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

ゆとり世代・1987年~2004年生まれ

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「ゆとり世代」の定義は諸説ありますが、「ゆとり世代」とは、いわゆる「ゆとり教育」を受けて育った世代です。生まれでいえば1987年から2004年までに生まれた世代です。現在の年齢は10代半ばから30歳代前半くらいまでの結構幅広い年齢世代にあたります。なお、初期の1987年から1988年までに生まれた世代を「ゆとり第一世代」と呼ぶことがあります。

特徴・学習指導の見直しでゆとり教育を受けた

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我が国では教育の現代化のもとに、1960年代から1970年代にかけて教育改革が行われ、いわゆる「詰め込み教育」が行われました。高度で過密な教科内容とスピード化が図られ、テスト至上主義を生み出しました。

結果、多くの落ちこぼれ児童を生み出すことになり、教職員の負担感も増大しました。その反省から生まれたのが「ゆとり教育」だったのです。1980年代に入り学習指導要綱が全面的に改訂され、思い切った授業時間の削減が行われました。

人間性・思考力・判断力・表現力が重視され、学校では教科外に「ゆとりの時間」が設けられるようになりました。「ゆとり教育」を受けた世代の能力は高く、数学能力や読解力、科学的能力などでは世界的に上位に位置づけられました。

価値観・自分で考えるより指示を待つ

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「ゆとり世代」はその能力の高さの反面、社会的には否定的なニュアンスで語られることが多い世代です。彼(彼女)らは「ロスジェネ世代」のような競争環境に置かれることが少なかった世代です。そのため社会人になってからも競争意識が低い傾向があり、昇進や昇給への意欲が低く、むしろ昇進によって責任が増すことを嫌がることすらあります。

「ゆとり世代」の仕事面における顕著な特徴は「指示待ち」です。自主性ということは期待できません。自分から動くことは苦手ですが、指示があったことはキチンとこなします。「ロスジェネ世代」の仕事への熱意と大きく異なる部分です。

「ゆとり世代」はプラベートを大事にします。がむしゃらに仕事をする「バブル世代」や「ロスジェネ世代」には理解不能です。残業よりも友人とのプラベートな飲み会を優先するのです。また、「ゆとり世代」はインターネットを活用した情報収集は非常に得意です。

ロスジェネ世代・さとり世代の違い

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「ゆとり世代」は知っていても、「さとり世代」の意味はよくわからないという人は多いかもしれません。「さとり世代」とはインターネット上で生まれたいわゆる流行語で、「ゆとり世代」という言葉が「ゆとり教育」から生まれたような、必ずしも明確な定義はありません。では、「さとり世代」とはどのような特徴や意味があるのか見てみましょう。

ゆとり世代と同じ年代を表す

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「さとり世代」は1990年前後に生まれた世代をさしますので、「ゆとり世代」と重なります。後期の「ゆとり世代」の一部と考えることもできます。彼(彼女)らの現在の年齢は20歳代後半ですから、「さとり世代」は現代の若者気質を表す言葉ともいえます。「ゆとり世代」の特徴と重なる部分もありますが、「さとり世代」独特の特徴が幾つかあります。

特徴・高望みはしない

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「さとり世代」は「ロスジェネ世代」のようにバブル経済の経験が全くありません。生まれたときから不況下の日本しか知りません。「ロスジェネ世代」などの就職氷河期にあがく大学生を見て育ちましたので、「頑張ったら報われる」という考え方を持ちません。

「どうせしれている」なら、高望みしても仕方がないと考えます。基本的に「欲」が少ないため、「悟(さと)り」という言葉があてはめられたのです。恋愛にあまり興味を示さず、旅行にも行きません。休日は自宅で過ごし、無駄な努力や衝突は避け、気の合わない人とは付き合いません。

価値観・とにかく貯金で趣味には投資

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「さとり世代」は無駄な消費をせず「貯金」をする傾向があります。インターネットを通じて情報量は豊富です。ネットで安くてそれなりに質のいいものを探すのが得意です。自宅でゆったりと過ごすのを好みますので、自分が一人で浸ることが出来る趣味には一定の投資をします。

ロスジェネ世代の今

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二千万人ともされる「ロスジェネ世代」、彼(彼女)らは会社の中で、価値観の異なる世代間のギャップに苦しんでいます。厳しい就職氷河期を乗り越えられず、未だに少なくない人々が不安定な雇用と低賃金にあえいでいる現実も見過ごせません。

大学を卒業して社会に出る時期が、たまたま景気低迷期と重なっただけなのに、彼(彼女)らは親の世代よりも貧しく、生活が不安定になった戦後初めての世代なのです。

ロスジェネ世代は失われた10年として辛い世代

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「ロスジェネ世代」は厳しい経済環境の中で社会に出た世代です。バブル経済の雰囲気も知っていますから、ギャップの大きさを実体験しています。「イケイケどんどん」の「バブル世代」と「ゆとり教育」の中でゆったりと過ごした「ゆとり世代」以後の若者達とに挟まれた世代で、どちらとも価値観が相容れない部分があります。

世代間ギャップのことを考えれば、「ロスジェネ世代」は組織の中で中核的存在として苦労が絶えません。しかしながら、彼(彼女)らの逆境を越えてきたたくましさや自信は、転職など新たなフロンティアを切り開くためには大きなアドバンテージになるはずです。

土居
ライター

土居

公務員、大学教員をリタイヤ後ライターをやり始めました。これまでの山歩きと日帰り温泉に加えて、今は孫と過ごすことが楽しい毎日です。ビジネスや経済関係に強いと自負していますが、最近はエンタメや生活関連のような柔らかいものにもチャレンジしています。宜しくお願いします

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