「いたたまれない」の意味とは?
「恥ずかしくていたたまれない」「いたたまれないニュース」など、「いたたまれない」という言葉は割とよく聞く表現です。しかし、「いたたまれない」の意味を聞かれて、しっかりと答えることはできますか?
「いたたまれない」は、精神的なプレッシャーのためにその場にじっとしていられない、というような意味です。しかし、意味がわかってもそれだけでは不十分です。実際にはどのような使い方をすればいいのでしょうか。
そこで今回は、「いたたまれない」を使った具体的な例文を見ていきましょう。お詫びする際の使い方も解説します。また、類語や英語も併せて紹介します。
「いたたまれない」の類語
「いたたまれない」の類語と言われて、どんな言葉が思いつくでしょうか。類語を挙げる前に、まずは「いたたまれない」の意味をおさらいしましょう。
「いたたまれない」は、精神的なプレッシャーのためにその場にじっとしていられない、というような意味です。「恥ずかしくていたたまれない」「いたたまれない気持ち」のように使います。
類語としては、「決まりが悪い」「ばつが悪い」が挙げられます。どちらも、精神的な理由でその場に居づらい、という意味合いの類語です。他にも、「居心地が悪い」「落ち着かない」などが類語として挙げられます。
「いたたまれない」の使い方・例文
「いたたまれない」という言葉はよく聞きますが、正しい使い方とはどういうものなのでしょうか。例文を見ながら具体的な使い方を確認しましょう。「いたたまれない」は心情を表す言葉ですが、お詫びする際に使うことも可能です。
例文①
その場にじっとしていられない、という意味の「いたたまれない」の例文を見ていきましょう。「いたたまれない気持ち」という使い方があります。気まずさなどからその場にじっとしていられない、という意味です。居心地の悪さを表現する使い方です。
例文②
「恥ずかしくていたたまれない」という表現もよくある使い方です。恥ずかしい思いをしたためにその場から離れたい、という意味です。
「いたたまれない」だけだと、どうしてその場を離れたいのかが不明瞭なことがあります。この使い方では、「恥ずかしくて」を「いたたまれない」の前につけることで、「いたたまれない」理由を説明しています。
例文③
「さみしくていたたまれない」という表現もあります。先述の「恥ずかしくていたたまれない」と同じように、「いたたまれない」の前に「さみしくて」をつけています。こうすることで、「いたたまれない」理由が「さみし」いからであることを説明しています。
例文④
お詫びをするときに「いたたまれない」を使うこともできます。「いたたまれない」とつけ加えることで、お詫びや反省の気持ちを強調しています。
自分のミスで迷惑をかけてしまった相手の元に出向いたときに、「ご迷惑をおかけしていたたまれなくなり、お詫びに伺いました」のように使うことができます。
「いたたまれない」と「痛ましい」の違い
「いたたまれない」に間違われる言葉に「痛ましい」があります。「いたたまれない」は、精神的に辛くてその場にじっとしていられない、という意味でした。では、「痛ましい」の意味はどうでしょうか。「痛ましい」の意味を確認してみましょう。
「痛ましい」は「見ていられないほどかわいそう」という意味
「痛ましい」は、見ていられないほどかわいそう、という意味です。こちらも「いたたまれない」のように心情を表す言葉ですが、「痛ましい」は「同情」や「気の毒」といった気持ちを表すために使われることが多いです。
使い方の例としては、「痛ましい事故」があります。意味が違えば当然、使い方にも違いがありますので、注意してください。
「いたたまれない」を使う際の注意点
「いたたまれない」の使い方で、「いたたまれないニュース」「いたたまれない事件」という表現は割とよく聞きます。しかし、「いたたまれない」の意味を考えると、この使い方には問題があります。
「いたたまれない」は、その場にじっとしていられない、という意味を持っています。もう少し詳しく説明すると、何かが起こった現場に居合わせていてそこから逃げ出したくなる、という意味です。
「いたたまれない」の意味を踏まえたうえで、「いたたまれない」を使う際の注意点を確認しましょう。また、「いたたまれない」の代わりとなる正しい表現も見ていきましょう。
伝聞に対する感想という意味では使えない
「いたたまれないニュース(事件)」という表現は、伝聞に対する感想を表現したものです。何かが起こった現場に居合わせていたわけではありません。そのため、「いたたまれない」の使い方としては間違っています。
先ほど「いたたまれない」に間違えられる言葉として、「痛ましい」という言葉を挙げました。「痛ましい」の意味は、見ていられないほどかわいそう、というものです。この場合は、「痛ましいニュース(事件)」のようにするのがいいです。
伝聞に対する感想では「いたたまれない」は使えません。「いたたまれない」と「痛ましい」も混同しがちです。間違えやすいですが、注意しましょう。
一応、事件や事故の現場に居合わせていたのであれば、「いたたまれない事件(事故)だった」のように使うことはできます。しかし、事件や事故に遭遇することは、できれば避けたいことです。
「いたたまれない」の由来・歴史
「いたたまれない」の由来や歴史はどういうものでしょうか。実は、「いたたまれない」は江戸時代の後期に使用されていた言葉に由来します。結構、歴史のある言葉です。そんな「いたたまれない」の由来や歴史を見ていきましょう。
由来
「いたたまれない」は、「いたたまらない」が変化した言葉と言われています。この「いたたまらない」には、さらに由来になった言葉があります。「いたまらない」という言葉です。
「いたまらない」は、「居る」と「堪らない」が合わさってできた言葉です。「居る」は文字通り、その場にいることです。「堪らない」は、耐えられない、という意味です。その場にいることに耐えられない、という意味になります。
この「いたまらない」に、強調のために「た」がもうひとつ入り、「いたたらまない」になったとされています。そして「いたたまらない」が「いたたまれない」に変化したというわけです。
「止まれない」「得られない」のように、「~できない」の意味で「~れない」という語尾が使われています。これに影響されて、「いたたまらない」も「いたたまれない」に変わっていったと考えられています。
歴史
「いたたまらない」という言葉は、江戸時代の後期に使われていた言葉です。江戸時代当時の読み物を見れば、「いたたまれない」も「いたたまらない」もほぼ似たような使い方をされています。
当時は、その場にいることが耐えられない、という意味で「いたたまれない」や「いたたまらない」が使われていたようです。
「いたたまれない」の英語表記
「いたたまれない」を英語にする場合は、「いたたまれない」という言葉の使い方を考えて英語にする必要があります。どういう意味で使われているかによって、英語への訳し方が変わってきます。
実際に「いたたまれない」の英語を考えていきましょう。その場から逃げ出したい気持ちであるという意味なら、「feel like running away」と表現できます。使い方の例文としては、「I feel like running away.」というところです。
耐え難いくらい悲しいという意味なら、「sorrowful to bear」とするのがいいです。実際の使い方を例文で示すと、「I am very sorrowful to bear.」となります。
「unable to stay」は意味が違ってしまうので使えない
「いたたまれない」の英語として、「unable to stay」が挙げられることがあります。しかし、「unable to stay」は、その場にとどまることができない、という意味です。
「いたたまれない」とは、心情的にその場を離れたい、という意味です。意味が違ってしまうので、「いたたまれない」の英語として「unable to stay」を使うのは避けましょう。
「いたたまれない」の漢字
「いたたまれない」は、漢字を使って「居たたまれない」「居た堪れない」と書き表すこともできます。この場合の「堪る」は、「こらえる」「我慢できる」という意味です。「居た堪れない」は否定形なので、何らかの理由でその場にいることをこらえられない、という意味になります。
「いたたまれない」は「じっとしていられない」という意味
「いたたまれない」の意味や類語、由来について見てきました。「いたたまれない」は、精神的なプレッシャーのためにその場にじっとしていられない、という意味です。心情的に居づらい、と言い換えることもできます。お詫びの際に使うこともできる言葉です。
「いたたまれない」は「痛ましい」とよく混同されることも多いです。しかし、「いたたまれない」と「痛ましい」は使い方の異なる言葉です。これからは正しい使い方で「いたたまれない」を使っていきましょう。