マエストロとはどういう意味?使い方やマイスターとの違いについても解説!

マエストロとはどういう意味?使い方やマイスターとの違いについても解説!

「マエストロ」はクラシック音楽やサッカーで耳にする言葉で、何となく偉い人というイメージがしますが、一体どのような意味があるのでしょう。またマエストロはマイスターと違いはあるのでしょうか?マエストロの意味や使い方、類義語、由来や歴史なども合せて紹介します。

記事の目次

  1. 1.マエストロの意味とは
  2. 2.マエストロの類義語
  3. 3.マエストロの使い方・例文
  4. 4.マエストロとマイスターの違い
  5. 5.マエストロを使う際の注意点
  6. 6.マエストロの由来・歴史
  7. 7.マエストロの英語表記
  8. 8.マエストロの漢字
  9. 9.マエストロは「ある分野で特に優れた人」という意味

マエストロの意味とは

オーケストラ
Photo by nishioka

「マエストロ」は音楽用語やサッカー用語で使われる言葉ですが、その本来の正しい意味を知っている人は少ないのではないでしょうか。「マエストロ」と呼ばれる人はどんな人たちなのでしょう。

マエストロの正しい意味や、音楽の場合とサッカーの場合の意味の違いなどを知っていれば、ちょとした音楽通やサッカー通になれます。それでは音楽用語とサッカー用語に分けて、マエストロの意味を紹介します。

音楽で使うマエストロの意味

バッハ
Photo by amadeusrecord

音楽の分野、特にクラシックで「名指揮者」のことをマエストロと呼ぶことが多いのですが、マエストロには、大音楽家などに対し敬意を込めた称号としての意味があります。

例えばバッハやベートーベン、モーツアルトなどの大作曲家もマエストロです。またその曲を表現するカラヤンや小沢征爾などの指揮者、サラサーテなどのヴァイオリニストや優れた演奏家もマエストロと呼ばれます。

つまり音楽用語の「マエストロ」とは、名指揮者だけでなく尊敬と敬意を込めた大音楽家への称号という意味を持っています。

サッカーで使うマエストロの意味

サッカー
Photo by134213

サッカー用語で「マエストロ」とは、歴史に名を残した名選手や、ゲームの流れを支配する名人のようなプレースタイル持つ選手に付けられる称号です。

歴史的には「ペレ」や「マラドーナ」、近年でいえば「ジダン」「ロナウド」などもマエストロの仲間入りになるのではないでしょうか。

もともと「マエストロ」の語源はイタリア語とスペイン語です。どちらもサッカーが盛んな国です。「マエストロ」がサッカー用語として使われるのは、なるほどと納得がいくのではないでしょうか。

マエストロの類義語

類義語
Photo byMonikaP

マエストロには音楽用語の「大音楽家」サッカー用語の「歴史に刻まれる名選手」という他に、「匠」の域に達した優れた技術者や芸術家もマエストロと呼ばれます。

日本ではマエストロというより「巨匠」と言ったりしますが、海外では家具をつくる匠の工芸家など優れた技術者をマエストロと呼ぶことがあります。

それら広義の意味を踏まえて類義語を探すと「マイスター」「マスター」などがあげられます。「マイスター」「マスター」の意味とマエストロとの違いなどを紹介します。

マイスターの意味

工芸家
Photo bymarcelkessler

「マイスター」を「私のスター」と直訳するとマエストロの類義語とはかけ離れてしまいます。「マイスター」の本来の意味は「巨匠」「名人」という意味でマエストロとほぼ似ています。

発祥はドイツでもともとは「親方」を意味しています。ドイツの職人で親方の試験をパスして最高の技術者として認められたものに「マイスター」の称号が与えられたという歴史があります。

つまりマエストロは最高の技術や表現力を持ち尊敬できる存在の人、マイスターは匠の技術を習得した人に与える資格の称号です。

マスターの意味

悟り
Photo bysciencefreak

マスターには、いくつかの意味があります。1つは宗教で悟りを開いた人、または悟りに近づいた人を「マスター」と呼びます。

キリストやマホメッド、ブッダ(釈迦)、達磨(だるま)、日本では「親鸞(しんらん)」「日蓮(にちれん)」「一休禅師」などがマスターに相当します。

悟りという精神的な境地で最高の位置に達したという意味で「マスター」は「マエストロ」に近い類義語になります。

「マスター」のもう1つの意味は「主人」です。語源はラテン語で「頭領(とうりょう)」「監督」という意味で「マイスター」に近いです。

バー
Photo by keiyac

他にも「飲み屋やバーのマスター」などとよく言います。このマスターは「経営者またはオーナー」という意味でマエストロの本来の意味とは少し違うようです。

「英語をマスターする」「漢字検定2級をマスターする」のような使い方の場合は「習得する」という意味になります。マイスターに近づくための手段・行程という意味合いです。

またオーケストラなどの音楽用語で「コンサートマスター(オケのリーダー)」「バンドマスター(バンドのリーダー)」という使い方もあります。このように「マスター」には色々な意味や使い方があります。

孤高の意味・由来・使い方まとめ!孤高な人の特徴やなるための方法も伝授! | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
「孤高」は普段あまり使わない言葉ですが、文章や小説などでは良く出て来ます。孤高という言葉にはどんな意味や由来があるのでしょう。孤高と同じ意味を持つ類義語や対義語を検証して、孤高の使い方、孤高な人の特徴、孤高な人になるための方法などを解説します。

マエストロの使い方・例文

使い方
Photo bygeralt

マエストロの意味は音楽用語では「大音楽家や名指揮者」、サッカー用語では「歴史に刻まれる名選手」、工芸や職人の世界では「匠の技を持つ技術者」に相当する人を指します。

マエストロの意味が理解できたところで、次は実際の会話や文章での使い方を調べてみましょう。マエストロの使い方を用語ジャンル別に例文で紹介します。

例文①【音楽用語】

バイオリン
Photo byractapopulous

音楽の分野でマエストロを使った例文を紹介します。「カラヤンの指揮によるベトーベン第九交響曲は、2人のマエストロが創り上げた究極の芸術」「今回の彼女のヴァイオリンソナタの演奏は、もはやマエストロの域に達したといっても過言ではない」

このように「マエストロ」の使い方は、名指揮者や大作曲家だけでなく名演奏家を讃える場合にも使われます。つまりマエストロとは賞賛するだけでなく、尊敬の意を合せて表現しています。

例文②【サッカー用語】

ワールドカップ
Photo byGellinger

意外かも知れませんが、イタリアやスペインのサッカー界ではマエストロという言葉をよく耳にします。どのような使い方をするのか例文で見てみましょう。

「サッカーの王様とも呼ばれるペレは、まさにサッカーのマエストロです」「世界中のサッカーファンを魅了した、ロッシやマラドーナは世界のマエストロだ」「ワールドカップで活躍した元イタリア代表司令塔のピルロのプレースタイルはまさにマエストロです」

サッカー
Photo byKeithJJ

このようにサッカー用語でのマエストロは「歴史に刻まれる名選手」だけでなくプレースタイルそのものにも使われることがあります。

ここであげた選手以外にも、ジーコ、ロナウド、ジダン、ベッカムなど沢山のマエストロがいます。近い将来には日本人選手の中にもマエストロと呼ばれる選手が出てくるのではないでしょうか。

例文③【匠の技】

Photo bycocoparisienne

「匠(たくみ)」の意味は「優れた技術をもつ人」、古くは木工職人のことを指していました。現在では「匠」は広範囲の人に使われるようになりました。

工芸職人、大工、石匠、木工職人、酒造り職人、学問の大家、陶芸家、画家、芸術家など広範囲の分野で「匠の技」を持つ人がいます。つまり広範囲にマエストロが存在しているので例文もここでは書ききれません。

スペイン
Photo byfranky1st

それでは少し変った例文を紹介します。「マエストロ」はもともとスペイン語です。スペインの街中では「あそこのクラフト工房のマエストロは誰なの?教えてよ」「あのワイナリーのマエストロは彼女じゃない?」のように普通の会話に登場します。

つまりスペインでは「マエストロ」はその工場や工房が、大きい小さい有名かどうかに関わりなく、その中で腕の良い職人という意味で日常的に使われています。

これまで「マエストロ」の例文を検証することで、分野別による「マエストロ」意味の違いや使い方の違いが理解できてきたのではないでしょうか。これを参考にして実際の会話や文章に活かして下さい。

マエストロとマイスターの違い

違い
Photo bypasja1000

マエストロとマイスターもどちらも「卓越した技術や才能を持った人」を賞賛する意味で使われる言葉です。意味が同じなのに何か違いがあるのでしょうか。違いがあるとすればどのようなことなのでしょう。

マエストロとマイスター、字が違うということは何かがあるはずです。それでは疑問を解くために、もう一度「マイスター」の意味を深く検証してみましょう。

マイスターは「巨匠」「名人」という意味

指揮者
Photo byskeeze

マイスターのスペルは「meister」と書きドイツ語です。意味は「巨匠」「名人」「職人」「主人」などで、スポーツでは「チャンピオン」を意味する場合もあるようです。

マイスターがドイツ語で、マエストロはイタリア語・スペイン語なのでこの点でまず違いがあります。しかし語源が違うだけでは意味の違いにはなりません。

木工
Photo byendriqstudio

ここでドイツの「マイスター」という言葉の由来を考える必要があります。ドイツには「マイスター制度」というのがあり、これは「伝統的手工業技術を次の世代に伝える」ための制度です。日本でいう職業能力資格認定制度のようなものです。

つまり「マイスター」は最高の技術を取得した人に与える資格の名称です。「マエストロ」は最高の技術や才能を発揮した人を、尊敬の意を込めて賞賛する言葉です。つまりこの2つの言葉の意味の相違点は「資格」と「賞賛」の違いで、使い方や使う対象の人が違います。

マエストロを使う際の注意点

注意
Photo byClker-Free-Vector-Images

マエストロの意味や使い方は、分野において微妙に違うことを紹介してきました。意味や使い方に違いがあるということは、各分野においては使う際に注意が必要になります。

音楽用語やサッカー用語それぞれの分野に合せた使い方が必要です。使い方を間違えると誤解を生んでしまいます。マエストロの意味の誤解を生まないための注意点を紹介します。

音楽用語での注意点

最高峰
Photo bygorkhe1980

音楽の分野では、マエストロと呼ばれる人は限られた巨匠に与えられる最高峰の称号です。つまりやたらにマエストロを連発しては、大音楽家のマエストロに失礼に当たってしまいます。

音楽の世界でマエストロと呼ばれる人は、全世界の人が認める巨匠です。例えば、最近のコンサートでちょっと感動したからといってその演奏者にマエストロを安易に使っては、マエストロの質を落としてしまうかも知れません。

もちろんその演奏が誰もが認める素晴らしいものなら使ってもかまいません。そのくらいに音楽分野ではマエストロは権威のある称号なのです。

サッカー用語での注意点

スタジアム
Photo byKeithJJ

サッカーの世界でも音楽と同じようにマエストロと呼ばれる人は数が限られています。例えばその選手の熱狂的なファンで人気があるとしても安易にマエストロを使うことは考えものです。

安易な使い方は、歴史的な名選手としてマエストロの称号を得ている人たちの権威を損ねる可能性があります。「悪貨は良貨を駆逐(くちく)する」ということわざがあります。この意味は「質の悪いものがはびこると良質なものが無くなってしまう」というたとえです。

つまりサッカー用語の「マエストロ」の使い方を間違えて安易に使うと、歴史的に名を連ねた名選手の名前に泥を塗ることにもなりかねないのです。使い方には注意しましょう。

マエストロの由来・歴史

歴史
Photo byddzphoto

「マエストロ」の英語表記「maestro」やスペイン語表記「ma'esutro」をローマ字読みで発音しても「マエストロ」となることから分かるように、語源・由来はイタリア語とスペイン語です。

意味は「ある分野で特に優れている人」ですが、類義語のドイツ語には「マイスター(meister)」や英語には「マスター(master)」があるのに、なぜ音楽やサッカーが盛んなドイツやイタリアで最高に権威のある言葉として「マエストロ」が使われるのでしょう。

ドイツ音楽で「マエストロ」が使われる訳

音楽
Photo byPexels

ドイツには古くから「マイスター制度」という制度があります。「伝統的手工業技術を次の世代に伝える」ために親方が弟子の中で優れた技術を習得したものに「マイスター」という称号を付けたという歴史があります。

日本語で例えれば「免許皆伝(めんきょかいでん)」「お墨付き」「暖簾(のれん)分け」などの意味に相当します。

ベートーベン
Photo byOpenClipart-Vectors

ドイツが生んだ音楽の三大「B」と言われる「バッハ、ベートーベン、ブラームス」などの大巨匠を「マイスター」と呼んでは少しものたりません。

「マイスター」は免許資格者に与える称号なので、音楽という芸術にふさわしい表現がないかと探した結果「マエストロ」が使われ出したのではないでしょうか。

また「マエストロ」という言葉の響きには、どことなく崇高なイメージがあることが大音楽家に使われる理由なのではないでしょうか。サッカー用語に「マエストロ」が使われるのも同じ理由が考えられます。

マエストロの英語表記

英語
Photo bylibellule789

マエストロはイタリア語とスペイン語に由来した言葉です。英語ではどのように表記するのでしょう。

スペルは「maestro」で発音もイラリア語と同じです。意味も「大音楽家」「名指揮者」「巨匠」などでかわりはありません。ただ英語で「マエストロ」を表記・表現する場合に「maestro」の他に「master」を使う場合も多くみられます。

「maestro」を使った例文では「The Maestro assented to the request for an encore(巨匠はアンコールの要望にこたえた)」

モナリザ
Photo byWikiImages

「If I am right called a maestro, her violin performance deserves it.(彼女のヴァイオリン演奏は、まさにマエストロと呼ばれるに値する)」のように表現します。

「master」を使う場合は「The sculpture is the work of a master.(この彫刻は巨匠と呼べる人の作品です)」のように表記します。またマエストロを表現する英語表記には「great」や「virtuoso」なども使われます。
 

マエストロの漢字

漢字
Photo by Hachimaki

「マエストロ」の日本語訳の漢字を調べると、「巨匠」「師匠」「大家(たいか)」「達人」「先生」などと出てきます。また音楽用語では「大音楽家」「名指揮者」「名演奏家」、サッカー用語では「名選手」「名指令塔」などがあげられます。

しかしそれぞれの意味は微妙に違います。また漢字で表現すると意味が限定されてしまい、本来「マエストロ」の持つ崇高なイメージが漢字では表現しきれていません。やはりカタカナの「マエストロ」のほうがイメージや意味が広がるのではないでしょうか。

漢字とカタカナの表現の違い

外来語
Photo bysimplu27

漢字のほとんどは象形文字の組合せでできています。象形文字とは物の形を点や線で表した文字のことです。そのため漢字は一目見ただけで、何となく意味やイメージが分かるという利点があります。

つまり漢字は古来から日本にある物や日本的な感情を表現するには優れています。一方カタカナは外来語を日本語で表す時に多く用いられます。

外来語の「マエストロ」のように漢字に翻訳すると意味やイメージが限定されて正しく表現しきれない時には「カタカナ」の方が優れています。

つまり「漢字」は日本的な物を表現するベストな文字、「カタカナ」は外来語のイメージを伝えるのに適した文字です。「マエストロ」を漢字で「巨匠」や「大音楽家」と書くより、カタカナで「マエストロ」と書いたほうが、本来の意味や崇高さが伝わるのです。

マエストロは「ある分野で特に優れた人」という意味

コンサートホール
Photo by vitroid

マエストロは「ある分野で特に優れた人」という意味があるので、音楽用語では「大作曲家」「名指揮者」「名演奏家」などに、サッカー用語では「歴史に名を残す名プレーヤー」などを表現する言葉であることを紹介しました。

また「マエストロ」には尊敬の意が込められていること、マエストロの分野ごとの使い方や注意点、由来や歴史なども紹介してきました。これらを参考にすれば音楽通やサッカー通の仲間入りができるのではないでしょうか。

Eiji0601
ライター

Eiji0601

元ミュージッシャン&調理師。現在はフリーのコンサート企画やチラシ等のデザイナーをやっています。音楽のジャンルはクラシックからジャズ&ポップス、特に’60年代〜’80年代ポップスが大好きです。料理は和食が得意な年齢不詳の独身男性です。

関連するまとめ

人気の記事