「存じ上げております」の意味と使い方を紹介!例文や存じておりますとの違いは?

「存じ上げております」の意味と使い方を紹介!例文や存じておりますとの違いは?

「存じ上げております」と「存じております」は言葉の意味は同じですが、使う場面が異なります。使い方を間違えやすい敬語の1つで、ここぞという時に使う言葉です。頻繁に使える言葉ではないので「存じ上げております」の意味や例文を再確認しておきましょう。

記事の目次

  1. 1.「存じ上げております」の意味とは?
  2. 2.「存じ上げております」と「存じております」の違い
  3. 3.「存じ上げております」の使い方
  4. 4.「存じ上げております」の注意点
  5. 5.「存じ上げております」は知る・思うという意味

「存じ上げております」の意味とは?

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「存じ上げております」「存じております」という敬語がビジネスの場でよく使われます。元々の動詞は「存ずる」で、「思う」「知る」「考える」の謙譲語です。「存じ上げております」と「存じております」は同じような場面で使われますが、違いがあるので適切に使い分けましょう。

「存じております」は、「存ずる」の連用形(=丁寧語の「ます」につながる動詞の変化のこと)です。「存じ上げております」の違いは、「存じ上げて」の部分がポイントです。「上げる」は動詞の連用形+上げるとすることで相手を敬う意味を示します。

「存じ上げております」は、敬意を表する言葉に変化しているので人に対して使う表現です。物事や事柄に使うことはしないので気をつけましょう。例えば、「その件については存じ上げております」ではなく、「その件については存じております」という使い方です。

「存じ上げております」と「存じております」の違い

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「存じ上げております」と「存じております」は意味は同じですが、言葉の敬意が異なります。使われる場面が違うので注意しましょう。対象が物と人では敬語表現を使い分ける必要があります。

「存じ上げております」は「存じる」の中で一番丁寧な表現です。社会的な地位がある方や目上の方に対して使えるので、ここが大事というときに使えるよう覚えておきたい言葉です。「存じ上げております」は「思う」「知る」の謙譲語+尊敬語の意味があるので、人に対して使える言葉です。

「存じております」は謙譲語のため、物事や事柄に対して使う言葉です。人に対して使っても間違いではありませんが、「存じ上げております」の敬語表現があるので、きちんと使い分けると敬語マナーを知っていると受け取られるでしょう。

物事に対して使う場合

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物事や場所に対して「知る」「思う」の謙譲語は、「存じております」です。使い方としては「知っている」ことを伝える場合と、「思っている」ことを伝える場合があります。報告で一方的に話をする場合には「存じております」はふさわしくありません。

「存じております」は、会話をしていて目上の方から何か尋ねられた場面で、回答として使えます。例文として「A社の新サービスのことは知っているか。」と上司に聞かれたときに「はい、存じております。」などです。

知っている対象が「A社の新サービス」のため、回答の内容が物事にあたります。この場合、「はい、存じ上げております。」は不適切です。会話中の対象が物と人との違いを改めて押さえておきましょう。

人に対して使う場合

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人に対して「知っている」「思う」ことを回答するときは「存じ上げております」を使います。例えば、「B社の社長のことを知っているか。」と聞かれ、「はい、知っています。」ではあまりにも素っ気なくて相手に対して敬意がなく失礼にあたります。「はい、存じ上げております」がよいです。

聞かれたB社の社長にも敬意を表し、直接聞かれた自分の上司にも敬意を表することができます。「おります」は謙譲語のため、自分をへりくだることに対して使えます。同じ言葉が続くと敬語の安売りをしているように聞こえるので、言い換えの言葉を織り交ぜるようにしましょう。

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「存じ上げております」の使い方

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「存じ上げております」の意味は「知る」「思う」の2つがあります。どちらの意味合いで使うかによって相手に与える印象が異なるので、場面に応じた使い方ができるように言い換えの言葉も知っているとよいです。

「存じ上げております」はどちらかと言えば「知る」の意味あいが強い表現です。「存じ上げております」は、丁寧な表現で状況と相手を見極めて使う必要がありますが、受け答えがスムーズにできるよう例文を参考にしてください。

例文①

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「存じ上げております」は、文書より会話で使うことが多いです。ただし、目下の相手方には使わないので注意しましょう。相手及び話に上がっている第三者も目上の方(あるいは社会的地位がある方)であることがポイントです。

例文として、「お名前はかねてより存じ上げております。」や「斉藤様のことは存じ上げております。」などです。最初の例文は1対1の会話の相手が目上の場合です。2つめの例文は会話の相手及び斉藤様が目上の方です。

例文②

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話す相手が目上の方でも、会話に出てくる人が自分より目下の場合は「存じ上げております」は使うことができません。目下の方を敬ってしまうのはおかしなことで、敬語の使い方が間違いです。例文としては、自分の上司に対して「新人の小沢さんのことは存じ上げております」は不適切です。

話す相手が目上であっても「新人の小沢さんのことは知っています。」でよいでしょう。たとえ新人の小沢さんが自分より目上であっても敬う言い方は不適切です。話の中に出てくる人の上下関係も含めて敬語を使う必要がありますので、使い方を整理しておきましょう。

例文③

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「存じ上げております」は丁寧な謙譲語ですが、使いすぎるとしつこい印象を与えてしまいます。改まった場面のみに限定して使いましょう。「存じ上げております」の「思う」の意味の言い換えとして「所存です」があり、「心の中で思っていること」を指します。

例文として、「同じ間違いを犯さないよう一生懸命努めてまいる所存です。」などと使います。「所存です」は、自分の考え心の中で思っていることを述べる場合の言い回しで、自分がへりくだる意味合いがあるので目上の方に使うことができます。

例文④

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「存じ上げております」は知っていることを伝える言葉ですが、丁寧に否定したい場合は「存じ上げておりません」を使います。「存じ上げません」は知らない(または、そう思わない)ことをはっきりと伝える表現で、直接的で目上の方には不愉快にさせてしまうことがあります。

「あいにく」「残念ながら」などのクッション言葉を添えると否定の印象に柔らかさが加わります。使う場面と相手を選んで慎重に使いましょう。使い方としては、「恐れ入りますが、田中様についてはについて詳しく存じ上げません。」などです。

「存じ上げておりません」は「存じ上げません」をさらに丁寧に表現しているので、目上の方にも使える言い回しです。「存じ上げております」と同様に人に対して使う表現で、文書より会話で多く使います。

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「存じ上げております」の注意点

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「存じ上げております」は敬意はある謙譲語ですので、使い方に注意する場面があります。目上の方に尋ねる場合や知っているかどうか聞かれた返答に使うことはふさわしくありません。注意する場面を例文で紹介します。

目上の方に尋ねる場合

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目上の方に対して知っているかどうか尋ねる場合に「存じて上げておりますか」は、ふさわしくありません。「存じ上げております」は謙譲語のため、自分の行為に対して使うことができますが、相手の行為に対しては使えません。

相手に対して「部長は石田様を存じ上げておりますか。」「お名前を存じ上げていますか」は不適切です。相手が知っているかどうか尋ねたい場合は「ご存じ」を使いましょう。

目上の方に確認したい場合は、「ご存じでしょうか」が適切です。言い換えとして「お聞き及びかと存じますが~」のフレーズも役立ちます。「プロジェクトの件に関して~」などと相手が知っていることを前提とした話の進め方がよいでしょう。

社内の人を紹介する場合

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社外の人に社内の人を紹介する場合、紹介する人が自分より目上の人であっても「存じ上げております」は使うことができません。例として「設計部の弊社社員富田のことは私も存じ上げておりますが~」は不適切です。自分が社内の人を敬ってしまうことになるからです。

「設計部の弊社社員富田のことは私も知っていますが~」と、一般的な言い方でよいでしょう。社内と社外では第三者を話題にする場合は、敬意を誰に表すかを把握しておかないとうっかり間違えやすいです。

「存じ上げております」は知る・思うという意味

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「存じ上げております」「存じております」の意味は、「知る」「思う」を表しています。「存じ上げております」は、「存じております」よりかしこまった表現であり、対象が人であることが大きな違いです。

「存じ上げております」は、人に対して敬意を強調したいときに使う表現であり、頻繁に使うと聞き苦しさが残ります。敬語は適度に使って敬意を表することが大切です。人の会話から学びながら、正しい敬語が使えるようにしていきましょう。

buusencho_sunu
ライター

buusencho_sunu

活字が大好きで、読書と言えば紙の本、和文化が好きで茶道を勉強中です。どちらも終わりがないので、一生続けることができるのが幸せです。物事を調べる楽しさを知って毎日奮闘しているこの頃です。人の役に立てるような文章を書くことを目指しています。

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