青魚・カンパチの特徴や美味しい食べ方は?見分け方や生態なども知ろう

青魚・カンパチの特徴や美味しい食べ方は?見分け方や生態なども知ろう

カンパチは大型の青魚で非常に美味しい魚ですが、名前は聞いたことがあっても実際はどんな魚なのか知らない方が多いのではないでしょうか。またブリやヒラマサとよく似ていて見分けがつきにくい魚です。カンパチの特徴や美味しい食べ方、見分け方や生態などを紹介します。

記事の目次

  1. 1.カンパチという魚について徹底調査!
  2. 2.カンパチの特徴・生態
  3. 3.カンパチとハマチ・ブリ・ヒラマサの見分け方
  4. 4.カンパチの美味しい食べ方
  5. 5.カンパチの注意点
  6. 6.カンパチは刺身や焼きで美味しく食べられる!

カンパチという魚について徹底調査!

カンパチ
Photo by kohrogi34

カンパチという魚は、寿司ネタや刺身の名前では知っているけれどけれど、どんな形態をした魚なのか知らない人が多いのではないでしょうか。カンパチはブリやマグロなどのように大型の青魚で非常に美味しい魚です。

青魚といえばアジやイワシ、サバなどが小ぶりな魚が有名ですが、カンパチは大型のマグロやカツオ、ブリなどの青魚の仲間で高級魚の1種です。

またカンパチは、刺身や切り身にするとブリやハマチ・ヒラマサと色艶がよく似ていて見分け方が難しい魚です。今回はカンパチという魚の生態や習性、味の特徴や美味しい食べ方、ブリやヒラマサとの見分け方などを徹底的に調査してみました。

カンパチの特徴・生態

回遊魚
Photo byjoakant

カンパチは近年では養殖もされていますが、天然のカンパチの生態の特徴は海を行き来する回遊魚の仲間です。それでは天然のカンパチはどんな海を回遊して、どのような生態や習性があるのでしょう。

カンパチの「生息する分布域」「生態と習性」「形態(魚の形)」「旬の時期」の4つの観点からカンパチの特徴や性質を探ってみましょう。

生息域・分布

世界地図
Photo byYuri_B

カンパチはマグロなどと同じ回遊性の生態をもつ魚で、太平洋・大西洋・インド洋・地中海やメキシコ湾に至る全世界の温帯〜熱帯域の海に生息しています。日本近海では太平洋側では北海道から九州南部、伊豆諸島や小笠原諸島まで、日本海側では青森から九州沿岸部まで分布しています。

また沖縄や周辺の離島を含む東シナ海や、瀬戸内海にまで広く分布しています。カンパチの成長に適した水温は20度〜30度という特徴があるので、春から秋にかけては日本列島沿岸を北上し、冬から春には南下するように回遊するのが特徴です。

生態・習性

小魚
Photo byKanenori

カンパチはイワシやアジなどの小魚や、小型のタコ・イカやエビ・カニなどの頭足類や甲殻類を捕食するために回遊します。幼魚のうちは群れで行動することが多く、流れ藻などについて漂流する習性があります。

成長して大型になると群れで回遊するだけでなく、根まわりなどに単独で居座り餌になる小魚を物色するようになる特徴があります。そんな習性を利用して根まわりがカンパチ釣りのポイントになります。

形態

カンパチの成魚は約1mぐらいの大きさに成長します。最大では1.9mで体重が80kgという記録があります。カンパチはアジ科に属しアジ科の中ではヒラマサに次ぐ大型の魚です。

扁平した長楕円形の体型をしていて遊泳力に優れているのが特徴で、幼魚の時期には口から頭頂部にかけて斜めに模様があり、上から見るとちょうど「八」の字に見えることから「カンパチ」と呼ばれるようになったと言われています。

旬の時期

旬
Photo by tamakisono

旬とは一番美味しくなる時期、または豊富に採れる季節のことです。カンパチの旬は日本近海では、小型のものでは秋、大型では秋から冬にかけてが脂が乗り絶品の美味さと言われています。しかし人によっては夏場のさっぱりした味を好む方もいます。

産卵期の3月〜9月は味が落ちると言われており、産卵期直前のカンパチが最上とされています。カンパチの味の好みには個人差があり、旬の時期が最も美味しいという人もいれば、旬を外したさっぱりした味が良いという人もいます。

このようにカンパチは旬の時期だけでなく、年間を通じて美味しい魚と言えるのではないでしょうか。

カンパチとハマチ・ブリ・ヒラマサの見分け方

カンパチは、ブリ・ヒラマサとは刺身の色艶では非常によく似ていて、見分け方がむづかしい魚です。見分け方の前に魚の名前について勘違いしやすい注意点を紹介します。

カンパチは実はブリと同じように出世魚で、幼魚と成魚では呼び名が違います。また成魚の呼び名の「カンパチ」は標準和名になっていますが、元は関東周辺の呼び名で地方によっては今でも様々な名前で呼ばれています。

幼魚の呼び方も地方により沢山あるのでここでは省略しますが、そのことを頭に入れておいてください。

成長
Photo byOpenClipart-Vectors

話は少しそれますが大事なことなのであえて説明します。ブリとハマチが違う魚だと思っている方が多いのではないでしょうか。ブリもハマチも漢字では「鰤」と書きます。つまり同じ魚で成長の度合いが違うだけなのです。

鰤(ブリ)は、関東では幼魚の「ワカシ」から成長により「イナダ」「ワラサ」「ブリ」と出世します。関西ではワラサのことをハマチと呼んでいたのですが、最近では関東でも天然をワラサ、養殖をハマチと呼ぶのが通例のようです。

カンパチの場合には養殖・天然どちらもカンパチの名称が一般的です。このように呼び名にはいろいろと違いがあることを念頭に置いて見分け方をしてみましょう。

見た目

見た目
Photo by t-mizo

カンパチもブリもヒラマサも大型の青魚で、生態や習性の特徴は非常によく似ています。魚の形ではカンパチは、ブリやヒラマサと比べると扁平で体高がやや高く、生息している場所ではカンパチは、ブリやヒラマサより温かい海を好むくらいです。

また刺身や切り身にした時の見た目は、色艶では見分け方が見つからないくらい非常によく似ていています。つまりカンパチとブリ・ヒラマサの見分け方は、見た目では素人にはほとんど判別がつかないくらいに似た魚と言えます。

比較
Photo byqimono

食べた時の味ではどうでしょう。刺身で食べるとカンパチはブリやヒラマサより脂が少なくあっさりしていてコリコリと歯ごたえのある食感があります。ただ養殖のカンパチの場合は脂が多いので見分け方が難しくなるので天然物か養殖の確認が大切です。

またブリには独特の味わい(臭み)があるので見分け方のポイントになります。カンパチは身質が硬めなので痛みにくく、生臭みが出にくいところも見分け方のポイントになります。

カンパチ・ブリ・ヒラマサはどれも非常に美味しい魚です。見分け方は見た目では難しいけれど、食べれば味と食感で判別がつきやすくなります。味にはそれぞれに特徴があるので、ぜひ食べ比べることをおすすめします。

カンパチの美味しい食べ方

調理
フリー写真素材ぱくたそ

カンパチは非常に美味しい魚で、食べ方も生(刺身)・焼く・煮るなど色々な食べ方があります。また身だけでなく頭・カマ・アラと捨てるところがないくらい、どこを調理しても美味しく食べ方も豊富にあります。

それではカンパチの、刺身やカマ・アラを使った美味しい食べ方を、和風・洋風など様々な調理法の人気のレシピを紹介します。

刺身

カンパチの刺身は最もポピュラーな食べ方で、釣り上げた船上でさばいて刺身で食べるコリコリとした食感は釣り人にはたまらない魅力です。

これはカンパチの食感を楽しむ釣り人の特権の食べ方ですが、刺身の旨みを味わうには、釣りたてを船上で活締め(血抜き)をして1日〜2日冷蔵で熟成させてから刺身にする食べ方が最高です。

カルパッチョ
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刺身も漬けにすると味と食感が一変します。マグロの漬け丼は有名ですが、カンパチの漬け丼も非常に美味しく一度試してみる価値がある食べ方です。

また和風の刺身も美味しいのですが、カンパチは臭みが少なくクセがないので、オリーブオイルと香草や野菜を和えたカルパッチョも最高に美味しいです。洋風が好みの人にはおすすめの食べ方です。

カマ焼き

カマ焼き
Photo by iandeth

カマは頭部と身の間にある部位で、エラやヒレの筋肉が集中している部分なので身がしまっていて刺身にする身の部分よりも美味しいという人が多い部位です。

このカマを塩と醤油などで下味をつけ、焼き上げたカマ焼きはなんとも言えないワイルドで美味しい食べ方です。カマを味醂と醤油で煮付けにしても美味しいです。

またさっとひと塩して焼き上げてから、甘辛で煮付けたカマ焼き煮もおすすめです。焼くことで旨みが煮汁に溶け出すことがなく凝縮して閉じ込められ、しっかりとした食感が好きな人にはたまらない食べ方です。ぜひ一度試してみてください。

あら煮

あら煮
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「あら」とは、カンパチを3枚におろして刺身にする部分をとって、残った頭部やヒレや中骨の部分のことです。一般的に骨の周りの部分は身よりも美味しいと言われています。骨つき肉やスペアリブが美味しいのも同じ理由で、カンパチの「あら」も刺身に劣らず非常に美味しい部位です。

しかし「あら」には骨やヒレが付いているので刺身にはできません。その美味しい部位を生かして美味しく食べる食べ方が「あら煮」です。また「あら」はスーパーなどでは刺身の半値以下で購入できるのが嬉しいところです。

この「あら」を砂糖(味醂)と醤油で甘辛に煮付けた「あら煮」はご飯のお供にもおつまみにも最高の1品になります。「あら」はカマと同じように下味をつけて焼いても美味しく召し上がれます。

また長ネギと豆腐などと一緒に味噌汁にする「あら汁」は、旨みの成分が汁に広がり味噌との相乗効果でご飯が進む食べ方です。このようにカンパチの「あら」は色々な美味しい食べ方ができ、しかも安価なのでぜひ利用してみてください。

ムニエル

カンパチは海を回遊する生態の魚で全世界に分布しています。ムニエルは洋風料理ですが、これだけ世界の各地に分布している魚なので、カンパチの美味しい食べ方もたくさんあります。そんなレシピの中で日本人の好みに合う「バター醤油味」を紹介します。

カンパチの切り身を食べやすい大きさにカットして塩コショウをします。小麦粉をまぶして、フライパンにオリーブオイルを敷きカンパチの両面をこんがりと焼きます。

カンパチに火が通ったところでバターと醤油を加えてからめます。全体になじんだら火を止めてお皿に盛れば完成です。塩コショウしたカンパチにバター醤油を加えてアルミホイールで包んで蒸し焼きもOKです。

魚の素材としての味が優れているカンパチは、どのような調理や食べ方をしても日本料理だけでなく西洋料理でも美味しいのがお分りいただけたのではないでしょうか。

カンパチの注意点

注意
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ここではカンパチを食べる際の注意点、特に生で刺身で食べる時に留意しなければならない点を紹介します。一言でいえば寄生虫と食中毒菌の危険です。

寄生虫はカンパチだけでなくほとんどの魚に寄生しています。特に川魚には多いので川魚は刺身では食べないのがその理由になっています。海魚は川魚に比べれば寄生虫が少ないのですが、カンパチに全くいないという保証はありません。

特にカツオやイカなどには多いとされていますがカンパチも例外ではありません。養殖のカンパチは薬品により寄生虫を駆除しているので心配がない代わりに薬品の副作用が心配です。当然天然物には寄生虫がいる可能性があります。

スーパーで販売しているものや飲食店で提供している物はチェックしているので心配ありませんが、釣ってきた天然物を家庭で調理する場合には注意が必要です。まず内臓を早く取り除き白い線のようなものを見つけたなら必ず取り除くようにしましょう。

寄生虫アニキサスに注意!

寄生虫で特に注意するのはアニキサスです、過去に有名芸能人がアニキサスで瀕死の苦しみを味わった報道を覚えている方もいると思いますが、アニキサスは体内で胃や腸を食い破り人体に多大な痛みや影響を及ぼす寄生虫です。

アニキサスはカツオやイカに寄生することで有名ですが、どんな魚や魚介類にも寄生します。たまたまデータとしてカツオやイカが多かっただけなのです。つまり天然のカンパチにもアニキサスが寄生している可能性があります。

アニキサスは熱を加えたり冷凍すれば死滅しますが、刺身で食べるためには火を通すことはできません。つまり寄生虫を考えて養殖物を選べば安全ですが、釣ってきた天然のカンパチを刺身で堪能するためには寄生虫の有無を判別する目を養うことが肝心です。

食中毒の危険性も?

腹痛
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もうひとつ釣ってきたカンパチを家庭で調理する際に、注意すべき点は食中毒です。海の魚で多い食中毒は腸炎ビブリオ菌です。

腸炎ビブリオ菌は海水の中で増殖する菌で7月〜9月の暑い時期に多く発生します。症状はひどい下痢と発熱や嘔吐などで、高齢者や体力が弱っている時には重症になりやすく、死に至る例もあります。

腸炎ビブリオ菌は熱と真水に弱いので、釣ってきたカンパチなどは調理する前に真水(水道水)でよく洗うことが大切です。火を通せば菌が死滅するので問題はないのですが、刺身で食べる場合は魚をよく洗ってから調理することと、まな板や包丁に菌をつけないようにする注意が必要です。

カンパチは刺身や焼きで美味しく食べられる!

料理
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カンパチは大型の青魚で、刺身でも焼いても煮ても非常に美味しい高級魚です。またカンパチの生態や生息域は全世界の海に分布していて、釣り人にも人気があり、様々な美味しい食べ方があります。

身の色艶が似ているブリやヒラマサとの見分け方や、美味しい食べ方のレシピ、釣ってきたカンパチを家庭で調理する際の注意点などを紹介してきました。これらを参考にしてカンパチを美味しく安全に召し上がってください。

Eiji0601
ライター

Eiji0601

元ミュージッシャン&調理師。現在はフリーのコンサート企画やチラシ等のデザイナーをやっています。音楽のジャンルはクラシックからジャズ&ポップス、特に’60年代〜’80年代ポップスが大好きです。料理は和食が得意な年齢不詳の独身男性です。

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