PC電源ユニットの寿命年数はどのくらい?
BTOパソコンや、自分で選択したパーツを組み立ててオリジナルのデスクトップのPC環境を構築した方ならば、PCの電源が入らなくなったり、放置中に勝手に電源が切れると言った症状に遭遇する事があります。
これらの不具合に遭遇したならば、電源ユニットの劣化による寿命の可能性があります。PCの電源ボタンを押しても通電しないという事は、電流を流す元の部分に不具合が発生していると考えることは実に自然です。
PCの電源ユニットには耐用年数が決められており、もちろん永久に動作し続けることはありません。それでは電源ユニットの耐用年数とは、一体どの程度なのでしょうか。今回はこのPCを構成する最も大事な部分とも言える電源ユニットの平均的な寿命と、その寿命の延ばし方や実際の電源ユニットの交換方法などを、順番にご紹介して行きます。
電源ユニットの寿命は基本2~5年
結論から言うと、一般的な電源ユニットの寿命は、ほとんどが2~5年程度だと言われています。定期的にPCのメンテナンスやアップグレードを行っている方だと、大体3年周期で電源ユニットのアップグレードを行って、不測の事態に備えています。
ただし、この電源ユニットの寿命は、中には5年を超えても安定して動作するものも多く、一概に5年以内に寿命を迎えるとも言えません。ヘビーユーザーの方でも、5年以上簡単なメンテナンスのみで好調に使っている方も多いでしょう。
それでは、PCの電源ユニットの寿命が近づいた際の症状と言うのは一体どの様な症状が起こるのでしょうか。続いては、この電源ユニットの寿命が近づいた際に良く発生する症状をご紹介して行きます。
PC電源ユニットの寿命が近いときの症状
電源ユニットの寿命が近づいてきた際の症状としては、先ず電源が入らない症状があります。PCについている電源ボタンを押してもうんともすんとも言わない場合は、電源ユニットが寿命を迎えてしまい、機能しなくなってしまった可能性があります。
電源ボタンを押しても何も起こらない、という症状の場合は何通りかの症状が考えられます。一つ目に、電源へ電気を供給するためのコードがしっかり接続されているかどうか、が考えられます。この際はPC内部の電源ユニットから出ているケーブルのコネクタもしっかりと接続されているかどうかも、合わせて確認しておきましょう。
突然電源が切れる
又、PCの起動中に電源ユニットが突然寿命を迎えるケースは、そのPC自体に深刻なダメージを与えてしまう可能性がある為、注意が必要です。
PCには様々なパーツが組み合わさり、PCが構成されています。今回のテーマである電源ユニットはもちろん、マザーボードやCPU、メモリ、冷却ユニット、HDDなどから構成されています。PCの使用中に急に電源ユニットが寿命を迎え、通電しなくなってしまうと、上記の他のパーツも巻き添えにして壊れてしまう可能性が非常に高いのです。
この症状を避けるためには、電源ユニットをグレードの高い、信頼できるパーツを使用する事が大切となります。
PC電源ユニットの寿命の調べ方
これらの深刻なトラブルを避けるため、電源ユニットの寿命が近づいた際には、早急に電源ユニットを交換する事をおすすめします。
しかし、電源ユニットの寿命と言うものは突然やってくるものであり、少しづつパフォーマンスが悪くなる訳ではないのです。つまり、ある日普通にパソコンを使えていたとしても、ある日突然にクラッシュしてしまうのです。
この電源のクラッシュを避けるためにも日頃から電源ユニットが劣化した症状を抱えていないかメンテナンスをしておく必要があります。
ここからは、電源ユニットの寿命がある程度近づいているかどうかを調べるための方法を、いくつかご紹介して行きます。
ケーブルや電源スイッチなど確認する
電源ユニットの劣化の症状を調べる際に最も簡単に行えることは、ケーブル類の接続です。プラグやコネクタが中途半端に接続された状態でPCを使用し続けることは、電源ユニットの劣化を加速させる要因になり得ます。
外側のコネクタだけではなく、ケースを開けた内側の電源ボタンにまで通じているコネクタの接続や、電源ユニット自体を固定しているネジが指定箇所にすべてしっかりと締められているのかを、先ずは確認しましょう。
必要のないUSB機器を外して電源を入れる
次に、ある程度寿命が近づいた電源ユニットは、供給している電圧が不安定になりがちであるため、PCの起動により使う電力量を最小限にして通電しましょう。つまり、バスパワー接続のUSB機器は一度全て外してからPCを起動し、接続した場合に比べPCのパフォーマンスがどれくらい変わるのかを比較してみましょう。
これらのバスパワー接続のUSB機器を接続したとたんに、PCの動作がおかしくなったり、何の警告もなしに電源が急に落ちてしまうようであれば、その症状の原因は、接続しているUSB機器の可能性が高いと言えます。USBケーブルの延ばし方にも注意しましょう。
その場合は、電源ユニットを高容量なものにアップグレードするか、USB機器を外したまま使用するようにしましょう。
放電をさせる
上記以外にも、電源ユニットからコネクタ、ケーブル類を全て外し放置しておく事は、放電させると言うもう一つの役割があります。PC内部に滞留している電気を放電させることが目的のため、接続したHDDやメモリ、ケーブル類を全て取り外してから、90秒以上放置する事で放電が完了します。
この作業の後、各パーツの接続を行い再度PCを通電させてみましょう。これで通常通りに使えるとひと先ず問題は無いですが、電源ユニットの寿命が近づいているサインにもなる為、電源ユニットの交換などを早めに検討しましょう。
電源ユニットのファンが稼働しているか
次に、電源ユニットのファンが稼働しているかを確認しましょう。電源ユニットには、ほとんどの製品において内側にファンが内蔵されており、背面から空気を送る事で空気を循環し内部の冷却を行います。
空気の循環によって冷却を行うため、PCを設置している室内の環境によって冷却効率が変わりやすいものとなっています。
例えば、ホコリやハウスダスト、たばこのヤニや微小の化学物質、ネコなどの動物の毛などが、ごみとして付着してしまうと、ファンや排出穴にそれらのゴミが溜まり冷却が出来なかったり、ファンから異音がしてしまうなど、不具合が発生してしまいます。
電源ユニットのコンデンサが経年劣化していないか確認する
コンデンサとは、電源ユニットに組み込まれているパーツのひとつです。コンデンサはキャパシタ」も言われ、電気を一時的に蓄電するパーツと言えます。この蓄電システムをつける事で、電源出力のわずかな乱れを調整することができ、劣化など様々な原因で電源ユニットの出力が落ちた際に出力低下を防ぐ事が出来ます。
全てのコンデンサには「対応温度」が設定されています。大きく分けて2種類に分かれ、「105℃」と「85℃」があります。一般的には、105℃のコンデンサの方が高価で信頼のおけるものとなります。コンデンサ自体に記載がされています。
これらのコンデンサが液漏れや膨張している際は、非常に危険となるため早急に交換するようにしましょう。
PCの内部温度を確認する
上記のコンデンサに関しても言えますが、電源ユニットの寿命を長持ちさせる最も大きな秘訣は、「温度管理」であると言えます。廃熱効率が落ち、想定以上の温度負担がもたらすPCへの悪影響は計り知れないものとなるのです。その為、PC内部の温度を把握しておくことは非常に重要となります。
外の気温によって電源が入らないときもある
また、逆に温度が低すぎる環境も、PCにとっては良くありません。極端な温度の変化は、PC内部への結露の発生や、コンデンサの低温特性により、上手く起動できない場合が良くあるのです。
低い室温の中で、暖房を入れた直後などは結露が発生しやすいため、しっかりとお部屋が温まってから余裕をもって慌てずPCを起動するようにしましょう。
電源ユニットのW数を確認する
また、電源ユニットのグレードを図る指標の一つとして、出力容量があります。この出力電力はコンセントから出力される電流に直結するため節約してギリギリの容量のものを選びがちですが、この出力容量に余裕がなければ、電源ユニットの劣化も早くなり、結果として短寿命な電源ユニットになってしまうのです。
PC電源ユニットの寿命の延ばし方
ここからはPCの電源ユニットにおける寿命の延ばし方について、ご紹介して行きます。電源ユニットの寿命を左右する要因は上記に記した通りですので、ほとんどの場合は、上記項目に気を付けてメンテナンスする事で問題はありません。
したがって、上記からもう少し深堀りして、具体的な方法をご紹介して行きます。せっかく組み立てたPCを安全に長くお使い頂くために、寿命の延ばし方を是非チェックしておきましょう。
温度に気をつける
前述したとおり、電源ユニットの寿命の延ばし方に対する第一要因は、温度管理と言えます。PCの電源ボタンを押してからBiosを起動しCPU温度を確認するか、無料で配布されている「HWMonitor」などのフリーソフトを使用して、PC内部の温度が適正に保たれているか確認しましょう。
クリーニングをする
もしPC内部の温度が適正であっても、油断しては行けません。PC背面のファンの出口や、電源ユニットに内蔵されているファンにホコリやヤニ汚れなどが付着していないか確認しましょう。もしこれらのゴミが付着していれば、エアダスターや綿棒、不織布などを用いてクリーニングしましょう。これらも寿命の延ばし方に繋がります。
エアフローをする
PCのメンテナンスを行う上でエアフローの作業は、廃熱効率を維持するために最も大切な作業の一つだと言えます。ファンや排気面だけではなくPC内部を全体的に確認し、ホコリや汚れが確認できる箇所は、全てのゴミを吹き飛ばす勢いでエアフロー処理を行いましょう。電源ユニットの寿命の延ばし方については、上記の点が守られていれば大丈夫です。
PC電源ユニットの交換方法
これまでご紹介してきたメンテナンスを施していても、やがては寿命がやってきて、電源ユニットの交換を迫られる時がやってきます。その際トラブルに陥る事が無いように、ここからは実際に電源ユニットの交換方法をご紹介して行きます。
電源ユニットの交換と聞くと大掛かりな作業が待ち受けているように感じますが、順を追って作業するとそんなに難しい作業でもない為、有事の際には、対応できるようにしっかりとチェックしておきましょう。
電源ユニットを取り外す
先ずは、PCから接続している各種の周辺機器を全て取り外し、コンセントプラグを抜き、PCのケースを取り外します。
次に、PCの内部を確認し、から延びているケーブルをたどり、マザーボードに接続している大きなコネクタと、ケースの電源ボタンやリブートボタン、前面のUSBポートへ電気を供給するためのコネクタも全て外してしまいましょう。
さいごに、ケースと電源ユニットを固定しているネジやビスを外すと、固定が外れるので、取り外せる様になります。
電源ユニットを取り付ける
電源ユニットをケーブルから取り外すことが出来れば、あとは交換用に用意した電源ユニットを付け替え、取り外した逆の順序で接続を行っていきます。
注意点としては、マザーボードについている電源のコネクタと電源から延びているコネクタの規格が一致していないとつける事が出来ません。大抵は同梱されている変換のコネクタを用い対応しましょう。
電源ユニットの選び方
電源ユニットには、様々なグレードの商品が用意されています。電源ユニットの性能に関しては、市場での販売価格と比例して高性能なものになるため、目安にすると良いでしょう。
大量の動画や音楽の編集ソフトを利用している方や、高精細なエンジンを使用したPCゲームをヘビーユースしている方には、600W以上の容量を持った電源ユニットがおすすめです。
PC電源ユニットが寿命を迎える予兆
これまでの、電源ユニットの寿命の延ばし方に記載したメンテナンスを行っていても電源の寿命はある日、突然にやってきます。ただし、注意してPCを観察していると、予兆とみられる通常とは違った挙動をするケースも多くあります。
ここからは、そのような寿命が近づいた際に現れる、PCから発せられるサインとなり得るものを、いくつかご紹介して行きます。
電源がつかないときがある
いつものようにPCを起動させようとして電源ボタンを押しても、何も起こらない。電源ボタンをしっかり押せてなかったのでは、と考えがちですが、そのような場合には電源ユニットが劣化し、反応出来ていない可能性が考えられます。
また、前述のように室温が低すぎると反応しない場合もある為、見極めが大切ですが、ボタンの押し間違いの可能性もゼロではないため、落ち着いてから、改めて電源を入れてみましょう。
放置すると勝手に電源が落ちる
次に、PCを起動し、使えていたものの、目を離したすきに勝手に電源が落ちてしまっているケースです。ゲームのプレイ中や大きなファイルの変換の待機中に電源が落ちてしまえば、ソフトウェアの要因による強制終了が考えられますが、特に何もしていない際の放置状態から突然シャットダウンし、再起動もされない場合は、電源ユニットを疑いましょう。
PC使用中にフリーズ・勝手に電源が落ちる
こちらも上記と要因としては同じです。電源ユニットに装着されているコンデンサの状態などを観察してみましょう。コンデンサに液漏れや膨張が見られれば、電源ユニットの寿命はすぐそこまで来ています。「寿命 延ばし方」などと検索するのはやめて、思い切ってユニットごと交換してしまいましょう。
電源ユニットは2~5年で寿命なので交換するのがおすすめ
この様に、電源ユニットには、いつか必ず寿命はやって来ますが、寿命の延ばし方、メンテナンス方法はたくさん存在します。日々のメンテナンスと合わせて電源ユニットにも注目し、不具合が起こっていないか日ごろから見ておきましょう。寿命の延ばし方をマスターすることで、5年以上快適に使える事も不可能ではないのです。