PC電源は性能に合ったものを選ぼう!
パソコンを自作する場合はもちろん、メーカー製のパソコンをカスタマイズする際にも使えるPC電源ユニットの選び方とおすすめ製品を見てみましょう。PC電源ユニットの選び方で大事なのは、パソコンの性能に合ったもの探すことです。
PC電源の選び方
PC電源ユニットの選び方を紹介しますが、自作するパソコンのパーツや構成をよく見たうえで選ばなければいけません。PC電源の選び方を間違えると、パソコンの安定性に悪い影響が出るので、慎重に選ぶ必要があります。
パーツ構成に合わせたワット数
まず何ワットのPC電源ユニットを選べばいいか考えてみましょう。いろいろなメーカーからいろいろなPC電源ユニットが発売されていますが、それぞれワット数が違います。そのワット数を選ぶ場合、自分のパソコンのパーツ構成との兼ね合いが大事です。
CPUの基本構成のみの場合
CPUとは、パソコンの脳に当たる部分ことで、演算処理を行います。これがなければパソコンは機能しませんが、文章作成などの基本的な用途でパソコンを使う場合は、これが基本パーツ構成となります。
CPUだけの基本構成でよければ、PC電源ユニットのワット数は400W程度で十分です。CPUにはいくつか種類がありますが、Core i3程度なら、400Wでその性能に支障は生じません。
グラフィックボードを搭載する場合
グラフィックボードは画像や映像を映すためのパーツですが、もともとパソコンのCPUやマザーボードにはオンボードグラフィックというものが搭載されています。しかし、これでは性能が劣るので、新たに独立したグラフィックボードを取り付ける場合があります。
ミドルレンジ(中堅クラスのこと)向けのグラフィックボードをパソコンに取り付ける場合のおすすめPC電源ユニットのワット数は400~600Wくらいです。できれば600Wに近いほうがいいでしょう。もしワット数をけちると、パソコンが起動しなくなる場合もあります。
ハイエンドパソコン構成の場合
ハイエンド(上級者ということ)向きのグラフィックボードやCPUを搭載しているパソコンの場合は、PC電源ユニットの必要ワット数も大きくなり、600W以上ないといけません。このクラスのパソコンになると、動画編集レベルも上がり、パワーが必要です。
取り付けられる規格
PC電源ユニットには規格が定められていて、横幅、奥行き、高さなどにより取り付けられるケースが違います。したがって、PC電源ユニットを選ぶ場合は、この規格をよく確認する必要がありますが、どのようなタイプにどの規格がおすすめなのか見てみましょう。
フルタワー・ミドルタワー
パソコンを自作する場合、使うケースのサイズがいくつかあります。主なケースのサイズは、フルタワー、ミドルタワー、ミニタワーとなっています。また、スリム型やキューブ型という形態もあります。そのケースのサイズによって、使用するPC電源ユニットの規格も違います。
デスクトップ型パソコンのケースでよく見られるのがフルタワーとミドルタワーですが、このタイプにはATX12というPC電源ユニットの規格が合っています。ATX12という規格には、使用者が多いこともあってさまざまな製品があります。
ATX12には、価格重視タイプ、大容量タイプ、静音タイプなどいろいろな製品があるので、自作パソコンの使い方や用途に応じて選ぶことができます。ATX12という規格のサイズですが、幅150mm、高さ86mm、奥行き140~180mmとなっています。
スリムタワーや小型ケース
フルタワーやミドルタワーは大きめのパソコンケースなので、それに応じた規格であるATX12がふさわしいですが、スリムタワーや小型ケースの場合は、SFX12という規格にしなければいけません。SFX12のサイズは、幅100mm、高さ50or63.5mm、奥行き100or125mmです。
パソコンケースが小さくなり、規格も小ぶりなSFX12だと、パワーと性能が劣るのではと思う人もいるでしょうが、ATX12並みのものも多く発売されています。したがって、不安になる必要はありません。
それから、規格が小さいSFX12をフルタワーやミドルタワーに取り付けることはできないのかというと、そんなことはありません。専用のプラケットを使えばいいのです。どうしてもそうしたいという人は、検討してみてください。
電源性能は「80PLUS認証」をチェック
「80PLUS認証」とは、PC電源ユニットの電源変換効率の高さを表す認証のことで、6種類の色分けがされています。その6種類とは、STANDARD・BRONZE・SILVER・GOLD・PLATINUM・TITANIUMのことで、後ろへ行くほど変換効率が大きくなります。
電源変換効率と言われてもピンと来ないかもしれないので、簡単に解説しましょう。PC電源ユニットは、交流の電力をパソコン用の直流の電力に変換するパーツですが、その際にどれくらいの割合を維持できるかを示したのが変換効率です。
用途に応じて、電源変換効率の良いものと低いものを選び分ける必要がありますが、事務用ならSTANDARD、ゲーミング用ならBRONZEかGOLD、小型か静音ならGOLD、ワークステーションならPLATINUMがおすすめです。性能を重視するなら、ワンランク上がおすすめです。
PC電源ユニットの電源変換効率が高いほうがなぜいいのかというと、消費電力が低くなり、省エネとなるからです。また、発熱量も抑えられ、パソコンの寿命が延びるほか、冷却機能をそれほど使わなくてよくなるので、静音になります。
自分に必要なコード
PC電源ユニットからはいろいろなコード・ケーブル類が出ています。パソコンのパーツにはそれらのコードやケーブルをつないで使用するのですが、自分に必要なコードやケーブルが電源ユニットにそろっているか必ず確認をしましょう。
パソコンの重要なパーツであるHDDやSSD、DVDドライブなどの接続に欠かせないケーブルの規格がSATAです。このSATAケーブルの本数は、少し余裕のあるもののほうがおすすめです。パソコンパーツの増設時に役立つからです。
ケーブル仕様について
PC電源ユニットに各種ケーブルをどのように取り付けるのかについては、3種類のタイプがあります。3種類とは、フルプラグイン、セミプラグイン、直付けのことです。それぞれ使い方が違いますが、使う人の事情でおすすめのタイプが違ってきます。
3種類の取り付け方法について説明すると、フルプラグインとはすべてのケーブルを差し込んで使うタイプです。セミプラグインは一部のみ差し込み型となっています。直付けは読んで字のごとく固定されていて、外せません。
この中で一番使いやすいのはフルプラグインです。必要なケーブルだけ差し込みができるので、ケース内がすっきりします。ただ、フルプラグインは少し高価なPC電源ユニットで使われています。価格の安さで選ぶのなら、他の2タイプということになります。
PCのATX電源おすすめ5選【400~650W】
ATXという規格のPC電源ユニットのうち、まず400~650Wタイプのものから紹介しましょう。このタイプは、CPUだけの基本構成のパソコンに適したワット数で、比較的シンプルな用途に使う場合に合っていますが、さっそくおすすめの製品を見てみましょう。
おすすめ①オウルテック・SSR-550RMS
最初に紹介するおすすめATX規格のPC電源ユニットは、「オウルテック・SSR-550RMS」です。この製品は、「80PLUS認証」のGOLD認証を取得しているので、電源負荷率が20%の時、変換効率が87%以上という高い数値を表しています。省エネ性、静音性でおすすめの製品です。
以下、電源負荷率が50%の時は変換効率90%以上、負荷率が100%の時は変換効率が87%以上となっています。効率性の非常にいい製品です。また、負荷率に応じてファン回転数が抑えられているので、ファンが静音で、冷却が効率よく行われます。
ケーブルはセミプラグインとなっています。必要最小限のプラグのみ固定され、あとは差し込み自由となっているので、ケース内がすっきりします。余計なケーブルがない分、エアーフローが良くなり、冷却性もアップします。
冷却ファンには、冷却性能が良く、寿命も長く、静音性に優れたFDBファンを採用しています。なお、ワット数については、450、550Wのほか650、750Wの4モデルあります。パソコンの構成により必要なPC電源ユニットを選べるようになっています。
そのほかにも、このPC電源ユニットには素晴らしい性能や特徴があり、105℃アルミ電解コンデンサを二次側にも採用し、製品の寿命を延ばしたり、さまざまな保護機能を搭載したりしています。おすすめ度という点では特に高い製品です。
おすすめ②コルセア・RM550x
次におすすめするPC電源ユニットは、コルセアというメーカーから出ている「RM550x」です。このPC電源ユニットも「80PLUS認証」のGOLD認証を取得しているので、電源変換効率はいいです。したがって、消費電力も低く、温度も高くならず、静音性に優れています。
また、「RM550x」のファンはライフルベアリングファンとなっていて、特別設定のファンカーブにより全負荷時でも低騒音性を実現しています。低及び中負荷時では、ファンはほぼ止まり、静音性どころかほとんど無音です。
PC電源ユニットのケーブルは、フルモジュラー式(フルプラグインのこと)なので、必要最小限のケーブルのみをつなげるようになっています。そのため、すっきとりとしたクリーンなビルドが可能となります。
「RM550x」の最大出力は550Wです。サイズはコンパクト設計となっていて、長さが160mmで、どのようなタイプのPCケースにも収まりやすいです。固体コンデンサーは、日本のメーカーの105℃コンデンサーを使っています。
なお、このPC電源ユニットは、性能がいい分、お値段が高めです。したがって、性能重視の電源ユニットを求める人におすすめしたい製品です。
おすすめ③コルセア・CX650M
同じメーカーになりますが、コルセアから「CX650M」というおすすめPC電源ユニットが発売されています。こちらのPC電源ユニットは、「80PLUS認証」のBRONZE認証を取得しているので、さらに変換効率が良くなっています。
サイズは奥行き140mmで、小型PCケースへの組み込みもできるようになっています。ケーブルはセミモジュラー式(セミプラグイン)であるうえにフラットケーブルになっているので、パソコン内が整理され、エアフローが良好です。
このPC電源ユニットのファンは120mm静音ファンとなっていて、負荷状況により制御がされます。また、本体や端子、ケーブルはすべて黒でまとめられ、落ち着いたPC電源ユニットの雰囲気を醸し出しています。
おすすめ④玄人志向・ KRPW-L5-500W/80+
いくつかATX規格のPC電源ユニットを取り上げましたが、購入価格を抑えたいという人におすすめなのが玄人志向というメーカーの「KRPW-L5-500W/80+」です。ただ、その分性能という点でが、他のPC電源ユニットよりも劣っています。
まず、「80PLUS認証」はSTANDARD認証程度になっています。したがって、これまでに紹介したPC電源ユニットよりも変換効率は低いです。また、SATA用コネクターは4つと少なめなので、設置するパーツが基本的なものだけでいいという人におすすめです。
このPC電源ユニットには105℃コンデンサーが使われているの、製品自体が悪いわけではありません。なお、このシリーズには400WのPC電源ユニットもありますが、SATA用コネクターがさらに1個少なくなり、価格が抑えられています。シンプルな自作パソコンにはおすすめです。
おすすめ⑤玄人志向・KRPW-N600W/85+
続いて、同じ玄人志向というメーカーのATX規格のおすすめPC電源ユニットをもう一つ紹介しましょう。「KRPW-N600W/85+」という製品です。こちらのPC電源ユニットは、前述のものより少しだけ値段が高いですが、「80PLUS認証」がBRONZE認証となっています。
したがって、省エネで、冷却性能もよく、静音設計となっています。また、サイズが奥行き12.5cmとコンパクト設計で、小型PCケースにもうまく収まります。このサイズだと、パソコン内部が使いやすくなり、パーツ交換などがしやすいです。
このPC電源ユニットには、フラットケーブルが採用されています。そのため、ケーブルが柔軟で、配線がしやすいです。ATX12V延長ケーブルも付いているので、電源を下に置くPCケースでも、ケーブルは十分に届きます。
PC電源ユニットのマニュアルというと、英語で書かれている場合も多いですが、玄人志向の「KRPW-N600W/85+」には日本語のマニュアルがついています。それだけに、自作パソコンを作った経験がない初心者にもおすすめのPC電源ユニットとなっています。
価格は「KRPW-L5-500W/80+」よりも高めであるとはいっても、大したことはありません。性能もよく、優れた特徴があるこのPC電源ユニットは、多くの人におすすめできます。
PCのATX電源おすすめ5選【700W以上】
同じATX規格のPC電源ユニットになりますが、今度は700W以上のおすすめ製品を5種類紹介しましょう。ハイエンドパソコンを自作する場合は、このくらいのワット数が必要になってきます。そこで、どんなおすすめPC電源ユニットがあるのか一つ一つ見ていきましょう。
おすすめ①玄人志向・KRPW-AK750W/88+
玄人志向の「KRPW-AK750W/88+」は、750Wという大容量ながらも、静音性が優れています。というのも、まず「80PLUS認証」がSILVER認証で、ファンも120mm静音ファンを採用しているからです。どのくらい静音かというと、50%以下の負荷時で19dB以下です。
このPC電源ユニットのコンデンサーは、一次側に日本メーカーの耐熱105℃のアルミ電解コンデンサー、二次側にも同じく耐熱105℃のアルミ電解コンデンサー、さらに固体電解コンデンサーを使用し、信頼性と安定性が優れています。アルミ電解コンデンサーは質が非常にいいです。
SATAコネクターは3タイプあり、PCケースの種類の違いにも対応しやすくなっています。どのようなPCケースでも配線がしやすいということです。
おすすめ②オウルテック・AS-700
オウルテックの「AS700」は「80PLUS認証」がGOLD認証となっていて、電源変換効率が抜群です。消費電力も大幅に抑えられ、冷却性能もよく、静音性に優れています。もう一つ素晴らしいのが、性能のいいICがデュアルになっていて、究極性能を実現しているとしています。
このデュアルICにより部品点数が少なくなり、PCケース内部のスペースが広がりました。そのため、エアフローが効率的になっています。おかげで消費品電力も減少し、電源の寿命も延び、おすすめ度の高い製品となっています。
このPC電源ユニットのファンは流体軸受けファンとなっています。これはボールベアリングファンよりも高性能で、スムーズな動き、静音性などの点で非常に優れています。また、矢印の形をしたアローフロー構造を取り入れ、内部の熱は上昇気流で排出されます。
おすすめ③サーマルテイク・RGB-850W
サーマルテイクというメーカーの「RGB-850W」もおすすめPC電源ユニットです。まず、Active PFC回路というものが搭載され、電源変換効率が高くなっているために、「80PLUS認証」がGOLD認証となっています。省エネ性に優れたPC電源ユニットです。
ケーブルはフルモジュラー式で、おまけにフラットタイプなので、ケーブルがすっきり収納できます。ケーブルがごちゃごちゃしていると煩わしいものですが、その心配がこのPC電源ユニットにはありません。
ファンにも面白い特徴があります。256色もの色に発光するのです。後ろ側のボタンを押すことで、発光パターンをいろいろなものに変えられます。また、組み立て時にファンをPCケースの内側に向けると、発光自体もキレイだし、冷却性能も高まります。
「RGB-850W」のファンにはまだ優れた特徴があります。それは、「Smart Zeroファンモード」に対応し、低負荷時にファンの回転が止まるようになっています。これで静音効果が期待できます。もし低負荷時にもファンを回したければ、後ろ側のスイッチで切り替えができます。
このPC電源ユニットにはほかにも性能面でおすすめできる点があります。まず、電圧制御が±2%以下と高性能です。部品選定と出力テストを厳密に行った成果です。それから、コンデンサーはすべて日本メーカーの105℃コンデンサーとなっていて、安定しています。
「RGB-850W」の価格はやや高めですが、性能の充実したPC電源ユニットを求めている人にはおすすめできる製品です。まさにハイエンド向けのPC電源ユニットと言えるでしょう。