クローゼットにカビができる原因
クローゼットの中はほとんどの場合、乾燥した室内に置いてあるため、カビが生えるというイメージは低いかもしれません。でも、クローゼットや中の衣服にカビが発生するのは珍しいことではありません。カビの原因は、身近なところにあります。
湿気
カビといえば湿気ですが、クローゼットにカビが発生するいちばんの原因も、やはり湿気なのです。湿気が上がるのは、湿度が全体に高い梅雨の時期、それから暖房を点ける冬場も、実は要注意です。
暖房を点けて室温が高くなっても、クローゼットの中の空気は冷たいままです。クローゼットの外部と内部に温度差が生じ、中で結露が起きて、それが湿気になります。冬は空気が乾燥しているからといって、油断は禁物です。
クローゼットが寝室に置いてある場合は、わたしたちの体から出る汗も、カビの原因になることがあります。就寝中は平均で500mlもの水分が、寝汗で失われます。蒸発した汗が室内の湿度を上げて、カビの発生につながります。
湿気が生じても、ひんぱんに換気が行われる場所であれば、すぐに外に出て行きます。でも、クローゼットは扉を閉めている時間が長く、さらに、扉を開けても、衣服に遮断されて中の空気が外に出づらいです。そのため、湿気がこもってしまうことになります。
ほこり
クローゼット内のほこりも、カビの大きな要因です。発生源にもなりますが、発生したカビを増殖させるというのが、ほこりの主な役割です。
というのは、ほこりは、カビの格好の餌になるのです。カビは、タンパク質、脂質、炭水化物などの有機物を餌にしています。そしてほこりの成分は、土や砂のほか、花粉、衣服の繊維、体から出たフケや垢など、有機物のかたまりです。
つまり、湿気の多いクローゼット内にほこりがたまった状態は、まさに、カビが発生し、繁殖するのに最適な環境ということになります。クローゼット内にカビが発生しやすいというのは、むしろ自然なことといえるでしょう。
クローゼット内の服のカビの対処法
クローゼットの中にカビが発生した場合、いちばん困るのは、収納していた衣服やバッグといったグッズに、カビが生えてしまうことです。ここでは、衣服にカビが生えた場合の対策を紹介しましょう。
ちなみに、カビには白カビや青カビなどいくつもの種類がありますが、衣服につくのは「白カビ」と「黒カビ」の2種類です。シンプルですから、いざという場合に備えて、対策を覚えておきましょう。
白カビであれば落とせる
衣服に生えたのが、「白カビ」であれば、対処は比較的簡単です。白カビの根はそれほど深くないので、自分で落とすことができます。ただし、時間が経ってカビが黄色く変色している場合は、クリーニングに出さないときれいになりません。早めに対応しましょう。
白カビの落とし方手順
最初に、洋服ブラシで衣服を払い、カビを取りのぞきます。繊維を傷めないように軽く行いましょう。カビの胞子が散るとほかの衣類にカビが移る原因になるため、外で行うか、作業中は窓を開けておくのがおすすめです。
ブラシで払っただけでは、繊維の中にカビの根が残ったままになるので、タオルなどにエタノールを浸し、軽く叩いてカビを拭き取ります。エタノールは消毒用のものが適しています。
これだけでカビは落ちますが、さらに酵素系漂白剤を入れて洗濯機で洗っておけば、完璧です。漂白剤は規定量で充分です。完全に乾かしてから収納しましょう。湿りけが残っていると、せっかく洗ってもまたカビの温床になります。
革素材の衣服についたカビは、重曹と水を3対1でまぜたものを布につけ、それでカビを拭き取ります。そのあと乾拭きをし、乾燥させてから収納します。
黒カビの落としかたは
黒カビは白カビよりも根が深く、繊維の奥まで入り込んでいるため、完全に落とすのは難しくなります。黒っぽい色素を作り出すため、少しでも残ると目立ってしまうのも、対策が難しい理由です。
ごく軽いものであれば、漂白剤で落ちることもあります。カビの部分に酵素系漂白剤を塗り、そのあとさらに規定量の漂白剤を溶かしたお湯につけ置き洗いします。ただし、前述のように黒カビは根深いため、目立たなくなっても、繊維の奥に残っている可能性もあります。
黒カビは、基本的にはクリーニング店に頼んだほうがよいでしょう。ただし、クリーニングでも必ず落ちるとは限りませんし、程度によっては断られることもあります。また、落ちたとしても、黒カビが繊維を浸食するので、のちのちカビの部分が傷みやすくなります。
クローゼットの中にカビがある場合
カビの部分だけを拭き取るのは、不充分。根が残るので、あとでカビが再発してしまいます。しかも、カビは胞子を出すので、見つかったときには、もうクローゼット全体に胞子が広がっている可能性が大です。きちんと対策しましょう。
消毒用エタノールを使用
クローゼットのカビも、衣服と同じように、消毒用エタノールで落とすことができます。まずは、クローゼットに収納している衣服を、すべて取り出しましょう。
それから、エタノールを含ませた布でクローゼット全体を拭きます。拭きづらい部分は、霧吹きなどでエタノールを吹きつけてもかまいません。掃除が終わったら、扉を閉める前にしっかりと乾燥させて、カビの再発を防ぎます。
クローゼットをきれいにしても、衣服にカビや胞子がついていたら、カビの温床になりますから、しまう前に必ずチェックしてください。カビを見つけたら、前述の方法で取りのぞきます。見あたらなかった場合も、エタノールを吹きつけて殺菌しておくと安心です。
エタノールでカビの除去ができるのは、エタノールがカビの細胞膜に浸透してタンパク質を変質させ、細胞を破壊するためです。もっとも殺菌効果が高いのはアルコール濃度が70%前後ですが、これはちょうど消毒用のエタノールの濃度です。
とはいえ、消毒用アルコールも万能グッズではなく、カビが作り出す色素や毒を取りのぞくことはできません。次のトピックでは、クローゼットのケア方法、除湿剤などグッズを使った予防方法などを紹介します。
クローゼットにカビを生やさない対策
衣服やクローゼットのクリーニング方法を紹介しましたが、でも、いちばんの対策は、カビが発生しないようにすることです。前述のように、カビの原因は湿気とほこりですので、これらがクローゼット内にたまらないように、しっかり対策を行いましょう。
服を多く入れすぎない
衣服をたくさんつめ込んでしまうと、戸を開けても風が入ることができず、換気がうまくできません。空気があちこちで淀んでしまい、湿気が上がる原因になります。また、衣服がくっつき合っていることで、1枚にカビが発生すると、全部に移ってしまう危険もあります。
クローゼットに衣服を収納するときは、吊るした衣服の間に隙間ができるくらいの量を目安にしてください。隙間はそれほど広くなくてもかまいません。空気が通り抜けることができればよいので、扇風機などで風を当てながら調節してもよいでしょう。
衣類は干してからしまう
クローゼットに衣類をしまうときは、しっかり乾燥させてからしまうようにします。水分が残っていたり、汗を吸収して湿り気を含んだ衣類は、クローゼット内の湿度を上昇させるもとですし、周囲の衣服にも湿気が移ります。しまう前の乾燥を習慣づけましょう。
特に注意したいのは、寒い時期に着るアウターです。汗をかいていないつもりでも、一度着た衣服は、意外とたくさんの汗を吸収しているものです。また、外に出ると、ほこりや花粉などもつきます。乾燥と同時に、ブラシで汚れを払っておくと、より安心です。
除湿剤の使用
梅雨のように湿度の高い季節、また、鉄筋のように湿気が逃げづらい住宅に住んでいる方は、クローゼットの中に除湿剤を置くのもおすすめです。プラスチック容器型のタイプが一般的ですが、シートタイプ、スティックタイプの除湿剤もあります。
クローゼットに使う場合は、プラスチック容器型の除湿剤が適しています。湿気を含んだ空気は重いので、除湿剤は下に置くようにしましょう。給水量は350mlから650mlほどです。クローゼットの大きさに合わせて、除湿剤の数を調節してください。
除湿剤の中には塩化カルシウムの錠剤が入っており、湿気を吸収すると錠剤が少しずつ溶けて、容器の中に水がたまります。使い終えたら中の水を捨ててから廃棄しますが、衣類や皮膚につくと、シミが残ったり、火傷を発症するため、注意して扱ってください。
クローゼットを開けて湿気を逃がす
クローゼットの湿気は戸を閉め切っていることも一因ですから、空気を入れ替えるだけでも、湿気対策になります。部屋を掃除するとき、などルールを設定して、定期的に湿気を逃がしましょう。ついでに窓を開けたり、扇風機などで風を送ると、より有効的です。
クローゼットのほこりを掃除する
クローゼットの中をひんぱんに掃除する方は少ないのではないでしょうか。でも、衣服の繊維や衣服に付いたゴミなど、クローゼットの中は思った以上にほこりがたまりやすいです。放っておくとカビの餌になりますから、換気のついでにさっと掃除すると、清潔に保てます。
クローゼットのカビ臭いニオイを防ぐグッズ
カビが発生すると、衣服が傷むだけでなく、独特のくさい臭いにも悩まされます。カビの臭いは、収納している衣服にも移ってしまいますから、カビ対策と同時に、臭い対策も行っておくとよいでしょう。おすすめのグッズを紹介します。
押入れのカビきれい
バイオの力でカビ菌やカビの臭いを取りのぞいてくれるグッズです。クローゼットの天井部分に貼りつけて使用するため、衣服を出し入れするときにも邪魔になりません。使用期間は4ヵ月間です。
ケースの中には微生物のバチルス菌が入っており、パッケージを開けると菌が空気にふれて活動をはじめます。菌の働きでカビ菌やカビ臭いの原因物質が分解され、徐々にカビの発生や臭いが抑制されます。
効果の現れ方、使用期間は、カビ菌の数などクローゼット内の環境によって変化します。また、防虫剤は微生物が死滅するリスクがありますので、併用は避けてください。こちらのグッズは除湿剤ではありませんので、クローゼット内の換気は必要です。
ドライペット 除湿剤 クローゼット用
クローゼット用にデザインされた除湿剤で、ポールに吊り下げて使用します。成分は塩化カルシウムと保水剤で、除湿をメインにしたグッズです。使用期間は1ヵ月から2ヵ月が目安ですが、湿度が高いと寿命はもっと短くなります。
こちらのグッズは消臭成分などは入っていません。あくまで、クローゼット内の湿気をしっかりと取り除くことで、カビやカビの臭いを軽減することをねらった、除湿剤です。そのため、使用の際は扉を閉め、できるだけ密閉した環境で使用したほうが効果的です。
タンスにゴンゴン
「タンスにゴンゴン」は、衣服の防虫剤として有名なグッズですが、防カビ成分も配合されているので、カビやカビの臭い対策としても、使用することができます。クローゼット用は吊り下げタイプになっており、衣服のカビや臭いに直接作用します。使用期間は1年です。
防カビ成分は、イソチアゾリン系の防カビ剤で、これはシャンプーや化粧水の防腐剤としても広く使われている薬品です。
防虫成分のピレスロイド(エムペントリン)は、毒性が弱く、さらにほかの防虫剤と併用することができるというのもメリットです。デメリットは、銅や真ちゅうが変色することがあることで、そこだけ注意しましょう。
アロマオイルを使った消臭剤
小さい子供がいたり、敏感肌の方は、化学系の消臭剤を使うのはちょっと不安、できれば避けたい、ということもあると思います。そうした方には、香り成分を抽出したアロマオイルをおすすめします。天然成分を使った消臭グッズなので、刺激が少なく安心です。
クローゼットに適しているのは、ティーツリーとユーカリのアロマオイル。ティーツリーは、主にオーストラリアの湿原に生息する樹木、ユーカリは、コアラの主食として知られている樹木です。
ティーツリーもユーカリも、強い消毒殺菌作用を持っており、カビ菌を除去してくれます。効能は香り成分そのものに含まれるため、クローゼット内に香りを漂わせるだけで、殺菌効果が得られるというのもメリットです。
使い方としては、ポプリに吹きつけてクローゼットに吊り下げたり、またはクローゼットの壁や床に直接スプレーしてもよいでしょう。原液のままだとはシミになるので、水で少し希釈してください。ほかには、ラベンダー、ペパーミント、レモンなども効果があります。
クローゼットはカビが生えやすく対策は必須!
クローゼットの中にカビが発生しやすい理由と、対策を紹介しました。クローゼットはカビが出やすい空間ですが、きちんと対策をすれば、カビは防ぐことができます。日頃からカビケアをして、気持ちよく衣服を使いましょう。