「サボタージュ」の意味とは?使い方や語源のフランス語についても解説!

「サボタージュ」の意味とは?使い方や語源のフランス語についても解説!

サボタージュという言葉を聞いたことはありますか。誰しも聞いたことがあるであろうサボタージュという言葉ですが、その意味を正しく理解できているでしょうか。語源はフランス語ですが、言葉の意味や類語、日本での具体的な事例を含めて紹介します。

記事の目次

  1. 1.「サボタージュ」の意味
  2. 2.サボタージュの語源とは
  3. 3.「サボタージュ」の類語
  4. 4.「サボタージュ」の使い方
  5. 5.国内におけるサボタージュ
  6. 6.「サボタージュ」は意図的に仕事能率を低下させること

「サボタージュ」の意味

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会社の上司や同僚との会話の中で「サボータジュ」という言葉が出てきたことはありませんか。頻繁に聞く言葉ではないかもしれませんが、たまに聞く機会があった時にはどんな意味なのか、どういう意図で使われた言葉なのか、あまりピンとこないことも多い言葉がサボタージュ。

よく頭の良い人が使っている言葉のような印象がありますが、次にこの言葉と出会った時にはその意味がわかるよう、最後まで読み進めてみてください。サボタージュの意味や語源を紹介するとともに、サボタージュという単語の使い方や類語も紹介します。

正しく意味を理解していただき、他の人が使っているときにスッと意味を理解して会話についていけるよう、ここでしっかりと頭に入れておきましょう。

意味①意図的に仕事の能率を低下させる

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サボタージュには主に2つの意味があります。今の日本で使われている「サボタージュ」の1つめの意味は、「 労働者が団結し、意図的に仕事の能率を落とすことで会社に損害を与え、紛争の解決を迫ること」労働者の争議行為の1つとしての行為を意味するものです。

普段耳にするサボタージュはこの意味で使われていることが多いでしょうか。会社側と従業員側が何らかの事案について争議しているような場合で、その事案についての話をしているような場合に登場するサボタージュという言葉は、この意味で使用されている可能性が高いです。

しかし、一般的にその様な状況が恒常的に発生している企業も多くはありません。そのため、よく耳にするサボタージュは別の意味で使われているサボタージュである可能性が高いと考えられます。

意味➁ 一般的に怠けること・サボる

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では、恐らくよく耳にするサボタージュという言葉の意味として考えられるのは「怠けること」です。解りやすい言葉に言い換えると「サボる」になります。

英語のSabotageには「妨害行為」という意味があり、労働者が意図的に機械や製品に損傷を加えることを指していますが、日本で使っているサボタージュにはそこまで過激な意味合いは含まれていません。

日本のサボタージュには「破壊活動」「破壊工作」の意味はなく、代わりに「怠けること」の意味を持っています。逆に英語のSabotageにはその様な意味は含まれていません。

英語が得意な方ほど、英語の意味は詳しい物ですが、日本で使用している英語には英語にはない意味を含んでいる言葉ありますので、使い方には注意しましょう。

サボタージュの語源とは

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サボタージュの語源は何でしょうか。英語にもサボタージュという単語がありますが、日本で使うサボタージュの語源は英語ではなく、造語でもなく、フランス語が語源と言われています。

フランス語を語源とするサボタージュですが、そもそもフランス語サボタージュはどの様な語源なのでしょうか。フランス語「サボタージュ」の由来には3つ説があります。1つめは「木靴(sabot/サボ)を機械に投げ込んで壊した由来から、労働者が機械を壊す恐れを揶揄した」説。

2つめは「労働者が馬車に木靴を押し当ててブレーキをかけていたことから「効率の悪い働きぶり」を揶揄した」説。3つめは労働者の履いていた木靴(Sabot)が軽蔑のこもった名称となり、「質の低い働きぶり」を揶揄して「サボタージュ」と呼んだとする」説です。

いずれも信ぴょう性は低く、確かな由来は判明していないのが実情。いずれにせよ、フランス語サボタージュの語源としては木靴が関係しているようです。

フランス語で木靴を表す「サボ」に由来

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さて先に紹介したようにフランス語サボタージュの語源は諸説あるものの、いずれの説にもフランス語で木靴を意味する「サボ(sabot)」に語源があるようです。

木靴が使われた理由は先ほど紹介した由来のとおりですが、木靴で仕事をすると効率が落ちるからや、履いている木靴で機械を蹴ってばかりいて仕事をしなかったというもの、機械が動かなかったときに木靴で叩いていたからというような説があります。

破壊を伴うような意味をもつサボタージュという言葉から、近年では木靴で機械を蹴って破壊したことを由来としてフランス語でサボタージュという言葉ができたとされる説が有力になっているようです。

サボタージュという言葉はフランス語に語源があり、更にそのフランス語のサボタージュは、木靴を意味するフランス語「サボ」に語源を持っているということです。

「サボタージュ」の類語

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サボタージュという言葉の意味や語源は分かっていただけたでしょうか。サボタージュの意味がお分かりいただけたら、次に類語や関連する言葉を紹介します。

似た意味の言葉もサボタージュと一緒に覚えておくことでより記憶への定着を促しますし、仮にサボタージュの意味を忘れてしまっても、これから紹介する類語を覚えておけばその時に意味を思い出すことのきっかけにもなりますので、併せて読み進めて記憶しておきましょう。

サボタージュの類語用語としては、会社等との争いにおいて意図的に業務を滞らせるという、1つ目の意味に近い言葉として「ストライキ」「ボイコット」があります。また「破壊活動・工作」に近い言葉として「テロリズム」があります。

ここからはサボタージュの類語として「ストライキ」「ボイコット」「テロリズム」の3つの言葉の意味を確認していきます。

ストライキの意味

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サボタージュの類語として最初に紹介するのは「ストライキ(strike)」です。ストライキは「労働者が労働条件改善などを要求し、団結して業務を停止する行為」を意味しています。

「ストライキ」は労働争議戦術のひとつで、サボタージュの類語と考えられます。サボタージュが「業務を非効率にして損害を与える」のに対し、「ストライキ」は「業務を停止する」行為です。

サボタージュは非効率にすること、つまり業務そのものは行われている状況です。一方のストライキは、業務を停止することで損害を与える行為ですので、業務そのものが行われません。ここがサボタージュとストライキの違いです。

ストライキは電鉄会社などの社会インフラを担う企業で行われることで、その企業に関与しない人たちにまで影響を及ぼすことがあります。鉄道で考えると、まったく運転していないのがストライキ。予定本数を故意に大幅に減らすことがサボタージュと解してください。

ボイコットの意味

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つづいて紹介するサボタージュの類語は、「ボイコット(boycott:英語)」です。ボイコットは「組織的にある商品を買わない。取引を拒絶する」ことを意味しており、労働争議戦術のひとつであり、サボタージュの類語であると考えられます。

「ボイコット」は主に、「商品を買わない=不買運動」という形で雇用側に訴える戦術です。労働争議だけでなく、国際社会での行動の方が印象が強いかもしれません。

主に政治問題に端を発することが多いかもしれませんが、何かしらの事故や事件が発生した際に〇〇国の商品は買わない。この様な行動をボイコットと呼びます。それ以外にも、何かをすることを集団で拒絶すること、という説明が分かりやすいでしょうか。

テロリズムの意味

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最後に紹介するサボタージュの類語はテロリズム(terrorism:英語)です。「政治的な主張を通すため、または目的を達成するために殺人や暗殺、暴力などの手段を認める主義。またはその主義に従い暴力を決行する」ことをテロリズムと呼びます。

「サボタージュ」の意味として「相手の施設への破壊活動やチャンスの妨害」を持ってはいるものの、人を傷つける活動を含んではいません。一方の「テロリズム」は、「目的遂行のためには、暴行・殺人・破壊を認める」という大きな違いがあります。

この様な違いはあるものの、サボタージュに破壊行為の意味が含まれていることから類語として紹介しておきます。テロリズムとの大きな違いは、人を傷つける活動を含んでいるか否か。総じてネガティブかもしれませんが大きな違いがあります。

「サボタージュ」の使い方

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ここまではサボタージュの意味や語源、類語について紹介してきました。サボタージュという言葉についてはだいぶ理解が進んだのではないでしょうか。さて、日本ではサボるという言葉がよくつかわれていますが、サボるもサボタージュが基になって作られた言葉と言われています。

サボタージュに含む「意図的に仕事を遅らせる」という意味から、サボると短縮した使い方をされるようになったようです。短縮されたサボるという言葉はよく使いますが、サボタージュを本来の意味での使い方をすることは最近ではあまりなくなったのではないでしょうか。

サボると比較して使われなくなったサボタージュですが、ここからサボタージュという言葉を本来の意味で使うときの使い方について紹介していきます。

紹介する言葉は少し難しいかもしれませんが、内容を読んでいただければ十分に理解していただける内容ですので、サボタージュという言葉の理解を深めてください。

サボタージュは主に3つの種類で使用される

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それではここから、サボタージュの使い方について紹介していきます。毎日でも使っている「サボる」という言葉ではなくサボタージュ本来の意味である「労働争議戦術のひとつ」である「労働者が団結して業務効率を落とし、会社に損害を与えて争議の解決を図る」ことでの使い方です。

労働争議において実施されるサボタージュには3つの種類があります。労働争議における行為としての「サボタージュ」の使い方なので、行為の種類にあたります。

文章や話し言葉としてのサボタージュという言葉の使い方としては「会社の労働環境改善を訴える為、明日から従業員によるサボタージュが行われる予定」の様な使い方になります。これは、従業員が労働環境改善を会社に要求し争議が行われている状況でのサボタージュ。

会社に明確にダメージを与えていると判る程度まで業務効率を落とすことで、労働環境改善のメッセージを会社に届けることを目的としています。

積極的サボタージュ

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最初の使い方は「積極的サボタージュ」です。積極的サボタージュは「故意に不完全な製品やロスを生んだり、設備機器等そのものを破損させたりするサボタージュ」。故意に不良品を作ることで会社に金銭的な損失を与えたり、信用を下落させてダメージを与えるのが積極的サボタージュ。

日本では、憲法28条において「労働三権(団結権、団体交渉権、争議権)」が保証されています。しかし積極的サボタージュは争議行為としては不当と見做されます。そのため、積極的サボタージュを実行することで刑事、民事共に免責を受けることはできません。

会社は金銭的もしくは企業の信用を落としてしまうというデメリットがあり、積極的サボタージュを行うことで、労働者も裁判での面積を受けられないということから、企業と労働者のどちらも損をするサボタージュであるといえます。

開口サボタージュ

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続いて紹介するサボタージュの使い方は「開口サボタージュ」です。開口サボタージュは、製品の悪評を言いふらすことで業務妨害を行うサボタージュです。

インターネット普及前後で情報量が大きく変わりました。その情報量が更に増えてきていますが、その大きな要因はSNSの普及によります。SNSの発達は情報量の拡大だけでなく、情報の拡散スピードにおいても大きな変化をもたらしました。

ご自身の携帯電話に入っているSNSツールには毎日のように、誰かが書いたもしくは引用した特定商品の良い点や悪い点、いわゆる口コミ情報が届いているのではないでしょうか。

分かりやすく説明すると、この口コミを利用し、意図的に特定商品や企業、人物の悪評を拡散させる行為を開口サボタージュと読んでいると理解していただくのが適当です。

消極的サボタージュ

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最後に紹介するのは「消極的サボタージュ」です。消極的サボタージュは「破壊行為を伴わず、ただ業務能率を落とすだけ」にとどまるサボタージュです。

先ほど紹介した積極的サボタージュを一般的に「サボタージュ」と呼びます。対してこの消極的サボタージュは「スローダウン」と呼ばれ区別されています。

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先ほど紹介した積極的サボタージュは刑事、民事免責を受けられないと紹介しましたが、消極的サボタージュは正当な争議行為とみなされていますので、刑事、民事ともに免責を受けることが可能です。

なお、公務員は争議権が認められていません。しかし公務員でも消極的サボタージュについては合法的な行為として行うことが可能です。意図的に業務効率を落として損害を与える。サボるの語源はこの辺りから来ているのかもしれません。

国内におけるサボタージュ

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最後に国内サボタージュの実例を紹介します。フランス語では「労働の質、量の低下」の意味を持つサボタージュですが、日本では「仕事を怠ける」意味で使用される機会が多いようです。

「サボる」という言葉はサボタージュが転じて生まれたと言われています。「サボる」という言葉には「怠ける、ずる休みする」などの意味が含まれており、日本ではサボタージュと「サボる」がほぼ同義として理解されています。

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そもそも日本ではサボタージュを「労働者が怠ける」という意味で使うことが多く、それが短縮された「サボる」という言葉は、当然同じ意味として用いられているからです。

では、具体的に日本で起きたサボタージュの実例を紹介していきます。2つの事例を紹介しますが、似たような事例は後を絶たずに発生しています。SNSの発達により、これらの情報も公になるようになったのも大きな変化と言えるでしょう。

日本航空やコンビニバイトテロが有名

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日本で有名なサボタージュの事例は、日本航空で発生した事案とコンビニエンスストアでの事案。コンビニエンスストアの事案はその後、「バイトテロ事件」として瞬く間にTV等でも取り上げられ、日本中に知れ渡りました。

日本航空の事案は、従業員の賃金カット、リストラに対する抗議として電気配線を切断して機能不全を起こすという事件が起きました。コンビニエンスストアのバイトテロは、アルバイト店員が冷凍庫の中に入り、商品の上に寝そべった写真を自身のSNSにアップするという事件でした。

特にバイトテロはその後も後を絶たず、飲食店や飲食物を扱う店舗を中心に多発しています。最近では従業員側に対する責任追及が強まり、損害賠償請求に発展する事案も出てきています。

しかし発生当時は、当該店舗が営業停止に追い込まれたり個人店舗では廃業に追い込まれる店舗も発生する等、大きな損害を与える事案に発展してしまいました。

「サボタージュ」は意図的に仕事能率を低下させること

Photo by Jens Rost

サボタージュについて紹介してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。よく聞く言葉でありながら、その正しい意味を知らない言葉は多い物です。

サボタージュという言葉もそのうちの1つと言えるのではないでしょうか。語源であるフランス語と少し違う意味で使われている日本でのサボタージュですが、いずれにせよ「意図的に業務効率を落としたりして企業にダメージを与え、自分たちの要求を認めさせる行為」と覚えてください。

通常時は、使用頻度の高い「サボる」と同義と捉えていただき、「業務等を意図的に怠る」ことと理解しておけば問題ないでしょう。

Randkin
ライター

Randkin

世の中の様々な事に興味を持ち、自分から積極的に情報収集を行っています。読者の皆さんが、知っているようで知らない言葉や知識。今の生活がもっと便利になるアイデアをたくさん紹介していきます。

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