「感謝の念に堪えません」の意味とは?正しい使い方を例文付きで解説!

「感謝の念に堪えません」の意味とは?正しい使い方を例文付きで解説!

感謝の念に堪えませんという言い方は、若い人たちには耳慣れない、見慣れない言葉なのでしょう。それでも感謝の念に堪えませんという言葉は社会人となれば、どのような業種であっても使う言葉でもあるのです。感謝の念に堪えませんの意味や言い換え、使い方などをご紹介します。

記事の目次

  1. 1.「感謝の念に堪えません」の意味とは?
  2. 2.「感謝の念に堪えません」の由来
  3. 3.「感謝の念に堪えません」の特徴
  4. 4.「感謝の念に堪えません」の読み方
  5. 5.「感謝の念に堪えません」の使い方
  6. 6.「感謝の念に堪えません」の注意点
  7. 7.「感謝の念に堪えません」は「とても感謝している」という意味

「感謝の念に堪えません」の意味とは?

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社会人ともなれば、敬語が使えて当然という見方をされます。学生のうちに使い慣れておけば敬語のうち、特に「感謝の念に堪えません」という言葉の使い方は簡単ではないかもしれません。「感謝の念に堪えません」と言うときも聞くときも、正確な知識を持っている必要があります。

「感謝の念に堪えません」をはじめとする敬語の中には、限られた場面でしか使われない敬語もあります。ところが、「感謝の念に堪えません」は、どのような職種であっても使うであろう敬語の一つです。「感謝の念に堪えません」の意味や読み方や使い方などを例文を使ってご紹介します。

「感謝の念に堪えません」の由来

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「堪える」という言葉は本来、ネガティブな意味で使われていました。悲しみや苦しみに対して「堪える」という言葉を使っていたのです。しかも漢詩において強調表現の一つである反語として扱われ、「我慢できようか、いやできまい」というような使い方をしていました。

中国の唐の時代の「堪える」が「我慢できない」という使い方をされており、その後「この上ない良さ」を表す使い方となり、その影響を受けて「感謝の念に堪えません」においては「抑えきれないほどに湧き出でる感謝の気持ち」という意味として使われるようになりました。

感謝

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漢字の「感」は象形文字で、「口」「マサカリ」「心臓」の三つから成り立っています。これらが「マサカリで威圧され、それに反応して口から大声を出す」、そして「心が動く」という意味を表現しています。これらが「外からの刺激を受けて、心が動くこと」を表しているのです。

「謝」は「刃物」「口」「弓矢」が組み合わさった象形文字です。刃物と口の組み合わせで「謹んで申し上げる」という意味を作り、弓矢は「言葉を放つ」という意味を作っています。ここから発して「あやまる」「礼を述べる」という意味になっていきました。

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「念」は、会意文字です。上にある「今」という部分が「覆い含む」ということを示しています。「心」は心臓を表しています。この二つが合わさって、「とあるものが、心に覆われている」という意味を作りました。この意味から発して、「いつも思う」という意味で使われています。

「感謝」と「念」をあわせた「感謝の念」という言葉は、「人にしてもらったことに対して、いつまでも気になる心から湧き出でる、感謝する気持ち」ということを意味します。「感謝の念」だけで、これだけの深い意味があり、言葉の特徴があったのです。

堪えません

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「堪」という漢字は、例えば孔子の『論語』にも登場する漢字であり、本来の使われ方は「能力があるからこそ、つらい任務にも耐えられる」という意味で使われていました。それが転じて、「我慢する」という意味になりました。

「堪えません」と打消し否定の助動詞である「ない」を伴った「堪えない」に、さらに丁寧語の「ません」を付けているのが特徴的です。敬語の一つとして「抑えようとしても、この気持ちはどうしても我慢することができません」という意味で使われています。

「感謝の念」の意味まとめ!使い方・例文や類語・言い換え表現も紹介!のイメージ
「感謝の念」の意味まとめ!使い方・例文や類語・言い換え表現も紹介!
「感謝の念」という言葉を目にしたり耳にしたりすることがありますが、「感謝の念」とはどういう意味なのでしょうか。「感謝の念」の意味や「感謝の念」の使い方の例文や「感謝の念」の類語や言い換えなど、「感謝の念」についてご紹介します。

「感謝の念に堪えません」の特徴

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「感謝の念に堪えません」という言葉は、子供のころから聞きなれている言葉ではありません。「感謝の念に堪えません」を日常会話で頻繁に使うこともありません。「感謝の念に堪えません」という言葉の特徴をとらえながら、どういうシーンに使うべきかを把握しておく必要があります。

「感謝の念に堪えません」という言葉が耳や目に入ってくるようになるのは、学生時代よりも社会人になってからが圧倒的に多いようです。大人が使う「感謝の念に堪えません」という言葉の特徴をしっかり把握し、「感謝の念に堪えません」という言葉を適切な場面で使えるようにしましょう。

敬語として使う言葉

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「感謝の念に堪えません」は敬語表現です。語尾の「耐えません」は、「堪えない」に対しての丁寧語です。丁寧語だけであれば上司や顧客以外にも使用可能ですが、「感謝の念」という言葉の意味や特徴、そして「堪えない」という言葉の語源などを加味すると、同僚や部下への使用は避けましょう。

どのような職種であっても「感謝の念に堪えません」という言葉を使う場面はあり得ますが、敬語表現である以上、「感謝の念に堪えません」という言葉を使うときは考えなければなりません。硬い表現でもあるので、形式的なものや儀式的なものや顧客に対しての文章に使うと良いでしょう。

言い換える場合は謙譲語になる

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言い換えとして「誠にありがとうございます」があります。相手に対しての感謝することの意味では言い換えとしてふさわしい言葉です。他にも言い換えとして「感謝申し上げます」という言い換えや、「御礼申し上げます」という言い換えがあります。この言い換えは謙譲語です。

謙譲語は目上に使える敬語ですから、言い換えとしては最適でしょう。他にも言い換えとして「拝謝いたします」などの謙譲語があります。また「深謝いたします」という言い換えは、スピーチなどにも使えます。改まった場面でも使える点が「感謝の念に堪えません」の言い換えとして適しています。

「感謝の念に堪えません」の読み方

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ことわざや故事成語は独特の世界観を持っているので、読み方が特殊であることもあります。また長い年月を経て、読み方が変わっていってしまったものもあります。それでも特にビジネスの世界であれば、正式な読み方をしていなければ失笑されることになりますから注意が必要です。

「感謝の念に堪えません」の言い換えは、意味から考えると数多ありそうですが、表現方法から見た場合であれば限られるでしょう。それは、「感謝の念に堪えません」がとても丁寧な言い方であり、最上級に近い表現のため簡単な言葉では言い換えられないことも考えられるからです。

「かんしゃのねんにたえません」と読む

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読み方は「かんしゃのねんにたえません」です。時折「感謝に堪えません」のように、「念」を省く読み方もあります。この読み方は誤りではありませんが、気持ちを表す意味の「念」が省かれる読み方なので「感謝の念に堪えません」を使う読み方や書き方が良いでしょう。

また「たえません」と「ひらがな」にしてしまうと、読み手が「耐えられない」という読み方をすることがあります。この読み方だと逆の意味の「感謝するなんて耐えられない」と思われてしまいます。これらを防ぐためにも、「念に」を添え、漢字で書くようにしましょう。

「感謝の念に堪えません」の使い方

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「感謝の念に堪えません」を使いこなすためには、日ごろから意識的に「感謝の念に堪えません」という言葉を使ってみることが大切です。このとき、一度間違って覚えてしまうとなかなか覚え直せなくなる危険性があるので、言葉の持つ特徴や意味や言い換えなどをしっかり把握しておきましょう。

「感謝の念に堪えません」を使う前に、例文を使って「感謝の念に堪えません」が使われるに相応しい状況などをしっかり理解しておきましょう。「感謝の念に堪えません」という表現は、職種を問わず使われています。また、「感謝の念に堪えません」は会話の中でも文章などで書く場合もあります。

例文①

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「感謝の念に堪えません」という表現が良く使われているものに、感謝状などがあります。次のような例文が分かりやすい例文となっています。「今年度の利益の拡大は、貴殿が入社以来職務に精励されたことに起因するものであり、その優秀なる成績に対して感謝の念に堪えません。」

このように、感謝状や表彰状や賞状などで「深い感謝の気持ち」を表したいときに「感謝の念に堪えません」という表現が使われています。手紙やお礼状などに使うのは「拝謝」や「深謝」という言葉を使うことが多く、硬い表現が好まれる場合に「感謝の念に堪えません」が使われています。

例文②

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「急なお知らせで大変恐縮ではございますが、この度、私共の事務所が下記住所に移転することとなりました。これまで頂きましたご厚意に対しては、感謝の念に堪えません。少しだけ遠くはなりますが、今後とも変わらぬご愛顧の程、何卒よろしくお願いいたします。」という例文です。

手紙などには「深謝」や「拝謝」などを使うことが多いのですが、あえて「感謝の念に堪えません」を使う場合は、硬い表現が好まれる場合に使用されています。敬語をともなうので、相手が目上の場合や顧客や取引先などであれば好まれます。

例文③

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私的な手紙に「感謝の念に堪えません」を使うことは少ないですが、会社からのお知らせなどには「感謝の念に堪えません」を使うこともあります。例文としては「この度は、突然のことであったにもかかわらず迅速なるご対応をいただき、感謝の念に堪えません。」というような使い方です。

会社移転などのお知らせには「感謝の念に堪えません」がしっくりくるのですが、個人単位の礼状でも「感謝の念に堪えません」を使うことができます。ただし、堅苦しい言葉とも受け止められるので、相手を選ぶ言葉です。個人的な文章で「感謝の念に堪えません」を使うのであれば注意しましょう。

例文④

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ビジネス文章の書き出しには「頭語」「時候の挨拶」「祝福の挨拶」「感謝の言葉」があります。このなかでの「感謝の言葉」において、「感謝の念に堪えません」が良く使われています。気持ちのこもった言葉というよりは、形式的な句であるといえます。顧客宛の文書などに使われています。

例文として「昨年は大変お世話になり、感謝の念に堪えません」「昨年は格別のご指導を賜りまして、感謝の念に堪えません」「日頃から心暖まるご厚意をいただきまして、感謝の念に堪えません」が挙げられます。これらはどのような職種であっても利用可能な感謝の言葉への使い方です。

「感謝の念に堪えません」の注意点

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「感謝の念に堪えません」というフレーズは日常的に使う言葉ではないからこそ、「感謝の念に堪えません」の使い方に気を付けなければなりません。特に「感謝の念に堪えません」という言葉は主に目上の人に使う敬語表現のため、間違った使い方をすると非常に失礼な結果になります。

漢字の意味から理解していれば、「感謝の念に堪えません」を間違って使うことも減ります。「感謝の念に堪えません」を「感謝にたえません」とすることもありますが、誤解される使い方です。「感謝の念に堪えません」の意味をしっかり相手に伝えるために漢字で覚えましょう。

「堪えません」の誤字

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本来は「感謝する気持ちが抑えきれない」ほどにありがたく感じているという意味で「堪えません」としているのですが、この漢字を「耐える」としてしまうことがまま見られます。「忍耐」の「耐える」では「苦痛を我慢する」という意味になり、同じ我慢でも悪い意味になります。

同じように「堪えません」を「絶えません」としてしまうこともままあります。この場合は「絶滅」の意味となるので、感謝の気持ちが減っていくという意味にもとられてしまいます。かといって、ひらがなで書くと「感謝の念に堪えません」の肝心な意味がぼやけてしまうので、漢字で覚えましょう。

目上に使う

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「感謝の念に堪えません」という言葉を同僚や部下に対して使うことは、稀です。敬語表現でも非常に丁寧な言い方なので、顧客であったり、お世話になった上司などに使うことが通常です。あえて「感謝の念に堪えません」という言葉を同僚や部下に対して使うと、嫌みに取られる危険性があります。

「ご苦労様です」のような、上から下に対して使う言葉よりは、「感謝の念に堪えません」のような下から上に対して使う言葉のほうが誤解を招くことは少ないですが、それでも硬い言葉であるために使い方には注意しましょう。過度な敬語は相手を見下した態度ともとられかねないので、注意しましょう。

大袈裟で硬い

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「感謝の念に堪えません」という言い方は、大袈裟に聞こえてしまうことがあります。親しい間柄での挨拶や手紙では「本当にありがとうございました」で十分です。「感謝の念に堪えません」は形式的な表現なので、顧客に対して使うなど、会社関係の文書やビジネスメール、改まった席で使います。

日頃の人間関係も、重要な要素となっています。たいして関与もしていない関係であるにもかかわらず、「感謝の念に堪えません」といわれると嫌みにとられることもあるからです。「感謝の念に堪えません」は少し大げさであり、硬い言葉だとした上で使うようにしましょう。

「感謝の念に堪えません」は「とても感謝している」という意味

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「感謝の念に堪えません」という表現は、感謝する気持ちを表す言葉です。しかも「感謝の念に堪えません」という表現は、非常に強い感謝の気持ちを表していて、そのため会話で使用するよりも文書で使用することが大半をしめる言葉といえます。

また、「感謝の念に堪えません」は敬語表現であるため、同僚や部下に対して使用するよりは上司など目上の人に対して使うことが多いです。例えば会社などから出される感謝状のようなものに「感謝の念に堪えません」が使われたりしています。

てぃーえむ
ライター

てぃーえむ

アメリカ在住のシニアライター。音楽と料理と酒を愛する、ばりばりインドア人間。伝えることと知ることは、すなわち勉強。人間、一生勉強です。そんなことを、つまみを作りながら、最高の音楽を聴きながら、酔っ払って思っています。

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