生活保護時に車を保有・購入する条件は?ローンや名義はどうすればよいのか解説!

生活保護時に車を保有・購入する条件は?ローンや名義はどうすればよいのか解説!

生活保護を受給中、車を保有できないことはご存知でしょうか。生活保護を受給するには、財産がないのが前提なので、車も財産とみなされてしまいます。では生活保護の受給中に車を購入できるのでしょうか。生活保護を受給してる間の車の購入や保有について解説していきます。

記事の目次

  1. 1.生活保護時の車の扱いはどうなる?
  2. 2.生活保護時に車を保有・購入できる場合がある?
  3. 3.生活保護時に車の保有・購入が認められても制限される
  4. 4.生活保護時に車の免許は取得できる?
  5. 5.車のローンを組んでいる場合・組む場合
  6. 6.車を保有・購入した場合の名義変更について
  7. 7.生活保護時における車の保有・購入は条件の把握が大切

生活保護時の車の扱いはどうなる?

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生活保護を申請したいけれど、保護を受けると車を手放さないといけないのは、聞いたことがあるかもしれません。原則としては、生活保護を受ける場合に車は所有することも、運転することもできません。しかし生活には困っているけれど、車を手放せない事情がある方も少なからずいます。そんな場合はどうなるのでしょう。

生活保護を受けても、車が保有できる、運転できる条件や手続きについて、詳しく解説していきます。

生活保護を受ける条件に「財産がないこと」がある

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地域によっては生活の足として欠かせない車ですが、生活保護を受けると車を手放さなくてはなりません。生活保護法の4つの基本原理の第4条、保護の補足性の原理では「生活保護を利用するためには、利用可能な資源や働く能力、その他のあらゆる手段を、まず活用しなければなりません」とあります。

「利用可能な資源」には、個人が所有している財産も含まれます。貯金や土地などの財産がある場合、生活保護は受けられません。ですから財産を全て処分し生活費に充て、あらゆる手段を活用しても、生活に困窮した状態を厳格に示すことが求められているのです。

生活保護時には車を売却するのが基本

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生活保護を受けるためには、財産が無いことが前提です。車を所有していることは財産とみなされます。原則として土地や貯金と同様に、車を売却したお金を生活費に充て、そのお金が底が着いた状態で生活保護を申請できます。また車を所有していると、自動車税を納めなくてはなりません。

生活保護を受ける収入の場合、自動車税に限らず、国民としての税金を支払えない収入であることが基本なので、自動車税も支払えないことは当然となります。税金のことも踏まえて、生活保護の受給者は車の所有は原則認められないのです。

生活保護時に車を保有・購入できる場合がある?

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地域や生活スタイルによっては、車がなくては生活さえ成り立たないこともあります。生活が困窮して生活保護を受けるのに、車がなくて生活がままならないとなれば、それは苦しい選択にもなりかねません。生活保護を受けている時、絶対に車を保有したり購入できないのでしょうか。基本的に、車の保有はできませんが、例外的に認められる場合もあるのです。

条件を満たすことで車の保有・購入が可能

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今まで車を所有していて、生活保護を受けることになったら車を売ってしまったとなると、色々と不便です。しかし、生活保護を受ける人が車を所有できないのは「原則」です。また必要性があれば生活保護を受けながら車を購入することも出来る場合があります。例外的な車の所有や購入を認められる場合は、どのような条件なのかを解説していきます。

条件①車がないと通勤ができない

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車がなくても電車やバスで通勤できれば、車が無くても生活に不便は感じません。しかし地方では電車やバスが無くて車じゃないと生活できない土地があります。例えばバス停まで歩いて1時間以上かかるとか、バスが1日数本しか走っていないので通勤に使えない場合など、かなり厳しい条件で明らかに通勤が不可能の場合、車の保有を認められることがあります。

条件②障害者の場合

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障害をお持ちの方が、通勤が通学、通院などに車が必要な場合、車の保有が認められることがあります。身体的な障害の方だけでなく、精神的な疾患で、人混みや電車やバスなどの空間にいられない場合、電車やバスの利用は難しいと判断され、車の保有が認められることがあります。

このような場合、身内の誰かが車の維持費を負担するなど、条件が伴うことが多いです。また通院に車を利用する場合、ガソリン代が支給されます。

条件➂住まいが田舎で病院への通院が困難

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持病のために通院しなくてはならないのに、電車やバスでの通院は難しい場合、車の保有を認められることがあります。生活保護を受ける方が何らかの持病を抱え、定期的な通院をしなくてはならないのに、電車やバスなどの公共の交通機関では難しく、身内などに車の送迎をしてくれる人がいないことと、車の維持費は身内が援助してくれることなどが条件です。

④深夜勤務等の業務に従事している者が通勤に利用する

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深夜勤務の業務に従事している場合、通勤が電車やバスの公共機関では難しいことがあります。働く時間が違うので、電車やバスがすでにない時間に通勤することがあるからです。そのような場合、車の保有を認められることがあります。ただし深夜勤務の収入が、自動車の維持費を大きく上回ることも条件とされています。

すでに保有・使用を認められている買い替え

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既に保有や使用が認められていて、その車が使用の継続が耐えられない状態となっている場合、車を購入(買い替え)することが認められます。車の使用は許可の範囲の、通院や通勤に必要な範囲のものであり、受けている保護費のやりくりの預貯金の範囲で、確実に維持していける事が条件です。購入の資金が不正な資金ではないことの調査もあります。

自動車を保有する際の注意点

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自を保有する許可を貰えても、車を保有するのはお金がかかります。その費用について、どこから賄えるのかはしっかりと説明できるようにしましょう。適切な説明が出来ない場合、生活保護費のうちの生活費から支払っていることになり、車を持っていることで生活を圧迫してしまうと判断されかねません。

また極端に価値の高い車は、保有する許可が出ていても売却の指導がされます。判断は福祉事務所によって違いますが、例えば軽自動車でも去年買ったばかりのものは、車種に関わらず高値で売却できるために指導があるかもしれません。

生活保護時に車の保有・購入が認められても制限される

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生活保護を受けているからと言っても、ある程度の条件を満たせば、車を保有することが出来ることを解説してきましたが、やはり生活保護を受けていると車の利用については制限が大きいものです。好き勝手に車を使えるわけではありません。生活保護を受けていると、車の利用を認めてもらった目的以外では車を使うことが出来ません。

仕事や通院以外の目的では使用禁止

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生活保護を受けている方が車の保有を認められる場合、利用を認めてもらった通勤や通院以外は使ってはいけないのです。ドライブなどのレジャーや、お買い物に行くのに車を利用することはできないです。ただし、実際に生活保護を受けている方が車の保有を認められると、本来の目的だけに使用している人は稀で、一般的な車の使い方をしてしまいがちです。

仕事の帰りにスーパーに立ち寄ったり、病院のついでに用を足したりすることはあるでしょう。ケースワーカーも、そこまでの追跡調査は難しいようです。しかし本来の目的以外に利用していることは、近所の人のタレコミが殆どだと言われています。

生活保護時に保有・購入しても制限を受けない方法

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生活保護を受ける方が、車を保有し続けたり購入することは原則ではNGです。認められるケースは先に述べましたが、例え条件に該当しても無断で購入してはいけません。必ずケースワーカーと相談して、車を購入しても良いという判断が降りてから購入します。無断で購入したり、他人名義の車を自分の保有することは出来ません。

しかし「半年以内に仕事を探して生活保護を受けるのを止める」という前提で、車の保有をお願いすると、生活保護を受けても車を持つことを許されるケースもあるようです。その場合運転が許可されない場合もありますので注意が必要です。

生活保護時に車の免許は取得できる?

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生活保護を受けているときに、一定の条件を満たせば車を購入したり保有できることはわかりました。それでは生活保護を受けているときに、車の運転免許取得は可能でしょうか、またその免許取得費用は支給されるのでしょうか。かなり厳しいですが、ケースによっては費用が支給され、免許取得することが出来ます。

条件付きで車の免許所得費用を支給される

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生活保護を受けている方は、原則として自動車を保有することも、運転することも禁止されています。しかし条件を満たせば自動車の免許取得は可能です。更にその免許取得費用も支給されます。もちろん運転することも認めてもらえます。条件はかなり厳しいですが、ケースワーカーが認めれば免許取得が可能です。

免許所得費用の支給の仕組み

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生活保護制度における扶助のひとつで「生業扶助」があります。生業扶助とは世帯の収入増加、または自立を助長する上で必要な費用に充てるための扶助です。

かなり特殊な部類ではありますが、生活保護を受けている方が自動車の免許取得をする場合、この生業扶助から支出されます。ただし一つの資格取得費用として77,000円(平成27年度)までとなります。

77,000円では足りず、やむを得ない事情の場合は特別基準で125,000円(平成27年度)まで支給されますが、これでは免許取得の費用として足りません。更に特別基準として380,000円(平成27年度)まで支給できることがあり、これを利用することで生活保護を受けながら自動車免許取得が可能となります。

支給が認められる条件

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生活保護を受けて、自動車の運転免許取得の費用を生業扶助の特別基準(380,000円)支給されるには「車の運転免許取得が雇用の条件等、確実に就労するために必要な場合に限る」と生活保護手帳に記されています。ただし、この解釈は福祉事務所ごとに異なり、実際はかなり難しいです。

生活保護から抜け出せる程の給与が見込める企業から内定をもらい、その際「採用には免許取得が必要」と一筆書いてもらうと、支給されやすくなります。但し、仕事には運転免許証が必要な事、確実に就労することなどをケースワーカーが調査し、決定します。

返還金になる場合もある

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せっかく取得費用を支給されても、運転免許取得が出来なかったり就職しなかった場合、支給された費用を返還しなくてはなりません。また生活保護を継続しながら就職し、すぐに辞めてしまった場合なども対象になります。返還金の対象となるかどうかは給与の額によって異なります。また生活保護を脱却している場合は関係ないので返還義務は生じません。

急に重い病気になってしまった時や、やむを得ない事情があると認められた場合は、返還金として請求されません。

車のローンを組んでいる場合・組む場合

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先立つものがなければ、許可が降りても車を保有することは出来ません。生活保護を受けていると、色々な側面から普段より難しいことが多々あります。それでは生活保護を受けている場合、車のローンを組むことはできるのでしょうか。またこれから生活保護を受けようとしているときにローンは組めるのでしょうか。

生活保護時に車のローンは組めるのか?

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生活保護を受けている段階で車のローンを組むことは、結果として生活に充てるべき生活保護費からローンの返済を行うこととなり、原則として生活保護の適用は行うべきではない」と厚生労働省が通知しています。またローンを信販会社に申請しても、本人の資力不足で、ローンの申請が通過しないことになります。

既にローンを組んでいる場合

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生活保護を受ける前から車のローンがある場合、車を保有し使用することが認められていなければ、車を売却しローンの返済に充て、残額を月々の生活保護費からローン返済します。組んだローンの支払いが残ったまま生活保護を受ける状態になると、生活状況はかなり苦しくなると予想されます。

車を保有・購入した場合の名義変更について

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それまで愛用してきた車を手放す手段として、顔がわかる相手に名義変更を考えるケースがあります。例えば友人知人、親戚などです。それまで大事に使ってきた車だからこそ、知っている人に大事にしてもらいたいという気持ちもあるかと思います。しかし車の名義変更について、受けるはずの生活保護も受けられなくなる場合があるので注意が必要です。

名義変更で考慮すべきチェック項目

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生活保護を受けるために、それまで保有していた車を手放すための名義変更は問題ありません。しかし気を付けなくては資産隠しとされてしまうこともあります。友人や知人、親戚などに、これからも使用することを前提に名義変更を行うことは禁止されています。生活保護を受けている間は、許可がなければ運転もしてはいけないのです。

資産隠しとして車の名義変更をした場合は、もちろん生活保護法によって罰せられますが、更に資産隠しを目的として車を名義変更し、役所を騙して生活保護を受給した場合は悪質とみなし刑法第246条、いわゆる詐欺罪として罰せられます。

身内と共同生活をしている場合の名義変更

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生活保護を受けるため、それまで愛用してきた自分所有の車の名義を、親戚などの身内の誰かに名義変更する場合が考えられます。しかし「まずその身内と受給者の家計は共にできないのか」とチェックされてしまいます。身内が生活に精一杯ならともかく、身内に家計を共にできるほどの経済的余裕がある場合は、生活保護自体が受けられないこともあります。

身内と共同生活をしている場合で、その身内に名義変更した場合、家の財産の扱いになるため、やむを得ない条件がない限りは認められないことも考えられます。

生活保護時における車の保有・購入は条件の把握が大切

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生活保護を受けるときの車について、保有や運転、購入や名義変更など様々なことをご紹介しました。基本的には生活保護を受けている間の車の保有や運転は認められていません。また車を保有、運転できる条件に該当する方でも、ケースワーカーの許可なく車を持てません。条件を把握し、ケースワーカーとよく話し合って許可を貰いましょう。

岩岬 実なみ
ライター

岩岬 実なみ

心理学が好きすぎて心理カウンセラーになるほどの心理ヲタク。心理学の次に好きなのはスキー(1級)年間50日程度スキーに行くために仕事はフリーランスになりました。 好きな事を追求し続けて生きてます。夫と猫3匹と同居中。

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