株の仕組み・株式投資とは
現在の低金利の時代においては、余裕資金を銀行の定期預金等に預金しても、ほとんど利息がつかない、というのが現状です。そのため、ある程度のリスクを覚悟した上で、株式投資をしてみようと考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、「株」、「株式投資」等の言葉や文字は、聞いたことや見たことはあるが、「株の仕組み」や「株式投資」の中身についてはほとんど知識がない、という方もいらっしゃるでしょう。そこで、株式投資の初心者の皆様の立場に立って、「株の仕組み」をわかりやすく解説していきます。
資金を得るために発行した株の売買
一般的に、株式投資とは、株式会社が資金を得るために発行した株の売買を行って、利益を得ようとすることをいいます。株式投資の対象となる株は、通常は、上場企業の株です。上場企業の株の売買を行うためには、証券会社に口座を開設します。証券会社としては、売買手数料の安いネット証券会社がおすすめです。
株の仕組み・初心者向けわかりやすく解説
新聞やテレビのニュースあるいはコマーシャル等において、企業の名称が出ることがあります。そのような場合、その企業は株式会社であることが多いでしょう。特に、テレビでコマーシャルを流している企業は、業績が好調で儲けている上場企業という印象があります。そして、あなた自身や親や兄弟姉妹や親類の勤務先が株式会社であることもあるでしょう。
また、購入した商品のパッケージに「株式会社」や「(株)」の文字を目にすることがあります。このように、株式投資の初心者であるかどうかにかかわらず「株式会社」は、身近な存在です。
しかし、そもそも「株」とは何かや、「株の仕組み」について考えることは、少ないかもしれません。それでは、「株」や「株の仕組み」とは、どのようなものなのでしょうか。初心者の皆様にもわかりやすく解説してゆきます。
株とは?
何かしらの事業を始めようとする時には、会社を設立して事業を始める場合があります。例えば、売れそうな商品のアイディアを思いついたので、商品化して販売して儲けたいというような場合があります。その際には、事業のための資金が必要になります。
しかし、必要な資金と比べて、保有している資金が充分でない場合があります。そのため、銀行からの借り入れや債券以外にも、株式を発行して資金調達が可能な株式会社を設立することがあります。
株式会社が資金を集める為に発行する証明書
「株」とは、株式会社が事業に必要な資金を集める為に発行する証明書のことをいいます。株式会社は、投資家が株を購入したことにより得られた資金をもとにして有望な新規事業を開始したり、事業を拡大することができます。「株の購入」は、その株式会社に出資し、事業資金を提供していることになります。
株の仕組み・株式投資のメリット
株式会社には、株式を発行することにより、必要な資金を調達することができる、というメリットがあります。一方、株を購入する投資家側からの株式投資のメリットとしては、どのようなものがあるのでしょうか。
もしも事業が失敗して会社の業績が悪くなれば株価は値下がりし、最悪の場合には会社が倒産して投資資金を回収できなくなる恐れもあります。したがって、それ相当のメリットがなければ株を購入して資金を提供する投資家は現れなくなってしまいます。
株の仕組みを理解する際に、株式投資のメリットを知ることは、株式投資の初心者にとって、とても有意義でしょう。
①株式の売却益が期待できる
株式投資の第一のメリットは、株式の売却益が期待できるということです。株式投資の初心者の皆様にもわかりやすく説明すると、次のとおりです。
株式市場において、株の価格である株価は、一定ではなく常に変動しています。1日の中でも変動しますし、昨日と今日の間でも変動します。特に、業績発表の前後には株価が大きく変動する場合があります。また、株価の変動率が比較的大きい銘柄もあります。
したがって、株を安く購入して高く売却すれば、儲けることができます。特に、株価の変化率が大きい銘柄については、短期間で配当金を上回るような売却益を得て儲けることが可能です。但し、思惑が外れて含み損を被る場合もありますので、注意が必要です。
②配当金・株主優待を受け取れる
株式投資の第二のメリットは、配当金や株主優待を受け取れるということです。株式投資の初心者の皆様にもわかりやすく説明すると、次のとおりです。
配当金とは、株式会社が得た利益の一部であって、株主に対して分配される金銭のことをいいます。配当金の額は、株主が保有する株数に比例して大きくなります。配当は、一般的には、年1回か2回行われる場合が多いです。利益が得られなかった年度には、配当が行われない場合があります。
東京証券取引所によれば、東証一部上場企業の単純平均配当利回りは約1.88%(2019年3月時点)です。配当利回り3%以上の銘柄も存在し、一般的には、高配当銘柄といわれています。
株主優待とは、配当金とは別に、株主に対して提供される、その会社の製品やサービス等をいいます。株主を増やしたり、株式の長期的な保有を目的として、多くの企業が実施しています。但し、株主優待の内容や、株主優待を実施するかどうかは、各企業の自由です。
株主優待としては、例えば、食事券、割引券、クオカード等があります。株主優待の内容は、通常、株主が保有する株数が多くなると手厚くなります。なお、株主優待の内容によっては、換金可能なものもあり、換金して儲けることもできます。
③企業経営に参加できる
株式投資の第三のメリットは、企業経営に参加できるということです。株式投資の初心者の皆様にもわかりやすく説明すると、次のとおりです。
株式投資をして株式会社の株を保有して株主になると、株主総会に参加して議決に加わる権利(議決権)を行使することができます。一般的には、剰余金の処分や取締役の選出等の議案について、賛否のいずれかを選択することにより議決権を行使することができます。このようにして企業経営に参加できることになります。
但し、議決権の数は、株主が保有する株数に比例して多くなります。したがって、企業経営の方向性は、大株主が左右することになります。
なお、株主総会では、株主は、会社側から事業報告等の情報を直接聞くことができ、また、会社側に直接質問して回答を得ることができる場合もあります。
株の仕組み・株式投資のデメリット
以上のように、株を購入する投資家側からの株式投資のメリットを説明してきましたが、逆に、株を購入する投資家側からの株式投資のデメリットはあるのでしょうか。株式投資のメリットだけではなく、株式投資のデメリットも把握しておくことにより、株の仕組みを予め知っておくことは、株式投資の初心者の皆様にとって有意義でしょう。
①初期投資が高い
株式投資の第一のデメリットは、初期投資が高いということです。株式投資の初心者の皆様にもわかりやすく説明すると、次のとおりです。
銘柄にもよりますが、投資信託の場合は、一万円前後で購入できます。ネット証券会社では、100円以上1円単位で購入できる銘柄もあります。したがって、比較的小さい金額でも投資を開始することができます。
これに対して、テレビのコマーシャル等で有名な儲けている上場企業の株の購入金額は、比較的高い場合が多いので、初期投資に必要な金額が比較的高い場合が多くなります。
2019年7月12日の終値に基づいた最低購入代金(購入手数料を除く)は、例えば、NTTドコモ(9437)が261,500円であり、資生堂 (4911) が822,600円であり、日立 (6501)が403,500円です。
②思うように売買が成立しない事も
株式投資の第二のデメリットは、思うように売買が成立しない事もあるということです。株式投資の初心者の皆様にもわかりやすく説明すると、次のとおりです。
株の取引は、東京証券取引所で行われています。株価は、取引時間中に時時刻刻変動します。株式投資で儲けるためには、できるだけ安い値段で株を購入してできるだけ高い値段で株を売らなければなりません。
したがって、有望な銘柄を見つけたら、儲け易い安価な株価になるまで待つ必要があります。しかし、有望な銘柄であればあるほど安い株価で購入する取引は困難になり、売買取引が成立しないままになります。
一方、有望な銘柄であっても、中途半端な株価で購入すると、購入後にさらに株価が下落してしまい、買った値段よりも充分に高い値段で売る取引が困難になる場合があります。
③投資初心者にハードルが高い
株式投資の第三のデメリットは、株式投資の初心者にとってはハードルが高いということです。株式投資の初心者の皆様にもわかりやすく説明すると、次のとおりです。
日本取引所グループによれば、2019年7月11日において、上場会社数は、東証一部が2,150社、東証二部が489社、マザーズが292社であり、非常に沢山の銘柄があります。これらの銘柄の株価は、取引時間中において変動します。また、決算や業績の発表により株価が大きく変動する場合があります。
したがって、これらの銘柄の中から売買取引によって儲けられる銘柄を見つけ出すことは容易ではありません。
また、短期の売買取引で儲ける場合は、株を購入した後に株価の変動にも注意する必要があり、いつどの程度の株価で売るべきかの判断は、初心者にとって容易ではありません。
株の仕組み・株式投資の始め方
株式投資のメリットとデメリットを把握しておくことにより、株の仕組みを理解することができたでしょうか。次は、株式投資の始め方について説明します。
株式投資を始めるためには、具体的に何が必要になるのでしょうか。また、株を購入するためには、どのようにすれば良いのでしょうか。株式投資を始める前の初心者の皆様にとっては、わからないことばかりですので、わかりやすく説明します。
株式投資の必要資金
株式投資に必要な資金は、購入したい銘柄によって変わります。株式投資の初心者の方であれば、投資資金の上限を決めておき、買える範囲内で最も有望な銘柄を選択することが考えられます。
近年、100株単位で購入可能な銘柄も増えており、例えば、3万円程度から10万円程度の範囲で購入可能な銘柄がありますので、この範囲内で有望な銘柄を見つけてみてはいかがでしょうか。儲けられそうな銘柄が見つからないという場合は、より多くの投資資金を用意することも考えられます。
2019年7月12日の終値に基づいた最低購入代金(購入手数料を除く)は、例えば、三菱UFJフィナンシャルG(8306)が52,760円であり、日産自動車(7201)が77,540円であり、三越伊勢丹HD(3099)が91,200円です。
株式・購入の流れ
次に、株式投資をする際に、どのようにして株を購入すればよいかについて、株式投資の初心者の立場に立って、証券会社に口座を開設する時点から、実際に取引が成立して株を購入するまでの流れについて、具体的に説明します。株を購入するまでの流れを知れば、株式投資を始めるまでの距離もグッと縮まることでしょう。
①証券会社に口座を開設
第一段階は、証券会社に口座を開設する段階です。証券会社としては、売買手数料の安いネット証券会社がおすすめです。また、「特定口座」か「一般口座」のいずれかを選択することになりますが、初心者ならば「特定口座(源泉徴収あり)」を選択することがおすすめです。
「特定口座」にすれば、証券会社は、1年間の株の売買取引の利益または損失について計算します。そして、その内容をまとめた「年間取引報告書」を作成してもらうことができます。「年間取引報告書」は、確定申告をする際に利用できます。
また、「特定口座(源泉徴収あり)」の場合、証券会社が投資家本人の代りに税金を納めますので、確定申告は不要になります。但し、必要な場合は、確定申告をすることもできます。
②口座にお金を入金
第二段階は、証券会社の口座にお金を入金する段階です。例えば銀行や郵便局等から、口座を開設した証券会社の口座に投資資金を予め振り込むことが必要になります。証券会社の口座への振り込みが確認されると、証券会社における自分自身の口座の残高(預り金)として反映されます。
現物株の購入取引をする場合、通常は、証券会社における自分自身の口座の残高(預り金)の範囲内で行うことができます。
なお、株の取引の仕方として、現物株の取引の他に、少ない資金でも大きな取引が可能な信用取引もありますが、初心者は、現物株の取引だけにとどめておきましょう。
③購入する銘柄選び
第三段階は、購入する銘柄を選ぶ段階です。具体的な銘柄選択方法としては、各ネット証券会社に口座を開設すると、銘柄を検索するための独自のスクリーニング機能を使用できますので、それを利用して銘柄を選択することができます。
スクリーニングを行う際に使用する株価指標の代表的なものとしては、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)があります。PERは、一般的に、10倍以下が割安ということになっています。PBRは、一般的に、1倍以下が割安ということになっています。
また、ネット証券会社によっては、チャート形状での検索も可能なことがありますので、今後値上がりが期待できる銘柄を選択することができます。
口座を開設した証券会社のスクリーニング機能を利用して、初心者でも儲け易い有望な銘柄を選択しましょう。
④注文を出す
第四段階は、株を購入する買い注文を出す段階です。基本的な注文方法としては、成行注文と指値注文があります。
成行注文は、買値よりも注文した時点の時間を優先して、買い注文を出して取引を確実に成立させようとする際に行われています。したがって、予想より高めの株価で取引が成立する場合があります。
これに対して、指値注文は、時間よりも買値を優先して、買い注文を出してなるべく安い株価で取引を成立させようとする際に行われています。したがって、取引が成立しない場合があります。
なお、証券会社によっては、基本的な成行注文と指値注文以外にも、逆指値注文やW指値注文等のように、その証券会社独自の特殊な注文方法が可能な場合があります。
⑤取引成立
第五段階は、株を購入する買い注文の取引が成立する段階です。この取引の成立によって、現物株を保有することができます。取引が成立した場合、株の購入代金の他に、証券会社に手数料を支払う必要があり、預り金から差し引かれます。また、株を売却する取引の際にも手数料がかかります。
したがって、株の売買取引で儲けるためには、証券会社への売買取引の手数料を含めた買値の金額を超える株価で売却して利益を出す必要があります。
なお、楽天証券や松井証券のように、1日の取引金額が10万円までの場合、手数料が無料になる証券会社があり、株式投資の初心者におすすめです。
これらの証券会社では、手数料なしで購入した場合、買値を超える株価で売却するだけで儲けることができるので、儲けるための売値をわかりやすく決めることができます。
株の仕組み・株価の変動理由
株の取引は、東京証券取引所等において取引可能な時間帯(午前9時~11時30分、午後12時30分~15時)で行われており、株価は常に変動しています。このように取引可能な時間帯に株価が変動するからこそ、株を安く買って高く売り儲けることができるわけです。
したがって、株価の変動理由を知ることは、株の仕組みを理解する上で重要なことですので、株価の変動理由をわかりやすく説明します。
需要と供給のバランスが重要
株価は、需要と供給のバランスによって決まり、また、変動します。すなわち、ある特定の銘柄の買い注文の株数が売り注文の株数より多くなり、需要が供給を上回れば、株価は上昇します。
一方、株価が上昇するにつれて、通常は、その特定の銘柄の買い注文の株数が減り、逆に売り注文の株数が増加する傾向があります。そのため、その特定の銘柄の買い注文の株数が売り注文の株数より少なくなり、需要が供給を下回れば、株価は下落します。
したがって、株の売買取引をする際には、需要と供給のバランスに注目することが重要です。株の需要と供給のバランスに影響を与える要因として最もありがちなことは、企業の業績発表でしょう。企業の業績発表により、株価が急上昇または急落する場合があります。
株の仕組み・利益の出し方・売却方法
株の売買取引で儲けるためには、株を購入した後に、売買手数料を含めた購入価格よりも高い価格で株を売却する必要があります。
したがって、利益を出すための具体的な売却方法を知ることは、株の仕組みを理解する上で重要なことですので、利益を出すための具体的な売却方法をわかりやすく説明します。
売却方法は購入時と同じ流れ
株式を売却する場合、基本的に購入するときと同じ流れで行います。すなわち、最初の段階は、株を売却する売り注文を出す段階です。基本的な注文方法としては、成行注文と指値注文があります。成行注文と指値注文の内容は、買い注文の場合と同様です。
株価の値動きを見て、確実に売りたい場合には、成行の売り注文を出します。また、確実に利益を出して儲けるためには、指値の売り注文を出す必要があります。
ここで、売却によって利益を出すためには、証券会社への売買取引の手数料を差し引いても利益が出る売値で売り注文を出す必要があります。
最後の段階は、株を売却する売り注文の取引が成立する段階です。この取引の成立によって、保有していた株を現金化することができます。取引が成立した場合、証券会社に手数料を支払う必要があり、口座から差し引かれます。
儲けが出たら売却と自分のルールを決めておく
株の売買取引の初心者にとって難しいことは、購入した株の株価が上昇した場合に、どの程度の儲けで売却すればよいかの判断ではないでしょうか。
最大限に儲けるためには、当面の株価のピークで売りたくなるものです。株価が上昇を続けている間は、安心して保有できます。しかし、前日より株価が下がった場合には、前日に売却しておけばよかったという後悔が生まれがちです。そして、明日はまた値上がりするかもしれないと期待して保有してしまい、売り時を逸してしまう場合があります。
したがって、ある程度の儲けが出たら売却するという自分のルールを予め決めておく、ということが重要です。例えば、5%の儲けが出たら売却するという自分のルールを予め決めておき、そのルールを守って売買取引を行い確実に儲けを出して行きましょう。
仕事で忙しい初心者が株式投資をするための方法の一例
よくデイトレーダーの儲け話等を聞くことがあるかもしれません。しかし、勤務先があって昼の仕事を持っているサラリーマンやOLの方が、デイトレードを行うわけにも行きません。
そこで、仕事で忙しい株式投資の初心者であるサラリーのマンやOLの方が株式投資をするための方法の一例を、わかりやすく説明します。
高配当の銘柄の売買を行う
高配当の銘柄とは、一般的には、1年間の配当利回りが3%以上の銘柄のことをいいます。このような高配当の銘柄は、ネット証券会社のスクリーニング機能を使用することにより見つけることができます。高配当の銘柄のスクリーニングは、休日に行うことができます。
配当利回りが高いほど株価が高くなりやすいので、売却により儲ける可能性が高くなります。仕事で忙しい方は、指値の買い注文を出しておくことにより、仕事をしながら株を購入できます。また、指値の売り注文を出しておくことにより、仕事をしながら株を売却して利益を出し儲けることができます。
仕事で忙しい方でも昼休みに株価チェックができれば、その際に株の売買取引が可能です。なお、購入後に株価が下落した場合でも、高配当の銘柄ですので、銀行の定期預金よりも充分に高い配当金を得ることができ、長期的には挽回できる可能性が高いでしょう。
株の仕組みはポイントを押さえて覚えていこう!
以上のように、株式投資の初心者の皆様の立場に立って、「株の仕組み」をわかりやすく解説してきましたが、いかがだったでしょうか。株の仕組みは、上述のいくつかのポイントを押さえて覚えていきましょう。そして、株の仕組みを覚えた上で、実際の売買取引を行って儲けることができれば、新たな可能性を見出すことができるかもしれません。