グラボの性能比較したい人必見
パソコンのパーツの中でも、グラボは比較的近年になって多くの注目をあつめたパーツとして知られています。その最たる理由は暗号資産によるマイニングの影響が大きく、大幅な株価の急騰と中古市場への流入などが多くのゲーマーに受け入れられました。
そんなグラボ事情から早くも3年が経過し、いよいよあたらしい世代のグラボが次々と現れています。下火になったとはいえマイニング需要も継続しているグラボの性能を、まとめて性能比較し、皆様にお届けします。
各グラボのベンチマーク結果表、GPUの性能表などなど、コスパの高い2020年最速でお届けするおすすめのグラボなどもまとめてご紹介します。
性能比較の前にグラボについておさらい!
とはいえ、まずは基本的なことからおさらいをしておきましょう。グラボの性能比較を表としてみるにしても、何を基準にどのようにして判断すればよいのかを知る必要があります。
つまり、グラボとは何なのか?どんな役割を持っているのか、どのようにして動いているのか、その動きの性能をどのようにして表しているのか、それぞれの性能が表す意味はどういったものなのか?
グラボの性能比較を行うに当たって把握しておくべきことをそれぞれご説明します。かなり専門的な内容もありますが、なんとなくの雰囲気で覚えていてもらって構いません。
グラボ=グラフィックボード
グラボとは「グラフィックボード」の略称です。グラフィックを担当しているボードという意味からグラフィックボードとなり、単純に略されてグラボとして定着しています。ほかにもグラフィックを担当する集積回路として意味から「GPU」と呼ばれることもあります。
厳密にはGPU回路に処理用の専用メモリーを組み込んだパーツなので、GPUだけでは本来の意味とは微妙に異なります。ビデオカードとして呼称されることもあり、どちらも基本的には同じ意味となります。
画面の描画を行う装置
グラボ(グラフィックボード)は文字通りGPUを使ってパソコンやさまざまな電子機器のコンピューターグラフィックスを演算処理し、描画するための専用の回路を積み込んだパーツです。パソコンではさまざまな演算処理が行われていますが、基本的には同じ処理を繰り返します。
それは計算です。0と1を無数に計算し続け、ユーザーが求める答えを差し出す為に延々と計算を繰り返しています。その中で、グラフィックに分類される計算を肩代わりして計算している機械、それがグラボ(グラフィックボード)なのです。
必ずしもグラフィックに関係することだけを計算し続ける機会というわけではありませんが、それについては後ほど説明します。
高性能グラボが必要な人って?
高性能なグラボ(グラフィックボード)を必要とする人というのはいくつかの分類に分けられます。逆に言えばこのようなことをしようと思っている人にとってグラボ(グラフィックボード)は必須となります。
どのようなことをする人がグラボ(グラフィックボード)の中でも高性能なものを必要とするのでしょうか。それぞれの特徴をご紹介します。逆に言えばこのようなことをしない人達にとってグラボ(グラフィックボード)は必要ではありません。
余計な出費を抑えるという意味では、これから紹介するようなことをしない人はグラボ(グラフィックボード)をわざわざ購入する必要はないでしょう。
映像を高画質で楽しみたい人
高画質の動画や映像作品を可能な限り美しいグラフィックで楽しみたいのであれば、グラボ(グラフィックボード)の中でもなるべく良いものを搭載したパソコンのほうが、より良い映像を楽しむことができるようになります。
特に4Kのようなモニターのドット数そのものが大きな画面は、映像を表示するためのパワーをとてもたくさん必要とします。そのような大きな映像を美しく表示するためには、グラボ(グラフィックボード)のような専用のパーツを装着したパソコンが必要です。
マシンパワーが足りていなければ、映像はカクカクと表示されて正しく表示されることはありません。もしも現状で動作が悪いようならグラボの導入をおすすめします。
ゲームなどをする人
映像を美しく表示させるという意味では高画質で楽しみたい人よりもさらに多くのパワーを必要とするのが、最新のゲームなどを楽しむ場合です。最新のゲームをストレスなく楽しもうと思う場合、同じく最新のグラボ(グラフィックボード)を条件とすることもあります。
場合によってはグラボ(グラフィックボード)1枚だけでは足りずにデュアルというセッティングを行うことによってようやくストレスなくゲームを遊べるようになるというようなスペックを必要とする場合もあります。
特にプロゲーマーと呼ばれるような人たちは、まさしく最新のグラボ(グラフィックボード)とCPUやメモリやマザーボードといった、パソコンそのものを全てトータルで最新のものでセッティングさせることが多いです。
イラストを描く人
イラストレーターやグラフィッカーと呼ばれる人たちにとっても、グラボ(グラフィックボード)はとても大切な役割を持っています。イラストレーターやグラフィッカーにとって、とにかく非常に大きな画像を細かく調整することができるというのはとても大きな強みです。
コンピューターの世界において、小さなグラフィックを大きくするのは簡単ですがとてもグラフィックが荒くなります。つまり不可逆式なので商品としてグラフィックを用意するのであれば、そのサイズは大きければ大きいほど良いとなります。
ですのでおすすめはあらかじめOpenGL系の処理に優れたPCを購入するか、本体メモリの増設を前提とするか、といった機能の拡張の方向性が一般的です。
しかしコンピューターの世界においてグラフィックのサイズが大きければ大きいほど、マシンパワーに大きな影響が与えられます。つまり、中途半端なパワーではそれほど大きなグラフィックを処理できなくなるのです。
そこでそうした大きなグラフィックを処理する為にグラボ(グラフィックボード)を必要とするのです。ちなみに一般的なゲーム用のグラフィックスと、業務用と呼ばれるグラフィックスで用いられるアーキテクチャは別物です。
マイニングをする人
現代におけるマイニングの主流はASICと呼ばれる特殊な専用機械を用いて行われています。しかし中には、CPUの演算処理能力を用いたマイニングや、GPUの性能を利用したマイニングもまだまだ主流の暗号資産もあります。
有名な所で言えば、日本が発祥と言われている「MONACOIN」や今後アルゴリズムのハードフォークが予定されている「ETHEREUM」などがそうです。これらの暗号資産はグラボ(グラフィックボード)によるマイニングが主流です。
そのため、これらの暗号資産が高騰するに従って、世界的なレベルでグラボ(グラフィックボード)への需要が高まる傾向にあります。グラボを使ったマイニングには適切なコンセンサスアルゴリズムがあります。おすすめは専用のGPUを購入することです。
動画編集をする人
ユーチューバーのような動画の編集をする人もグラボ(グラフィックボード)を使ったGPUによる強力な動画編集能力や画像編集能力を必要とします。動画の編集を行うにあたって、コンピューターグラフィックスを大量に処理する必要があります。
そのようなたくさんの絵を同時にしかも和やかに処理しようとすると、グラボ(グラフィックボード)を搭載したパソコンは絶対に必要になります。多彩なエフェクトをかけたり、動画同士をつなぎ合わせたり化されたりすることで大量のグラフィックメモリを消費します。
基本的には opengl と呼ばれるグラフィックスエンジンを使用していますが、ゲームで使われているグラフィック演算エンジンと、3Dモデリングや動画編集などに使われるGraphics Engineとはまた別物であるということも重要です。
3Dモデリング
いわゆる3Dモデラーと呼ばれる人たちです。非常に強力な3Dグラフィック描画能力を持ったパソコンを必要とします。そのためグラボ(グラフィックボード)は必須となり、そのほとんどの場合に一般的に販売されているグラフィックボードではなく、プロ用のグラボを使用します。
プロフェッショナル用のグラボ(グラフィックボード)は、一般的に販売されているゲーム向きのグラフィックボードとは違い、Open-GL系のグラフィック処理能力に特化しており、その価格帯も一般向けの10倍以上の価格で流通しています。
グラボの性能比較①メーカーごとの特色
グラボ、つまりGPUメーカーには大きく分けて二社が現在のシェアを二分しています。ひとつはGeForceシリーズでゲーム業界を、Quadroシリーズで業務用のシェアを握る「Nvidia(エヌヴィディア)」です。
ゲーム専用機と題されるパソコンの多くはNvidia製のグラボもしくはGPUを搭載しているものが多く、店頭でもハイエンドと呼ばれるパソコンの多くがNvidia製のGPUを搭載していることがほとんどの人気グラボです。
ひるがえってもう一社はCPUを主に製造しているメーカーで、同時に製造しているグラフィックボードの独特なアーキテクチャとM/BからCPU、そしてGPUに至るまでフルカスタムで組んだ場合の安定性に定評のあるAMD社製のRADEONシリーズです。
ゲームならNVIDIA
Nvidiaが製造するゲームプレイに親和性の高いグラボ「GeForce」ですが、これは各ソフトウェアメーカーが、GeFroceを使った場合のゲームプレイについて補償していることが、高い親和性の要因として考えられます。
かならずしも全てのゲームがNvidiaのGeFroceをベースとして開発を行っているというわけではないのですが、多くの有名タイトルがGeForceシリーズを使ったゲームエンジンの開発を行っているという点が、GeForceシリーズがゲームに相性が良いと言われる理由です。
実際にも有名なタイトルを遊びたいと思うのであれば、GeForceシリーズのグラボを購入しておいて間違いはないでしょう。既製品のパソコンに増設するならNvidiaがおすすめです。
色んな用途で使うならRadeon
AMD社が製造している一般向けグラボとして販売されているRadeonはそういった意味ではゲームとの相性があまり良くないと思われがちですがそういうわけではありません。むしろ、CPUからマザーボード、そしてグラブに至るまですべてをAMD社製で組むと驚くほどの安定性を生みます。
そうした総合的な開発を行っている会社であるという点を理解した上で、RadeonやFireシリーズを評価すべきでしょう。ゲームやパソコンの安定した動作を求めるならば、AMD製品でフルカスタマイズしてみることをおすすめします。
グラボの性能比較②ベンチマーク別GPU性能比較表
それでは2020年2月の時点で各GPUの性能比較表をベンチマークで算出した結果について、その概要をご紹介します。グラボのベンチマークには、描画性能を計測するスコアとして表記されます。
これから紹介するベンチマークスコアは「3840x2160」「2560x1440」「1920x1080」の三種類の画素サイズごとにDirectX12と11を計上基準として「ゲームの」性能を推し計った結果です。OpenGL描画を対象にしたものではないのでご注意ください。
[DX12_3840x2160] Time Spy Extreme
DirectX12での3840x2160ピクセル描画におけるベンチマークの性能比較では、TOP5がそれぞれ「TITAN V」が5737点、「GeForce RTX2080Ti」が5706点、「GeForce RTX2080 SUPER」4774点、「GeForce RTX2080」が4645点、「GeForce RTX2070 SUPER」が4364点という結果になっています。
続いてAMDのGPUのベンチマーク性能比較TOP5は、それぞれ「Radeon VII」が4121点、「Radeon RX Vega 64」が3367点、「Radeon RX Vega 56」が3106点、「Radeon RX5700XT」が3731点、「Radeon RX5700」が3436点という結果になっています。
[DX12_2560x1440] Time Spy
続いては2560x1440ピクセルでの性能比較表です。ベンチマークのTOP5ですが、「NVIDIA TITAN RTX」が12972点、「NVIDIA TITAN V」が10983点「NVIDIA TITAN X」が8223点、「GeForce GTX TITAN X」が4642点、「GeForce RTX2080Ti」が12152点となっています。
そしてAMDのGPUチップのベンチマークのTOP5一覧表がそれぞれ、「Radeon VII」が8652点、「Radeon RX Vega 64 liquid」が7388点、「Radeon RX Vega 64」が6670点、「Radeon RX Vega 56」が6374点、「Radeon RX5700XT」が8102点という性能比較になっています。
[DX11_3840x2160] Fire Strike Ultra
さらに今度はDirectX11での性能比較です。Nvidiaのベンチマーク表のTOP5はそれぞれ、「NVIDIA TITAN V」が7441点、「NVIDIA TITAN X」が6656点、「GeForce GTX TITAN X」が4219点、「GeForce GTX TITAN」が2395点、「GeForce RTX2080Ti」が7971点となっています。
ひるがえってAMDチップのベンチマーク表TOP5は、「Radeon VII」が6591点、「Radeon RX Vega 64 liquid」が5761点、「Radeon RX Vega 64」が5177点、「Radeon RX Vega 56」が4810点、「Radeon RX5700XT」が5935点となっています。
[DX11_2560x1440] Fire Strike Extreme
続いては2560x1440でのベンチマークスコアです。性能比較表ではTOP5の結果が、「NVIDIA TITAN V」が14111点、「NVIDIA TITAN X」が12110点、「GeForce GTX TITAN X」が7506点、「GeForce GTX TITAN Z」が7170点、「GeForce GTX TITAN」が4606点となっています。
AMDのベンチマークスコアによる性能比較表では、TPO5が「Radeon VII」が12048点、「Radeon RX Vega 64 liquid」が10418点、「Radeon RX Vega 64」が9417点、「Radeon RX Vega 56」が8834点、「Radeon RX5700XT」が11342点となっています。
[DX11_1920x1080] Fire Strike
最後は1920x1080状況下でのベンチマークスコアです。性能比較表によるTOP5は、「NVIDIA TITAN RTX」が23158点、「NVIDIA TITAN V」が22121点、「NVIDIA TITAN X」が20869点、「GeForce GTX TITAN X」が14726点、「GeForce GTX TITAN Z」が13048点となっています。
AMDチップのベンチマークスコアでの性能比較表TOP5は、「Radeon VII」が22068点、「Radeon RX Vega 64 liquid」が19056点、「Radeon RX Vega 64」が17649点、「Radeon RX Vega 56」が16785点、「Radeon RX5700XT」が20896点となっています。
新世代のGPUが開発されるたびに互いに譲ることのない性能差を見せあっている二社ですが、現段階ではNvidiaにAMDが大きく水をあける形になっています。
グラボの性能比較③コスパがいいおすすめはこれ
コスパの良いおすすめのグラボについてご紹介します。コスパを決めるのは「消費ワット数」と「ベンチマークスコア」で算出しています。スコアに対してワット消費が少ないGPUが「コスパがよい」としています。
使用するツールやアプリケーションとの性能比較がまず前提条件となりますので、あうまでも現状でもっともスコアにたいしてコスパが優れたグラボをおすすめしています。おすすめしているグラボが最適解ではない、ということをご理解ください。
逆に言えば、コスパが良くても目的のツールやゲームが動かなければ意味がないという事です。推奨環境を調べた上で、グラボのサードパティメーカーごとの性能比較を行う、というのが本来であれば正解と言えます。
GTX 1660
良コスパでおすすめの最初のグラボは、Nvidia製GPUGTX1660を搭載している「玄人志向」のグラボです。玄人志向は余計なマニュアルなどを一切排除したまさに「玄人」のためのブランドです。そのため非常にリーズナブルになっています。
消費電力も120wと増設にも扱いやすいワット数なので、電源の買い替えもワンランク上程度で対応できます。最新の2xxxシリーズには及ばない物の、十分すぎる性能を有したグラボとして良コスパでおすすめできるグラボです。
最新のゲームも十分に堪能できるので、エントリーモデルとしてもおすすめできるグラボだと言えます。
GTX 1650 S
次におすすめする良コスパグラボは同じくNvidiaの「GeForce GTX 1650 SUPER」です。こちらもミドルエントリークラスのグラボで、オンボードやエントリークラスのグラボではできないレベルの処理を可能にしつつも、優れたコスパを発揮してくれるモデルです。
消費ワット数もさることながら価格もリーズナブルに抑えられているので、これから「グラボを導入しよう」、「よりよいグラボに乗せ換えたい」と考えている初心者におすすめしたいグラボです。
いきなりハイエンドのGPUを使ってももちろん構いませんが、実際にそこまでの性能を必要とするかどうかは別の問題です。「楽しむこと」が目的であれば良コスパのグラボはがなによりもおすすめです。
Radeon RX 5500 XT
続いての良コスパでおすすめのグラボはAMD「Radeon RX 5500 XT」です。こちらもエントリーからミドルエンドのGPUとしては破格の性能を発揮します。ですがOCモデルをしっかり動かす場合は安定性を重視したセッティングが必要です。
RTX 2070 SUPER
最後の良コスパでおすすめのグラボはGeFroce「RTX 2070 SUPER」です。ハイエンドモデルの中でも性能と価格のバランスが良いモデルです。すこし価格は高めですが、ハイエンドとしては求めやすい価格帯のグラボといえます。
【番外】2020年版CPU性能比較
GPUの性能はCPUの性能と相互関係にあります。つまり、どんなにすばらしいグラボを搭載しても、その素晴らしい性能を活かせるだけの性能パソコン本来が持っていなければ全く意味がないのです。そこで2020年のCPUの性能比較を一部ご紹介します。
Intel CPU
TOP5は「Core i9 9900KS」が21200点、「Core i9 9900K」が20200点、「Core i9 9900KF」が20200点、「Core i7 7820X」が18800点、「Core i9 9900」が18200点となっています。最新世代がやはり上位を占めています。
AMD CPU
TOP5は、「Ryzen 9 3950X」が36100点、「Ryzen 9 3900X」が32300点、「Ryzen Threadripper 2950X」が25600点、「Ryzen 7 3800X」が25000点、「Ryzen 7 3700X」が23800点となっています。Radeon系を積むならぜひ検討したい所です。
グラボを購入する際は性能比較してからにしよう
グラフィックボードは目的に応じて的確な性能のボードを選ばなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。性能比較でよりよいグラボを得るのもよいですが、それで何をするのか?を考えた上でどこまでの物を購入するのかをしっかり検討しましょう。