貶すの意味とは
「貶す」という言葉の意味を知っていますか。「貶す」と書き、読み方は「けなす」です。相手を良く思わない意味が込められています。簡単な意味では、相手を悪く言うこと、つまり悪口です。何故人は貶すのでしょうか。貶す人の心理や、貶されたときの対策などを学んでいきましょう。
意味①自分以外の誰かを非難
「貶す」の意味は、簡単に言うと「褒める」の逆で、人を悪く言うことです。相手を非難をしたり、誰かの行動に対して文句を言うことを指します。非常に避難的で、上から目線で偉そうに感じます。貶されて良い気分はしませんが、時に貶されることで自分をみつめたり、反省するきっかけになることもあります。
面と向かって相手を貶すことは、少し小馬鹿にした態度にも見えます。大勢の前で貶されたら、恥をかかされた気分で、とても嫌な思いをします。モヤモヤした気持ちになったり、悲しくなったり、貶す相手に怒りが湧くこともあります。
意味②他人の悪口を言う
「貶す」の意味はもう一つあります。自分の目の前にいない人を、陰で悪口を言うことです。悪意を持って誰かの事を悪く言うのです。複数名で、その場に不在の誰かのことを貶すことで、貶している人同士のコミュニケーションを図る心理もありますが、あまり気分は良くないものです。
こうして、目の前にいない人のことを貶すことがエスカレートすると、いじめやパワハラに繋がることもあるでしょう。集団で貶すことは、どんどんパワフルになりがちなので、注意が必要です。
貶すの類語
悪意を持って相手や物を傷つける発言が「貶す」ですが、「貶す」の類語はどれもやはりとても辛辣なものが多くあります。なかなか「貶す」という言葉を日常的に使わない方でも、別の類語だと腑に落ちるかもしれません。「貶す」に似ている類語はどんなものがあるか、また類語の意味や用途を探ってみましょう。
①誹謗・意味
「貶す」に似ている意味を持つ類語で「誹謗」があります。「誹謗」だけでは聞き覚えがないかもしれませんが「誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)」と組み合わせた表現は聞いたことがあるかもしれません。誹謗中傷も「貶す」の類語です。誹謗とは、根拠のない悪口や嫌がらせを意味します。相手の名誉や純潔性を傷つけることです。
「誹謗中傷」の「中傷」とは、根拠のない嫌がらせや悪口を指しますので、誹謗と中傷を組み合わせて表現すると「根拠のない悪口で相手を嫌がらせること」という意味の類語になります。度が過ぎる誹謗中傷は犯罪です。名誉棄損罪や侮辱罪に該当することがあります。
②罵る・意味
「罵る」と書いて「ののしる」と読みます。「罵る」も「貶す」に似た意味を含む類語です。罵るとは、声を荒げて人を非難したり、悪く言うことです。聞えよがしな大声で言う悪口も「罵る」ことを意味します。「貶す」より具体的な態度を意味します。「罵りあう」と表現すると、大声でお互いを非難し合っていることを意味する類語になります。
③謗る・意味
「貶す」に近い意味を持つ言葉で「謗る(そしる、誹る)」という類語があります。人のことを悪く言うことや悪口そのものを指します。「貶された」と同じように「謗られた」と表現したり、悪口を意味して「謗るらしい」と言います。他人の欠点をあれこれ避難することは気分の良いこと、という意味で「人を誹るは鴨の味」という諺もあります。
④扱き下ろす・意味
「扱き下ろす(こきおろす)」とは、相手を見下して激しく悪口をいうことです。「貶す」も「扱き下ろす」も、相手を見下す心理があるところがよく似ている類語です。扱き下ろすには「しごいて落とす・こき落とす」という意味もあるため、類語の中でも、より激しいイメージが付きます。
⑤バッシングする・意味
「バッシングする」も「貶す」の類語です。バッシングとは、個人や団体の行為に対して、根拠のない、または過剰なまでの手厳しい非難を意味し、強い圧力を感じる類語です。バッシングも様々ありますが、例えば芸能人の不倫ニュースに対する批判など、直接自分には無関係な出来事でも、モラルで批判するのが特徴です。
貶す人の特徴とは
実際によく人を貶す人を見かけたり、自分が貶されることもあるかもしれません。貶す人とはいったいどんな特徴があるのでしょうか。貶す人の心理状態や、人を貶す理由を知ることは、貶されたときの対処方法を考えるために役立ちます。場合によっては自分で自分を貶す特徴もあります。
①相手に嫉妬をしている
相手を妬む気持ちから、その人を『貶す』ことがあるかもしれません。素敵な家に住んでいる、やりたい仕事に就いている、理解のあるパートナーがいるなど、自分が憧れるライフスタイルを既に持っている人に対して、羨ましい心理が嫉妬となり、自分を保つために貶してしまう特徴があります。
貶さなければ負けた気がするのかもしれません。自分を守るために相手を貶します。貶すことで相手を下げ、自分が『正しい』と位置付けることができます。
誰だって、羨望の気持ちから嫉妬したことはあるでしょう。しかし貶すタイプの人は、憧れている対象をも悪く言ってしまう特徴があるのです。
②精神が不安定
何かと悲観的だったり、イライラしている人は、穏やかに過ごす相手を貶す行為をするようです。自分の精神が不安定な特徴があり、安定した精神状態の人を貶すことで、自分を安定させたい心理があります。イライラの原因は他にあるのでしょうが、手早くその気持ちから解放される手段として貶します。
本当は人を貶しても、自分のイライラや悲観的な気持ちは解放されません。誰かに相談したり、気分転換をしたり、空を見上げて深呼吸すれば、次第に気持ちは落ち着いてくるものです。攻撃的な態度や言葉は人を傷つけてしまいます。
逆に穏やかに過ごしている人は、他人を貶すことはありません。毎日が穏やかに過ごせるように、なにか自分なりの工夫で精神が安定できるとよいですね。
③甘やかされている
周りから甘やかされている人の特徴は、自分でも無意識に誰かを貶すことがあります。周りが甘やかすので「自分は何をしても許される存在」と、知らず知らずのうちに上から目線になりがちなのが特徴で、見たもの、聞いたものについて、平気で悪口を言う心理が働きます。本人が気付かないので対処の手段がとても少ないです。
もしも周囲に注意出来る人がいれば貶すことを止めるかもしれませんが、無意識の心理なので、自分が貶していることに気付かず、意味が分かりません。その態度を改めることは難しいでしょう。
④優越感に浸る
優越感に浸りたい心理を満たすために「貶す」こともあります。相手と比べて自分が「勝った」と思うことで、自分を肯定する心理が働くためです。貶すことで得られる優越感が、ある種の快楽になって止められない特徴があります。このようなケースは、ストレス発散にもなっています。
止められないほど「貶す」ことが習慣となっている人は、周りから「そこまでやらなくても」と思われるほどエスカレートしている場合もあります。いつも貶してばかりだと周りからも嫌われる存在になっているのかもしれません。対処の仕方を自分なりに考えましょう。
⑤自信過剰
自信過剰な人は、その自信を揺るがされる強敵なライバルが出現した時、相手を貶す心理が働きます。自分の自信が覆されないために、相手を悪く言って自信を保とうとする特徴があるのです。絶対に負けたくないので相手の事を貶すことで対処し、更に相手の方が上回れば、やり方や道具をボロクソに貶して、最後は文句を言うかもしれません。
自信に対して実力が伴っていないために、自信過剰なタイプは相手を貶すことで何とか自分を保とうとするのです。
⑥人の意見を聞かない
頑固で自分が正しいと信じている人の心理には「相手が間違っている」という心理が働き、人の意見を素直に聞き入れることができなくなります。また、自分の正しさを立証するために、相手を貶すことがあるでしょう。何を言われても相手を否定、反論することで正当化するのが特徴です。このような人の対処は、頑固なだけになかなか難しいでしょう。
頑なに自分の意見を貫くことは悪いことではありませんが、人の話を聞かないことは柔軟性に欠けます。相手を貶して自分の正しさを示す心理があるため、貶している自覚はないのかもしれません。
⑦プライドが高い
プライドが高い人は、時にそのプライドを守るために人を貶すことがあります。例えば自分の持ち物や行動を自慢ばかりするプライドの高い人に、もっとすごいものを見せられたり、言われたりすると非常にプライドが傷つきます。そのため相手を貶して自分を保とうとする特徴があるのです。
プライドが高いが故に、様々な見栄を張ったり、時には他人の話をあたかも自分の事のように話したり、嘘をついたりすることもあるかもしれませんが、それでも自分に注意を向けて感心してほしい心理が強いのです。
プライドを傷つけられた時の相手への貶しようが酷いので、敵に回したくないタイプです。付き合いが浅いうちはすごいと思えても、深くなると信用ならないかもしれません。
コミュニケーションだと思っている
会話の中で貶すことが、コミュニケーションだと信じている人がいます。例えば相手を貶したりバカにしたりすることで、場が和んだり、笑いが取れると信じているのです。この場合、悪気はないので笑顔で相手を貶すことも多く、言葉と態度の違いに相手が困惑することも多いものです。
また話題が弾まず、会話が途切れるのを恐れて、気を利かせたつもりで貶すこともあるかもしれません。自分の話題が無いときに、誰かを貶して会話を繋ごうとするのです。
貶す人の心理とは
貶す人の特徴はイメージが持てましたか。人を貶すという行為自体は、される側はとても嫌な気持ちになるものです。それでも貶す人は後を絶たず、もしかしたら自分自身も知らずに誰かを貶していることもあるかもしれません。貶すときの心理とは、いったいどんなものでしょうか。なにが原因で貶してしまうのでしょう。原因や対処方法を考えてみましょう。
①過去に貶された経験がある
例えば子供の頃に、親から貶されてばかりいると、それが当たり前のコミュニケーションとなって自分も貶す側に回ってしまうことがあります。小さな子供は自分の育った環境が「当たり前」なので、そのまま認識してしまいます。もちろん大人になっても自分のコミュニティの中で貶すのが日常なら、そのまま取り込んでしまうこともあります。
また、親に「周りに負けないように」と競争心理を煽られて育つと、勝てない相手に対して貶すことで、自分を保とうとするかもしれません。負ければ親が悲しみますから「負けることが許されないこと」と間違った認識をしてしまいます。
心当たりがある方は、ご自身の過去を振り返り、自分が競争心理を煽られてきたことを振り返り、勝ち負けに拘ることが時に自分を苦しめている意味に気付きましょう。そうして自分の心を癒す対処が必要です。負けるが勝ちです。
②気弱な性格
貶す人は勝気で強気なイメージがありますが、実は気が弱い心理を隠すために貶しているということもあります。自分に自信がなく、心の中ではとてもオドオドしているからこそ、強気な態度と言葉に出て、自分の心理を隠そうとするのです。マウンティングして相手より優位に立とうと対処している人は意外に多いものです。
心がオドオドしているのに強気な発言をすることは「自己不一致」という心理状態です。とても辛く苦しいことを意味しています。そっと弱音を伝えられたら、もっと気持ちは楽になり、誰かを貶す必要がなくなるかもしれません。
心当たりのある方は、信頼できる人にそっと自分の心のうちをお話ししてみましょう。少し気持ちが楽になり、心に余裕が生まれるかもしれません。
③一番になりたい
勝気が嵩じて、何でも一番になりたがる人がいます。とにかく誰にも負けたくない心理が強すぎて、自分の負けを認めたくありません。しかし、スーパーマンだって全てに一番になれることはないはずなので、やはり負けることはあるはずですが、それを認められないので相手を罵倒し、貶すことで対処し、自分が一番であることを正当化するのです。
順位に拘らなくても努力していることは皆素晴らしいことです。順位に拘らず、色んな角度から賞賛できるようになりたいですね。
自分で自分を貶す人
中には、物事や他人ではなく、自分自身を貶す人もいます。わざわざ人前で自分の事を悪く言うのです。相手のために謙遜して、自分の能力や容姿を少し控え目に表現することはあるでしょう。しかし「自分を貶す」のは謙遜とは違い、もっと自分を見下した表現を使います。いわゆる自己卑下です。
①ダメな自分を認めてほしい
何故自分で自分を貶すのでしょう。自分を貶す人は、ただひたすら自分を悪く言い、卑下します。自分ひとりの空間で貶すのではなく、多くの人が見ている前で貶すのです。これらは周りから注目を集めたり、同情を買おうとする心理が働いています。自分の欲求のために自分を貶すのです。
自分を貶している時、誰かに「そんなことないよ」「あなたのせいじゃないよ」と言われると、なんだか救われた気がするものです。ダメな自分を認めてくれる人がいることで、安心感を得られます。そのため周りに聞こえる声で自分を貶すのです。
②人と比べてしまう
自分より仕事が出来る人や、自分より容姿が良い人、自分より充実している人など、自分よりより良い人生を歩んでいるようにみえる人を見ては自分と比較して「わたしなんか…」と自分を貶してしまう人。自分に自信がないけれど、貶すことで頑張らなくても良い理由を手に入れることができます。無意識に癖となって自分を貶す人も多くみられます。
自分を貶し、悲観的になることで前へ進まなくて良い理由を作れるわけですが、自分自身にとってはあまり良い結果をもたらしません。貶さないで済む自分になれる努力も時には必要です。
貶す人との付き合い方や対処法
仲の良い人達だけで暮らしていければよいのですが、社会の中では様々な人達とお付き合いしていかなければなりません。もちろん貶す人もいるでしょう。もしもあなたが貶す人と遭遇してしまったら…具体的にどう対処すればよいのか。どんな風に考えて受け止めればいいのかなど、貶す人とのおつきあいの方法とその対処法を考えていきましょう。
①知らないふり
「暖簾に腕押し」という諺があるように、何を言われてもヒラヒラとかわして、相手にしないことも大切な対処法です。貶されたことは心ではとても気になっていても、敢えて気付かないふりをして対処してみましょう。相手は「この人に言っても通じないようだ」と感じさせ意味付けします。それから貶すことをしなくなるかもしれません。
貶す人は、相手がムキになって対抗してきたり、悲しんだり、怯えたりする様子を見て、心ではほくそ笑んでいるのかもしれません。サディスティックな心理も兼ね備えているかもしれないのです。
ですから、何を言われても知らないふりをすることで、相手の心理をしらけさせてしまい、関心を持たれないようにしましょう。
②距離を置く
自分が嫌な思いをしているのですから、貶す人とは出来るだけ距離を置きましょう。仕事などやむを得なく距離が近い人に対しては、最低限の関わりだけにして、仕事以外のプライベートではお付き合いをしないようにします。貶す人と距離を置くことは、ストレスの根源を遠くにすることです。心の健康のためにも必要不可欠です。
③怒りを向ける
貶す人は、気弱な特徴があることは先に述べましたが、大口を叩いているけれど気弱なそぶりが見えたら、思い切ってあなたの怒りを向けてみるのも手段です。そもそも人を貶す人は、自分に怒りを向けられることは想定していません。貶すことで自分を強く見せかけています。
ですから攻撃されると、とても弱くて脆い面があり、何も反論できないことが多いものです。はっきりと「それは違います」「私はそうは思いません」と言い返しましょう。
怒りを向けてはっきりと反論をし続けると、貶す人はあなたに適わないと思い、けなすことをやめるかもしれません。そうなれば嫌な思いをせずに済みます。
④正直な気持ちを言う
あなたが貶されて傷ついた気持ちを、ストレートに相手に告げてみるのも良いかもしれません。真っ直ぐに思いを伝えたら、あなたの心の痛みを理解し、自分の言動を反省するかもしれません。本当に嫌な気持ちになったなら「もうやめて」と言ってみましょう。感情的にならず、しっかり何度も伝えると効果的です。
冷静に何度も説明されると、案外相手の心にダメージを残します。そうすると少しずつ貶すことが減るかもしれませんし、相手があなたとの距離を置いてくることもありかもしれません。
貶す・英語
貶すという単語は、英語ではなんと表現されるかご存知ですか。英語も単語は様々あるので、貶す段階で使う単語も違ってきます。また同じ意味でも英語になると少しニュアンスが変って聞こえるかもしれません。「貶す」を表現するために使われる英語とは、どんなものがあるのかをご紹介します。
意味:~を貶す・~を見くびる
「貶す」を英語に直訳すると「belittle」となります。意味は「…を見くびる、貶す、卑下する、…を小さくする」となります。「人を貶す」という意味では「belittle the people」という文章になります。「belittle women」では「女性を貶す・軽視する」という意味の文章になります。
他にも「貶す」を英語で表現する単語は色々あります。「run somebody down」は「貶す・腐す、扱き下ろす、クソミソに言う」という意味になります。
「disparage」は、英語では「…を軽蔑する」という意味ですが「貶す・誹る、見くびる」の意味も併せ持ちます。
例えば「自分の子を貶す親などいない」という文章を英語にすると「No parents run down their own children」となります。「belittle」は軽んじて見るような意味であるのに対して「run somebody down」は相手を見下ろすような意味合いです。同じ「貶す」でも英語では、単語で印象が随分と変わります。
意味:~を貶す・そまつに扱う・虐待する
更に英語で、強く「貶す」イメージを表す単語が「abuse」です。英語の意味としては「貶す」のほかに「乱用する・悪用する・裏切る・口汚く罵る・…を虐待する・酷使する・粗末に扱う」などがあります。「child abuse」で「児童虐待」と英語で意味します。貶すという意味以上に乱暴な印象もあります。
「褒める」の逆として英語で表現することも
「貶す」は「褒める」の逆の意味です。英語で「褒める」は「praise」なので、逆になる「dis」を付けて「dispraise」と英語で表現することもできます。「…を貶す」という表現は「make fun of …」と英語の文章で表現できます。英語では様々な表現で「貶す」を表すことができます。
貶すの意味は相手への悪口として使われる事が多い
相手を貶すことは、相手に文句をつけることなので、結果的には悪口になりやすいものです。貶して自分が優位に立っているつもりでも、悪口を言う人の傍にいて良い気はしません。結局貶す人はいずれ誰かに貶されてしまいます。貶す人と遭遇したら、程よい距離感でお付き合いしましょう。