貶めるの意味とは
「貶める」というのは「おとしめる」と読み、人間関係において決して良い意味で用いられる言葉ではありません。誰かに貶められて深く傷ついたという経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。また、自分自身が誰かに対し、その人を貶めるような言葉を使ったり行動をしてしまったりということも知らないうちに行っているかもしれません。
そんな貶めるという言葉にはどのような意味があるのでしょうか。その意味や特徴をしっかり知っておかなければ、もしかしたら自分が誰かを貶めることにもなってしまいかねません。
そこで、学校やビジネスなどの人間関係で気を付けたい、貶めるということについて、その意味や特徴についてご紹介していきます。
意味①軽蔑する・さげすむ・見下す
貶める(おとしめる)という読みは、送り仮名を変えると、貶す(けなす)や貶すむ(さげすむ)という読み方にもなります。「さげすむ」は「蔑む」となることから意味として人を軽蔑する・蔑むという使い方にも共通します。
つまり、貶めるような言葉や行動は、人を見下すということになるのです。どういう理由があるにせよ、人を軽蔑したりさげすむような言動は、結果的にその人を見下していることになります。
意味②下落させる・成り下がらせる
貶めるという言葉には、人を下落させることや成り下がらせる意味もあります。人を貶めることによって立場的にその相手を下落させたり、成り下がらせたりすることで、自分をその人よりも上に立とうとする意味あいです。学校やビジネスシーンなどでもこういう人物と関わったことがある人もいるのではないでしょうか。
貶めるの使い方とは
では、貶めるとはどのような使い方のことを指すのでしょうか。基本的に貶めるための言葉や行動は、自分よりもその相手が劣っている扱いをして馬鹿にするといったような表現となります。そのため、自分を貶める言葉や行動というのも稀に使われることはあるものの、一般的には自分に向けて使うということはあまりありません。
人を見下すときに使われることの多い「貶める」ですが、どのように使い方をするのか、具体的なケースや例文、その行動についてご紹介しましょう。
貶めるは自分以外の人・ものに使う
自分以外の人や、ものを低い扱いにして蔑み、自分や自分のものをその対象よりも高い存在だということをアピールするのに貶める言葉や行動は用いられます。
その特徴として、対象となる人やものを欠点を突くことで必要以上に下落させます。例えば誰かの能力や持ち物の価値に嫉妬心を覚えた場合に、あえてその人や持ち物の小さな欠点を突いて貶めることで、自分や自分の物のほうが優れているという証明をする使い方もされます。
自分以外の人やものを貶めるというのは、その対象に大したことがないということや価値が低いということを植え付けようとしているのです。
貶めるの例文
実際に「貶める」はどのような使い方をしているのか、さまざまなケースに応じた例文でご紹介しましょう。
「せっかくやる気を出して仕事を頑張っていたのに、上司に貶められてやる気を失った」・「英語を勉強していたが、あの人に君の英語は全然通用しないと貶められてガッカリした」・「あの先輩はいつも他人を貶めて自分のほうが優れているとアピールしている」・「あの人は彼が作った作品を貶めてその価値を認めようとしない」などが挙げられます。
他人を貶める人の行動
他人を貶めるのは行動にも表れます。人を貶めるのには、馬鹿にするという意味もあり、その人が言ったことや行動を取り上げて笑ったりお手上げといったジェスチャーをしたりするのも貶める意味での行動です。
また、慣れない仕事や、苦手なことをしている人に対して、わざと自分がやってみせて、いかにもこんな簡単なことができないのかという意味のアピールをする人もいます。つまり、他人を馬鹿にするような意味での行動が、他人を貶める人の行動といえます。
他人を貶める人の心理と特徴
それでは、なぜ他人を貶めるのでしょうか。貶めるというのは人を見下したり下落させたりといった意味がありますが、そういう人の心理的なことや特徴を知っておけば、自分を貶める人への接し方の参考にもなるでしょう。人を貶めるのはその人にとってそれなりの意味があります。そこで他人を貶める人の心理と特徴について、その意味とともにご紹介します。
自分に自信がない
自分に自信がないために他人を貶めるという心理があります。しかし、願望として人よりも優れていたいという意味もあり、人を見下し蔑むことで自分の価値を高めようという心理です。
実績が伴い自信がある人は、わざわざ他人を貶める意味も必要もありません。そういう意味でも、そういう人の心理は自分より優れている人を見ると、努力や実績ではなく貶めることで自分の価値を高めて優越感を得ようとしているのです。
嫉妬深い
他人を貶める人の特徴として嫉妬深い人というケースもあります。嫉妬するというのはいろいろな意味で他人を羨むという心理でもあります。そのため悔しいという思いから自身の精神を安定させる意味で他人を貶めようとするのです。
これは自分に自信がないという意味とも似ていて、本来の自分の力で結果を出したり優れたことを行う自信がないから他人に嫉妬して貶めようとします。
プライドが高い
プライドが高いゆえに他人を貶める人もいます。プライドが高い人は自分が誰かに劣っていることを認められず、他人を貶めることで自分が誰よりも優れていることを示そうという心理が働いているのです。
ただし、これは本質的な意味でいえば本物のプライドとはいえません。プライドだけが高く、実績が伴っていない人にこういう人が多いのです。
本当の意味でのプライドとは、培われた実績による自信に裏付けされたものです。意味のないプライドだけを振りかざして他人を貶めるような人は、ただの自己顕示欲だけが強い人といえるでしょう。
イライラしている
イライラしている人も他人を貶める特徴があります。なぜかいつも不機嫌な人というものは時折いるものです。意味もなく周囲に当たり散らしているし、事あるごとに他人を責めます。
こういう人の特徴というのは、自分自身の生活や人生が充実していない人に多い傾向があります。しかし、それは自分の責任であるにも関わらず、自分が上手くいかないのは他人のせいだという心理なのです。
自分がもっと努力して周囲と良い関係を築こうとすれば、もっと素敵な人生が送れることを知らないのです。そういう意味では可哀想な人ともいえます。
他人を貶める人に対しての対策
他人や自分を貶めるような特徴のある人と関わるのは嫌なものです。しかし、学校やビジネスなど、全く会わないわけにはいかないという人もいることでしょう。そういう意味でいえば、他人を貶める人とどうやって付き合っていかなければいけないか悩んでいる人もいるはずです。
他人を貶めるような人と顔を合わせることがストレスになり、学校生活や仕事も嫌にしまうことも考えられます。そうならないように、他人を貶める人とも関わっていくためにはどうすればいいのでしょうか。
貶めるということの意味や心理、その特徴を踏まえたうえで、そういう人とどう付き合っていくかをご紹介しましょう。
対処法①相手にしない
他人を貶める人の心理や特徴には、人を見下したり下落させることで自分が優位に立ちたいという意味あいが強いことから、その人の話は基本的に真剣に聞いていても意味がないといえます。
意味がない話を聞いていても、それこそ意味がありませんし、そもそも時間の無駄です。そんな人が自分を貶めるようなことを言ってきたり何かしてきたとしても、真剣に相手をする必要はありません。
他人を貶めるような人が自分に絡んできても軽く受け流してしまいましょう。真剣に相手をしてやる意味もありませんし、心を左右される必要もありません。
対処法②周囲に相談
自分を貶めてくる人の行為があまりにも辛辣で、どうにもならないときには、一人で悩まず周囲の人に相談することが大切です。重要なのは一人で抱え込まないということです。
誰かに相談して意味がないと思って抱え込んでいると事態はさらに悪化することもあります。他人を貶める人は優越感を得たいため、ターゲットを絞ると集中攻撃をしてくるケースもあるからです。
どういう意味かというと、他人を貶めるような人は実際は本当の意味で強い人間ではありません。そのため、餌食にできない人に対しては陰で貶めるようなことをしても、直接的には攻撃できないのです。
これは「イジメ」の心理にも似ていて、意味もなくあえて攻撃しやすい人を選んでいるのです。そのため、一人で抱え込んでいるとさらにエスカレートしていく可能性もあります。
そうならないためにも、早めに周囲に相談するようにしましょう。そもそも、同じ団体であればきっと周囲の人も気付いているはずです。また、同じ思いをしている人もいるかもしれません。
誰かと思いを共有することで、気持ちも楽になりますし、意味のない貶めへの対処もしやすくなります。一人でそういう人を相手にしていても意味がありませんし、悩んでいるだけでは解決にもなりません。
貶めるの類語・対義語
貶めるの意味には「見下す」・「下落させる」などの意味があることをご紹介してきました。しかし、一般的には「貶める」という意味の言葉の使い方はあまり用いることは少なく、むしろ「見下す」という表現を用いる使い方のほうが多いでしょう。
では、貶めると同じような意味の表現や、反対の意味を持つ表現にはどのようなものがあり、さらには英語でどのように表現するのでしょうか。
そこで、貶めるという意味をもっと理解するためにも、貶めると似た言葉や、逆の意味の言葉、そして同じ意味の英語についてご紹介しましょう。
貶めると似た意味の言葉とは
貶めると似た意味の言葉の代表的なものに「見下す」や「下落させる」という言葉の使い方がありますが、この二つの言葉を例にして、その類語や使い方について説明します。
まず「見下す」という言葉の類語には「嘲(あざけ)る」・「嘲笑する」・「卑しめる」・「甘く見る」・「軽視する」・「こき下ろす」などが挙げられます。嘲るには馬鹿にするような意味があり、嘲笑するというのは馬鹿にしたように笑うという使い方をします。
そして「下落させる」には、景気を下落させるといった意味もありますが、貶める意味での類義語には「穢(けが)す」という意味の言葉があります。「汚す」にも似ていますが「汚す」を用いる場合よりも重大な意味あいがあります。「人の心を穢す」・「名誉を穢す」といった使い方です。
貶めると同じ意味の英語は
貶めるという意味を「見下す」という表現で英語にすると「look down upon(on)」とするのが一般的な使い方でしょう。英語で貶めるという単語がないため、高い場所から見下ろすという意味にも使われます。
また、英語で誰かを劣った存在として表現する場合には「regard somebody as inferior」にもなります。このように英語でもその場に応じていろいろな表現方法が用いられます。
ちなみに英語で貶めるという意味を反対語にすると「look up to」となります。この英語の意味は尊敬や憧れを意味する「respect」と同じような意味です。
貶めると逆の意味の言葉とは
貶めるの逆の意味を表す言葉には英語でもご紹介したように「尊敬する」・「崇拝する」・「崇める」・「敬う」・「憧れる」・「尊ぶ」などがあります。いずれもその人の存在価値を認め、優れているという思いを表現する言葉です。貶める人とは逆で、このような、誰かを尊敬できる人は周囲からも愛されることでしょう。
他人を貶める人にならないためには
他人を貶める人の心理や特徴というのは、人を認めず低く見て、自分の価値をあえて高くしようという思いが強い傾向があることをご紹介しました。それは裏を返せば自分が周りに認めてほしいからです。
しかし、この心理は誰にでも当てはまることでもあるでしょう。もしかしたら、気付かないうちに自分が誰かを貶めることにもなるかもしれません。誰かを認めるためにも、まずは今の自分自身を認めましょう。
もし、今の自分が誰かに劣っていて悔しいのであれば、そのことを素直に認め、どうすればいいのかを自分自身が考えればいいのです。
貶めるは軽蔑し下に見ることを意味する言葉
貶めるという言葉について、その意味や使い方、対処法などについてご紹介してきました。貶めるは軽蔑し下に見ることを意味する言葉です。
他人を貶めるような人が周囲にいる場合は相手にせず、困ったら誰かに相談して被害に遭わないように対処しましょう。そして、自分が他人を貶めるようなこともしないように注意してください。
お互いに認め合い、助け合うことが、周囲との関係を良好にして、楽しい生活や人生を送ることに繋がるはずです。