フロー状態とは
人間には、心理学的用語で「フロー状態」という言葉があります。フローとは、英語で"flow"と表します。この言葉を日本語訳すると「流れる・流れ出る・わき出る」を意味しています。
直訳すると、わき出る状態と表すことができますが、具体的に心理学的にどのような意味を持っているのでしょうか。
フロー状態とは、幸福感と深く結びついています。そんなフロー状態になるにはどうすればいいのか、仕事面やスポーツ面での入り方など詳しく紹介していきましょう。
今この瞬間にとてつもなく集中する事
フロー状態とは、物事に対し時間を忘れるくらい極限の集中状態にあることを表します。その極限の集中状態は「時間を忘れるほど集中する・周りの音が聞こえないくらいのめり込む」など、とてつもない集中力を発揮した瞬間を指します。
例えば、仕事をしている時に集中していてふと時計を見たら、もうこんな時間かという場面も少なからずあると思います。その時は、仕事の時間の中で必ずどこかでフロー状態に入っているケースが多いです。
ゾーンに入るとも言う
よくスポーツをしている時に表す言葉なのですが、フロー状態をゾーンと表現したりしています。ゾーンに入ると、人間はどのような状態になるのでしょうか。例を挙げて説明していきましょう。
例えば、試合中の最中にゾーンと呼ばれるフロー状態に入ったとします。すると、途端に周囲の選手の動きや対面の相手の細かな動きに対して敏感になります。さらに、周囲の観客の声援や物音などの雑音もかき消されるくらいの集中状態に入ります。
ゾーン状態に必要な条件
ゾーン状態になるには、それなりの練習・準備が必要になります。入り方には個人差があり、どのような感覚かと聞かれても難しいです。
入り方のポイントは、自発的に物事を行うということです。例えば、読書が挙げられるのですが、読書は受け身になっていては読めません。自分が好きな分野の本を読みたいと思って初めて読み進めることができます。
読書は、読み進めていると文章を理解するためにも考えさせられ、どんどん思考が深くなります。つまり、ゾーンの入り方は、好きな事を自発的に行い求める目標に向けてただひたすら取り組む。まずは、その分野が好きでしたいと思えるかが必要な条件になってきます。
フロー状態・入り方の条件
フロー状態には、基本的に誰でも入ることができますが、いくつか入り方・条件が揃わないと入ることはできません。入り方には個人差があり、スポーツや仕事・勉強などフロー状態になる場面もさまざまです。ですので、この方法で必ず入れるという条件はありません。
フロー状態に入る最低限の条件は、その分野において没頭できるほど好きであるかどうかが大きく関わってきます。好きであることは、幸福にも直結するため、フローになるには欠かせない条件なのです。
①目標が明確でしたい事が分かっている
フロー状態になるには、仕事やスポーツにおいても目標が明確でなければ、何を目指して頑張ればいいのかはっきりしていないので、どうしても集中力に欠けます。
目標が明確であれば、仕事やスポーツにおいてもやるべきことが明確なので、物事に対し集中し没頭しやすくなるのです。この条件は、主に計画性を持った人間に多く見られる傾向があります。
②すぐにフィードバックが得られる
どうしても1つの事に没頭していると、周りが見えなくなってしまう時があります。そんな時に、すぐにフィードバックが得られる環境にあることはとても重要です。もし目標への道筋がズレてしまった時に、すぐにフィードバックが受けられる環境があるだけで人は無意識に安心するので、心置きなく集中することができフロー状態に入ることができるのです。
③状況・活動を自分でコントロール
仕事やスポーツをする際は、大まかに自分で状況や活動を把握し、コントロールしながら次のアクションに移ります。ですが、大まかに把握しているもののコントロールできずに全然思い描いている様子と違うなんてことも日常的にあります。
極限の集中状態に入っている時は、状況が変わります。ゾーン状態に入っている時は、通常のパフォーマンス以上に力を発揮します。通常時にあれほど難しいと感じていたこともゾーンに入っていれば、状況把握能力・運動能力も一時的に上がり、自分で描いている姿も容易にコントロールできるようになります。
④結果だけではなく過程も楽しむ
フロー状態に入っている状態は、シンプルに言い表すと純粋に楽しみ没頭していることを意味しています。明確な目標設定を定め達成できるように努めるのですが、没頭している瞬間は、がむしゃらに目標達成までの過程を楽しんでいる場合が多いです。
仕事やスポーツどれでもいいのですが、本気で取り組み純粋に好きなことを楽しむことこそがフロー状態入るために必要な条件なのです。
フロー状態・スポーツや仕事に集中する方法
人間は、日常で生活をしていると1つの事に取り組んでいても頭の片隅で他の事を考えていたり悩んだりする生き物です。悩みの無い人なんていないのですが、フロー状態に入っている時は例外です。
「時間を忘れるほど」「周りが見えなくなる」「自分を見失う」など、フロー状態に入ると他の雑念も受け付けないほどの極限の集中状態になります。そんなフロー状態に入るための条件をスポーツや仕事に集中するための方法とともに考察していきましょう。
①頭の中をクリアにする
極限の集中状態にあるフロー状態には、他の雑念・雑音は妨害になってしまいます。ですので、フロー状態になるには頭の中の思考を1回リセットしクリアにすることが手っ取り早いです。
クリアにした状態にしてから仕事やスポーツに打ち込むことで、余計な思考がなくなり集中し没頭しやすい頭の働きになるのです。
②邪魔される事を先に防ぐ
仕事やスポーツにおいて目標を設定することは大切なのですが、当然物事がすべてうまくいくなんてことはありません。
目標達成するためには、問題やトラブルがつきものです。集中力をどれだけ高めたとしても途中の段階でトラブルに巻き込まれていると余計な思考が発生してしまい、フロー状態に入っていたとしても遮断されてしまいます。
あらかじめ目標の設定段階で、トラブルで邪魔になるであろう問題を未然に防ぐことがフロー状態を持続する秘訣なのです。
③脳の準備をする
脳は、集中状態に切り替えるのにある程度時間がかかってしまいます。なので、仕事やスポーツを開始する前に脳を起こしておく必要があります。気持ちの良いスタートを切るためにも1日の流れの把握や鮮明でよりリアルなイメージトレーニングをすることで、脳を起こし準備することができます。
フロー状態・入りやすくするトレーニング法
フロー状態になるには、集中力を高める必要があります。そして、フローに入ることは日々のトレーニングによって入りやすくすることも可能です。フロー状態の入り方のトレーニング方法を6つの項目に分けて、どのくらいの頻度で取り入れるかを紹介していきましょう。どれも難易度が高くないので積極的に取り入れてみて下さい。
①毎日実施・瞑想
毎日取り入れるべきトレーニング方法は、瞑想です。瞑想には、余分な雑念の解消やリラックス効果・ストレス解消・自律神経の安定など、さまざまな効果があります。
瞑想は、フロー状態に入りたい時だけでは意味がありません。重要なのは、毎日継続することです。理想は10∼20分ほどですが、最初は1分でも構いませんので習慣化できるまで続けてみましょう。慣れてくれば、心地よい気持ちになり自然と瞑想時間も長くなります。
フローになるためには余計な思考・力みは、集中力を高めるための妨げになります。瞑想を習慣化することにより、体の負担が減少するので、いつでもゾーンに入りやすい状態にすることができます。
②週5実施・情報収集
人間は、基本的に自分の好きな事に対し、没頭しやすく集中力も自然と高まるのです。ですが、好きな情報・分野だけでは知識に偏りが生じてきます。
好きなことだけを追いかけることは、ダメではないのですが、知識量に偏りが出る分知らない情報が知らないまま処理されてしまいます。知らないと自分にとって役立つ情報かどうかも判断することはできません。
頭を毎日フル回転させることは、当然疲れてしまいますので、おすすめは週5回ほど自分が知らない分野を調べてみてはいかがでしょうか。情報と情報が結びつくと快感が得られ、徐々に情報を集めることが楽しくなってきます。
③週4実施・HIIT
最近話題のHIITトレーニング(高強度インターバルトレーニング)は、体を鍛えるためではなく精神面でも大きく働きかけてくれるのです。
トレーニング内容は、強い負荷のかかる無酸素運動を20秒間行い10秒間休む、この一連の動作を4種目設定し2周行うのです。
HIITの特徴は、短い時間で追い込むトレーニングであることです。短い時間に設定することで、一時的に集中力を高める練習にもつながります。運動と休憩の切り替えの早さに慣れれば、フローに入るまでの時間も早くすることが可能になるのです。
④週3実施・自分の好きな事に時間を使う
フロー状態は、理屈だけではなく感覚的な慣れも関係しています。そして、基礎集中力を上げる簡単な方法は、自分の好きな事に没頭することです。好きな事をすると幸福感と関係している脳内ドーパミンも分泌され、時間を忘れるほどの快感と幸福を得られることができます。フロー体験を重ねると自然に基礎集中力が上がり、フロー状態に入りやすくなります。
⑤週2実施・完全休息
仕事やスポーツ・勉強など、フロー状態に入れば入るほど幸福感の時間も長くなります。ですが、フローは、極限まで集中力を高めている状態なので毎日続けてしまうと疲労し逆にストレスがかかってしまいます。
週休2日は、完全休息することで体を効率良く休めることができるので次にフローに入る際、疲労なく入ることができます。
⑥週1実施・何かしらのリスクを背負う
フロー状態に入るためには、定期的にリスクを負い、脳内ドーパミンの分泌を確かめる必要があります。何かしらは、精神的なリスクを追えば望んでいる結果が得られます。
リスクはあくまでドーパミンの分泌を確かめるものであって、フローに入るための目的ではありません。頻度も週1が適切で、それ以上のリスクは大きな負担になってしまうので注意しましょう。
フロー状態になるには自分の行動をコントロール
フロー状態になるには、自分の行動・クセ・性格を分析し把握することが大切です。自分の行動をコントロールすることができれば、フロー状態を自らの力で引き出すことができるようになります。
まずは、仕事やスポーツから好きな分野を見つけ出し、日常から疲労やストレスを溜めないように自己管理を心がけましょう。すると、自然とフロー状態に入りやすくなるのでトレーニングの習慣化から始めてみましょう。