スマホのブルーライトとは
最近よく耳にするブルーライトという言葉。スマホ、PC、タブレット、部屋の明かりなど、LEDが使われているものから発せられるブルーライト。直訳すると”青い光”これは一体なのでしょうか。なぜ今になって歴代の電球、蛍光灯を差し置いて取りざたされるのか?その中でもスマホだけが特に話題に上がるのか。ちょっとひも解いてみることにしましょう。
ブルーライトは光の3原色のRGBであるRedとGreenとBlueの中のBlueのこと。自然界の光には必ず含まれている光、ブルーライトは昼間の太陽の光ならば相当量含まれている光なのです。
ではブルーライトにはどんな特徴があるのでしょうか。それは一番お馴染みの青色は青空。青空はブルーライトとホワイトライトの混ざった色で手元に届くときは白色と認識されていますが青の多い白なのです。
人間にとってブルーライトは青空のブルースカイが最も身近なものと言えるでしょう。この見慣れた光は、天気の良い昼真の色、元気いっぱいの活動の色であるからこそ、夜に見てしまうと色んな問題を引き起こしてしまうのです。
鮮やかできれいな色なのに何がいったい良くないのでしょうか。青色といえば青空以外でもイルミネーションでも人気の色、街灯に用いれば犯罪の予防になるともいわれる色。そんな色の力が何かあるのでしょうか。
このブルーライト、光の波長で表すと波長が短い方の光になります。虹の七色の順序は赤燈黄緑青藍紫(せき・とう・おう・りょく・せい・らん・し)ですが、この順序で波長は短くなり、青、藍、紫という部分がブルーライトと呼ばれる部分になります。波長で表現するならばおよそ380nm~500nmの範囲になっています。
波長が短く強い光のこと
波長の短い光は高エネルギーの光になります。波長が短いほど人体の細胞にダメージを与えます。人の目は400nm~800nmの波長を見ることができますが、それはその波長が網膜に到達しそれ以外の光は途中で吸収されて網膜まで届かないということです。
その到達する光を可視光といいますが可視光の中でブルーライトは最も高エネルギーの波長の光です。目に見えない紫外線の有害さは有名ですが、ブルーライトは目に見える光の中で最も紫外線に近い強い光なのです。
ではブルーライトは目の中で他の光とどのように違うのでしょうか?その違いが謎を解くカギになりそうです。その一つ目は、エネルギーが高いですので、目の角膜、水晶体、網膜などに悪影響があるのではないかということです。これが近年論文で話題になった内容です。
もう一つは、波長の短い光は、屈性率が大きく散乱しやすいという性質があるために網膜でのピントが合いにくいということがあります。他の色は網膜でピントが合っていても青色成分だけが手前で合うために眼の疲れを引き起こすというものです。
朝焼け、夕焼けが起こる理由は青い光の屈折率が大きく散乱しやすい為に、太陽が朝と夕方の角度の時は太陽の青い光が到達しないという現象から発生していますが、これがブルーライトが網膜で焦点を結びにくいという現象と同様の現象になります。
波長の短いブルーライトは他の光と違う性質を持っているからこそ人体にとって何か特徴的な働きを与えていることがそもそもあるようです。ということはこの光をカットする対策を講じることでブルーライトとうまく付き合っていくことができるかもしれません。
スマホのブルーライトは身体に悪いのか
目の中で他の光線よりも影響力を持つと考えられるブルーライトが実際に身体に与える影響はどうなのでしょうか。眼から入ってくる光で体に影響があるとすれば、やはり目そのものへの影響、そして目に直結する脳への影響が考えられます。ブルーライトの性質や目との関係は今まで書いてきましたが、そこから解き明かしていきます。
目に与える影響は不明
英国科学雑誌にブルーライトが目の細胞に影響を与えると掲載され、米ウェブメディアが「画面があなたの目の細胞を殺している」と発表されてからブルーライト危険論が巻き起こりましたが、アメリカの眼科学会が反論して現在は沈静化しているようです。
失明などの重大な影響まではないにしても、何らかの影響は否めないとされており、日本でもブルーライト研究会などが発足するなどして慎重な研究が進んでいます。
可視光の中で一番エネルギーの強いブルーライトが網膜に最も影響を及ぼす可視光であることに間違いなく、スマホほど目の近くで見る時の影響は誰もが懸念することでしょう。
ブルーライト研究会のサイトではブルーライトの性質から眼球内での問題点を二つほど挙げています。ブルーライトは拡散が大きいためピントが合わせにくくなり疲れ目、目の筋肉、虹彩の疲労を発生すること、そして、直接網膜に到達することによる網膜細胞へのダメージの危険性、それに伴う脳の疲労、健康被害などの可能性が取り上げられています。
眼球への影響はまだ不明なことが多いと言いながらも、やはり目が疲れたと感じたらば、休ませることは目の健康にとって必要なことです。しばらく目をつぶっておくだけでもスッキリ感が得られます。
ブルーライトは体内時計を狂わせる
いつでもどこでも便利なスマホだからこそ画面から発せられているブルーライトは体内時計を狂わせる要因になります。人間の視細胞は2種類あって、光の強弱や色彩を感知しているのですがそのほかに最近の研究で第3の細胞が発見されその細胞でブルーライトを検知することがわかっています。
この働きによって昼と夜を区別して体内のサーカディアンリズムを保っているのです。昼が終わり夜になるとブルーライトがなくなり、メラトニンが分泌されて睡眠をとるように体のリズムが流れていきます。
しかし、寝る時間になってもスマホを見てブルーライトが第3の視細胞に検知されてるとそのリズムが狂い、メラトニンの分泌が悪くなりよく眠れずに睡眠不足になったり、起きるのが遅くなったりしてしまうと云われています。
このことが脳の働きに支障をきたしたり、発がん性を高める、精神バランスを崩すなど、大きな悪影響へ繋がっていきかねないというのです。
ブルーライトは単なる青い光といえるのは昼間だけで、自然界には夜には無いはずのブルーの強い光は、夜の人体にとっては混乱を生じさせるものなのです。特にスマホは目に近いので影響大です。このような可能性があるのならば何か対策を打たねばなりません。
スマホのブルーライトカット対策法
ブルーライトをカットするにはどうすればいいのでしょうか。大きく分けて3つの対策があります。一つ目はスマホの設定による対策でスマホ本体の設定機能でカットできます。次にディスプレイにフィルムを貼る対策、この方法は誰にでもわかりやすい方法です。そして次にアプリによる対策、アプリをダウンロードしてカット機能を追加することができます。
カット法①ブルーライト軽減機能を使う
最近のスマホには設定機能の中でブルーライトを軽減する機能があります。この対策ならば光の元を断ち、スマホからブルーライトを発しません。さらに夜のブルーライトの量を時間帯設定と共に制限できます。
ところで、スマホのブルーライト対策を行う上でちょっと知っておくべき言葉があります。それは色温度。色を温度で表し色温度が高いほど青に近くなり、色温度が低いほど暖色系の赤に近づきます。このことを感覚的に覚えておくとよいです。5000~6000K(ケルビン)がブルーライトを含む光、2000K程度の光がブルーの少ない暖色系の光になります。
それでは、設定例です。例えばアイフォンならば、「設定」の「画面表示と明るさ」メニューを開くと「Night shift」の項があるので、そこで色温度を暖かい色に選びます。自分の感覚でできるだけ黄色い光に設定します。なるだけ黄色に近い方がブルーライトの成分が少なくなります。
そして時間設定ができるので、例えば夜10時以降はブルーライトカット設定すればあなたの目は夜間にブルーライトを見ることがなくなり保護されます。
続いてAQUOSをご紹介しましょう。まず「設定」を開き「ディスプレイ」の中の「詳細設定」を選択すると、「リラックス設定」という言葉でブルーライトの量を表現しています。リラックス度が高い暖色系の色がブルーライトが少ないということになります。
あなたのスマホの「設定」の画面、表示の設定を覗いてみましょう。そこでブルーライトカット機能とか、リラックス設定、ナイトモード、色温度設定などがあればブルーライトをスマホの設定でカットできるというわけです。
カット法②スマホに液晶保護フィルムを貼る
さて次の対策はフィルムを使ってブルーライトをカットする方法です。スマホの画面にブルーライトが透過できないフィルムを張り付ける方法。このフィルムを使えばスマホの設定に関わらずいつもブルーライトをカットします。
ブルーライトカットフィルムは市販されていますが、ブルーライトがカットされるので全体的に黄色っぽい色合いになります。フィルムによって色の濃さが異なるのでフィルムを付けた後の色合いを想定してフィルムを選ばれることをお勧めします。
反射防止機能も兼ね備えたフィルムもありますが、これは映り込みによる悪影響を抑えるもので表面がつや消しされています。目的に応じてフィルムの種類を選定してください。
このフィルムによる対策の場合は常時カットされた色合いになることを考えて、画面を見た時の色合いの好みで決定した方がいいでしょう。
カット法③スマホに目の保護アプリを入れる
そしてもう一つはスマホアプリです。スマホ本体の設定にその機能がないならば、アプリを追加してブルーライトを発しないようにすることができます。このアプリどんなものがあるでしょうか。例えばこんなものがあります。視力保護ブラウザ 〜ブルーライトカットで視力回復~というアプリです。
このアプリはブラウザを表示しているときに画面の光からブルーライトをカットします。使い方が簡単なので長時間ブラウザを使う方にはお勧めです。ただし、スマホのホーム画面や他のアプリではカットすることができません。
このアプリによる対策はスマホの設定によるものとは違い、ブラウザを使ってインターネットの画面を表示したときにのみブルーライト対策が行われ画面が黄色っぽく表示されます。
対策アプリの場合は、ブラウザに限定されスマホのユーティリティー画面や他のアプリの画面はカットできないので注意が必要で、特定のアプリを長時間使う場合は設定やフィルムでの対策を考えねばなりません。
ブルーライトカットメガネの効果
それでは、スマホの画面にカットフィルターもつけない場合は水際でカット。メガネでブルーライトをカットする方法です。この方法ならばカットしたい時にメガネを掛ければブルーライトから眼を保護することができます。
メガネには反射型と吸収型の2種類があります。反射型はブルーライトを反射して保護し、吸収型はブルーライトを吸収して保護します。
反射型の場合はレンズは透明なので普通に掛けていても違和感がありませんが、カット率が低く保護する力は弱いということになります。吸収型の場合はレンズに茶褐色の色がついているので必要な時だけ掛けるメガネになりますが、威力大です。
ブルーライトカットメガネは休憩が必要
ブルーライトカットメガネで注意しなければならないのは、メガネを掛けているあいだは昼間に人間に必要なブルーライトが眼に届かないということです。逆にブルーライトを全く見ないというのも問題があります。
昼間ブルーライトを見ることがないと人間のサーカディアンリズムに支障をきたします。時々メガネを外して自然光を見ることでリズムをキープしましょう。
ブルーライトはデメリットだけなのか
ここまで書かれている内容ではブルーライトは必ずしも悪者ではないということがいえます。昼間はむしろブルーライトを見た方がいいということなのです。程よい強さのブルーライトならば脳を活性化させアクティブに活動することができるのです。
ブルーライトとうまく付き合っていくには夜間のブルーライトと至近距離のブルーライトから眼を守るようにしていくことが必要のようです。夜間のブルーライトは体が昼と勘違いしてサーカディアンリズムを狂わせ、至近距離のブルーライトは網膜に何らかの影響を与える可能性があるからです。
昼間のブルーライトは体に良い
昼間の青空を見ると心が軽くなって元気をもらったような気がする。それは健康な証拠。天気が悪くて気分が落ち込んだような日にはブルーライトの美しい画面をみることで元気を取り戻せるに違いありません。
午前中に何だかボーっとして眠気が残っているようなときに外へ出てブルーライトがたくさん含まれた光を見ると、十分に目覚めきれていなかった身体が目を覚ましてやる気が出てきます。
そして昼間には出来るだけブルーライトを見ることです。これは特別な事をする必要はなく外の光を浴びればいいのです。昼間のまぶしくない普通の光にもブルーライトは沢山含まれているので部屋の中の仕事ばかりという人は休み時間には外へ出るか窓の近くに行けばよいのです。そのことが夜の快眠の第一歩になります。
ブルーライトの光源の青色LEDは人類が初めて見る光
照明の世界に大きな変革をもたらした高輝度のLED。それが市場に出回るようになってまだ20年もたっていません。実現は難しいと考えられていた青色LEDの発明と共に可能となった新しい技術なのです。この新しい光が世の中のエネルギー事情にも改革をもたらして、スマホやタブレット、PCなど電子機器の分野でも短期間にうちに大きな変化をもたらしました。
その青い光は人類にとって初めて眼にする光でもあるのです。そんな光だからこそ色んな論議を進めながら安全に使うことが必要です。
もしかしたらこの光と共に人体も新しい進化を遂げていくのかもしれません。LEDが発している新しい青い光のことを認識して気を付けながら使用していくことは人類にとって、きっと大切なことなのです。
スマホのブルーライトをカットして目と睡眠を守ろう!
夜のブルーライトは数々あれどスマホの光が人間に眼にとって一番影響を及ぼす光源であると言ってもよさそうです。であるならば、夜間のブルーライトをカットして人体も守るためにはまず第一にスマホのブルーライトカット対策が一番大事だということが言えます。
スマホのブルーライトをカットするには、ディスプレイの設定で簡単に行うことができます。早速スマホのディスプレイ設定を確認して10時以降から朝方まではブルーライトカットの設定をやってみましょう。
ブルーライトをカットした後の光は眼にやさしく落ち着く暖色系の白色をベースに持つ色になります。眼はすぐに白色に順応するので白の色の差にはあまり違和感を感じなくなります。昼のホワイトは青空の色の混ざった青っぽい白です。夜のホワイトは人類が火を使うようになってから暖色系の黄色っぽい白色なのです。
夜の目に入るブルーライトをカットするためにスマホの設定やブルーライトカット対策を行って、目を守るとともに安眠を手に入れて健康にお過ごしください。