試し行動とは
子育て中に一度は通る道とも言われる「試し行動」ですが、毎日子どもと接している親にとっては、大きな悩みとなってしまうこともあります。
その名の通り子どもが親の愛情を試すためにとる「試し行動」ですが、原因やその心理を知れば、的確な対処が取れるようです。
悪いとわかっていてもしてしまう行動
「試し行動」は、善悪がなにもわからずにやっているわけではありません。これをやれば、怒られる、困らせるだろうなと思いながらやっています。怒られそうなことをやり、親がどのような反応を見せるのかを試しているのが「試し行動」です。
試し行動の例
具体的にどのようなことが「試し行動」としてあげられているかをご紹介します。まず、握っていた食器を投げたり、おもちゃを壊したり、そしてそれを注意しても何度でも繰り返すなど、暴力的な行動などが1つです。
また、お腹が痛い、頭が痛いなど本当は痛くないのに身体の不調を訴えてくるなどの嘘もあります。物に当たるのも困ったものですが、親を心配させるような嘘は、困るよりも先に心配と不安が大きくなるため、そんな「試し行動」を繰り返されると親のストレスもかなり大きなものとなってきます。
困らせることが目的ではない
しかし、この「試し行動」は親を困らせることが本当の目的ではありません。愛されたいが故に行ってしまうことなのです。「試し行動」をなぜしてしまうのか、その気持ちを理解できれば、親にとっても辛かった子どもの「試し行動」が愛おしく感じてくるかもしれません。
子供が試し行動をする原因・心理
親を困らせるような「試し行動」、それには原因・心理がいくつかあります。その時々によって違う場合もありますし、どれか1つが大きな原因となっている場合もあります。じっくりと子どもと向き合い、「試し行動」の原因を突き止め対処方法を考えていくことが大切です。
愛情を測りたい
心理的に「誰かに深く愛されたい」、そう思うのは子どもに限ったことではありません。ですが、子どもがその気持ちを持つ相手は親であることがほとんどであり、大人が恋愛で使うような駆け引きなどの術も知りません。
そのため、試し方がわからず「すごく怒られるようなことをしても、自分のことを愛してくれるのかな?ちょっと試してみよう」そういった心理が働き、親を困らせるような「試し行動」をとってしまうのです。
少し寂しい思いをした後や、親にとても感情的に怒られた後などに、このような心理になることが多いようです。
甘えたい気持ちの表れ
自分の下に弟や妹などができ、親の愛情がそちらに注がれていると感じた時、仕事や家事などでかまってもらえていないと感じた時などにも「試し行動」が起こりやすくなるようです。
寂しさからくる「試し行動」だとはわかっていても、下の子の面倒を見ている時などは、中々かまってあげられないことも多いでしょう。
ですが、愛情不足だと感じている、という「試し行動」の原因が分かれば少し気持ちに余裕ができるのではないでしょうか?親の心に余裕が生まれれば、忙しい時間の中でも、子どもに愛情を感じてもらえるような対処ができるかもしれません。
気を引く方法が分からない
相手にされていないと感じ、寂しさから「試し行動」をする子どももいます。ママ友とのお喋りに夢中になってる、ゲームばかりやっている…などに「試し行動」をされたことありませんか?
自分よりも違う何かに気を取られている、こっちを向かせたい、何か悪いことをすれば自分が優先されるはず、こういった心理から叱られるようなことをして気を引こうとするのです。
信頼できる大人なのか確認したい
子どもの「試し行動」は親にむけてだけでなく、先生など身近にいる大人にも表れることがあります。「この人は本当に信用できる大人かな?大事に思ってくれるのかな?」そんな心理から、「試し行動」を起こすこともあるのです。
環境の変化に不安を感じている
今までのお友達と引っ越しでサヨナラすることになったり、入園や進級で新しいお友達ができたり、少し苦手な人ができてしまったり、自分に兄弟ができたり…など、身の回りの環境が大きく変わることに心が付いていけず、不安を感じた時にも「試し行動」を起こすことがあります。
傷ついている
少し特殊なケースですが、過去に虐待を受けていたり、親や周りの大人からの愛情をなかなか感じ取ることができない、里親をまだ信頼していない、親の離婚や再婚などで不安定な心理の時にも「試し行動」は表れます。
2016年に放送されたテレビドラマでも、里親に対する「試し行動」のシーンがありました。心の傷は目に見えないデリケートな問題なので、より慎重に対処する必要があります。
子供の試し行動への対処法
「試し行動」の原因や心理が理解できても、正しい対処方法を知っておかないと、子どもを傷つける可能性もあります。どうすれば信頼関係を築き上げることができるのか?子どもの不安を取り除くことができるのか?「試し行動」への対処方法をご紹介します。
愛情を伝える
「試し行動」といった困らせるようなことをしている子どもに対して、対処法が「愛情を伝える」というのは、理解できないと思う人もいるかもしれません。
ですが、先述した通り「試し行動」は親や近しい大人たちを困らせることが目的ではありません。愛情を試しているのです。不安や愛情不足を感じている時と理解し、愛情を表してあげることが大切です。
また、なるべく不安を感じさせないように、普段から愛情表現をしっかりしていくというのもおすすめです。常に愛されているという自信があれば「試し行動」もなくなっていくかもしれません。
スキンシップをする
愛情表現の一つでもあるスキンシップ、子どもは大好きです。「試し行動」をする子どもに対してもギュッと抱きしめてあげるだけで、落ち着くかもしれません。ハグだけでなく、頭を撫でてあげる、手を繋ぐ…などもおすすめです。何気ないスキンシップから、子どもは安心感を得るのです。
困らせるようなことをわざとしてるなと感じたら、怒ってしまう前に一度大きく深呼吸をして、子どもを抱きしめてみてください。スキンシップをすることで、子どもだけでなくあなた自身の心もほぐれていくかもしれません。
悪いことは悪いと伝える
「試し行動」には愛情を持って、と述べましたが、悪いことは悪いと伝えることもとても大切です。ハグや手を繋いだり、子どもに大好きな気持ちを伝えながら、これは悪いこと、してはいけないことなんだ、と冷静に伝えましょう。
子供の試し行動へのNGな行動
「試し行動」の対処としてNGな行為もあります。親も人間ですので、あまりにも困らせすぎるとイライラもするし、もしかすると気付かない内に「試し行動」の対処法としてNGなことをやってしまっているかもしれません。
「試し行動」の対処法としてやってはいけないことを3つほどご紹介します。もし、これから上げることに心当たりがあれば早急に改善するよう、心掛けてみてください。
無視をする
怒ったり注意したりしても聞かないなら無視してしまおう、と諦めて無視してしまうのはNGです。きちんと子どもと向き合っていかないと「試し行動」がますます増えてしまったり、愛情に不安を感じたまま大きくなると、他のネガティブな行動が出てしまう危険もあるようです。
せっかくできた自分の時間、スマホやパソコンなどに夢中になっている時に「試し行動」を起こされるのは本当にイライラすることでしょう。ですが、面倒だからと無視をせず向き合ってあげてください。自分の時間はもちろん大切ですが、向き合って伝えることで「試し行動」も収まっていくはずです。
怒鳴る
親も人間です。忙しかったり体調が優れなかったりする時に、子どもがわざと困らせるような「試し行動」をすると、感情のままに怒鳴りつけたくなることでしょう。
ですが、それでは何の解決にもなりません。愛情を試したくてやっている「試し行動」なのに、全否定されてしまうとあなたへの信頼度が下がってしまうことにもなりかねないからです。
しっかりと目を見つめて、普段通りの口調で「こういうことはやってはいけない」ということをしっかりと伝えましょう。その前後には愛しているという言動も忘れないようにしてください。
疎外感を与える
「試し行動」をされた時に怒鳴ることはなくても、「そんな悪いことする子はママの子じゃない」「もういらない」などと言った、疎外感を与えるような言葉もNGです。より子供を不安にさせ、孤独感でいっぱいになってしまいます。
「試し行動」の原因・心理を思い出して愛されたいというサインを汲み取り、「どんな時もちゃんと見てるよ」と言葉や表情、スキンシップを通じて子どもに伝え、ひとりぼっちじゃないんだ、愛されているんだということを子どもがわかるようにしてあげましょう。
子供の試し行動に親は冷静に対応しよう!
今回は子どもの「試し行動」の原因・心理、対処方法についてご紹介しました。「なぜ、うちの子はこんなに困らせるような行動ばかりとるのだろう」と悩んでいた方の助けに少しでもなれていれば嬉しいです。
愛されたい、かまってほしい、そんな心理を汲み取って愛情たっぷりに接することで「試し行動」は改善されていくはずです。根気強く信頼関係を築き上げていくことで、子どもとのより良い関係も生まれていくことでしょう。なにより、あなた自身のストレスもきっと軽減されていくはずです。
「試し行動」をするのは悪い子だからじゃない、そう心に留めて可愛い我が子との日々の暮らしを楽しんでいってください。