温泉といえば浴衣!思う存分楽しむために
今日、浴衣と言えば夏に着るもの、それも夏祭りとか花火大会とかのごく限られた機会に着るものとなっています。
ところが一つだけ一年を通して浴衣を着るのが当たり前の場所があります。それは温泉です。温泉旅館に行けば誰もが先ず浴衣に着替えます。旅館内の温泉に行く時も浴衣、温泉街を散歩する時も浴衣です。
温泉で着る浴衣にしても、折角浴衣を着るなら思い切りかわいい着こなしを工夫して楽しみたいものです。そのためにこれから温泉浴衣の基本の着こなし、温泉浴衣の簡単でかわいい帯アレンジ、温泉浴衣に似合う髪型などについてご説明いたします。
温泉浴衣の基本の着こなし
温泉浴衣と言っても浴衣の中に温泉浴衣という特別な浴衣があるわけではありません。温泉旅館で出してくれる浴衣が温泉浴衣なのです。但し温泉旅館で出してくれる浴衣のサイズは身長の違いだけで区別されていて肩幅やウエストの違いは考慮されていないことに注意が必要です。
さてこれから温泉浴衣の着こなしの基本について6つのステップに分けて順にご説明して行きます。この6つのステップをマスターすればかわいい着こなしが完了します。
①浴衣を羽織り背筋を伸ばす
温温泉浴衣の基本の着こなしの第1ステップは「温泉浴衣を羽織り背筋を真っ直ぐに伸ばす」ことです。
温泉浴衣を羽織っても背筋が曲がっていて前かがみになっていたり、左右どちらかに曲がっていると着崩れを起こしやすく、しっかりしたかわいい着こなしができません。そして背筋を真っ直ぐ伸ばして立ったら左右の長さをきちんと揃えることも大切です。
②へそのあたりの生地を揃えて持つ
温泉浴衣の基本の着こなしの第2ステップは「へそのあたりの生地を揃えて持つ」ことです。温泉浴衣を羽織ったら襟の先から1/3あたりのところ、つまりおへそのあたりの生地を、右側の生地は右の手で、左側の生地は左の手で持って、前に出し同じ高さに揃えます。
そうして温泉浴衣の裾の下の方の位置の線を決めます。裾の下の方の位置の線がちょうど足のくるぶしの位置に来て、そのラインが床と平行になるように注意して決めるのです。
③右側の生地を腰に巻き付ける
温泉浴衣の基本の着こなしの第3のステップは「右側の生地を腰に巻き付ける」です。浴衣や着物の着方は「右前」にすべきだと言われます。左前は亡くなった人に着せるやり方なのでこれを使うのは縁起が悪いから避けなければいけない、ということです。
さて、その右前とはどういうことでしょうか?右前の「前」は時間的な前で、つまり先に右側の生地を巻き付けるということです。従って着た時に表側に出るのは左側の生地なのです。右前と言われると右側が前、つまり表側に出るように思いますが、実はその反対なのです。
④左側の生地を腰に巻き付ける
温泉浴衣の基本の着こなしの第4ステップは「左側の生地を腰に巻き付ける」です。第3ステップは温泉浴衣の右側の生地を腰に巻き付けるでした。先に右側の生地を巻き付けて、その後、右側の生地の上に左側の生地を巻き付けるのです。
こうして結局左側の生地が表側、身体の前方に出て来るのが右前なのです。右前の着方は温泉浴衣を着る時ばかりでなく、着物全般、寝間着を着る場合にも当てはまる和服の着方の基本事項です。
⑤襟元を整える
温泉浴衣の基本の着こなしの第5ステップは「襟元を整える」です。このステップが温泉浴衣のきちんとしていながらかわいい着こなしを実現するための肝心のステップです。襟元の整え方が決まっていないと、だらしない着こなしになってしまいます。
温泉浴衣の襟元を整えるには、先ず温泉浴衣の前の襟を両脇の空いているところ(これを「身八つ口」と言います)から手を入れて、前の襟を引っ張りきちんと伸ばして整えます。
次に後ろの襟の出し方を整えます。左手で前の左右の襟を合わせて持ち、右手は後ろに回して背中の中心の縫い目を持って、後ろの襟が握りこぶしの1つ分開く程度に出します。これ以上開けるとだらしなく見えてしまいます。
⑥帯を巻く
温泉浴衣の基本の着こなしの第6ステップは「帯を巻く」です。これが最後の仕上げのステップです。しかし実はその前に「腰ひも」という細いひもを結ぶステップがあるのです。このステップは第5ステップの「襟元を整える」の前に行うものです。
腰ひもを腰の骨のすぐ上の位置に当てて締めます。その後で腰ひもの上に温泉浴衣の生地がたるんでいる部分をしっかり下に伸ばして「おはしょり」を作ります。最後に帯をおはしょりの前に当て、帯の下におはしょりが2~3cm出るようにして帯を締めます。
温泉浴衣の簡単でかわいい帯アレンジ
温泉浴衣の帯の巻き方ですが、最初のプロセスは帯をお腹のおはしょりの真ん中に当て、片方の手で押さえながらもう一つの手で巻き付けて両端を前に持って来ます。
その後は帯の結び方のアレンジによって違います。これから温泉浴衣の簡単でかわいい帯アレンジの仕方を3つご紹介します。
貝の口結び
温泉浴衣の簡単でかわいい帯アレンジとして最初にご紹介するのは「貝の口結び」です。先ず左手側の帯の先から30cmほどのところを左手でつまみ、残りの部分を右手で体にふたをするような感じで体に巻き付けます。
左の手先の部分と巻き付けた帯の反対側を結び、下向きに結んだ部分を半分に折って手先と同じ長さにします。それを手先にくぐらせてからもう1回結びます。これで温泉浴衣の簡単でかわいい帯アレンジ、貝の口結びの出来上がりです。
蝶々結び
温泉浴衣の簡単でかわいい帯アレンジとして第2番目にご紹介するのは「蝶々結び」というアレンジです。
これも先と同じく左手側の帯の先端30cmあたりを左手でつまんで手先を取っておいて残りを体にふたをするような感じで巻き付けて一度結びます。下向きに結んだ帯を屏風のように折り畳んで蝶の羽を作り、上向きに結んだ帯を半分に折ってから先に作った羽の上にかぶせます。
初めに作っておいた手先を羽の下に通してから巻き上げ、余った手先を帯の中に入れます。これで温泉浴衣の簡単でかわいい帯アレンジ、蝶々結びの出来上がりです。
四つ羽結び
温泉浴衣の簡単でかわいい帯アレンジで最後にご紹介するのは「四つ羽結び」です。これも前の2つと同じく左手側に約30cmの手先を取り、帯を後ろから回して手先が右側の腰の位置に来るようにします。手先と反対側を下にして体を1度回転させることにより帯を巻き、手先を上に結びます。
結んだ後、短い方の部分は胸元に入れて、長い方の部分で4枚の羽を作るのですが、その羽の中心が右腰の位置に来るように注意します。羽を上下左右で4枚になるようにして下から襞を作り、左手で持ち上げて短いタレをくぐらせてからきちんと結びます。
まだ残っている手先を折り畳んでから帯の中に入れます。結び目も同様に帯の中に入れます。これで温泉浴衣の簡単でかわいい帯アレンジ、四つ羽結びの出来上がりです。
温泉浴衣に合う髪型
以上に温泉浴衣の基本の着こなし、温泉浴衣の帯アレンジについてご紹介して来ました。最後に温泉浴衣に似合う髪型についてご紹介いたします。
折角温泉浴衣の着こなしや帯アレンジに工夫を凝らしても、髪型が浴衣に似合わなければイメージダウンです。やはり温泉で浴衣を着るなら髪型にも気を配る必要があります。
お団子
温泉浴衣に合う髪型として最初にご紹介するのは「お団子」です。お団子という髪型は頭の後ろに髪を丸めてお団子のような塊を作った髪型です。これは襟足もすっきりと出て涼し気な感じがしますから温泉浴衣にはピッタリの髪型です。
おくれ毛×お団子
温泉浴衣に合う髪型として2番目にご紹介するのは「おくれ毛×お団子」という髪型です。これは上にご紹介したお団子を作る時に、もみあげや襟足の髪の一部を下に垂らした髪型です。このおくれ毛が女らしい柔らかい印象を添えてくれるのでソフトムードを演出できます。
ポンパドール
温泉浴衣に合う髪型として3番目にご紹介するのは「ポンパドール」という髪型です。これは前髪をふんわりと上に上げて頭の真ん中でピンで留める髪型です。ポンパドールという名前はパン屋さんにもありますが、語源は同じで昔フランスに実在したポンパドール伯爵夫人から来ています。
片耳かけ
温泉浴衣に合う髪型として4番目にご紹介するのは「片耳かけ」という髪型です。これは片方の耳の後ろに髪をかけて、その片方の耳を出す髪型です。ショートヘアでお団子などが作りにくい場合いにはおすすめの髪型です。片耳を出すだけですっきりした印象が作られ温泉浴衣によく合います。
シニヨンヘア
温泉浴衣に合う髪型として最後にご紹介するのは「シニョンヘア」という髪型です。これは後ろの髪の毛を低い位置で1本に束ねてポニーテールを作り、それをくるりと上に巻き上げて、毛先をロールアップすれば出来上がりです。
この際、耳の前やこめかみあたりからおくれ毛を出し、襟足を見せるようにすると大人っぽいムードが出て来て注目の的になります。
温泉浴衣をかわいく着こなそう!
温泉に浴衣は付きものです。温泉旅館に行けば必ず浴衣を出してくれて、皆その浴衣に着替えます。この温泉浴衣を着るならかわいく着こなしたいものです。
温泉浴衣の基本の着こなしの6つのステップ、簡単でかわいい帯アレンジの仕方を3つ、温泉浴衣に合う髪型を5つご紹介しました。温泉に旅行する際の参考にしていただければ幸いです。