蜜蝋クリームの簡単な作り方を覚えよう!
ミツバチが分泌する蝋から作られた蜜蝋は保湿効が高く、リップや蜜蝋のハンドクリームを作ることができます。作り方は簡単で、オイルと蜜蝋、好きな精油を使って作ります。
精油には虫除けや水虫対策など様々な効果があります。用途や好みに合わせてお気に入りの精油を使い、手作りの蜜蝋クリームを作って楽しみましょう。今回は蜜蝋クリームやリップの作り方、使い方別に精油について詳しく紹介します。
蜜蝋とは
蜜蝋は英語でビーワックス(Bee Wax)と呼ばれていて、ミツバチが分泌する蝋から作り出されます。古くはロウソクの原料として使われ、電気が発明されるまでたいへん価値が高いものでした。
最近は天然素材が見直されていて、手作りの蜜蝋キャンドルなどクラフトの材料として人気があります。また安全性が高いことから、子供が使う蜜蝋クレヨンや蜜蝋粘土なども多く作られています。その他、靴の艶出しクリームや楽器や床材のワックスなど様々な場所で使われています。
ミツバチが分泌した蝋
蜜蝋とは、ミツバチが巣を作るために分泌する蝋(ロウ)のことです。ミツバチはお腹にある蝋分泌腺からワックス片を分泌し、酵素を加えながら口で練り、巣房と呼ばれる六角形の部屋を作ります。
蜜蝋はミツバチが食べる花の蜜や花粉などによって色や香りが変化します。例えば、花が多い春には明るい黄色、梅雨の時期は白っぽい色、秋には黄土色などに変化します。
蜜蝋の歴史は古く、エジプト王朝時代にはミイラの保存に使われていたという記録があります。蜜蝋の価値は高く、中世には通貨としても使用されていました。
練り香水やリップクリームなどに利用
蜜蝋は昔から宗教関係の儀式、木材の表面の艶出し、ロウソクの蝋などに使われてきました。またヨーロッパでは中世には民間薬として使われていて、傷ややけど、肌の炎症などに効果があるとされてきました。また、手紙の封蜜や絵の具の材料、お菓子カヌレのコーティングなどにも使われています。
現在は、蜜蝋の高い保湿力を活用して、様々な化粧品が作られています。蜜蝋はワックスや練り香水、リップクリーム、ハンドクリームなどにも使われていて、自然派コスメとして人気があります。
蜜蝋の効果
蜜蝋は精製されたものと未精製の2種類があります。採取された蜜蝋は褐色をしており、粘着性があるロウの固まりのようなものですが、精製し漂白をすると淡黄色から白色になり、無香になります。精製される前の蜜蝋を「黄ロウ」、精製された蜜蝋を「白ロウ」または「サラシミツロウ」と呼びます。
化粧品に使われるのはほとんどが精製・漂白されたサラシミツロウです。香りがほとんどないため、練り香水やリップ、ハンドクリームなどを作る際には香料や色を加える場合もあります。未精製の黄ロウは、オーガニック系の化粧品で使われることも多くあります。
肌の保湿
蜜蝋の成分は、ワックスエステル(ロウ成分)、アルコール、脂肪酸、炭化水素で、ミツバチの種類によって異なりますが一般的に約70%がワックスエステルです。ワックスエステルは化粧品の配合成分を安定化させる効果があり、乳化剤として多く使われます。
蜜蝋は保湿効果がたいへん高く、ボディクリームやハンドクリーム、リップなどの原料としても使われます。肌を保護する効果があり、蜜蝋を使ったクリームは敏感肌や乾燥肌の人にもおすすめです。
肌の炎症
蜜蝋は古くから肌の炎症を抑える効果が高いことが知られていて、民間療法に多く使われていました。特に日焼けややけどなどの肌の炎症や切り傷などの治療に使われていました。殺菌効果にも優れており、肌の自然治癒を促すとされています。蜜蝋は現在も漢方薬の材料に使われています。
蜜蝋リップクリームの作り方
蜜蝋には様々な効果があることが分かりましたが、実は蜜蝋を使ったハンドクリームやリップは家で簡単に作ることができます。自然由来の材料だけで作るので、肌が弱い方やお子様も安心して使うことができます。
蜜蝋のハンドクリームやリップは使い心地がよく、保湿効果が高いため肌がしっとりとすると好評です。手作りのハンドクリームやリップはプレゼントにもおすすめです。簡単に作れるキットも販売されているので利用するといいでしょう。
用意する材料
まず最初に蜜蝋と植物オイルだけを使ったシンプルなリップクリームの作り方を紹介します。リップクリームの作り方はとても簡単で、あっという間に作ることができます。
リップクリームの作り方を説明する前に、用意する材料を説明しましょう。リップクリーム2~3本分の材料は、蜜蝋蜜蝋3g、好みの植物オイル12gです。用具として、リップケース、耐熱容器、かき混ぜる棒や竹串などを用意してください。ケースや用具は煮沸消毒しておきましょう。
植物オイルにはホホバオイルがおすすめです。その他、カレンデュラオイル、アルガンオイル、スイートアーモンドオイル、ココナッツオイル、キャスターオイルなどもおすすめです。またオリーブオイルでも作れますが、オリーブオイルは少しべたつきがあります。
リップを作るときは蜜蝋の量を少し多めにすると固いリップになります。蜜蝋を少なめにすると軟らかいリップバームになります。
作り方・手順
それでは、ここからは蜜蝋リップクリームの作り方と手順を説明しましょう。蜜蝋リップクリームの作り方はとても簡単で、誰でもすぐに作ることができます。
まず植物オイルと蜜蝋をそれぞれ別の耐熱容器に入れ、湯を張った鍋に入れて湯煎にします。蜜蝋は60度になると溶けてきます。そのまま1分くらいすると完全に溶けます。溶けたら蜜蝋と植物オイルの容器を鍋から出しよく混ぜ合わせます。
2種類の液体がよく混ざったらリップクリームのケースに手早く注きます。容器をトントンと机に叩いて、中の空気を抜きます。液体の温度が下がったらフタをし、冷蔵庫で1時間ほど冷やしてできあがりです。
数本リップクリームを作っていると、途中で液体が固まってしまうことがあります。そのような時は、再び湯煎をして液体を溶かし、ケースに注ぐことができます。余った液体は別の容器に入れて固めましょう。
蜜蝋ハンドクリームの作り方
それではここからは蜜蝋ハンドクリームの作り方を説明します。蜜蝋ハンドクリームも、基本の作り方は蜜蝋リップと同じです。
ハンドクリームの場合は、リップよりも植物オイルを多めにしてソフトな仕上がりします。材料は
好みの植物オイル10ml、蜜蝋2g、お好みでアロマオイル1~2滴です。作り方は、リップと同じになります。
リップでは鍋を使った湯煎の仕方を説明しましたが、専用のオイルウォーマーで溶かすと簡単です。湯煎の場合は、鍋のお湯を沸騰させないようにしてください。
アレンジの方法
リップクリームには色を簡単につけることができます。蜜蝋が溶けたら、手作り化粧品の色材料として販売されているマイカパウダーを少量加えます。手持ちの口紅を削って加えてもいいでしょう。
ハンドクリームやリップには、ワセリンやシアバター、蜂蜜などを加えると異なった効果が期待できます。これらを加える場合は、植物オイルの量をその分減らします。
使い方別・蜜蝋クリームにおすすめの精油
蜜蝋ハンドクリームやリップクリームは、上で説明したように簡単に作ることができます。また使い方別に精油を加え、異なった効果や香りを楽しむことができます。簡単にアレンジができるので、いろいろ作って楽しむといいでしょう。
蜜蝋クリームは精油を変えるだけで、リップやハンドクリームの他、練り香水、虫除け、足の水虫用のクリームなどにもアレンジできます。ここではそれぞれの蜜蝋クリームについて詳しくみてみましょう。精油は1種類でもよく、また2~3種類をブレンドしてもいいでしょう。
リップクリーム
リップクリームにおすすめの精油は、ラベンダー、ペパーミント、カモミール・ローマン、スイート・オレンジなどがあります。リップは唇に付けるので刺激がないよう、精油の濃度を0.5%程度に希釈するのがおすすめです。
ラベンダーはさわやかな香りが好まれていて、リラックス効果や抗炎症・殺菌作用があります。清涼感のあるペパーミントは鎮静作用や精神安定などの効果があります。
カモミール・ローマンは青りんごに似た甘い香りがあり、リラックス効果があります。スイート・オレンジは甘酸っぱい香りで、年齢を問わず誰にでも人気がある精油です。
ハンドクリーム
蜜蝋ハンドクリームにはラベンダー、サンダルウッド、ゼラニウムの他、お好みの精油を使うことができます。精油の濃度は1%前後に希釈して使ってください。
サンダルウッドは、日本で白檀(ビャクダン)と呼ばれるオリエンタルな香りがする精油です。抗菌作用や肌の乾燥を防ぐ効果があります。
ゼラニウムはローズに似たグリーンフローラルな香りがする精油です。皮膚の状態を整える効果がありニキビケアやスカルプケにもおすすめです。また女性ホルモンのバランスを整えたり、イライラや不安などを抑える効果もあります。
練り香水
練り香水にはお好きな精油を使ってください。1種類でも2~3種類をブレンドしてもいいでしょう。おすすめはジャスミン、ローズオットー、ネロリなどです。
ジャスミンは女性らしい優しい香りのアロマで、高ぶった気持ちを抑えてくれる鎮静効果があります。その一方でやる気がない時には気分をアップさせてくれる効果があります。
ローズオットーはバラから精製される精油で、わずかしか作れないため希少価値があります。芳醇な優しい香りの精油で、気持ちを落ち着かせてくれます。ヨーロッパでは「若返りの薬」とも言われ、アンチエイジングの効果があります。
ネロリは爽やかなフローラル系の香りで、性別や年代を問わず誰にでも好まれます。高級化粧品や香水の原料としてもよく使われていて、リラックス効果などがあります。
虫除け
蜜蝋クリームにシトロネラ、ユーカリ、シトリオドラ(レモンユーカリ)ゼラニウム、レモングラスなどの精油を加えると、虫除けの効果があります。これらの精油を加えた蜜蝋クリームは、市販されている虫除けスプレーのような強力な効果はなく、虫を殺すものでもありません。
しかし市販されている虫除けスプレーには様々な成分が含まれていて、不安に感じる人も増えています。特にまた小さなお子様がいる家庭やペットを飼育されている家庭にもおすすめです。蚊やハエなどの虫はアロマの香りを嫌うため、近寄って来なくなるという効果があります。
足の水虫
精油の中には防カビ・制菌作用が高いものがあり、蜜蝋クリームに混ぜて使うことができます。水虫の原因となる菌には、カモミール・ローマンやティートリーなどが効果的です。
ティートリーは清潔感のあるフレッシュな香りがする精油です。原産はオーストラリアで、アボリジニが民間療法として使っていました。その他、ラベンダーやパイン、パチュリーなどのアロマもおすすめです。
蜜蝋クリームの保存方法&注意点
蜜蝋クリームは簡単に作ることができます。また様々な精油を加えて、効果や香りを楽しむことができます。しかし手作りの蜜蝋クリームを使う時は、注意することがいくつかあります。ここでは重要な注意点をお伝えします。正しく使って、効果をアップさせましょう。
涼しい直射日光の当たらない場所で保管
作った蜜蝋クリームは、高温多湿を避け直射日光の当たらない冷暗所で保管してください。夏は冷蔵庫に入れておくといいでしょう。蜜蝋クリームは保存料を使っていないため、あまり長い期間置いておくと、変質してしまいます。
ホホバオイルを使った蜜蝋クリームは6ヶ月以内、それ以外の植物油を使った蜜蝋クリームは1ヶ月から2ヶ月程度を目安に使いきりましょう。
子供への使用は念のため避ける
ハチミツにはボツヌリス菌が含まれていることがあり、消化器官が未発達の1歳以下の子供に与えてはいけないと言われています。
蜜蝋クレヨンやおもちゃは高熱処理がされているので安心ですが、家庭ではそこまで高熱処理ができません。したがって万が一のことを考えて、1歳以下の子供には蜜蝋クリームの使用は避けたほうがいいでしょう。
容器に残った蜜蝋は洗い流さない
蜜蝋クリームが残ったら、そのまま容器をシンクで洗い流さないようにしてください。必ずペーパータオルなどでよく拭き取ってから洗ってください。
蜜蝋は水に溶けず、そのまま流すと蜜蝋が排水管の中で固まってしまいます。排水管が詰まる原因にもなるので、水に流さないようにしましょう。
蜜蝋クリームを自分で作ってみよう!
蜜蝋は保湿効果が高く、家で保湿クリームやリップを作って楽しむことができます。簡単に作ることができるので、お好みの精油をプラスして効果をアップさせたり、虫除け対策や水虫予防などにも使うことができます。
精油には様々なタイプがあるるので自分に合ったも精油を見つけ、オリジナルの保湿クリームやリップを作って楽しんでください。